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Freedom

Author:Freedom
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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進化の意外な順序/アントニオ・R・ダマシオ



★★★★★

これは凄い!

ダマシオ氏がまた凄いことをやってくれました。
著者の本は全て読んでいますが、
これまでの本で提起してきた、
ソマティック・マーカー仮説やあたかもループ仮説など、
脳と身体との相互関係の重要性、情動や感情の重要性についての科学的知見を、
ホメオスタシスについての最新生物学的知見を駆使して、
更に武装・発展させています。

更に、ホメオスタシスを深く掘り下げることで、
遺伝子の前にホメオスタシスあり、
生命体は遺伝子の乗り物に過ぎないわけではない、といった
従来の進化論に対して、科学的知見を駆使して反駁しつつも、
進化論をより奥深いものに発展させています。
リチャード・ドーキンス氏による本書の感想を聞いてみたいものです。

ホメオスタシスそのものについては、
言葉を聞いたり、
生命の身体を生存のために自動調節する機能だということを知っていたりなど、
生命科学に興味のある方であれば、知らない方はおられないと思いますが、
著者は、ホメオスタシスの概念を科学的知見に基づいて更に発展させています。

ホメオスタシスは、
単に自動調節機能というだけでなく、
より生命を繁栄させる機能も併せ持っている。
そのことによって生命誕生以来現在に至るまで、
ホメオスタシスが感情の源泉として重要な役割を担ってきた。
更に進化により神経系が発達してくると、
ホメオスタシスと神経系が統合することにより感情の表出ができるようになってきた。
そして脳機能が発達することにより、
ホメオスタシスを源泉の1つとする感情を認識することができるようになり、
また感情により理性・知性・創造性が喚起されるようになり、
その現時点での最高点としての人間の文化が築きあげられてきた。

つまり、簡単に要約すると、
ホメオスタシス→感情→認知→理性・知性・創造性→文化
という進化の流れと、人間の営みの流れを見出すことができた、
ホメオスタシスは身体維持の単なるサーモスタットではない、
ということです。

このような圧倒される展開からは、
意識はどこにあるか、という問題も、
脳と身体の相互作用に基づく生命全体の営みから生じるものであり、
物理的な場所を特定する、何かに還元するような質問は、
それ自体が間違っているのではないか、
と思わされます。

もちろん、
脳と身体の中にある様々な担当組織・関係そのものなどを探究することは
重要なテーマであり続けるとは思いますが、
それでも、まずは著者が本書で提唱している生命のダイナミクスについて。
理解し、前提とした上で探究すべきでしょう。


あと、著者は現在〜近未来について、
上記のような生命の在り方・進化の在り方を踏まえて見据えていますが、
感情を持ったAIや、
一般的に使われているシンギュラリティはあり得ないという主張は、
十分に理解・納得できます。
また、世界の恒久平和、それに必要不可欠な協調についても、
人間が人間である限り、決して容易なことではないという主張も、
十分に理解・納得できます。


なお、訳者あとがきで
「本書は気軽に読める類の本ではない」と書かれています。
確かに気軽に読めるものではないとは思いますが、
決して理解困難なほど難しいものでもありません。
特に著者の本をこれまで読まれてきた方や、
ヒトの自然科学を学ばれてきた方にとっては、
むしろページが止まらない面白さがあります。
※ヒトの自然科学:脳科学・神経科学・遺伝学・進化学・神経心理学・進化心理学など

久しぶりに、ダマシオ氏の新作を読むことができて、
非常に知的好奇心をくすぐられると共に、新たな知見をいただくことができました。

前著の「自己が心にやってくる」(2013年)も良かったのですが、
訳者(山形浩生氏)がこの分野のド素人で、かつ自分が頭脳明晰だと勘違いしているようで、
まともな邦訳になっているとは決して言えないものでした。
したがって、本書ほどは楽しめませんでした。

それ故に、私にとっては前々著「感じる脳」(2005年邦訳)以来の
本当に久しぶりのワクワク感を感じることができました。

とにかくオススメの本です。
ヒトの自然科学に興味のある方は、
オススメしなくても読まれると思います。
むしろ、政治・経済など社会科学分野で、
人間とは何かについて知ろうともしない、
言論人や経営者などの方々に読んでほしいと思います。

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