FC2ブログ

≪プロフィール≫

Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon殿堂入りレビュアー
(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

Amazon.co.jpアソシエイト
iTunesアフィリエイト

レビューごとに、Amazon.co.jp指定の商品画像バナーリンクを貼っています。もし、「書籍タイト/著者名だけでは、どんな本かわからん!」という方で、商品画像リンクが表示されない場合は、広告ブロックを解除してください。Amazon.co.jpおよびTunes以外のバナー広告は一切掲載しておりません。

≪FC2カウンター≫

≪カレンダー≫

03 | 2008/04 | 05
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

≪カテゴリーサーチ≫

≪カテゴリーツリー≫

≪ブログ内検索≫

≪リンク≫

≪最近の記事≫

≪月別アーカイブ≫

なぜあなたのチームは力を出しきれないのか/パトリック・レンシオーニ



★★★★

賢明であることと健全であること

成功している会社の2つの共通点は賢明である事と健全である事だと述べ、件名であることの証明は、競争優位につながる戦略・マーケティング・開発を策定・設計できることとし、健全であることの証明は、勢力争いや混乱が無く、社員の士気が高く、離職率が低く、生産性が高い事である、としています。

そして本書では健全であるために、健全になるために、4つの条件として、まとまりがある指導者チーム、透明な組織、やりすぎるぐらいの伝達、これらを担保する人事システムを挙げています。

ものすごくシンプルな提言なのですが、全くの正論だと思います。また読んでいて爽快感も得られます。このようなことができれば、顧客も社員も幸せになることができるのだと思います。

ただ、この4つの条件を重視し、実行し、維持し、強化するのは、決して容易な事ではありません。本書にも処方はあるのですが、なかなか難しいのではないか、と思います。人間がよほど意識しない限り、陥りがちな本性に逆らわなければならないからです。

処方については、ジェームズ・C・コリンズ「ビジョナリー・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー2」を読まれることをお薦めします。

M&A 賢者の意思決定/デイビッド・ハーディング等



★★★★★

M&A成功の鍵は地道な努力

M&A成功(M&Aの70%が失敗しているとのことです)の鍵について、グローバルな調査を踏まえて書かれた本です。

ターゲット企業は自社のコア事業にどう貢献するのか、何故このディールは自社価値を高めるのか、テーマや課題に沿った統合計画が立てられているか、想定外の事態が起こったときにどう対処すべきか、という4つの意思決定を如何に適切にできるか、が成功要因であるとして、各々について重要な事項を整理しています。

また、成功・失敗の事例分析や関与した経営者へのインタビュー、付録としてグローバル調査の結果を掲載していますので、実感をつかみやすい内容となっています。


更に本書で貫かれているメッセージとして興味深いのは以下の点です。

・M&Aはあくまでも企業価値を高めるための戦略を実現する手段の一つであること、従ってM&Aを目的としないこと、流行っているからという理由でM&Aはしないこと

・M&Aを成功させるための能力を培うことが成功条件となるので、小さなM&Aを繰り返し経験することが大事であり、大きなM&Aを稀にしかしないことはバクチのようなものであること

・M&Aの学習効果を高め、上手く活用するために、M&A経験者の知見を集めチームを作ること

・M&Aは統合後の事業運営の成功が最終目的なので、本社のチームだけでなく、事業部門の責任者が早期から積極的に関与することが必要であること

・M&Aはどれだけ精緻な計画・分析を事前にしていても問題は避けられないので、顧客・社員等からのフィードバックループを構築し、活用すること

最初のもの以外は、企業としてコンピテンスを確立・強化するための組織学習に関するものです。
組織学習は地味な努力が求められ、かつ時間がかかり、また効果が見えにくい手法なのですが、これがM&A成功の鍵とされていることに、新鮮さを感じます。

コンフリクト・マネジメント入門/鈴木有香



★★★★★

素晴らしい入門書

コンフリクト・マネジメント(コミュニケーション時の対立をwin-winで解決するための手法)の入門書としては素晴らしい本だと思います。

表現がわかりやすい、理論として体系化されている、具体的な手法が豊富である、実際にありがちな事例が解説付きでふんだんに盛り込まれている、日本人・日本語の特徴を踏まえている、参考文献が掲載されている、科学的な知見で裏付けている、など初めてこの領域を学ぶ方にとっては申し分ないものだといえます。

