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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

人材開発マネジメントブック/福澤英弘



★★

教育研修に関する本であり、人材開発の本ではない

内容は「あくまでも教育研修をどう行うべきか」という本です。人材開発については表層的に触れられているに過ぎません。

最近では、人材開発は企業戦略・事業戦略を確実に推進するためにかなり期待されるようになってきており、そのことから人材開発は単なる教育研修やOJTから脱却して、また推進者も単なる研修屋・人事屋から脱却して、戦略的に人材開発をマネジメントすることが求められてきています。

この観点からいえば、本書は人材開発のほんの一部に過ぎない教育研修にかなり偏っています。まるで教育研修が人材開発であるかのような記述内容です。


また、今世紀に入って脳科学・神経科学の発展が目覚しく、容易に手に取ることができる書籍が多数翻訳・出版されている状況です(翻訳・出版されている書籍全てが良書というわけではありませんが)。

それにもかかわらず人間に関する科学的知見について認知科学しか参照していないのは、時代遅れだといわざるを得ません。


更に、個々の人間が本来持つ才能や性格を見極め、強みを引き出し、伸ばし、これによって成果を出していくことが(数十年前から言われてはきたのですが)最近かなり着目されてきています。コーチングが注目されているのが具体的な着目の例だといえるでしょう。

それにもかかわらず開発の対象としているものがスキル・知識の記憶だけであるのは、これも時代遅れだといわざるを得ません。


このような内容になってしまっているのは、著者が教育研修会社でのキャリアを積んでいるからこうなっているのかもしれません。または教育研修会社の営業目的で書かれたものであるのかもしれません。


実際に経営戦略や事業戦略を実現するために人材をどのように開発・活用するか、また人材戦略として人材開発を高い優先順位においている企業・責任者にとっては得るものはあまりありません。
良質のマネジメント・人材マネジメントに関する書籍を数冊読まれたほうが得るものは多いでしょう(P.F.ドラッカー、ピーター・センゲ、デイブ・ウルリヒ、ラルフ・クリステンセンなど)。

また、教育研修担当初心者も、本書を手に取るまえに、しっかりと企業・組織・人材に関するマネジメントの良書を熟読した上で人材開発・教育研修の書籍を読まれた方が得るものは多いでしょう。
  1. 2010/03/06(土) 20:06:52|
  2. 人材育成
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この「聞く技術」で道は開ける/ナンシー・クライン



★★★

『考える』ことを促進するための手法

自分で考え、答えを導き出すために、どのようなアプローチが良いのか、について著者の信条と実践から構築された手法です。

提示している手法はかなりシンプルでありながら、効果が高そうですので、習得するには良いものだと思います。

また、概ねコーチングと同様の手法が述べられていますので、他のコーチング手法と比較しながら読まれると理解が深まると思います。


ただし、著者の信条がかなり強く(それ自体はよいことなのですが)、それが故に世の中の見方、それを踏まえた手法の目的・位置づけが偏っているように受け取られかねないものになっています。これが数多くの方々に活用してもらうという点においてマイナス要素になるような気がします。

また、原著初版が1997年ということからなのだと思いますが、脳科学等の最新の人間の科学を活用した手法の検証や改善が行われていません。人間の本性についての前提といった大きな部分、具体的な手法といった小さな部分、何れにも手直しする必要があると思われる箇所があります。

更に、コーチング手法とは明らかに反対のことを促している事項もあります。著者の経験を踏まえることは大事なことですが、他の手法・理論が既に世の中にでていますので、それとの比較検証があってもよかったと思います。

手法そのものは有益なものですので、このあたりを注意しながら活用していくことをお薦めします。
  1. 2009/10/13(火) 11:33:22|
  2. 人材育成
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AP方式による次世代リーダーの発掘と集中的育成/ウィリアム・C・バイアム等



★★

リーダーシップ開発のツール集

世の中にあるリーダーシップ開発のツールが沢山紹介されている本です。
ツールをリーダーシップ開発のトピックの切り口で整理されているので、このテーマを検討されている方にとってはありがたい本だと思います。

ただし、それほど斬新なツールを紹介しているわけではなく、またそれらのツールを深く紹介しているわけでもないですので、あくまでも一覧として活用することに限定されるでしょう。

また、リーダーシップ開発に真剣に取り組んできた日本企業の人事部門にとっては、既に実践されているものが幾つもあると思いますので、更なるリーダーシップ開発という観点では得るものは少ないと思います。

あと、これらのツールを活用する際には、目的に応じて絞り込むことが必要となります。これらを全て活用しようとすると人事部も現場管理職も経営層もかなりの時間を取られます。
  1. 2008/04/12(土) 22:01:51|
  2. 人材育成
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コーチングの神様が教える「できる人」の法則/マーシャル・ゴールドスミス等



★★★★

選択と集中による効果的な手法の提供

本書の優れているところは、
勝ち負けに拘る、利己的である、等の人間が持つ生物学的な本能を十分に理解しつつ、
行動科学的(人間は刺激と反射で成り立つという理論)なアプローチの効果と限界を十分に踏まえて、
人間関係の改善という範囲に絞り込んで、反復訓練を主としたコーチング手法を提供しているところです。

つまり、できないことを明確にしたうえで、できることだけに特化して解説しているということです。
行動科学にせよ、コーチングにせよ、万能薬のように宣伝している本が多い中、本書は貴重な存在です。

