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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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進化発達心理学/D・F・ビョークランド等



★★★★★

2つの心理学領域の融合による、人の本性についての重厚な理論

自然科学においては当然視されている進化理論に基づいて、ヒトという種がどのように進化して現在に至っているかを説明する進化心理学(スティーブン・ピンカーなど)と、個々のヒトが生まれてから成人になるまでにどのように発達していくのかを説明する発達心理学が、見事に融合しています。


発達心理学については、私自身不勉強でしたので、あまり知識がなかったのですが、これほど進化心理学と上手い形で融合するものだとは思っていませんでしたので、先ずそのことに驚きました。

よく考えてみれば、発達心理学は、ヒトが成長していく過程の特定の時期において特定の領域が発達することを解き明かしていますので、進化理論と整合するのは、当たり前のことでした。


本書での発達心理学では、進化心理学が説明していない、ヒトが成長していく過程そのものが進化の淘汰圧を受けていること、またその成長過程によって子孫を残せるかどうかに影響し、それが進化に影響を及ぼすということを説明しています。

従って、ヒトの進化という観点において、またその結果としてのヒトの本性とは何か、という観点において、進化心理学と発達心理学は互いを補完し合っていることになります。


また、進化発達心理学の観点からは、ヒトの性格や能力について個性が生まれ多様化し、その生まれ持った個性が環境を選び、個性と環境が相互作用することで、より個性化していくことは当然のことになります。

従って、この観点からはマット・リドレーが提唱している「生まれは育ちを通じて」は肯定されますので、「生まれか」「育ちか」という両極の理論は却下されます(但し「生まれ」論者の中で環境の影響を否定している人はおらず、むしろ「育ち」論者の中に進化や遺伝子の影響を否定している人が多いようです)。


更に、進化発達心理学の観点からは、人の知能はある時期における環境への適応によって、幾つもの知能がそれぞれ淘汰圧により生き残り現在に至っているのも当然のことになります(領域固有の知能)。

従って、この観点からはヒトの知能は複数であり、ハワード・ガードナーが提唱している「多重知能」は(知能として特定されたものや、その数についての議論はともかく)肯定されます。

これによって、知能は一つしかないという理論(これであらゆる思考が可能であるとされている知能、領域一般の知能)そのものは否定されますが、領域一般の知能そのものは、領域固有の知能とは別建てで一つの進化の産物として存在することは肯定されています。


なお、惜しいのは、脳科学や神経科学の知見があまり盛り込まれていないことです(多少は出てきますが)。

アントニオ・ダマシオやジョセフ・ルドゥーといった、脳科学・神経科学の最新の知見を最大限に盛り込むと、進化発達心理学は更に充実したものになると思います。

ビジネスマンの「聞く技術」/ マデリン・バーレイ・アレン



★★★

聞くための基本的なスキル

コミュニケーションにおける「聞く」ことの重要性・効果と、上手く「聞く」ための基本的なスキルを丁寧に解説しています。

また、事例やチェックリストも豊富ですので、実践するためには使いやすい本となっています。


他者の話を「聞く」ために重要なこととして、自分自身の声を十分に「聞く」ことが挙げられています。

自分自身のことがわからないまま他者の話を「聞く」と、他者の話に振り回されることや、自分の解釈の偏りで他者の話を安易に判断してしまうこと、などが理由です。

コミュニケーションにおいて、自分自身を先ず知ることが如何に大切なことかを再認識させられました。


ただし、本書の内容はあくまでも基本であり(これだけでも十分に実践するのは容易ではないのですが)、状況によって対応が異なるはずであることや、文化の違いによって本書で推奨されている施策が当てはまらないこと、については触れられていません。

また「聞く」ための内容ですので、聞いた後どうするか、についても触れられていません。

このあたりは別の書籍で補う必要があるでしょう。

多文化社会の人間関係力/八代京子等



★★★★

わかりやすい異文化コミュニケーション

異文化コミュニケーションの方法を、理論・事例解説・エクササイズを盛り込んで、わかりやすく(かといっていい加減ではありません)解説しています。

異文化と接する機会が増えるほど、またその中で生きていく必要があるほど、自己受容(今の自分を全面的に認めること)が重要であるとしています。

自己受容ができないと多文化の中で埋没する、また自分自身が失われることから、先ず自己受容してから、他者を理解する必要があるとのことです。


また文化はその中で暮らす人たちの無意識の常識ですので、互いに偏った常識を無意識に持っていることを前提として接することも重要であるとしています。

更に国・民族・性別・年齢・職業等のステレオタイプに囚われやすいことを前提として、あくまでも個人対個人で接することも重要であるとしています。


本書は異文化コミュニケーションの解説ですが、通常のコミュニケーションでも全く同じ(人はそれぞれ異なっていることを前提として接する)だといえます。

異文化コミュニケーションだけでなく、日常的に活用したいものです。

知識デザイン企業/紺野登



★★★★

荒削りだが、考えさせられる本

これまでの技術的なイノベーションが直ぐにコモディティ化してしまう状況下で、社会的なイノベーションが重要になってきている。
そこで、これらを常態化させるために企業はどうあるべきか、何をすべきか、を真剣に検討しなければならない。
その一つの姿としてアート・カンパニー(知識デザイン企業)があり、その要件はこれまでの工業社会で企業に求められてきた要件とは相当異なる。
これが本書の骨子です。


