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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

最前線のリーダーシップ/マーティ・リンスキー



★★★★★

生々しいリーダーシップ

リーダーシップを発揮し続けることが、如何に困難なことであるかを、生々しい事例を数多く紹介しながら解説しています。

リーダーシップについての書籍は、理想論を語ったもの、事例を集約して成功へのエッセンスを提示したもの、様々なツールの活用により必ず成功すると謳ったもの、など、どちらかといえば「きれいごと」を盛り込んだものが多いように思えますが、本書はこれらの書籍に良い意味で「冷や水」を浴びせるものになっています。

また本書では、成功事例だけでなく失敗事例も豊富に盛り込まれていますので(失敗事例のほうがはるかに多いと思います)、成功事例だけの書籍よりも学ぶことが沢山あります。

あと本書で紹介されている事例が生々しいのは、政治・行政に関するものが多いためなのでしょうけれど(エゴ剥き出しの世界でしょうから)、ビジネスの世界が生々しくないわけではないので、世界が違っても十分に参考になります。


リーダーシップに関する書籍を読んで「きれいごと」かな、と感じた際に、本書で検証するとバランスがとれると思います。

また本書を読むと、「誰でもリーダになれる」「誰でもリーダーシップを開発できる」という人材育成・自己啓発系の書籍によくある謳い文句が虚しく聞こえるようになります。
  1. 2008/06/30(月) 11:50:29|
  2. リーダーシップ
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人間この信じやすきもの/トーマス・ギロビッチ



★★★★

人は如何にいい加減かがわかる

人が如何にいい加減であり、事実でないものを信じやすいか、について心理学の立場から深く解説しています。

何のつながりもないところに因果関係を勝手につくってしまう、わずかな情報だけから全てを知った気になってしまう、思い込みで物事をみてしまう、欲しくないものより欲しいものをみてしまう、自分自身を過大評価してしまう、など、人間が如何に偏った存在かがわかります。

また、これらの特性が一般の人たちに限ったことでなく、専門家でも(心理学者でも)十分に起き得るし、実際に起きていることも事例を通して解説しています。

更に、これらの偏りがマスメディア等の偏った情報発信によって更に歪められていることも指摘し、情報収集のあり方について警告も発しています。

なお、原著初版が1991年ということもあり、その後の脳科学・神経科学の発展により、著者が保留していたことがら(上記の偏った存在が、認知的なものなのか<大脳皮質>、動機的なものなのか<辺縁系>など)について、結論がでているもの、でそうなものがあります。


  1. 2008/06/21(土) 17:08:22|
  2. 心理学
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経済は感情で動く/ マッテオ・モッテルリーニ



★★★★

行動経済学から神経経済学へ

本書は、近年かなり注目されてきている行動経済学(市場では人が合理的に考え、行動するはずだという経済学のモデルを、心理学等の知見で修正している学問)について、わかりやすく解説しています。

掲載されている様々な知見そのものは、これまで他の行動経済学の書籍等で発表されているものが多いのですが、クイズ、解説、用語説明を上手く組み合わせていますので、非常にわかりやすいものになっています。

行動経済学を更に知りたい方には、以下の書籍がお薦めです。
リチャード・セイラー「セイラー教授の行動経済学入門」
トーマス・ギロビッチ「人間この信じやすきもの」

また、最近の脳科学・神経科学の発展に伴って、この分野は心理学だけでなく脳科学・神経科学との共同研究も進んでいるようであり、それらの知見もかなり盛り込まれています。

行動経済学において提示されている理論を自然科学の知見も使って解説していますので、人が何故そのように考え、行動するのか、についてより納得できるものになっています。


  1. 2008/06/21(土) 16:54:40|
  2. 行動経済学
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パフォーマンスマネジメント/ゲーリー・M・コーキンス



★★★

企業の定量化手法満載だが。。。

ABC/M、BSCなどこれまで生み出されてきた企業内情報の定量化手法が満載であり、またそれらの関係や使い方について紹介されています。

次から次へと手法が生まれ、それらの各々が自己主張しすぎる中で、本書のようにそれらの目的、関係、効用と限界を解説している本は価値アリです。

但し、あくまで手法の紹介であり、そもそもどのようなマネジメントがパフォーマンスを高めるのか、ということについての記述はあまりありません。

どちらかというと、これらの手法を活用できるITツールの紹介がメインであり、ITベンダーの提案書のようです。

企業内情報には定量化できないものが沢山あり、また企業経営には社外の情報が重要であることはゆうまでもありません。

本書で企業内の定量情報は扱えるようになるのでしょうが、それが全てだと勘違いしてしまうと、経営できなくなります。
  1. 2008/06/15(日) 19:59:43|
  2. マネジメント
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日本の「安心」はなぜ、消えたのか/山岸俊男