また論理と感情をバランスよく取り扱っていることも価値ありです。

入門書ですので、極めて難しい局面(民族・文化・宗教・国などの対立)での解決法は掲載されていませんが、日常的なコンフリクトに対しては十分な内容だと思います。


組織文化のイノベーション/海野素央





浅すぎる

組織文化の分析がとにかく浅すぎます。実際に企業経営において組織文化に真剣に悩んでいる方や取り組んでいる方からすると、あまりにも表層的です。
多分、企業の置かれた環境も、企業経営も経験したことがないのでしょう。また企業経営で活用されている様々な経営手法についても知らないのでしょう。
この程度の分析に基づいた如何なる組織文化の変革も上手くいかないでしょう。それどころか、より酷い結果にもなりかねません。

組織文化については、エドガー・シャインの「企業文化」「組織文化とリーダーシップ」「プロセス・コンサルテーション」をお薦めします。

創造的リーダーシップ/ブレア・ミラー等





ファシリテーションの要点

ファシリテーションの要点を簡潔に整理した本です。
ただ、誰のために何の目的で書かれているかがよくわからないものとなっています。

初心者にとっては、事例が一切ないので、要点だけ書かれても実際のファシリテーションの場面でどのように振舞えば良いかがわからないと思います。
またファシリテーションツールが多数紹介されているのですが、使い方の解説がないので、どうやって使えばよいか苦しむと思います。

一方すでにファシリテータとして活躍されている方にとっては、重要だが当たり前のことしか書いていないので、得るものは少ないと思います。
また上級者向けとしてファシリテーションとコンサルテーションを使い分けよ、といった解説があるのですが、どのような状況下で使い分けるのかが書かれていなかったりします。

また原著タイトルはFacilitation:A door to creative leadershipであり、あくまでもファシリテーションの本です。
和書タイトルである「創造的リーダーシップ」から想像されるものと比べるとかなり狭いものとなっています。

企業におけるファシリテーションについては、エドガー・シャインの「プロセス・コンサルテーション」をお薦めします。

マルチ能力が育む子どもの生きる力/トーマス・アームストロング



★★★★★

子供一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出す育成方法

心理学者のハワード・ガードナーが確立したMI(心理学では「多重知能」と訳されていますが、教育の世界では「マルチ能力」と訳されています)をベースとして、子供一人ひとりが持つ能力を最大限に引き出すために学校で求められる教育方法を提示しています。

MIを活用した教育方法は欧米ではかなりあり(何故か日本ではほどんど見られませんが)、中にはトンデモの部類に入るものもあるようですが、本書はハワード・ガードナーが推奨していますので、間違いはないものとなっています。

本書では、MIで定義されている8つの能力の説明に始まり、教師・子供が持っているMIの判定方法、授業の仕方、教室の環境、学級運営、能力を引き出す方法、評価の方法など、実際に教室で教師が生徒と向かいあううえで必要な手法を解説しています。

能力の定義方法はMIだけではないでしょうけれど、IQだけで人を判断したり育成したりすることよりは、はるかに可能性が広がり、かつ能力を高めることができると思いますので、意義は高いと思います(なお、IQはMIの中の能力の一つとして位置づけられています。また、近年注目されているEQもMIの中の一つです)。

またMIは様々な角度から科学的な根拠で裏付けられています(本書に書いてありますが、詳しくはハワード・ガードナー「MI:個性を生かす多重知能の理論」を参照)ので、信頼に値します。

なお、本書出版に際して、原著にはあった参考文献、9つめの能力として定義できる可能性のある「生存のための能力」の解説が削除されています。
海外文献の邦訳時にはありがちな処理なのですが、本書に触発されてより詳しく学ぼうとされる方にとっては言語道断なものですので、出版社には再考願いたいものです。
私の知りうる範囲での参考文献は以下のものです。ご参照ください。
ハワード・ガードナー「MI」「多元的知能の世界」
J.S.レンズーリ「個性と才能を見つける総合学習モデル」

日本では暗記量を増やすか減らすかの議論に終始しているようですが、本書を読むと、このことがどれだけ愚かなことかがわかります。
ただアメリカにおいても未だ学習=暗記という時代遅れの発想があるようですので(本書の原著初版が2000年なので)、日本で本書のような内容がまともに議論されるのは、まだまだ先だといえるでしょう。
心理学や教育学の世界で、人の成長の多様性・可能性についてオープンな発想を持った研究者の方々にもっと活躍して頂きたいと思います。

人は海辺で進化した/エイレン・モーガン



★★★★

無理のないヒトの進化論

従来、ヒトの進化については「サバンナ説(樹から降りて進化した)」「ネオテニー説(幼児期のまま成熟した)」というのが正しい理論とされていました。

著者はこれらに対して、何れも正しいが全てを説明できるわけではない、として「アクア説(水辺での生活に適応して進化した)」という理論を提唱しています。

水辺で、また水中での生活を続けることにより、二足歩行や言語の前適応がなされ、また体毛の減少がなされた、など従来の理論でも説明しにくい様々な進化に対して、かなりすっきりした無理のない理論を展開しています。

