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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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原始仏典/中村 元



★★★★★

目から鱗

原始仏典については少しだけしかかじってきませんでしたが、あまり良い印象は持っていませんでした。

大乗仏教側から論じられている原始仏教は、在家を無視した阿羅漢仏教であり「小乗」と揶揄していますし、
自らを原始仏教の守護者だと名乗る高名な仏僧は、寛容のかけらもなく他の宗派を非難・否定していますし、
他の原始仏教を受け継ぐ宗派の中には、やたらと厳しい戒律を前面に出して在家を寄せ付けないようにしていますし、
最近出版された原始仏教の解説書では、ブッダは慈悲を説いていないという仏教の根幹とも思える部分を否定しています。

ところが、本書で紹介されている原始仏典を読んでみると、上記のような否定的要素は全く見受けられませんでした。
むしろ「人の幸せ」について普遍的・合理的・簡潔に語られていますし、また慈悲についても取り上げられています。
また、在家に対する教え(シンガーラへの教え)も原始仏典の中にあり、決して在家を排除していたわけでもなさそうです。
更に、現在使われている宗教という言葉が醸し出す宗教臭さがほとんどありません。普遍的な生き方指南書といった感じです。

私のこれまでの原始仏教観を良い意味で完全に破壊していただきました。まさに目から鱗です。

本書・著者については学界・宗教界から様々な異論があるようですが、
全ての時代・地域における全ての宗派に対して中立を保ち、
これからの世界に求められる普遍的思想の確立を真に願い、
古今東西のあらゆる思想に精通し、かつそれらの比較を専門とし、
様々な言語で書かれている原典を原語で解読することができ、
膨大な文献からエッセンスを紐解くことができる能力を有している方を他に知りませんので、
私の中では、本書は原始仏教についての最も優れた文献という位置づけになりました。
また仏教の思想面の学びについては、中村元氏の著書を中核にしていきたいと思います。

仏教についての基本を押さえておきたい方は、まず本書を読まれることをお勧めします。
また他の仏教解説書を読んで何か違和感があるな、と感じられた方にも本書をお勧めします。

誰もが偽善者になる本当の理由/ロバート・クルツバン



★★★★★

脳のモジュール理論の徹底追求

進化心理学の知見をベースとして、
人間の脳が有する機能の不思議さについて、
脳のモジュール理論だけでどこまで説明可能かを追求した本です。

脳のモジュール理論は他の書籍を読んで知っていましたが、
ここまで徹底してこの理論だけで脳機能を解説している本は、私の読書経験の中で初めてです。

これまで哲学や心理学で難題とされ、膨大な労力を要してなお解決されていない事象について、
脳のモジュール理論は何ら問題なくサクサクと解決していきます。
しかも、進化心理学の根幹である自然淘汰を踏まえての展開ですので、
自然科学の知恵を取り込んでいない他の社会科学系の論理展開よりも説得力は高いと思われます。
そのアプローチが私の好奇心を刺激したのでしょう、一気に読みきってしまいました。

ただ、本書での脳のモジュール理論は、
脳の機能面についてのみ使用されており、脳の構造面についてはほとんど触れていません。
従って、脳が抱える矛盾について、
それらをすべて要素分解し、要素ごとに特化したモジュールがあるという説明も機能面に特化しており、
それを裏付けるための脳の構造面についての言及がほとんどないため、少し乱暴かな、と思いました。

特定の機能には必ず特定の構造(それがどのような形態であろうとも)があるはずですので、
機能と構造が今後マッチングされていくことを期待しています。


あと、持論を否定された学者が、その理論に対して、科学的な反証はできないけど、とにかく否定したい場合に、
如何にしてその理論に欠陥があるように見せかけるか、如何にして一般読者を巧妙に騙しているのか、
に言及している箇所があり、結構面白かったです。

意識は傍観者である/デイヴィッド・イーグルマン



★★★★★

意識できない膨大な潜在意識

脳は進化によって継ぎ足された数多くのモジュールから構成されており、
各々のモジュールが(単独で、協調して、競合して、)機能することで様々なアウトプットが生まれるようです。
それらのモジュールにおいては、顕在意識レベルと潜在意識レベルのものがあるのですが、
顕在意識レベルのモジュールよりも潜在意識レベルのモジュールの方が圧倒的に多いようです。
そして潜在意識レベルのモジュールは、顕在意識の介入を受けないことで(無用なノイズを排除することで)、
モジュールとして果たすべき機能を自律的かつ効率的に行うようにできているようです。
更に潜在意識によって行われていることは、思考や判断の領域にまで及んでいるようです。

従って、人間が通常考えている「意識」というものは、脳の中核というよりも諸々の機能の一つとして考えるべきとのことです。


脳のモジュール理論については、他の書籍を読んで知っていましたが、
脳の研究が進んだことにより、モジュール理論でかなりのことが説明できるようになってきたようです。
また、他の書籍でも脳のモジュール理論について踏み込んだ説明がされていましたので、
この理論は脳科学の世界ではスタンダードになっている、もしくはなりつつあると推察されます。
(社会科学の分野では、この理論は異端のようですが、なぜ異端であるかについての科学的な反証はないようです)


そのうえで、本書の特筆すべき点は、
ある人が犯した罪について、その人にどこまで法的責任を負わせることできるのか、
という問いを発し、その答えについて触れていることだと思います。

ある人が罪を犯した場合、それが顕在意識によるものか、潜在意識によるものか、
また潜在意識によるものでも、顕在意識によって防ぐことができるものなのか、できないものなのか、
更には潜在意識によるものであった場合、再発を防ぐことができるものなのか、できないものなのか、
といったことが脳の科学的な解明が進むにつれて、より適切な判定ができるようになっていきます。
そしてこれらを踏まえて、刑罰を課すか否か、如何なる更生方法が適切か、社会から隔離すべきか否か、などが
科学的に判断できるようになっていくし、そのような方向に司法が進む必要があるとしています。

犯罪被害者の感情やケアといった問題には触れていませんので、十分な解決策とはいえませんが、
犯罪加害者への対処についての科学的アプローチについては興味深いものがあります。
これまで、科学は「なんであるか」を解明するものであり「どうあるべきか」は主題ではありませんでしたが、
領域は限定されつつも、「どうあるべきか」についても科学的なアプローチが可能になってきたようです。


蛇足ですが、著者曰く顕在意識が潜在意識を完全にとらえることは不可能だとのことですので、
仏教をはじめとした様々な内観瞑想が科学的にどれほど効果があるのか、注意しておく必要を感じました。


ここで使用している「科学」「科学的」という用語は、再現可能かつ反証可能なもののみを意図しています。

なお、「意識」「自己」についての2017年時点での自然科学における知見は以下の書籍から得ることができます。
脳はいかに意識をつくるのか
神経科学・哲学・精神医療を横断して「意識」「自己」に迫っている素晴らしい本です。

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