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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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人と経済の世界地図/世界銀行東京事務所監訳



★★★★

ミレニアム開発目標の進捗状況

本書は、ミレニアム開発目標のターゲットにフォーカスし、
それぞれの項目において実態がどうなっているかを解説したものです。

それぞれのターゲットについて、
その背景、実態、、進捗、問題、(ものによっては解決策)を簡単に説明するとともに、
関連する図表やグラフを多用することで、わかりやすく解説しています。

少し時期が古い(2009年8月)のと、
俯瞰した場合に相互に関連している問題を、単独の問題であるかのように解説しているところも見受けられましたので、
★1つ減らしました。

ただ、本書が提供してくれる情報は、広く世の中の人々が知っておいたほうがよいと思います。
中学や高校の社会科の授業で本書が活用されるのがいいのではないでしょうか。

地球白書2009-10/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

技術はある、後は人間の決断のみ

この年の地球白書では、表紙に記されているとおり地球温暖化抑制に焦点を当てています。

先ず、驚いたのは地球の生態系の脆さです。
産業革命以前より1~2℃という範囲を超えるような気温上昇があると、
急速に不都合な変化を起こす可能性があることを主なリスクを挙げて訴えています。
(本書執筆時点で、産業革命以前より0.75℃ほど既に上昇)
地球温暖化に関する本は何冊か読んでいましたが、地球の生態系の脆さを強く再認識させてくれました。

そのうえで、地球温暖化抑制策を提言しています。

土地利用(農業・林業・畜産)については、
化石燃料と並ぶ二酸化炭素濃度増加の2大要因であり、輸送部門よりもはるかに大きいため、
温室効果ガスを削減するような土地利用に転換すべきとしています。
そして特に効果が期待できる様々な取り組みを提示しています。
これらの取り組みは既に実用可能であり(また更に開発が進められており)、また実施もされているものです。
転換の初期投資は必要ですが、現行の手法と同等以上の利益が得られるとのことです。
また、炭素の地下貯留など現在議論されている多くの解決策に比べ、はるかに安い費用で実現可能とのことです。
更に、取り組みの中には化石燃料の燃焼によって排出される全ての二酸化炭素を相殺できるものもあるようです。
これらの取り組みは、既に行われモデルの基盤が充実しているのですが、
規模が小さいため、関係者を巻き込み連携させていくことが必要だとしています。

地球温暖化抑制と聞くと、先ず再生可能エネルギーを思い浮かべるのですが、
土地利用の適切な取り組みでかなりのことができるというのは新たな発見でした。


エネルギーについては、
先ずはエネルギー効率を上げてエネルギー需要を減らし、
その絞り込んだエネルギー需要の大部分を再生可能エネルギーで満たすことが必要だとしています。
エネルギー効率を上げるためには、省エネ住宅・分散型発電・スマートグリッドで対応すべきであり、
更に、廃熱・廃棄物といった無駄なものの再利用や、LED電球の使用などの省エネも推進すべきであるとしています。
再生可能エネルギーは大きな課題が指摘されてはいるものの、
実用可能な技術・導入事例等を踏まえて、いずれも克服可能であるとしています。
(大規模発電は無理、ベースロード電力は無理、100%バックアップが必要、本格稼動は数十年後、など)
そして、これらを推進していくためには政府のイニシアティブで様々な政策を導入していくことが必要だとしています。
(租税・インセンティブ・規制・固定価格買取制度・化石燃料への補助金廃止・研究開発投資、など)

ちなみに世界の主要経済国20ヶ国において、
・2030年の電力供給のうち再生可能エネルギーが電力源に占める割合の予測
・2030年の熱供給のうち再生可能エネルギーが占める割合の予測
いずれにおいても日本は下から数えたほうが早い順位になっています。情けないですね。

ただ、本書を読む限りでは、原子力発電所が不要になるかはわかりません(本書では不要としていますが)。
例えば、ジェームズ・ラブロック『ガイアの復讐』では、再生可能エネルギーへの移行措置として原発を認めています。


