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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

ブログタイトルを変更しました。

ブログタイトルを変更しました。

旧:人事コンサルタントが読んでいる本

新:脳と生命の科学を経営に活かす

新しいタイトルは、私が尊敬するコンサルタントであり、本ブログも活用して頂いている、南雲道朋氏から頂きました(南雲氏のブログ「人と組織に関するブログ」もご活用ください)。
  1. 2009/04/28(火) 13:21:42|
  2. 書評について
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欲望について/ウィリアム・B・アーヴァイン



★★★★

欲望という本性の扱い方

人間が持つ欲望が暴走することの愚かさ、その制御の難しさ、そのうえでの扱い方、の3部構成で、欲望について丁寧に、かつわかりやすく解説しています。

欲望の暴走の愚かさについては、人間の欲望には際限がなく、かつ欲望を満たすとそれに慣れてしまうので始末に終えないということです。
また、欲望は無意識の領域から生まれてくるので自覚なく欲望を満たそうとするとのことです。更に、無意識から出てくる欲望を思考が意識的に増幅し、それを論理的に叶えようとするとのことです。

欲望の制御の難しさについては、最新の進化学・脳科学の知見を踏まえて解説しており、どれだけ制御が難しいかが、上手く表されています。
但し、著者の造語で語られていますので、進化学・脳科学で使われている用語・体系との整合性は取られていません。これらの学問領域での用語・体系で知りたい方は、本書の参考文献でも提示されている、アントニオ・ダマシオ、ジョセフ・ルドゥーらの著作を読む必要があります(とはいえ、私の理解では、著者の述べていることは比較的容易に進化学・脳科学の用語・体系と整合を取ることは可能だと思います。そうであるだけに、これらの学問領域で普通に使われている用語・体系を何故取り込まなかったのかが不思議ではあります)。但し、最近の似非脳科学本と比べれば本書は極めてまっとうな解説をしています。

欲望の扱い方については、主だった宗教、哲学等を紹介して、その中で自分に合ったものを探して実践するようアドバイスしています。
あくまでも概要の紹介ですので、各々に精通している方からは物足りなさや解釈の違いを指摘されるのだと思いますが、それでも役には立ちます。

哲学者には珍しく、平易な文章・用語を使用していますので、読むのに苦労することはないと思います。

上記のようなかたちで欲望システムがつまびらかになっています。

なお、本書では明記していないのですが、欲望がこのようなものであれば、マズローの欲求段階説が怪しくなってきます。
マズローは欲求に段階があるとし、下位の欲求が満たされなければ上位の欲求にはいかない、そして最上位の欲求が自己実現だとしています。しかし、本書を踏まえれば、下位欲求は最後まで満たされることはなく、それ故に自己実現欲求には到達できないことになります。
多分ですが、自己実現欲求に到達するためには、下位欲求を満たそうとするのではなく、自己実現欲求の実現を目標に置き、下位欲求をある程度制限していく必要があるのだと思います。
  1. 2009/04/26(日) 15:30:40|
  2. 科学哲学
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21世紀の歴史/ジャック・アタリ



★★★★

人間の欲望を最大限増幅させた未来シナリオ

これまでの歴史を人間の欲望と、それを表面化した軍事・宗教・市場という観点から整理したうえで、についてこれらを最大限増幅させると21世紀がどうなりそうか、ということを表した本です。

これからの数十年で、人間の欲望の増幅により「超帝国」と「超紛争」が起きるとしています。これについては結構過激な内容で占められており、「???」な部分もあるのですが、人間の欲望のみを増幅させるとさもありなん、という感じです。

そして、これらによる世の中の終焉に対する危機感を基にして(危機感が増幅すればですが)、「超民主主義」が生まれるとしています。これは著者の活動領域でもありますので、結構気合が入っていますが、こちらも人間の持つ真・善・美という本能を増幅させることで出てくるということです。

そのうえで、市場経済と社会的公正の両輪がうまく働くことで21世紀の混迷を乗り越えることができる、としています。

あくまでも未来シナリオの一つではありますが、人間の本性を上手く捉えたものだと思います。また、本書では最近の経済危機の原因でもあるアメリカのサブプライム問題を予測しており(原著初版は2006年)、これが本書の信憑性を高めていると思います。


なお、翻訳が上手くありません(専門用語が難解というのではなく、基本的な日本語レベルの問題です)ので、原著が読める方は原著をお薦めします。

著者解説(wiki):ジャック・アタリ
  1. 2009/04/23(木) 12:43:27|
  2. 空間軸(グローバル化等)
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心の起源/D・C・ギアリー



★★★★★

これぞ人間科学!

