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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

米中激戦/藤井厳喜、飯柴智亮(2017)



★★★★★

今の日本に欠けているもの=直面する危機の俯瞰、冷徹な分析、有効な戦略、適切な施策

物事を時間的空間的に俯瞰し、冷静な分析をすることで著名な藤井厳喜氏と、
アメリカ陸軍大尉として世界最強の軍隊での実践経験を有する飯柴智亮氏との対談本です。

藤井厳喜氏の分析の鋭さは、
最強兵器としての地政学
を読んで素晴らしいと思っていましたので、本書がでるとわかった時点で、早速予約しました。

読み進めるごとに、全身に冷水を浴びせかけられるかのごとく、
現実があらゆる側面において如何に危機的な状況であるか、
日本が如何にそれらの危機に対して無防備な状態であるか、
を知らされました。

日米ともに金儲けのためにチャイナを利用したつもりが、チャイナの軍備増強に加担してしまっていたこと
チャイナは有史以来、如何なる王朝・体制・民族下でも領土の膨張を繰り返してきた歴史があり、今もそれを継続していること
ロシアは旧ソ連時代の力はないが、冷静な現実路線をとっているので、機会があれば北海道に侵攻する可能性は十分あること
米中は机の上では対話をしているが、机の下では既に足で蹴りあいが続いていること
日本がロシア、チャイナ、北朝鮮という3つの反日核保有国に囲まれていて、いつ、何が起きても不思議ではないこと
反日似非リベラル野党だけでなく、新露・親中・新朝の与党政治家や役人の利権のために、国民が危機に追い込まれていること
それにも関わらず、
これらの最大の危機に対して自覚もなく、正面から向き合うこともせず、
これらを俯瞰することも冷静に分析することもろくにできず、
外交・安全保障に対する有効な戦略と、戦略に基づく適切な施策も打ち出さず、打ち出せず、
枝葉末節な問題に時間を浪費している政府・政党・役人の姿が明快に炙り出されています。

個別具体的な内容は本書をお読みいただくとして、印象に残った事項を列記すると、

セキュリティクリアランス(秘匿情報管理体制)が日本では全くできておらず、情報がダダ漏れ、かつ秘匿情報がもらえない状態
これが政治家・役人に適用されていないが故に、反日でもスパイでも工作員でも政治家・役人になれてしまう状態
陸海空自衛隊の編成が現実の脅威に対して全く適合していない状態(なぜか陸上自衛隊が海上・航空自衛隊より大きい)
システム化・ネットワーク化が前提となっている通常兵器を単体で調達したがっている状態(電波が使えないスマホと同じとのこと)
があるとのことです。

これらを整理しながら思い出すのは、
大東亜戦争時の戦略のなさによる迷走と大量の兵士の犠牲です。
無思慮な戦線拡大(大陸・海洋ともに)、
アメリカの策略にまんまとはまったこと、
中途半端な真珠湾攻撃とそれ以降のずさんな海戦、
制空権重視の時代に巨大戦艦を作ったこと、など
内容は異なりますが、本質的には大東亜戦争と同じ過ちを続けているようです。
大東亜戦争そのものについての冷静な分析をしてこなかったことが原因ではないでしょうか。
このあたりの戦略のなさ、いい加減さについては以下の本が参考になると思います。
小川榮太郎氏『一気に読める「戦争」の昭和史

本書の結論としては、
政治家も対象としたセキュリティクリアランスを確立すること
情報省を設立してあらゆる情報活動ができるようにすること(外務省は事務処理のみ)
地政学的な見地と日米安保条約を踏まえた必要十分な防衛体制を確立すること
日本国憲法第9条も含めて、必要な法整備を行うこと
などです。

なお、トランプ政権になり、日本にとっては(メディアのフェイクとは裏腹に)メリットが大きいのですが、
アメリカの政権によって日本が大きく影響を受けるということ自体、独立国家としてどうか、と思わされました。
同盟国であれば、アメリカの政権に対して対等にものが言えるぐらいの国力・交渉力が必須だとも思いました。

本書を読むことで、日本が喫緊の課題として戦略的に実践すべき事項が明確になると思います。
個人的には、他の所謂軍事評論家、ジャーナリスト、学者よりも著者の解説が信じるに足るものだと思っています。

  1. 2017/05/27(土) 15:26:58|
  2. 藤井厳喜
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誇りある日本の復活を望む一日本人

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