一方で、これらの地球温暖化抑制策を待っている余裕はないとして(既に異常気象の被害がでています)、
地域特性に相応しい適応戦略を併せて実施することが必要であり、
特に影響を受けやすい低中所得国(都市部・農村部ともに)に求められるとしています。
また、適応戦略を検討・実施する際には、以下のことを考慮すべきとしています。
・社会経済と生態系やその関連に配慮した施策
・コミュニティ主導型での実施(地域によって現状や温暖化の影響は異なる)
・単に現状回復という適応だけではなく、持続可能な社会へと前進するような適応
・可能なものについては適応に併せて、温暖化抑制策の組み込み


そして、これらの施策を実施することで地球温暖化を抑制するためには、
全ての国が合意できるような仕組みが必要であるとして、様々な案を提示しています。
なかでも「責任」(温室効果ガス累積排出量)と「能力」(国民所得)の違いを踏まえた実践を強調しています。
これを国家単位だけでなく、個人にも当てはめることで公平性が確立されるとしています。
(貧困国にも富裕層はいますし、富裕国にも貧困層はいますので)
ただ、提案されている何れの案も、国際的な合意形成は容易ではない、という印象を持ちました。
地球温暖化抑制の技術は出揃っている(出揃いつつある)が、人間の意思決定が最大の壁、ということでしょうか。
まあ、どんな変革も「最後は人」といわれていますので、当然といえば当然のことなのですが。


あと、「温暖化対策:論壇と取り組み事例」として、
22の事例を130ページ近くにわたって、地球温暖化抑制の事例を紹介しています。
また、付録として「気候変動関連の主要概念と用語解説」を設けて、
地球温暖化問題に初めて接する方に対してわかり易く基本情報を提示しています。

地球白書2008-09/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

持続可能な経済に向けて

この年の地球白書では、持続可能な経済に向けて解決すべき諸課題に焦点を当てています。

まず新古典派経済学のイデオロギーや、GDPを追い求めることでは持続可能な経済は不可能だとしています。
そのうえで、既に開発・活用されている代替指標を提示し、これらを活用することを求めています。

そして、持続可能な経済へ移行するために、
資源効率の向上、ライフスタイルの転換、環境負荷の少ない食事への移行、低炭素経済の構築、
排出量取引市場の発展、水資源のマネジメント、生物多様性の価値認識、コミュニティの活用、
モチベーションの向上、インセンティブの活用、投資の活用、貿易の適切なガヴァナンスの確立、
といった要素を挙げ、
それらに対して、国、自治体、大学、研究所、企業、NPO/NGP、コミュニティ、市民、消費者らが、
実際に取り組んでいる、また取り組もうとしている例を豊富に提示しつつ、成功要因と問題点も指摘しています。


興味深かったのは、「共有地の悲劇」という現象についての解説でした。
実はこれを提唱したギャレット・ハーディンは、科学的な研究をせず、推論だけに基づいて提唱していたそうです。
さらに、彼は後に自説の欠陥を認めたそうです。
また、本書では1章を割いて「共有地」有効活用の成功例・失敗例が幾つも登場しますので、
「共有地の悲劇」が無条件に生じるわけではないことがわかります。


なお、本書を通してみてみると1つの矛盾がでてきました。
低炭素社会を目指すためには地産地消費が必要である一方で、
貧困解消を目指すためには国際貿易が必要であるというものです。
本書では貿易ガヴァナンスの章で、これらのバランスが必要とだけ述べられています。
これについてはもう一歩踏み込んで解説して欲しかったと思います。
ただ、難しい問題であることはわかりますので、★を減らすことはしていません。

癒す心、治る力/アンドルー・ワイル



★★★★★

自然治癒力向上の医学

先日、ロバート・C・フルフォード氏等の『いのちの輝き』という優れた書籍を読みました。
その本の序文を書いている人が、どのような医療を行っているのかに興味が沸き、本書を手に取りました。