内容としては、経営学の領域については既出の書籍から、本書の狙いに合う記述を持ってきており、それほど新味はありません。骨子としてはドラッカーそのものです。

ただ、建築(著者の専門分野?)や芸術の世界などから、様々な知見を取り込んでおり、普通の(分析主体の)経営書と比べると良い意味で異質なものとなっています。


また、骨子から一段深入りしたレベルでは、相当荒削りな展開となっており(著者も認めていますが)、すんなりと読めるものではありません。

ただ、本書の具体的な内容自体が、これから様々な角度から検証され、発展していくべきものですので、荒削りなのは当然だといえるかもしれません。

また、荒削りなほうが様々な議論が出ると思いますので、むしろいいのかもしれません。荒削りであるが故に、いろいろと考えさせられますし、刺激も得られます。


あと、参考文献が提示されていますので、本書を読んだうえで、これらの参考文献に目を通しながら、アート・カンパニーとは何か、何故か、について想いを馳せるにも有益なものとなっています。

ハーバード流3D交渉術/デービッド・A・ラックス等



★★★★★

お手軽ではないが、本質を突いた交渉術

交渉術については、当事者双方が価値を得られるように進めていくという、win-winアプローチが有名ですが、これは当事者双方がこのアプローチに合意しないと成立しないものであるため、正直「どうかな」と思っていました。

しかし、本書では実際の交渉場面においてはwin-winアプローチを基本としつつも、交渉場面に至るまでの準備においてwin-winアプローチに如何にしてもっていくか、またwin-winアプローチに至らない場合にどうするか、にまで視野を広げて交渉を考えており、非常に理に適った、また感情面にも配慮した交渉術となっています。

本書のタイトルになっている3D(3次元)とは以下のものです。

1次元:直接の交渉場面でのwin-winアプローチ(本書では「戦術」)
2次元:直接の交渉場面で如何に交渉を進めていくかのデザイン(本書では「取引設定」)
3次元:環境分析や目標設定等の交渉戦略(本書では「セットアップ」)

すなわち、戦略を立て、デザインしてから、戦術を使って交渉を成功させる、というものです。
経営戦略では当たり前のステップを交渉に持ち込んだといってもいいでしょう。


戦略的なアプローチであるが故に、簡単に実践できるものではなく、また結構な時間を要するものでもありますので、全ての交渉において使えるものではないのでしょう。

従って、交渉で得たいものの重要性や、交渉の困難度、緊急性を踏まえてプライオリティを検討し、本書のアプローチのどこをどれだけ実践すべきかを考えてから、必要なものを選択し、集中することが求められると思います。

そうすれば、各々の交渉について、何をして何をしないかを見極めてから臨むことができますので、効果的かつ効率的な交渉が進められるでしょうし、交渉結果を振り返って成否と原因を分析し、次に活かすこともできると思います。

影響力の法則/アラン・R・コーエン



★★★

今日的なコミュニケーション技法のさきがけではあるが。。。

本書の原著初版は1984年です。四半世紀も前に、現在求められているコミュニケーション技法(対等な位置付けでの価値の交換によるwin-winの獲得)を世に問うたこと自体素晴らしいことだと思います。本書でも述べられていますが、時代が本書に追いついた、ということなのでしょう。

さきがけという価値そのものは評価できます。

但し、本書の中身そのものは、最近のコミュニケーションの良書と比べると明らかに見劣りします。

先ず、本書が世に出てからの四半世紀の間に、心理学、脳科学等、人間に関する科学の知見が増え、かつビジネスの世界にも入ってきています。

一方本書にはそれらの科学的な知見を踏まえたアップデートがなされているようには見受けられません。

次に、コミュニケーションに関して、ファシリテーション、コーチング等様々な技法が生まれており、それらの領域での良書では、上記で触れた科学的な知見を踏まえつつ、更に技法そのものが洗練されてきています。

例えば以下の書籍です。
ロジャー・シュワーツ「ファシリテーター完全教本」
ローラ・ウィットワース等「コーチング・バイブル」

一方本書は、これらと比較すると、一つの法則に様々なものを盛り込みすぎた感があり、理論としての洗練さに欠けているように見受けられます。

更に、事例もそれほど際立ったものを取り上げておらず、実務の現場で本当に通用するのか、疑いたくなるものも少なくありません。

時代が本書に追いついただけでなく、既に時代が追い抜いたのではないかと思います。

古典として読まれるのであればお薦めします。

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