なお、絞り込んでいるため、本書の手法ではできないことが沢山あります。
成功していない人を成功者にする、人間関係以外のスキルを開発する、思考力や想像力を磨く等々。
これらについては、本書が捨てた範囲のものですので、活用する科学知識も含めて他の良書を探す必要があります。

  1. 2008/03/15(土) 18:55:54|
  2. 人材育成
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「日本型」思考法ではもう勝てない/平尾誠二



★★★★

神鋼ラグビーのコーチング

平尾さんが神鋼を率いていた時の勝つ為の手法がコーチングです。
ラグビーは試合のとき監督はベンチに入れませんので指示がだせません。
一人ひとりのプレーヤーがめまぐるしく変わる状況の中で、
勝つ為にその場その場で何をすべきかを、自分で考えて行動しなければなりません。
そこでは、コーチングが重視されます。

スポーツが好きなビジネスマンには、興味深くコーチングを学べる本です。

なお、コーチングは生半可な知識で実践すると逆効果になる恐れがあります。
ローラ・ウィットワース「コーチング・バイブル」を最初に読むことをお薦めします。
  1. 2008/03/14(金) 23:12:53|
  2. 人材育成
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メジャー初コーチの「ポジティブ・コーチング」/立花龍司



★★★★

メジャーでのコーチング

メジャーリーグという野球の最高峰において
一流の選手たちを相手にコーチングしている様子を、
実際にコーチしている人が書いた本です。

コーチングの書籍が沢山でていますが、
ローラ・ウィットワース「コーチング・バイブル」以外では、
本書がお薦めです。

  1. 2008/03/14(金) 23:11:10|
  2. 人材育成
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パフォーマンス・コンサルティング/ディナ・ゲイン・ロビンソン等



★★★

よくまとまっています

組織・業務・人事の改革を生業にしている方にとっては、ほとんど既知のものですが、
コンサルティングプロセスについて必要とされる一通りの内容は上手く整理されています。

また、これまでトレーニングしか提供してこなかった人材開発部門にとっては、
本書のメッセージや手法は極めて重要だといえます。

但し、実際のコンサルティングにおいては、本書で述べられていないことが多々ありますし、
本書の事例とは比べ物にならないぐらい難しい局面も多々あります。
このあたりは、他の書籍を読んだり、実践で経験する必要があると思います。
  1. 2008/03/14(金) 18:50:16|
  2. 人材育成
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組織改革/高橋俊介



★★★★

自律型人材を増やすために

自律型人材。この需要逼迫が言われて久しいですが、なかなか実現しません。
相変わらず上手くいかないときに他人の責任にして、自己責任を回避する人が多いと思います。

本書は、自律型人材がいてこそ組織は上手くいく、
逆に言えば自律型人材がいなければ組織は崩壊するということを、
明確に伝えたものです。

誰かのせいにするまえに、本書を読んで自分が自律しているかどうか、他者の自律をサポートしているかどうか、
を自己フィードバックすると未来が見えてくるでしょう。

  1. 2008/03/14(金) 00:21:46|
  2. 人材育成
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なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?/吉田典生





支離滅裂

そもそも「問い」が間違っているのか、
人の本質への洞察が欠けているのか、
論理的思考力が足りないのか、
コーチング方法論原理主義なのか、
流行のテーマに無理やり合わせたのか、
理由はわかりませんが、本書の内容は支離滅裂です。

まず、「できる人」と「できない人」の定義に相当な混乱が見受けられます。
章ごと、段落ごとに定義がころころ変わります。
エピローグでコーチングの原理原則が読後に抜け落ちていたら読み返すように促していますが、
読者が混乱するような文章を書いておいてこのようなことを促すことに無知と傲慢さが見受けられます。

次に、個別の段落間の整合性がほとんどない一方で、
個別の段落ごとの現象面での内容そのものは間違っていないことが、読者に更なる混乱とストレスを与えます。
これでは「できる人」が「できる人を育てる人」になろうと真剣に思っている人をかなりミスリードすることになります。

更に、「できる人」に過大な負荷をかけることをまるで当たり前であるかのように強制しています。
「できる人」も余裕で仕事をしているわけではなく、また「できる人」も万能ではありません。
経営現場をよく知っていると著者は幾度も強調していますが、あきらかに著者の固定観念で現場をみているとしか思えません。

コーチングそのものは有効な方法であり、またこれからの企業経営に必要なものであることは確かなのですが、
支離滅裂な本書が結果としてコーチングの企業経営への浸透を妨げる結果となっています。
コーチングを解説した優れた書籍は他に沢山ありますので、本書は読む必要はありません。


  1. 2008/03/13(木) 12:25:38|
  2. 人材育成
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9タイプ・コーチング/安村明史



★★★

9つの人格は最大公約数だと理解したうえで活用しましょう

人の人格は人それぞれであり、とても9つに集約されるものではありません。
9つしかないと思い込んでしまうと、それ以外の人と接した場合に
相手を尊重しないか、自分が悪いと思ってしまうことが危惧されます。

遺伝子、ニューロン、ホルモンによって人の脳は唯一無二ですし、
一人ひとりの経験によっても異なります。

どれだけ人の脳が人によって異なるかに興味のある方には以下がお薦めです。
ハワード・ガードナー「多重知能」
R・J・スターンバーグ「知脳革命」「思考スタイル」
マーカス・バッキンガム「さあ、才能に目覚めよう」
アントニオ・ダマシオ「感じる脳」
ジョセフ・ルドゥー「シナプスが人格をつくる」
ダニエル・デネット「自由は進化する」
スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」など
  1. 2008/03/10(月) 18:54:00|
  2. 人材育成
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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