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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

マネジメント(1973)/P.F.ドラッカー



★★★★★

最高のマネジメント実践指南書

原著初版が1974年であり、それから30年以上経ってますが、今でも最高のマネジメント実践指南書であり続けています。

本書の価値や内容は、様々な方々が様々なところで述べられていますので、ここでは本書の使い方について触れたいと思います。


マネジメントの必要条件をこれほど多角的かつ体系的に解説している書籍は、知っている限り他にはありません。

本書の前にも後にも様々なマネジメント書籍が大量に出版されいますが、ほとんどの書籍は、本書で提示されていることの一部を論じているに過ぎないと思います(一章分であったり、一段落分であったり、一用語分であったり)。

また、ヒトのマネジメント関連で近年話題になっている手法も既に本書で、その概念、マネジメントにおける位置づけ、重要性、活用方法などが提示されています(サーバント・リーシップ、コーチング、ラーニング・オーガニゼーション、チェンジ・マネジメントなど)。

経営手法が毎年数多く生み出されています。何れも役に立つものだとは思いますが、残念ながらそれらのほとんどは、マネジメント全体における位置づけや効用と限界を適切に定義していません。せっかくの手法もマネジメントに携わる方々をかえって混乱させているようにしか思えないことも多々見受けられます。

本書をじっくり読んで理解することで、これらの数多くの経営手法をマネジメント全体という文脈のなかで理解し、取捨選択し、応用して活用していくことができると思います。


また、本書で提示されているマネジメントの実践方法は、数多くの学術分野での知見を上手く取り込みつつ整合させて組み立てられています。

特筆すべきは、ヒトに関する科学、特に執筆当時ではほとんど研究が進んでなかった自然科学系の科学(脳科学・神経科学・遺伝学など)の知見が、著者の洞察から得られた仮説としてふんだんに盛りこまれていることです。

自然科学系のヒトの科学についてそれなりに書籍を読んできましたが、これらの仮説はほとんど違和感を覚えないものとなっています。

ヒトのマネジメントについても、本書をじっくり読んで理解することで、ヒトに関する科学の最新知見を踏まえた実践ができると思います。


更に、本書は読み手にかなりの知識と経験を求めます。ただ読み流すだけならともかく、深い理解を得るためには、何故?を問いかけながら読み進めていく必要がありますので、本書の内容を読み手の知識・経験に照らし合わせていくことが求められます。

ただ、最初から本書の広く深い体系的な知識・経験を持ち合わせている人はいませんので、本書を定期的に何度も読み直すことで、読み手自身が己のマネジメントに対する知識・経験がどれほど身についたのか、を確認するような使い方をするのも有益だと思います。

実際に、読み返す度に、同じ文章でも以前読んだ時とは異なった知見を得たり、新たな発見を得たりすることができました。「こんなこともわからなかったのか」という発見・反省とともに、「これがわかるようになったのか」という自信にもつながります(全てを完璧に理解できたとはとても思えませんが、それでも読み返す度に、理解できていることが増えるのは学習の楽しみにつながっています)。


このような使い方ができるマネジメント書籍は他には見当たりません。軽めのビジネス書を何十冊読むよりも、本書を何度も読んだ方が遥かに価値があると思います。


なお、現在本書は私の知る範囲は3種類の翻訳があります。個人的にはドラッカー本は上田訳が最も分かりやすいと思います(単に上田訳に慣れているせいだと思いますが)。興味と時間とお金のある方は読み比べてみるのもよいかもしれません。

また、本書には抄訳版、エッセンシャル版が出版されていますが、これらはあくまでも要約・抜粋ですので、しっかりと理解したい方には本書をお薦めします。


(2009/10/26再読によるレビュー更新)
  1. 2009/10/26(月) 12:32:43|
  2. ドラッカー執筆書
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