人間に関する様々な科学書をこれまで読んできましたが、やっと「人間科学」といえる本に出会うことができました。


本書は、人間に関する様々な科学(社会心理学、心理学、脳科学、神経科学、遺伝学、進化学)のこれまでの知見を統合し、1つの筋の通った体系を構築しています。

また、心理学においても、知能、認知、発達、感情等の、これまで各分野でバラバラに研究・発表されてきたものが本書で統合されています。

更に、本書で採用されている知見についても、理論に留まるものなのか検証されているものなのか、また相当検証されているのか検証が未だなりないのか、という事実整理もなされたうえで登場します。

そして、これらを裏付ける膨大な参考文献(一覧にして約70ページ)が掲載されています。

そのうえ、淡々と知見を提示しながら、わかりやすい進め方で書かれているので、(時間はかかりましたが)ストレスなく読むことができました。


分野によっては取り入れる量が少ないな、と読みながら思うことはありました(感情・情動のメカニズム、芸術を生み出す知能など)し、各分野の最先端で研究されている方からすれば、足りないところはあると思います。
それでもここまでの分野を統合して見せてくれる書籍はほどんどありませんので、マイナス評価するほどのものではありません(複数分野を統合したものとしては、ハワード・ガードナー「認知革命」、D.F.ビョークランド&A.D.ペレグリーニ「進化発達心理学」など)。

今後の人間科学の研究によって大きな発見はまだまだあるのでしょうし、それによって本書の体系も修正される可能性はあるでしょう。しかし、現時点では時間軸(進化的な視点)でも空間軸(人間そのもの)でも最も広範な領域を体系化した書籍であることは間違いありません。


あと、知能に関する文献が、日本語のものでは物凄く少ない状況下で、知能についてかなりページを割いて解説しているのも、私にとっては収穫でした。


人間を科学的に理解したいという方には、本書で体系を押さえた上で、各分野のより深い知見に触れることで、全体像を押さえつつ特殊領域を知るという、バランスの取れた学習が促進されると思います。
  1. 2009/04/21(火) 17:14:55|
  2. 神経心理学
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うつ病はこころの骨折です/ 北島潤一郎



★★★★★

臨床実績に基づくうつ病の解説

医師である著者の数多くの臨床実績を踏まえた、うつ病に対する正しい理解を促す本です。
うつ病に関する書籍はここ数年数多く出ていますが、本書は類書とは以下の点で異なります。

・脳科学的には未だわかっていないことが多く、現段階では臨床実績を踏まえての限定的な理解であることを提示
・精神科医/心療内科医の見極め(使える医師、使えない医師)についての具体的なアドバイスを提示
・うつ病の時間経過を軸とした発症から回復までの流れを提示、その各過程における留意事項を提示
・うつ病に対する理解の浅い人を安心させようとするかのようなマスメディアの一部論調(若年性うつなど)に対する危険性を提示

また、うつ病は心のかぜ、とよくたとえられますが、著者曰く、そんな軽いものではなく、骨折ぐらいのインパクトがあるとしています(故にこのタイトルがついています)。

患者にとっては、自分の症状の変化を安心して確認できる内容になっていますし、また平易な言葉で語られていますので、お薦めです。

また、企業においては、会社のシステムや風土、上司の人材マネジメントがうつ病の原因ですので、経営者、人事部、役職者も読んでおく必要があります。うつ病が骨折ぐらいのインパクトがあるなら、それを引き起こした企業・上司は傷害罪と同じ犯罪を犯していることになりますので、気をつけなければなりません。
  1. 2009/04/19(日) 10:37:59|
  2. ストレスマネジメント
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禅と脳/有田秀穂・玄侑宗久



★★★★★

禅僧と脳科学者による新たな知の誕生

心理学や脳科学の知見を持つ禅僧と、禅の研究をしている脳科学者の対談です。

互いが自らの専門領域を持ち、かつ相手の専門領域に対しても知見がある2人ですので、会話が上手く噛み合いながら進んでいきます。

禅は古くから実践され、伝えられてきており、その効果は大きいことは2人とも納得したうえでの対談ですので、禅そのものの信憑性に科学のメスをいれる、というものではなく、禅の効果を脳科学という見地から明らかにすると、どう見えるのか、どう言えるのか、ということについてわかりやすく、かといって表層的ではなく語られています。

互いの専門領域を尊重しながら、また共通の領域を上手く活用しながら対談を進めると、これほど豊になるのか、と感心しながら読み進めました。

また、禅の教えや効果を脳科学の言葉で語ってくれていますので、非常にわかりやすく理解することができました。

近年、経済も社会も目まぐるしい動きを見せていますので、その中で上手くストレスをためすぎずに生きていくために、非常に参考になる情報を得ることができました。
大脳皮質(特に分析・言語を司る左脳)を動かさないことが鍵のようです。

