FC2ブログ

伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

大東亜秩序建設・新亜細亜小論/大川周明



★★★

現在の知見に照らすと致命的な欠陥が露わになりますね

著者の本書での大東亜秩序建設には相当な意気込みがありますが、
現在の知見に照らすと致命的な欠陥が幾つも露わになりますね。

大東亜戦争が、
西洋と東洋との戦い、白色人種と有色人種との戦い、という構図自体は間違いありませんし、
西洋から東洋を、白色人種から有色人種を解放する戦いであることも間違いないのですが、
これらを強調しすぎるが故に、東洋・有色人種を実際よりも過度に同質化しすぎており、
大東亜共栄圏の実現の困難さを過小評価し過ぎています。

本書でも、チャイナやインドと日本は根本に同じ精神を保持していると言いつつ、
一方でチャイナやインドが日本のことを正しく理解すべきだと主張しています。

チャイナが儒教を生み、インドが仏教を生み、日本はこれらを取り込んでいる、
などを精神の同一性の根拠として主張していますが、
チャイナと日本では儒教の根付き方が根本的に異なっていますし、
インドと日本の仏教は別の宗教と言えるくらい異なり、かつインドでは仏教は廃れています。

日本が大東亜共栄圏を提唱すれば、
チャイナやインドをはじめとした亜細亜諸国が一体化できるはずだというのは妄想でしょう。
各々の国や民族に深く根ざした伝統・歴史・文化や、
これらを生み出した民族固有の遺伝子や環境を軽視しすぎていますね。

特にチャイナに対しては、認識が全く間違っていると言わざるを得ません。
本居宣長が批判しているように、
日本人はとかくチャイナの伝統・歴史・文化の優れたところだけ、表面だけ見て賞賛し、
これらの闇の部分を見極め理解しようとしない傾向があります。
著者はまさに本居宣長が批判している日本人の典型的なチャイナ観に染まっています。

本書ではコリアの歴史・伝統・文化については全く触れられていませんが、
著者のコリア観についても多分間違っているのではないかと勘ぐらざるを得ません。

インドはともかく、チャイナと一緒に大東亜共栄圏を構築するという発想自体が、
大東亜戦争で日本が負けた最大の要因の一つではないでしょうか。

福沢諭吉の脱亜論の言葉が思い出されます。
「悪友を親しむ者は共に悪名を免かる可らず。
我は心に於て亜細亜東方の悪友を謝絶するものなり」
これが当時の日本に根付いていたなら、
少なくともチャイナ・コリア抜きの大東亜共栄圏を模索することができ、
より現実的に大東亜戦争を戦うことができたでしょう。

更に、上記の対立構図に囚われるあまり、
対米英決戦が必須であると断言していることです。
そしてここに日本人特有の精神主義>物質主義が加わり、
余計に負けるべくして負ける思想が出来上がってしまっています。
ここには威勢の良さはあるものの、
理性と知性と実力に基づいた冷徹な戦略・戦術が全く見受けられません。
またこの発想で対米英との狡猾な外交交渉の道も自ら塞いでしまっています。

西洋と東洋との戦い、というのであれば、
せめて世界最強かつ東洋の叡智である「孫子の兵法」をフルに駆使すべきでしょう。
これも大東亜戦争で日本が負けた最大の要因の一つではないでしょうか。

そのうえ、西洋・白色人種の頂点が英米のアングロサクソンだという理由で、
ドイツ・イタリアと組んでアングロサクソンに対峙すべきという考えは、
もう何をか言わんや、です。
人種差別撤廃や民族自決を世界で初めて国際社会に訴えた日本が、
ユダヤ人ホロコーストを行なっていたナチスドイツと組むなど、
いかなる理由があっても許されることではありません。
まさに二千年余にわたって培ってきた日本精神を自ら冒涜するに他なりません。

