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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

経済成長神話の終わり/アンドリュー・J・サター



★★★★★

経済人から市民へのシフト

本書は、永遠の経済成長が神話であること、
また経済成長が仮に続いても、その利益は国民には広く還元されないこと、
を多数の統計データを踏まえて提示し、警鐘を鳴らした上で、
「滅成長」による「繁栄」が可能であることや、その骨格を提示しています。
(地域振興、社会福祉、環境保全、医療、子育て、教育など)

そして、「滅成長」による「繁栄」を実現していくためには、
国民一人ひとりが、政府・行政・学界・メディアがドグマとしている経済成長とその恩恵に疑問を持ち、
組織に飼いならされた経済人から、地域のコミュニティを構成する市民としての自覚を持ち、
様々な意見具申、議論、行動を起こしていくことが重要である、という主旨だと思います。

「滅成長」による「繁栄」策として著者が提示している内容には、取捨選択や濃淡があり、
全面的に賛同することは出来ない部分もあるのですが、基本的には大同小異で納得できます。


なお、これだけ質の高い書籍が、新書で880円(税抜)で購入できることは素晴しいと思います。
(私は、更にそれを古本でより安く買いましたが。。。)
  1. 2012/08/22(水) 10:55:03|
  2. 経済学
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心が晴れ晴れする菜根譚のことば88/植西聰



★★★

人生指南書がビジネス処世本になってしまった

本来、菜根譚に書かれていることは、
人生そののをどのように生きていくか、という指南書として、
儒教(孔子)、道教(老子、荘子)、仏教(釈迦)の教えのなかから、
洪自誠さんが選び抜いたものです。

このことからだけでもわかるように、
菜根譚はビジネスでの成功など全く考えていません。
(孔子だけは経営幹部に関係ありそうですが。。。)

しかし本書は、ビジネスで成功するための処世術として菜根譚を位置づけてしまっています。
菜根譚にあるように生きることではなく、菜根譚にあること手段・ハウツーとしてしまっています。
儒教・道教・仏教を多少なりともかじっており、菜根譚も読んだことのある自分としては、
菜根譚を本書のように扱ってしまってよいのか、かなり疑問です。
多分、孔子・老子・荘子・釈迦が本書を読んだらぶったまげるのではないでしょうか。

ただ、菜根譚そのものは大作であり、かつ体系化されていませんので、読んで理解するのは容易ではありません。
また、理解を深めるためには、儒教・道教・仏教をある程度理解しておく必要もあります。
一方で本書は、88文の抽出ですが、それらが体系化され解説もわかり易いというメリットがあります。
(勿論、菜根譚は本来人生の指南書であることを十分に頭に入れて読むことが前提ですが)
ですので、菜根譚そのものや、儒教・道教・仏教への「入り口」としてはそれなりの価値があると思います。

本書を読んで、本当の菜根譚を知りたくなった方は、以下の本がオススメです。
ひろさちや『「菜根譚」の読み方』
  1. 2012/08/12(日) 18:40:28|
  2. 東洋思想・哲学
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人生の科学/デイヴィッド・ブルックス



★★★★★

現時点での最先端の人間科学

現時点での最先端の人間科学について、幅広く、かつ奥深く紹介している本です。

基本となるのは脳科学・心理学ですが、政治学・社会学・経済学などと人間科学との接点にも言及しています。
(なんと、経営学の巨頭であるP.F.ドラッカーやジェームズ・C・コリンズまで登場します)
また、紹介されている人間科学の知見については、出来る限り自然科学で得られたものを紹介しています。
(脳科学・神経科学・遺伝学などの自然科学で未解明なものは、心理学などの社会科学の知見を当てています)
更に、人間科学の知見を、ヒトの一生の様々な段階で必要となる場面に応じて紹介しています。

人間科学に興味をお持ちの方々にとっては欠かせない本だと思います。
また、科学的な知見に裏付けられた自己啓発書としても有益ではないかと思います。


本書の構成は、一般人が最先端の人間科学を理解しやすいようにとの著者の配慮から、
2人の男女が生まれる前~死を迎えるまでのストーリー仕立てになっています。
この表現方法が適切かどうかは、読まれる方々の脳の働きによると思います。
個人的には、最初の頃は「冗長だな」と思っていましたが、
読み進めるにつれ「結構面白い」と思うようになっていきました。

ストーリー仕立てでなく、論理構造的な表現方法のほうが好きな方には以下の書籍をオススメします。
・サンドラ・アーモット+サム・ワン『最新脳科学で読み解く脳のしくみ
・ジョン・メディナ『ブレイン・ルール


また、「人生の科学」という邦題も本書の内容に沿ったものだと思います。
原題の「The Social Animal」よりも良いのではないかと思います。


あと、600ページ弱という大著なので、読むのに苦労しますが、無駄な文章はないと思います。


なお、人間科学に興味を持たれた方々が最初に読む本として本書を選んでよいかどうかは判りません。
個人的には、この類の著作(本書にも紹介されています)をそれなりに読んできたことが、
本書の内容を理解するのに役立っていることは確かです。

参考までに、本書を理解するのに役立つ本を紹介しておきます。
これは本書を読んで更に知りたくなったときに役立つ本でもあります。

・アントニオ・R・ダマシオ(無意識が果たす役割の重要性を提唱)
生存する脳(デカルトの誤りに改題再出版)
無意識の脳 自己意識の脳
感じる脳
・マイケル・S・ガザニガ(脳・心・身体の一体性を提唱)
脳のなかの倫理
人間らしさとは何か?
(以上、本書で紹介されている科学者)

・ジョン・ダンカン(脳科学者・認知神経科学者。ヒトの知能について知りたい方にオススメ)
知性誕生
・スティーブン・ピンカー(進化心理学者。ヒトの進化について知りたい方にオススメ)
心の仕組み
人間の本性を考える

なお、「意識」「自己」についての2017年時点での自然科学における知見は以下の書籍から得ることができます。
脳はいかに意識をつくるのか
神経科学・哲学・精神医療を横断して「意識」「自己」に迫っている素晴らしい本です。
  1. 2012/08/02(木) 09:47:28|
  2. 脳科学・神経科学
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  4. | コメント:0

プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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