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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

脳を変える心/シャロン・ベグリー



★★★★

脳の可塑性についての秀逸な文献集

脳には可塑性がある(作り変えることができる)という一点に絞り、一部遺伝子レベルでの成果も含めて、脳の可塑性を認めた研究知見を豊富に盛り込んだ本です。脳の可塑性についての秀逸な文献集といえるでしょう。その意味では高い評価を付けることができます。

但し、脳の可塑性の限界について(例えば臨界期)、また遺伝の強固さ(例えば一卵性双生児の研究)についての知見は全く出てきません。それゆえ脳の全体像は本書では明らかにはなっていません。スティーブン・ピンカーやリチャード・ドーキンスらのウルトラダーウィニストの反論を聞いてみたくなりました。

また、タイトルである、脳を変える『心』ですが、『心』の定義があまり明確ではないことから、あまり深い議論にはなっていません。自らの意思と集中力、適切な方法により脳の特定の配線を変えられることは述べられていますが。。。

更に、副題に、ダライ・ラマと脳科学者たちによる心と脳についての『対話』とありますが、対話という割にはダライ・ラマ氏の発言が期待したほど多くはありませんでした。チベット仏教の智慧と、それに対する脳科学の知見のやりとりをもっと知りたいと思いました。

でも、脳の可塑性についての盛りだくさんの研究成果を知ることができただけでも、本書は価値アリと思います。
  1. 2014/12/24(水) 17:05:22|
  2. 脳科学・神経科学
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脳の呪縛を解く方法/苫米地英人



★★★

本能を自覚し、克服する

本書では、脳科学の知見と言われている、『たった1%でも「誰かから見られているかもしれない」という状況を作り出せば、脳は無意識的に自己規制をするよう働きかける』を引用し、自由を妨げる原因が自己の脳内に本能として存在することを指摘しています。このことを理解し、克服していくことが、呪縛から離れ自由になるために必要であると訴えています。

次に、本能以外にも、著者が知り得たソーシャルメディアや国家・シャドウガバメントの実態を披露しながら、今の世の中が一般市民にとって決して良いものではないとして、これらの制約から自己を切り離し、早く抜け出せと提唱しています。これは仏教の根本思想の一つである『彼岸に渡れ』というところから来ているのだと推察します。
また、今の世の中を作り、動かしている人々が「誰かから見られているかもしれない」という「誰か」になる場合、これらに無意識的に自己規制というかたちで迎合してしまう危険性について警鐘を鳴らしていると読むこともできます。

なお、脳科学者であり仏教者である著者の本ということで、これらの知恵を駆使した脳の呪縛を解くための深い智慧が述べられていると期待していましたが、この点においては物足りなさを感じました。

あと、引用・参照文献が全く記されていません。よって、本書で展開されている内容について、どこまで裏付けがあるのかがわからないのが残念なところと言えます。
  1. 2014/12/23(火) 15:05:46|
  2. 脳科学・神経科学
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経済学と人間の心/宇沢弘文





期待はずれ

人間を無機的に捉えて構築されたこれまでの各種経済理論に対する反省の下に、
近年、行動経済学、神経経済学など人間を有機的存在として捉えた経済理論が発展しつつあります。
タイトルから、経済学と人間の心を融合した新たな経済理論を想像して読みましたが、期待はずれでした。

第一部のリベラリズムの思想と経済学では、著者の学者人生を振り返るにとどまり、何を伝えたいのかさっぱりわかりませんでした。
第二部以降は、著者持論の社会的共通資本の解説なのですが、既に著者の「社会的共通資本」を読んでいましたので、特段目新しいものはありませんでした。
  1. 2014/12/12(金) 18:39:22|
  2. 経済学
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社会的共通資本/宇沢弘文



★★★

主旨はよいが、運用が。。。

人間が人間らしく尊厳を持って生きていくために必要不可欠な要素を社会的共通資本として、
資本主義(利潤)でもなく社会主義(官僚)でもなく、当該分野の専門家の知識や知恵と倫理で守っていこうという論旨です。
代表例として掲げられた、農業&農村、都市、学校教育、医療、金融、地球環境それぞれに概論が示されており、
一読の価値はあると思います。

但し、これらの制度の運用を考えたときに、果たして実現可能なのかどうかは疑問です。
当該分野の専門家の知識や知恵と倫理で管理すべしと述べられていますが、
既存の業界団体を頭に浮かべた途端、無理なんじゃないかな、と思わざるを得まえん。
逆に様々な業界団体が自らを社会的共通資本だと自認し、本書があざとく利用されてしまう危険性もあるでしょう。
制度の運用面も正しく設計しておく必要があると思います。
  1. 2014/12/12(金) 18:14:14|
  2. 経済学
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始まっている未来 新しい経済学は可能か/宇沢弘文&内橋克人





新しい経済学が見えてこない

フリードマンが提唱した市場原理主義と、それを活用したレーガン、サッチャー、小泉&竹中に対する痛烈なバッシング本です。
バッシングは構わないのですが、彼ら/彼女らの改革の負の部分のみ取り上げて論じるのは学術的な態度とは言えないでしょう。
更に、登場人物の個人的なエピソードの挿入でバッシングを煽っているのもおかしなことだと思います。
学者なら論文で勝負すべきでしょう。

それはそうとして、副題である「新しい経済学は可能か」についてですが、それに言及した箇所が全く見当たりません。
バッシングを踏まえて新たな経済学の方向性を見出しているようにも思えません。
宇沢氏の社会的共通資本の話はでてきているのですが、経済全体を敷衍するような経済学理論はでてきません。
副題につられて読んでみましたが、副題についての知見は全く得られませんでした。
  1. 2014/12/12(金) 17:32:26|
  2. 経済学
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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