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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

脱原発を論破する/長浜浩明



★★★

放射線量の問題だけではない

本書では主に放射線量の人体に与える影響という面から、
マスメディアや左翼などの反原発派の主張に対して、
著者が得意とする科学的なアプローチで徹底的に反駁しています。
これはこれで日本の適切なエネルギー政策を考える上で大切なことだと思います。

しかし、原発については放射線量の問題だけではありません。
ヒト・モノ・カネの観点から見て問題が山積しています。

ヒトの観点からは、立地・設計・建設・発電・運用・保守のあらゆる面でヒトが絡みます。
政治的決着・行政的お役所仕事・利権・不完全な技術力・様々なミス・使命感の欠如などがありえます。
勿論、命がけで日本のために働いておられる方もいらっしゃるはずですが、
そうでない方もいらっしゃるのは残念ながら事実です。
高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉に追い込まれたのは、保守点検すらまともにできなかったからです。
更に、事故発生時の対処についてです。
3.11の際の民主党政権(面子は今の立憲民主党)の対応は、
チェルノブイリ原発事故の際の旧ソ連共産党独裁政権よりも明らかに酷いものでした。

モノの観点からは、原発設備の安全構造設計が杜撰であることが、3.11で暴露されました。
地震大国でかつ地震予測が不可能である日本において原発を設置・稼働させるのであれば、
当然想定すべきことを全て想定した上でなければならないはずですが、
初歩的なことすらできていませんでした。
さらに、建設費用を抑えるために安全性を犠牲にした設計・建設もなされていました。
従って、上記を踏まえて極端でない範囲で万全を期して原発を建設すると、コストが跳ね上がります。
また、原発がエネルギー自給だと喧伝している人がいるのですが、燃料のウランは輸入に頼っています。

カネの観点からは、上記で述べたように、まともに原発を建設すると建設コストが跳ね上がります。
また一つ原発を立地するために数千億単位の交付金等が金がばら撒かれます。
原子力のコストは他の電力と比べて安いと宣伝されますが、上記コストは除外されています。
原子力にかかるコストを全て含めて計算すると、他の電力と同じか上回るというか試算もあります。

なお、CO2地球温暖化説は、良くて未確定、悪くて捏造ですので、
これを理由とした原発推進は理由にはなりまでん。

あと、日本独自の核保有についてですが、
民間の電力会社保有の原発が無くても、問題はなさそうです。

ちなみに、本書で原発を停止して天然ガスを高値で輸入したから貿易赤字になった
といった旨の記述がありましたが、
これは著者が単に国際政治経済に対しての洞察が浅いというに過ぎません。
無能な日本政府・行政が足元を見られて高値で摑まされただけのことです。
まともな政府・行政がまともな交渉をすれば解決する問題であり、
また市場経済が解決する問題ですので、大騒ぎすることではありません。

結論としては、
ヒト・モノ・カネの問題を抱えている以上、原発の再稼働は許容し難いと思われます。
それよりも、火力発電で技術革新が行われていたり、水力発電が見直されたりしていますので、
ゼロベースでベストミックスを考えた方が国益に叶うと思います。
  1. 2018/05/17(木) 23:22:10|
  2. エネルギー
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誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

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