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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

ハーバード・ビジネス・エッセンシャルズ 人事力/ピーター・キャペリ



★★★★★

人材マネジメントへの重要な提言

本書は、人材マネジメントのなかで、獲得・維持・開発という領域において重要な提言をしています。

原著初版は2002年とやや古いものの、提言されている内容は、現在においても全く古びれてはいません。
アメリカでは本書の提言内容が具現化されている企業も見受けらることから、現在進行形の内容なのだと思います。

一方で、日本では本書の内容が人事戦略や重要施策として取り扱われているようには見受けられません。
逆に、本書において日本企業の強みとして紹介されている社員の絆の形成といったものを捨て始めているような気もします。

本書を読むことで、
どうも日本企業の多くは、バブル崩壊以降、景気変動に対して近視眼的な対応に終始しすぎているのではないか、
景気の善し悪しに流されない、地に足の着いた人材マネジメントが求められるのではないか、とも思わされます。


なお、エッセンシャル版と銘打って出版される書籍の中には、表層的なものもありますが(例えば、ロバート・L・マティス『人的資源間理論のエッセンス』)、
本書はそれらとは異なり、真剣に検討・実践しなければならない重要なもの(エッセンス)が提言されていると思います。

本書は、ハーバード・ビジネス・エッセンシャルズというシリーズの1つのようですので、他のシリーズ本も読んでみようと思います。
  1. 2010/08/25(水) 13:03:52|
  2. 戦略的人事
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ヒューマン・シグマ/ジョン・H・フレミング等



★★★★★

顧客・従業員・財務成果の総合的なマネジメント

本書は、企業の財務的な成果を生み出すことと、顧客・従業員のエンゲージメントを高めることの関係を明らかにするとともに、
顧客・従業員のエンゲージメントを高めていくためのマネジメントの方法について解説したものです。


内容としては、以前ギャラップ社が出した『これが答えだ!』で解説されているものがベースになっており、
従業員エンゲージメントではQ12、顧客エンゲージメントではCE11、従業員の強みではストレングスファインダーといったギャラップ社なじみの指標が登場してきますが、
その後の更なる調査結果や、心理学・脳科学等の新たな科学的知見の裏づけが、かなり豊富に足されています。

また『これが答えだ!』では時系列的に位置づけられていた、従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントですが、
本書では更なる調査から、これらの関係が時系列で位置づけられるものではなく(よって、従業員エンゲージメントを高めれば自動的に顧客エンゲージメントが高まるわけではない)、
両者の相互作用を総合的にマネジメントしていかなければならないことが示されています。

本書の途中までは、『これが答えだ!』の単なる焼き直しかな、とも思いながら読み進めていましたが、
以上のことから、かなり充実したバージョンアップ版なんだと認識を改めさせられました。


本書の原著初版が2007年、元となった『これが答えだ!』の原著初版が2002年であることから、斬新な理論というには時間が経過していること、
本書が出版される前から、本書の内容を実践して成果を生み出しているリッツ・カールトンなどの企業が存在していること(『ゴールド・スタンダード』参照)、
などを踏まえると、
日本でももっと本書のようなアプローチが導入されていても良いように思われますが、一方では、ギャラップ社が日本から撤退してしまっています。
ギャラップ社の日本撤退の理由はよくわかりませんが、本書の内容が日本企業に受け入れられなかったことが原因であれば非常に残念なことです。
日本でもっと流行らせて欲しかったと思います。
  1. 2010/08/22(日) 17:01:14|
  2. マネジメント
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なぜ直感のほうが上手くいくのか/ゲルト・ギーゲレンツァー



★★★★

直感の科学

本書は、何かと軽視されがちな「直感」というものを、主に行動経済学の観点から、科学として取り扱ったものです。

不確実な状況下での予測については、結構直感が役に立つ、それも重回帰分析やベイズ定理よりも正解率が高くなるという、ある種驚きの実験結果が数多く紹介されています。

科学的な検証のもとに、直感を論理と同等の地位にまで引き上げたことは価値があると思います。


但し、素人とベテランとの直感の違い、性格や才能による直感の違い、直感の個人差などについてはほとんど触れられていません。

例えばビジネスにおいて、不確実な状況下で直感が効くということがわかったとしても、誰の直感を選べば良いのか、という問題が必ずでてくると思います。

直感も論理と同じように役に立つことがわかっただけでも価値ありなのですが、実際に直感を使う状況下では本書の知見だけでは解決できないことはまだまだありそうです。


また、著者等は環境と心理の両面を取り扱うことを重視して研究しています(これは大事なこと)。ただ、これらを重視するがあまり、個人の内部(性格や能力、経験値など)と直感との関係についても、ほとんど触れられていません。

あと、脳科学や神経科学の最新知見を取り込んでいるわけでもありません(進化心理学は多少入っていますが)。

このあたりが上手く取り込めると、実生活での直感の取り扱い方がより見えてくると思うだけに、少し残念です。


更に、一般的に直感と関連付けられることの多い「ひらめき」についてもほとんど語られていません。

科学やビジネスの世界でのイノベーション、ブレークスルーには知識や論理の積み上げだけでなく、ひらめきが欠かせないと思います。

この辺りを1章でよいので取り込んで欲しかったと思います(評者は「直感」という言葉から「ひらめき」を連想して本書を手に取りましたので)。


ただ、直感を論理と同じ地位にまで科学的に引き上げるだけでも大変だったのだと思いますので、評者のこれらの期待が過大、時期尚早なのでしょう。

本書の知見だけでもかなり価値があると思いますので、読んで損はしないと思います。

  1. 2010/08/21(土) 10:28:53|
  2. 行動経済学
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ブレイン・ルール/ジョン・メディナ



★★★★★

使える脳科学

本書は、企業や教育の場で、日常的に使えそうな脳科学の最新知見を12のルールとしてまとめたものです。

知見そのものは、他の脳科学の書籍をある程度読まれている方々であれば既知のものが多いとは思いますが、
本書の価値は日常で「使える」知見を提示していることだと思います。

これらの知見の中には、現在の企業や教育の場での常識からすると、かなり突飛なものも含まれていますが、
それは現在の企業や教育のあり方が、脳科学(だけでなく心理学等の人間に関する科学ものも含む)の知見が生まれる前の知識でつくられていて、そのまま現在まで引きずっているからなのだと思われます。

本書の知見を取り入れてみるのもいいでしょうし、本書の知見から現在の企業や教育のあり方の常識を疑ってみるのもいいでしょう。

また、これらの知見の中には、まだまだ実際の場で研究しながら確立していくべきものもあるとのことですが、
それはそれで実験が進んで新たな知見が生まれるといいな、と思います。


  1. 2010/08/11(水) 20:08:02|
  2. 脳科学・神経科学
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  4. | コメント:0

プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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