FC2ブログ

≪プロフィール≫

Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon殿堂入りレビュアー
(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

Amazon.co.jpアソシエイト
iTunesアフィリエイト

レビューごとに、Amazon.co.jp指定の商品画像バナーリンクを貼っています。もし、「書籍タイト/著者名だけでは、どんな本かわからん!」という方で、商品画像リンクが表示されない場合は、広告ブロックを解除してください。Amazon.co.jpおよびTunes以外のバナー広告は一切掲載しておりません。

≪FC2カウンター≫

≪カレンダー≫

09 | 2011/10 | 11
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

≪カテゴリーサーチ≫

≪カテゴリーツリー≫

≪ブログ内検索≫

≪リンク≫

≪最近の記事≫

≪月別アーカイブ≫

地球白書2009-10/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

技術はある、後は人間の決断のみ

この年の地球白書では、表紙に記されているとおり地球温暖化抑制に焦点を当てています。

先ず、驚いたのは地球の生態系の脆さです。
産業革命以前より1~2℃という範囲を超えるような気温上昇があると、
急速に不都合な変化を起こす可能性があることを主なリスクを挙げて訴えています。
(本書執筆時点で、産業革命以前より0.75℃ほど既に上昇)
地球温暖化に関する本は何冊か読んでいましたが、地球の生態系の脆さを強く再認識させてくれました。

そのうえで、地球温暖化抑制策を提言しています。

土地利用(農業・林業・畜産)については、
化石燃料と並ぶ二酸化炭素濃度増加の2大要因であり、輸送部門よりもはるかに大きいため、
温室効果ガスを削減するような土地利用に転換すべきとしています。
そして特に効果が期待できる様々な取り組みを提示しています。
これらの取り組みは既に実用可能であり(また更に開発が進められており)、また実施もされているものです。
転換の初期投資は必要ですが、現行の手法と同等以上の利益が得られるとのことです。
また、炭素の地下貯留など現在議論されている多くの解決策に比べ、はるかに安い費用で実現可能とのことです。
更に、取り組みの中には化石燃料の燃焼によって排出される全ての二酸化炭素を相殺できるものもあるようです。
これらの取り組みは、既に行われモデルの基盤が充実しているのですが、
規模が小さいため、関係者を巻き込み連携させていくことが必要だとしています。

地球温暖化抑制と聞くと、先ず再生可能エネルギーを思い浮かべるのですが、
土地利用の適切な取り組みでかなりのことができるというのは新たな発見でした。


エネルギーについては、
先ずはエネルギー効率を上げてエネルギー需要を減らし、
その絞り込んだエネルギー需要の大部分を再生可能エネルギーで満たすことが必要だとしています。
エネルギー効率を上げるためには、省エネ住宅・分散型発電・スマートグリッドで対応すべきであり、
更に、廃熱・廃棄物といった無駄なものの再利用や、LED電球の使用などの省エネも推進すべきであるとしています。
再生可能エネルギーは大きな課題が指摘されてはいるものの、
実用可能な技術・導入事例等を踏まえて、いずれも克服可能であるとしています。
(大規模発電は無理、ベースロード電力は無理、100%バックアップが必要、本格稼動は数十年後、など)
そして、これらを推進していくためには政府のイニシアティブで様々な政策を導入していくことが必要だとしています。
(租税・インセンティブ・規制・固定価格買取制度・化石燃料への補助金廃止・研究開発投資、など)

ちなみに世界の主要経済国20ヶ国において、
・2030年の電力供給のうち再生可能エネルギーが電力源に占める割合の予測
・2030年の熱供給のうち再生可能エネルギーが占める割合の予測
いずれにおいても日本は下から数えたほうが早い順位になっています。情けないですね。

ただ、本書を読む限りでは、原子力発電所が不要になるかはわかりません(本書では不要としていますが)。
例えば、ジェームズ・ラブロック『ガイアの復讐』では、再生可能エネルギーへの移行措置として原発を認めています。


一方で、これらの地球温暖化抑制策を待っている余裕はないとして(既に異常気象の被害がでています)、
地域特性に相応しい適応戦略を併せて実施することが必要であり、
特に影響を受けやすい低中所得国(都市部・農村部ともに)に求められるとしています。
また、適応戦略を検討・実施する際には、以下のことを考慮すべきとしています。
・社会経済と生態系やその関連に配慮した施策
・コミュニティ主導型での実施(地域によって現状や温暖化の影響は異なる)
・単に現状回復という適応だけではなく、持続可能な社会へと前進するような適応
・可能なものについては適応に併せて、温暖化抑制策の組み込み


そして、これらの施策を実施することで地球温暖化を抑制するためには、
全ての国が合意できるような仕組みが必要であるとして、様々な案を提示しています。
なかでも「責任」(温室効果ガス累積排出量)と「能力」(国民所得)の違いを踏まえた実践を強調しています。
これを国家単位だけでなく、個人にも当てはめることで公平性が確立されるとしています。
(貧困国にも富裕層はいますし、富裕国にも貧困層はいますので)
ただ、提案されている何れの案も、国際的な合意形成は容易ではない、という印象を持ちました。
地球温暖化抑制の技術は出揃っている(出揃いつつある)が、人間の意思決定が最大の壁、ということでしょうか。
まあ、どんな変革も「最後は人」といわれていますので、当然といえば当然のことなのですが。


あと、「温暖化対策:論壇と取り組み事例」として、
22の事例を130ページ近くにわたって、地球温暖化抑制の事例を紹介しています。
また、付録として「気候変動関連の主要概念と用語解説」を設けて、
地球温暖化問題に初めて接する方に対してわかり易く基本情報を提示しています。

  【BACK TO HOME】  


 BLOG TOP