本書が当時の日本にどれだけ浸透し、
国としての行動にどれだけ影響を及ぼしたのかはわかりませんが、
深く広く浸透し、大きな影響を及ぼしていたとしたら、
と思うとゾッとします。

これでは日本を戦争に巻き込み負けさせ崩壊させた上で共産主義革命を起こそうとして、
日本に送り込まれたコミンテルン工作員の活動を支援しているようなものです。


以上のように致命的な欠陥が露わになったのですが、
大東亜戦争当時の本を読んで致命的な欠陥が露わになるということは、
歴史に学ぶことができたということでもあります。
歴史に学ぶことができましたので、それを踏まえて評価しました。

しかし、こうしてレビューを書いていると、
今の日本も大して変わらないな、と思えてきます。

反日左翼は言うまでもないですが、
日本の国益よりもチャイナ利権(コリア利権も)を死守したい政治家や官僚、
モンゴル・ウイグル・チベットへのジェノサイドを無視してチャイナでの金儲けに邁進する企業や経済団体、
日本人の生命や幸福を最優先に追求するための国家戦略を全く打ち出せない政府、などです。
大東亜戦争の失敗に対して、日本自身が冷静に原因を見極め見直してこなかったからではないでしょうか。
GHQに押し付けられた東京裁判史観、WGIPによって洗脳された自虐史観からの脱却は必須ですが、
日本自身、日本人自身が自らの責任で大東亜戦争を正しく振り返ることも必須だと思います。

ただ、著者の「日本二千六百年史」や「日本精神研究」が良書だっただけに、
本書は残念でした。
  1. 2018/12/11(火) 14:27:22|
  2. 大東亜戦争の真実
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

韓国・北朝鮮の悲劇/藤井厳喜 古田博司



★★★★★

リアリストとしての国際情勢分析と日本のとるべき道の提言

藤井厳喜氏については、
数々出版された著書はかなり読んでおり、
またワールドフォーキャストを観ていますので、
本書での発言は、
これまで頂いてきた情報について、
鋭さ深さ広さはそのままに簡潔に示されていると感じました。

これに古田博司氏のチャイナ・コリアについての専門性が加わって、
グローバルな観点を踏まえた上での東アジアの実態について、
より詳しく知ることができました。

本書のタイトルに関するエッセンスは
実際に読みながら堪能していただければと思います。

本書で個人的に心を打たれた内容は、
大東亜戦争で日本がアメリカに負けたことによる最大の失敗は、
現在世界の覇権を狙っているチャイナ共産党を生み出したことである、
というものです。
日本が大東亜戦争でアジア諸国を解放し、独立を支援したことは間違いないのですが、
チャイナ共産党を生み出したことは、これらを相殺して余りある失敗だとのことです。
そして、日本が大東亜戦争の精神を貫徹するのであれば、
この失敗を日本自身が将来にわたって解消することにあるとのことです。

また日韓併合も失策の極みであるとの指摘がありました。
大東亜共栄圏や大アジア主義など、
当時はチャイナやコリアを文明化し、その上で日本とともに西洋列強に対峙する、
と言った主張がなされていました。
ただ、これらの主張がリアリティの全くない愚策であることも、
当時から言われていました。
現在の知見や両国の実態を踏まえれば、やはり愚策以外の何者でもないでしょう。

本書によれば、
いずれの国も未だに「古代」国家であり、
「近代」国家である日本とは会話が成り立たないようです。
そして本書によれば「古代」と「近代」を分ける基準は、
パブリック(皆のために何かをする)の概念が浸透しているか否かとのことです。

大東亜戦争での失敗・失策を繰り返さないようにしなければなりませんね。
  1. 2018/12/04(火) 14:14:37|
  2. 藤井厳喜
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon.co.jpアソシエイト
iTunesアフィリエイト

FC2カウンター

カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

カテゴリーサーチ

カテゴリーツリー

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

最近の記事

月別アーカイブ

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる