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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

フューチャー・オブ・マインド/ミチオ・カク



★★★★★

凡庸なSF作品より面白い

最先端の理論物理学者が、最先端の自然科学各分野の科学者の知見を集めて体系化したヒトの心についての本です。
前著『2100年の科学ライフ』では科学全般の未来予測を取り扱っていましたが、
本書では、ヒトの心にフォーカスして、科学・テクノロジーの進歩で心がどうなっていくか、を未来予測しています。

勿論のこと、前著同様、物理学上の制約、進化生物学上の制約等、自然の制約を踏まえた予測ですので、
信憑性は高いと思われます。

特に、意識についてしっかりと定義し、AIのどの部分がヒトの能力を超えられるのか、また超えられないのか、
について論じているところは非常に興味深く読ませていただきました。

また、本書は『2100年の科学ライフ』の出版から数年経過しており、
その間のAI等のテクノロジー進歩についてアップデートされていますので、
読み比べることで、ここ数年での科学、テクノロジー進歩の様子もうかがえます。

前著のレビューにも書きましたが、数年おきに最新科学をアップデートして出版していただきたいと思います。
  1. 2016/02/27(土) 14:52:59|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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テクノロジーが雇用の75%を奪う/マーティン・フォード



★★★★

邦訳タイトルは大げさだが、主張は頷ける

テクノロジーの指数関数的な発展によって、雇用なき市場経済が生まれるという主張です。
邦訳タイトルの元は、本書後半で論じられている極端なシミュレーションの前提として使われているものですので、
タイトルにするにはちょっと大げさだと思います。
しかし、本書で主張している未来予測はそれほど大げさだとは思いません。

同時並行で理論物理学者のミチオ・カク博士の未来予測本を2冊ほど読んでいますが、
それと比較しても、本書が物理学の制約、進化生物学の制約等の自然の制約を無視しているわけではありません。

また何度か注目されては忘れられているAIの発展についても、かなり現実的な範疇で予測しているので、
早くなるか遅くなるかはともかくとして、いずれ本書で予測している状況にはなるのだと思います。

★を1つ減らしたのは、本書で予測していることに対してではなく、予測していることへの対処法の拙さに対してです。
雇用なき市場経済を抑制するために、国家がその権力と責任において介入せざるをえない、としていますが、
本書で展開されている対処法を機能させるためには、すべての国家が同じ政策を同時に行う必要がありますが、
国連が完全に機能するか、世界国家が生まれるのでない限り、現実的には難しいと言わざるを得ないでしょう。
国家の介入以外の選択肢が示されていれば、優れた未来予測&指南書になっていたと思います。
  1. 2016/02/27(土) 14:30:16|
  2. AI
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社会はなぜ右と左にわかれるのか/ジョナサン・ハイト





お粗末な道徳心理学の本

人間は進化により小さな集団の中での道徳心を得てきた。
道徳には大きく分けて6種類あり、コンサバはそのすべてを、リベラルはそのうち3つを提供している。
したがって、リベラルはコンサバほどは支持を得ないだろう。
といった内容です。

一見科学的に見えますが、結構粗い論理展開です。

進化生物学の現時点での共通見解としては人類は4万年前から変わっていないというものがあります。
しかし著者は、それ以降現在までの淘汰圧があるはずなので、4万年前から人類は進化している「はず」と、
何ら科学的根拠もなく決め込んで持論を強化しています。
ちなみに、本書で述べられている進化生物学の知見は既知のものばかりで、新たな発見はありません。

また、訳者あとがきでも触れられていますが、著者は進化生物学が持論を支持するように歪めて使っています。
道徳を本能に還元し、本能は進化で得られたものだから動かしがたい、としていますが、
同時に進化で得られた新皮質=論理・思考についてはかなり乱暴に過小評価しています。

また、道徳の6種類についても、なぜその6種類なのか、については科学的根拠を明示していません。
膨大なアンケートにより6種類の道徳についてコンサバとリベラルの傾向は明らかになっているのですが、
そもそもその6種類が正しいのかについては述べられていませんでした(道徳心理学の世界では通説なのかもしれませんが)

さらに、著者の持論だとリベラルがコンサバよりも支持を受けることは無いように思えますが、
リベラルの本来の根源(自由の獲得)のための様々な革命の歴史については、なんの説明もありません。

真のリベラルとは何か、他のイデオロギーとの違いは何か、なぜ分かれるのか、
等を知りたくて本書を読んだのですが、知りたいことは全く知ることができませんでした。
  1. 2016/02/21(日) 13:11:14|
  2. 社会心理学
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2100年の科学ライフ/ミチオ・カク



★★★★★

科学的根拠を踏まえた未来予測

著者は現役の理論物理学者ですので、あくまでも科学的根拠を踏まえた未来予測をしています。
本書で取り上げられている未来予測は、すべて物理学上の制約(モノ)と進化生物学上の制約(ヒト)を踏まえています。
例えば、ムーアの法則がいずれ物理的制約により通用しなくなる、人間の本能により実用が拒絶される領域がある、等です。

また、様々な自然科学分野における最先端の科学者300人との対話により生まれたものですので、
科学的かつ幅広い分野に対する未来予測となっています。

メディアや未来学者が煽っているようないい加減なものではありません。
また、科学という名を借りただけの、また科学という言葉を貶めている社会科学の知見はほぼ無視されています。
現在の社会科学は再現性や反証可能性に乏しいので、科学というよりもイデオロギーといったほうが相応しいと思いますので。
例えば、サイエンス誌が発表したように、心理学論文で再現可能なものは4割に満たない状況です。
さらに、複雑系理論を取り入れていない経済学は、その時点でもう学問ではありません。
ですので科学といえる自然科学の叡智だけに基づいた未来予測へのアプローチは真摯な姿勢だと思います。

なお、あくまでも科学者として自然科学の叡智に基づいて未来予測していますので、
予測不可能な政治・経済・社会・文化の要素は入っていません。
これらの要素によって、著者が提言している未来予測が実現しない可能性はあると思います。
・不況により研究開発に予算がつかない
・保守的な文化により基礎研究の実用化が妨げられる
といったことはあると思います。
しかし、これら不確定要素を無理に決めつけていい加減な予測をするよりも、適切なアプローチだと思います。
本書自体が、他の科学者たちによって再現性を確認したり、反証したりできるようになっています。

以上のように素晴らしい本ですが、科学は進んでいきますので、必然的に本書は陳腐化していきます。
ですので、できれば5年ごとぐらいに、本書の情報をアップデートして出版して頂きたいと思います。
  1. 2016/02/21(日) 12:30:47|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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