人間には進化の過程で獲得した自然治癒力があるということを前提として、
自然治癒力を最大限に活かすための医療とは何か、を提言している本です。

先ず、現代西洋医学は自然治癒力を軽視・無視しており、
診察・投薬の仕方によっては患者の自然治癒力を低下させてもいると苦言を呈しています。
この苦言は臨床例や科学的知見を踏まえたものであり、
現代西洋医学をやみくもに批判しているわけではありません。
現代西洋医学でなければ治せない疾病もあることも提示しています。

そのうえで現代西洋医学に代わる様々な代替医療の紹介をしています。
こちらも臨床例や科学的知見を踏まえて、治癒力を高める、病気を治癒するための方法を紹介しています。
また各々の代替医療法ごとに、治癒できる疾病を提示しています。
なお代替医療の中には根拠が希薄なものや、かえって症状を悪化させるものもあると注意を促しています。

このように著者はアンチ現代西洋医学主義でも代替医療万能主義でもありません。
あくまでも臨床医として人間の自然治癒力を信じ、それを高め、活かすことを考え、実践している方です。

なお、本書の原著初版は1995年ですので、その後、現代西洋医学・代替医療には何らかの変化があると思います。
科学の世界では、少しずつではありますが、要素還元主義から複雑系への移行が見受けられます。
人間に関する自然科学では、技術進歩により、この10年で様々なことが分かってきています。
薬剤についても、ケミカルからバイオへ移行してきています。
ですので、できれば本書の改訂版が執筆・出版されることを願っています。

とはいえ、一家に一冊あると何かと便利な本だと思います。

一万年の進化爆発/グレゴリー・コクラン等



★★★

人類は進化し続けている

人類の進化は4~5万年前で止まっているという定説があります。
本書はそれに対し、考古学に加えて遺伝学の知見に基づいて反論し、進化は続いていることを説いています。

一万年前以降の主な進化として、以下を挙げて解説しています。
・狩猟採集から農耕へと移行した民族・集団の遺伝的な変異
(低タンパク高炭水化物の食事でも生存可能なように進化。狩猟採集よりも食べ物が増えたため人口爆発につながる)
・酪農を生活の糧としている民族・集団の遺伝的な変異
(成人した後もミルクの摂取が可能となるように進化。農耕よりも栄養価が高く移動可能であるため拡散につながる)
・ヨーロッパが他の地域を植民地化した際の、先住民族・集団の滅亡もしくは従属
(アメリカ大陸では免疫を持たない先住民の滅亡に、アフリカ大陸では免疫を持たないヨーロッパ人の死亡につながる)
・他民族との混血を制限してきたアシュケナージ系ユダヤ人の遺伝的な変異
(商業や金融などの頭脳労働に特化してきたことで、科学・数学分野では他民族よりもレベルが高いことにつながる)

なお、進化は遺伝子変化と環境変化の相互作用によってしか説明できないことも、本書内で度々触れています。
ですので、本書は遺伝原理主義ではありません。

本書で提示されている様々な事柄に対しては、様々な分野から様々な異論がでることだと思います。
(この例だけでは定説を覆すほどではない、環境と遺伝のプライオリティが不明、他の要因でも説明可能、など)
また、自説に都合の良い学説のみを選んで証拠としている箇所を見つけました。他にもあるかもしれません。
(アシュケナージ系ユダヤ人の章で使っている、IQと知能の関係、IQと遺伝の関係、IQと成功の関係など)

ただ本書は科学的な知見を逸脱してはいませんので
今後、科学的な検証や新発見により、より洗練された知見になっていくでしょう。


なお、現代への文明と人類の変化について、環境面からアプローチしている本があります。
ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』です。
私見ですが、2つの本が相互補完しているように思えますので、興味のある方はご参照ください。
ちなみに、こちらの本の「病原菌」に関する記述は、本書と重なる部分があると思います。

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