著者解説(wiki):玄侑宗久
  1. 2009/04/17(金) 15:38:59|
  2. 東洋思想・哲学
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幸せをよぶ法則/スーザン・C・セガストローム



★★

とにかく読みにくい

心理学領域の書籍をそれなりに読んできましたが、これほど読みにくい本は初めてです。
非常に冗長であり、実験で検証された事実・著者の個人的経験・推察が脈絡もなく登場し、要点がとても掴みにくいものになっています。

また、遺伝学などの人間に関する自然科学の知見を多少取り入れていますが(それ自体はよいことなのですが)、かなり断片的な取り入れ方ですし、脳科学・神経科学といった心理学に近い部分を飛び越えて遺伝学につなげていますので、科学としての構造を無視しており、知識体系としては決して勧められるものではありません。

重要なことが断片的であるにせよ書かれているのですが(ですので★2つ)、それを見つけるのに相当な労力が必要です。

一言で言えば、論理的な構造がこの本にはないということです。ですのでとても疲れます。
  1. 2009/04/15(水) 11:50:56|
  2. 心理学
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ソウルフルな経済学/ダイアン・コイル



★★★★★

最新の経済学

ポップなタイトルと装丁の本ですが、中身はここ20年ぐらいで躍進している最新の経済学を紹介しています。

経済学の世界での新たな動きは、行動経済学や進化経済学等を少しかじっていましたので多少は知っていたのですが、経済学の革新がそれだけではなく、かなり大きく動いていることを知らされました。

1000年以上にわたる経済統計データの収集といった地道な作業と、コンピュータの駆使という最先端技術の活用、また実験経済学といった手法の発達、そしてこれまでの主要な経済モデルとの融合があいまって、既存の経済理論の修正を含めた新たな発見が生まれているようです。

また、経済学の領域を超えて、心理学や脳科学・神経科学や社会学、政治学、文化学などの関連する領域の知見を受け入れ、取り込みつつ、既存の経済学との接点を見出し、融合しようとしています。

更に、これまで静的といわれてきた(というよりも時間軸のある瞬間だけを捉えてきたのでしょうけれど)経済学に対して、本書は複雑系理論や進化理論の知見を活用して動的な経済学に仕上がっています。

そのうえで、経済成長、貧困解消、人の幸福といった社会における重要な課題をテーマに掲げ、上記の知見を駆使して解決方法を提示しています。

これらによって、主義・思想ありきの科学とはいえないこれまでの経済学が修正・淘汰されていくだけの適切かつ力強い経済学が提示されています(実際には主義・思想ありきの経済学は早々なくならないとは思いますが)。

あと、参考文献もしっかりと掲載されていますので、更に興味のある方にも親切なないようとなっています。

なお、表現が平易ですのでわかりやすいのですが、本書で採用されている知見について多少の知識がないとなかなか読み進めることは容易ではないと思います。

これから経済学を学ばれようとされている方にとっては最初の1冊として、また知識の拠り所として有益な本だと思います。また、既に経済学の世界にいる方にとっても更に経済学を役に立つ学問とするための研究に向けての良書だと思います。あと、ビジネスに携わる方にとっても世の中の見方を豊にするためには格好の書籍だと思います。
  1. 2009/04/14(火) 12:29:52|
  2. 経済学
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DTIから引越し

DTIからFC2に引っ越してきました。
  1. 2009/04/09(木) 21:33:54|
  2. 書評について
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私をうつにした職場/週刊ダイヤモンド編集部



★★

何を伝えたいのかわからない

週刊誌で掲載済みの記事に加筆修正したからか、何を伝えたいのかわからない本になっています。

本文(トピックではなく)での医師のコメントはかなり有益なものでした(が故に★2つにしました)が、それ以外は論理構成もむちゃくちゃですし、うつ病と企業内外環境の悪化との因果関係も示されていません。また、表層的かつ一面的な内容になっています。
更に識者によるトピックも(一部は有益ですが)、結構いい加減です。
うつ病が問題視していることに乗っかって、勢いだけで書かれたとしか思えません。

本来週刊誌であっても適切に記事にしなければならないのですが、それが無理ならせめて書籍にする際には構成をしっかりして欲しいと思います。

本書に関心がある方は書店で立ち読みする程度で十分だと思います。買うほどのものではありません。
買うのであれば、本文でコメントされた医師が書いた書籍の方がいいでしょう。


  1. 2009/04/06(月) 14:32:36|
  2. ストレスマネジメント
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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