この「聞く技術」で道は開ける/ナンシー・クライン



★★★

『考える』ことを促進するための手法

自分で考え、答えを導き出すために、どのようなアプローチが良いのか、について著者の信条と実践から構築された手法です。

提示している手法はかなりシンプルでありながら、効果が高そうですので、習得するには良いものだと思います。

また、概ねコーチングと同様の手法が述べられていますので、他のコーチング手法と比較しながら読まれると理解が深まると思います。


ただし、著者の信条がかなり強く(それ自体はよいことなのですが)、それが故に世の中の見方、それを踏まえた手法の目的・位置づけが偏っているように受け取られかねないものになっています。これが数多くの方々に活用してもらうという点においてマイナス要素になるような気がします。

また、原著初版が1997年ということからなのだと思いますが、脳科学等の最新の人間の科学を活用した手法の検証や改善が行われていません。人間の本性についての前提といった大きな部分、具体的な手法といった小さな部分、何れにも手直しする必要があると思われる箇所があります。

更に、コーチング手法とは明らかに反対のことを促している事項もあります。著者の経験を踏まえることは大事なことですが、他の手法・理論が既に世の中にでていますので、それとの比較検証があってもよかったと思います。

手法そのものは有益なものですので、このあたりを注意しながら活用していくことをお薦めします。
  1. 2009/10/13(火) 11:33:22|
  2. 人材育成
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

長い20世紀/ジョヴァンニ・アリギ



★★★★★

資本主義サイクル発展の歴史

本書は資本主義の世界が登場したルネサンス期以降、資本主義がどのように発展したのか、また一つのかたちの資本主義の生成?崩壊というサイクルがどのように起きるのか、そのサイクルの相違点は何か、について、マルクスやシュンペーターなどの先人の知見を検証しつつ組み込みながら、理論構築をしています。

資本主義には、生成?崩壊までの一つの大きなサイクル(100年?200年ぐらい)があり、それは新たな実体経済の拡大⇒その行き詰まり⇒金融経済の拡大⇒その行き詰まりという順序で必ず移行するものである、とされています。

これは、資本が利潤を求めて新たな実体経済に投資するものの、その実体経済が必ず競争激化と成熟化により適正な利潤を得られなくなることで、資本が実体経済から離れ金融商品に移行し、最終的にはそれも限界に達するということからきているようです。

ただし、これで資本主義が終えんするのではなく、そのサイクルに組み込まれ、かつその中心ではない実体経済の力学を持つ中心が金融経済の行き詰まりの段階で発生し、資本が新たな実体経済に向かうことで、次の資本主義のサイクルがはじまる、ようです。

また、資本主義のサイクルが一段進むごとに、資本のパワーと軍事のパワー、内向きのパワーと外向きのパワー、規制のパワーと緩和のパワー、などについて振り子が行ったり来たりしつつ、より規模が拡大し複雑になっていく、ということです。

これらのことを、ヴェネチア⇒ジェノヴァ⇒オランダ⇒イギリス⇒アメリカと資本主義の覇権国が移り変わっていく様を描きながら解説しています。


ただ、原著が1994年出版ですので、バブル崩壊後の日本、台頭するBRICs、9.11以降のアメリカ、については全く触れられていません(勿論リーマンショック以降のアメリカについても)。
邦訳初版が2009年ですので、このあたりの分析や未来予想があるのでは、と思われるかもしれませんが、何もないですのでお気を付けください。


とはいえ、過去数世紀におきた数度の資本主義サイクルをこのようにみせてくれることで、現在の経済の混乱についても、世に出回っている報道や評論とは異なる観点から見ることができます。

実体経済中心の日本の産業のバブル崩壊後からの低迷、実体経済を飲み込んでしまった金融経済とその破綻、アメリカの相対的なパワー低下、などについて様々なことが言われていますが、本書を読むことで、そのほとんどが近視眼的・表層的な反応であることがわかります。と同時に、言われている様々なことでは現在の問題は解消されないということもわかります。

現在の問題は、一つの資本主義サイクルの終えん段階でこれまでも発生してきたことであり、新たな資本主義サイクルが生まれなければ根本的な問題は解決しないということです。

本書を読んでも、現在の問題は何も解決しませんが、少なくとも本質的でない情報に一喜一憂することはなくなると思います。

また企業経営においては、新たな需要を見つけ出してイノベーションを起こすことしかなさそうです。

  1. 2009/10/06(火) 16:31:03|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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