★★★★

安心社会と信頼社会の違い

日本は安心を得るために集団を形成し、その秩序を守ることで秩序に守られてきた。集団の秩序に依存してきたが故に、自らの力で安心を築き守る術を磨いてこなかった。従って、世の中が開かれ、様々な人たちの交流が盛んになり、特定集団の秩序が意味を失っていくなかで、安心が崩壊した。昔に戻ることはできないので、これからは個人が人とのつきあいを試行錯誤しながら、その力をつけ、個人対個人で形成される信頼社会を築かなければならない。それは江戸期の武士の論理ではなく、商人の論理が参考となる。

本書の概要は上記のようなものです。

また、ゲーム理論、壊れ窓理論、等の様々な理論を駆使して展開していますので、社会心理学を学ぶうえでも役に立ちます。


ただ、文化心理学との折り合いが悪いのか、文化心理学の知見を一蹴しているのが気になります。

著者は日本の安心社会は文化ではなく、集団で生じる誤謬としていますが(自分は個人主義だが周りが集団主義なので集団主義っぽく振舞っている、という調査結果を踏まえています)、文化心理学や文化人類学からは当然反論が起こるのでしょう。何が事実なのかはわかりませんが、この辺りはもう少し掘り下げられるとスッキリします。

あと、米国は個人が人とのつきあいを試行錯誤しながら、その力をつけ、個人対個人で形成される信頼社会であるとしています。そしてこの米国の社会と日本の安心社会を比較しながら解説しています。これについてはステレオタイプだという反論が起こるのでしょう。これらが両極であるか否か、これらが二者択一のものであるか否か、については、他の国々も比較しながら検討していく必要があるのでしょう。


  1. 2008/06/15(日) 18:59:12|
  2. 心理学
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脳は自分で育てられる/加藤俊徳



★★★

興味深い研究

MRIを利用して脳の発達の仕方やその個人差を明らかにした、著者曰く稀有な研究を紹介しています。

脳の重さは20歳ぐらいをピークに減少していく、また皮質の量も加齢に従って減少していく一方で、白質(ニューロンネットワークがある場所)の量は40歳ぐらいがピークである、という事実から、脳は40歳ぐらいまでは成長することを明らかにしています。

さらに、脳には120ぐらいの独自機能を持つ領域があり(この領域数は研究者によって異なる)、それらの各々の成長時期が異なり、それには個人差があることも明らかにしています。

但し、本書では120の領域の一部しか紹介されていないため、それらが何か、どんな独自機能を持っているか、それらの臨界期はいつ頃なのか、人によってそれらの成長がどれほど同じなのか・異なるのか、については、よくわからない解説となっています。


なお、著者はこれらのことから、脳の成長は遺伝子とはほとんど関係ないと結論づけていますが、この結論を裏付けるような知見は提示されていません。単に脳は成長し、個人によって成長の仕方が異なることだけを理由に結論づけているようにしか読めません。

脳と遺伝子の関係は統計的には50%程度の相関があるという研究結果はあるのですが(個人の中での割合ではなく、様々な人々のバラつきの違いの凡そ50%程度が遺伝子の違いで説明できる、というもの)、この研究結果への反証は提示されていません。

著者の研究手法を活用して、上記統計を現すもととなった、一卵性双生児(遺伝子は同じ)等の脳をMRIで見てみると、何かわかるのかもしれません。


また、本書の内容がどちらかというと著者の研究の希少さを紹介したものになっています。

確かに希少なのでしょうけれど、その研究結果をもっと盛り込んで欲しかったし、本書のタイトルである「自分で育てられる」方法がほとんど取り上げられていなかったのは残念です(詳しくは著者らが運営する「脳の学校」にアクセスせよ、ということなのでしょう)。


  1. 2008/06/15(日) 18:34:50|
  2. 脳科学・神経科学
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感動する脳/茂木健一郎



★★★

感動が意欲を高める

感動することが意欲を高め、それが創造性の発揮につながる、ということが脳科学の研究で得られたということです。

これまでビジネスの世界では、特に社内向けには感動という言葉はほとんど使われていませんでした。また意欲もどちらかというと気合や根性が足りないとといった精神論が横行していました。

本書はビジネス書ではありませんが、この脳科学の知見をビジネスに活かさない手はないと思います。

最近、やっとビジネスの世界にも感情の大切さを訴える書籍が出てきていますので、感動というものも、もっと注目されることを期待します。


ただ、本書で得られた知見は冒頭のものだけです。その意味では価値があるのですが、本書は脳科学書というよりも、脳科学者による啓蒙書という色彩が強く、脳科学の知見が満載というものではありません。

一般読者向けに簡単にしているのだとは思いますが、内容としては薄いものになっています。海外の著名な脳科学者の一般読者向けの著作が最新知見をふんだんに盛り込みつつもわかりやすい内容となっているのとは大きな違いがあります。
  1. 2008/06/15(日) 18:08:36|
  2. 脳科学・神経科学
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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