また、従来の理論では霊長類との比較による説明が多かったのですが、「アクア説」では、陸から海・湖・川に戻った哺乳類(イルカ、クジラ、ビーバーなど)との比較をし、ヒトとの類似性を解説しています。いずれも「なるほどね」と思わせるだけの内容です。

更に、著者は「アクア説」だけが正しいと論じているわけではなく、従来の理論を補完するものであり、全てを足し合わせることで上手く説明できるのではないか、と主張しています。

ヒトの進化については、直接的な証拠はないため、様々な自然科学の領域からの傍証を積み重ね、慎重に紐解いていかなければなりませんし、各々の自然科学の発展や新発見で理論がひっくり返ることもありますので、本書をもって決定版だとはいえません。本書の原著初版が1982年と古いことからも決定版ではないでしょう。

ただ、本書はヒトの進化について新鮮な視点を与えてくれますので、上記の科学的な論拠と併せて価値の高いものだといえます。また新たな刺激を与えてくれるという意味でも本書は価値あるものだと思います。

著者は本書のあとに「人類の起源論争」という本も書いていますので、そちらも読んでみようと思います。

この理論について(wiki):水生類人猿説

ウィキノミクス/ドン・タプスコット等



★★★

WEB2.0のブライトサイドの解説

WEB2.0が引き起こした世の中の変化に対して、光の部分にフォーカスした内容です。従って、影の部分にはほとんど触れられていません。

またこれまでの世の中との比較でも、両者のメリット・デメリットの冷静な比較はされていませんし、二者択一を迫っていますのでハイブリッドのあり方についても触れられていません。

とはいえフォーカスされた中での解説そのものは事実なのだと思います。また最先端を走っている方にとっては既知のもの(既に本書が遅れているかもしれません)なのだと思います。ですので読んで損するものではないと思います。

あと技術革新と企業の戦略との関係について、一歩引いて冷静に判断したい場合には、以下の書籍がお薦めです。
ジェフリー・ムーア「企業価値の断絶

イノベーション・マネジメント/トニー・ダビラ



★★★

十分条件というより必要条件

イノベーションを成功させるためには、通常の企業経営において重視すべき領域(戦略・組織・業務プロセス・人事評価・動機付け・組織学習・組織文化の7つ)に対して適切にマネジメントすること、というのが主旨です。

単に個人の発想に依存するだけではイノベーションは起きない、ということを理解するためには有益だと思います。

但し、各々の領域でイノベーションのためにマネジメントすべきことは、本書でも述べられている通り、斬新なものはありません。
また各々のソリューションもそれほど深く洞察されているわけではありません。
従って、必要条件は書かれているが、十分条件といえるほどの内容ではありません。

もっと深くイノベーションのマネジメントを理解するためには、各々の領域での良書を読み込む必要があるでしょう。

企業価値の断絶/ジェフリー・ムーア



★★★★★

複合的な環境要因を貫いた戦略論

顧客市場、製品/サービス市場、技術市場、株式市場といった企業を取り巻く複数の市場(空間軸)を、イノベーションのライフサイクル(時間軸)で貫き、各々の局面で企業が取るべき戦略を体系的に現した本です。

各々の空間軸・時間軸だけを取り上げて現した戦略論はこれまで数多くありましたが、本書のように複合的な要因を前提としたものは稀有だと思います。

また、マイケル・ポーターの戦略論を上記の空間軸・時間軸を活用して上手く昇華させているという点でも見事だと思います。

更に単なる戦略論に留まらず、企業文化についても様々に類型化したうえで、空間軸・時間軸に応じて上手くいく文化・いかない文化を提示し、無理のない活用方法や変革方法を提示しています。

本書で提示された戦略を使いこなすのは決して簡単ではないでしょうけれど、何をすべきか、それは何故か、ということをわかりやすく提示しているだけでも大きな価値だといえます。

また本書は、ハイテク市場にフォーカスして戦略論を現していますが、テクノロジーを活用することが必須の市場やテクノロジー革新の影響を受ける市場(つまりほとんどの市場)にも準用できる内容となっています。


なお、著者の拠り所となっているイノベーションのライフサイクルは、社会科学系のアカデミックな分野においてかなり知見が蓄積されたものであり、信頼できるものです。エベレット・ロジャーズ「イノベーションの普及」をご参照ください。

  【BACK TO HOME】  


 BLOG TOP  » NEXT PAGE