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クラウゼヴィッツの「正しい読み方」/ベアトリス・ホイザー



★★★★

クラウゼヴィッツの戦争論が何故難解であるかがよくわかりました

クラウゼヴィッツの戦争論はいろんな意味で難解であるとよく言われます。
以前挑戦してみましたが、見事に撃沈してから見向きもしませんでしたが、
本書のタイトルに惹かれて読んでみました。

何故難解であるかが丁寧に紐解かれていましたので、
その難解さの理由がよくわかりました。

最も大きな問題は、
観念主義者としてのクラウゼヴィッツと、現実主義者としてのクラウゼヴィッツが、
戦争論という一冊の本の中に同居しており、
現実主義者のクラウゼヴィッツとして全篇を書き換える前に他界してしまったが故に、
理論が混在し、不整合が生じてしまったことです。

これが元になって、
戦争論という同じ本から真逆の記述を引用することができ、
それによって真逆の解釈を成立させてしまうことが可能となり、
クラウゼヴィッツの信奉者の間でさえ戦争に対する考え方で大きな対立を生み出してしまっています。

最悪なのは、
軍事指導者の中で単純・短絡的・野蛮な人間がクラウゼヴィッツを引用すると、
総力戦となってしまい、
実際に第一次世界対戦から第二次世界対戦までその通りになってしまいました。

そして、戦争論を最も深く理解して最大限に活用したのが、
毛沢東という非西洋人であり、国共内戦を戦争論を駆使して勝利したというのも皮肉なものです。

戦争論の利用者の責任ではあるでしょうが、
戦争論を未完のまま世に出したクラウゼヴィッツにも責任があると言われても仕方ないでしょう。

このように戦争論は読み手に都合よく利用されてしまう危険性の高い本だと言えます。

一方で、真摯かつ冷静に戦争論に向き合うことができれば、
「戦争をどの様に考えるべきか」を説くという目的に関して言えば、
クラウゼヴィッツはそれ以前やそれ以降のどの戦略家よりも優れていると著者は述べています。

それ以降についてはよくわかりませんが、それ以前については、簡単に反論できます。
孫子の兵法があります。
クラウゼヴィッツの戦争論と比べてみると、
より一層、体系的・包括的・普遍的・整合的・論理的・道義的・実践的です。
(ご参考:デレク・ユアン氏著「真説ー孫子)」


上記の孫子解説書でも、毛沢東が登場して、孫子の兵法で国共内戦を勝利したとあります。

毛沢東自身は、ヒトラー・スターリン・ルーズベルトと並ぶ20世紀の大悪党ですが、
戦略論を研究する上では重要な人物だと思いますので、
クラウゼヴィッツと孫子の両方からアプローチすると興味深い研究ができるのではないでしょうか。

追記(20180627)
クラウゼヴィッツの「戦争論」読みました。
戦争の目標は敵の完全な打倒と明確に定義しています。
また、あくまでも戦争のことしか考えていません。
戦争の後に行うべき政治の仕事については全く無視しています。
ですので、この本に従って戦争を行い勝利した後、勝者敗者何れにも平和は訪れません。
孫子の兵法の方が遥かに優れています。

クラウゼヴィッツの戦争論をわかりやすく例えるなら、
捻りのない直線的なハリウッドのアクション映画みたいなものだと言えるでしょう。
クラウゼヴィッツが未だに支持されているのは、理論的優位性というより文化的嗜好性故なのかもしれません。

本書の著者の言い分はわかりますが、クラウゼヴィッツを擁護し過ぎている感じがします。
従って、評価を少し下げます。

追記(20180628)
念のため、リデル・ハート「戦略論」のまとめの章である、第19〜22章を読んでみました。
私のクラウゼヴィッツに対する所感が間違っていないことが確認できました。
今後、クラウゼヴィッツ信奉者の戦略論は読まないようにしたいと思います。
  1. 2018/06/24(日) 06:05:24|
  2. 戦略論
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誇りある日本の復活を望む一日本人

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