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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

選ばれるプロフェッショナル/ジャグディシュ・N・シース等



★★★★★

真のプロフェッショナルを再認識させてくれる本

本書はクライアントを持つプロフェッショナルがどんな存在であるべきか、そうなるためにはどうすべきか、についてトップレベルのプロフェッショナル、及びこれらのプロフェッショナルを活用しているクライアントへのインタビューや、歴史上の人物についての文献などを踏まえて整理されたものです。

優れたプロフェッショナル(原著ではextraordibary advisor)には7つの特質があり(各々は目次を参照してください)、これらをバランスよく磨いてクライアントにサービスを提供しているということです。
これら全ての特質は一朝一夕に習得することは難しく、また実践することで短期的には売上が落ちることもあるとのことです。しかし、これらを磨いていくことで中長期的にはクライアントとの信頼関係を気付くことができ、長きに渡ってクライアントに使ってもらえるようになる、ということです。

また(程度の問題はあるのですが)、このようにしてサービスを提供することを受け付けないクライアントについては、プロフェッショナルの信念を貫いて仕事を断ることも大事であると述べています。専門知識の提供だけでよい、使い倒して捨てればいい、自分たちの意思決定を追認してくれればいい、下請けとして指示通りに進めてくれればよい、などを求めるクライアントとは付き合わないほうがよいことも提言しています。

更に各々の特質について、スキルアップの方法も概要レベルですが記述されており、また参考文献も掲載されていますので、プロフェッショナルとして研鑽を積みたい方々にとっては有益な本だといえます。

なお原著初版は2000年ですが、古さは全く感じられません。むしろこれからの時代によりクライアントから重視される内容なのではないかと思います。


以下、評者がコンサルタントですので、本書を読んだうえでのコンサルティング業界についての感想です。

規模(売上高や人員数の多さ)を売りにしているコンサルティング・ファームは、短期的な売上や利益の獲得を狙いとして、自ら進んでクライアントの下請けベンダーとなり、使い古された汎用的なソリューションや専門知識を使いまわし、価格競争に陥っているように見受けられます。本書の提言では、このようなことを推進しているファームはまともなクライアントから早晩嫌われるか、既に嫌われているとのことです。

またそのようなファームで働くコンサルタントたちも、評価・昇格・報酬といった人事制度によって、クライアントから嫌われるようなプロフェッショナルになるように圧力を受けており、そのようなプロフェッショナルのみが昇進してスタッフを指導していく、そんな負の連鎖がすでに起きているようです。これでは本書で優秀なプロフェッショナルと対比されている雇われ専門家(原著ではexpert for hire)にすらなれません。単なる御用聞きに成り下がってしまいます。

そんなコンサルティング・ファームのコンサルタントで、いまのやり方に疑問を感じておられる方々には是非本書を読んで、真のコンサルティングとはどのようなものか、について認識を新たにして、まともなキャリア形成をして頂ければと思います。

  1. 2010/03/23(火) 18:52:33|
  2. 自己成長
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組織開発ハンドブック/ピープルフォーカスコンサルティング



★★

表層的・断片的な知識の羅列

組織開発領域のソフトな部分に限って、基本的な用語の意味を調べるにはよい本だと思いますが、これで組織開発を実践するのは結構危険だと思います。

内容については、様々な文献から引用してはいるのですが、ただ単に表層的・断片的に引用しているだけであり、組織開発のプロジェクトを如何にマネジメントするのが効果的・効率的なのか、様々な手法をどのタイミングやどの状況下で如何に活用していくのがよいか、についてはほとんど触れられていません。個別の手法については、引用元の文献や、各々の領域での良書を読んだほうが有益でしょう。

また、組織開発のソフト領域に限定されており、ハードの部分(組織・業務・制度の改革)については全く触れられていません。組織開発に何を含めるかについては様々な議論があるのですが、組織開発が経営課題を解決するために組織に着目した手法であるならば、ソフトだけ、ハードだけという区分は有益ではありません。何れかだけが得意な組織や人の自己満足に過ぎません。

ソフト領域に限定した組織開発を生業としているコンサルティング会社が、自社の営業目的で出版したに過ぎない本だといえます。

組織開発については、デーヴィッド・ナドラーやゲイリー・ハメルの著書を読まれたほうが有益です。
  1. 2010/03/21(日) 16:40:34|
  2. チェンジマネジメント
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人材開発マネジメントブック/福澤英弘



★★

教育研修に関する本であり、人材開発の本ではない

内容は「あくまでも教育研修をどう行うべきか」という本です。人材開発については表層的に触れられているに過ぎません。

最近では、人材開発は企業戦略・事業戦略を確実に推進するためにかなり期待されるようになってきており、そのことから人材開発は単なる教育研修やOJTから脱却して、また推進者も単なる研修屋・人事屋から脱却して、戦略的に人材開発をマネジメントすることが求められてきています。

この観点からいえば、本書は人材開発のほんの一部に過ぎない教育研修にかなり偏っています。まるで教育研修が人材開発であるかのような記述内容です。


また、今世紀に入って脳科学・神経科学の発展が目覚しく、容易に手に取ることができる書籍が多数翻訳・出版されている状況です(翻訳・出版されている書籍全てが良書というわけではありませんが)。

それにもかかわらず人間に関する科学的知見について認知科学しか参照していないのは、時代遅れだといわざるを得ません。


更に、個々の人間が本来持つ才能や性格を見極め、強みを引き出し、伸ばし、これによって成果を出していくことが(数十年前から言われてはきたのですが)最近かなり着目されてきています。コーチングが注目されているのが具体的な着目の例だといえるでしょう。

それにもかかわらず開発の対象としているものがスキル・知識の記憶だけであるのは、これも時代遅れだといわざるを得ません。


このような内容になってしまっているのは、著者が教育研修会社でのキャリアを積んでいるからこうなっているのかもしれません。または教育研修会社の営業目的で書かれたものであるのかもしれません。


実際に経営戦略や事業戦略を実現するために人材をどのように開発・活用するか、また人材戦略として人材開発を高い優先順位においている企業・責任者にとっては得るものはあまりありません。
良質のマネジメント・人材マネジメントに関する書籍を数冊読まれたほうが得るものは多いでしょう(P.F.ドラッカー、ピーター・センゲ、デイブ・ウルリヒ、ラルフ・クリステンセンなど)。

また、教育研修担当初心者も、本書を手に取るまえに、しっかりと企業・組織・人材に関するマネジメントの良書を熟読した上で人材開発・教育研修の書籍を読まれた方が得るものは多いでしょう。
  1. 2010/03/06(土) 20:06:52|
  2. 人材育成
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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