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Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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知識ゼロからの環境ビジネス入門/弘兼憲史・岡林秀明



★★★★★

秀逸な入門書

環境ビジネスの入門書としてはうってつけだといえます。
主要なテーマを見開き2ページで、漫画と文章・チャートなどで簡潔に解説しています。
解説については基本的なことだけが書かれていますが、入門書にありがちな手抜きは本書にはありません。

環境ビジネスを理解したい方にとっては、ありがたい最初の1冊になるのではないでしょうか。

グリーン・トゥ・ゴールド/ダニエル・C・エスティ等



★★★★★

環境を軸とした競争戦略

近年様々な環境問題が深刻化しており、企業はその状況を上手く乗りこなさなければ生き残れないとしています。

企業にとって特に重要な環境問題として、以下の10を挙げています(=自然の限界)。
気候変動、エネルギー、水、生物多様性と土地利用、化学物質・重金属、大気汚染、廃棄物処理、オゾン層破壊、海洋と漁業、森林破壊

更に、以下のステークホルダーの中には環境問題を真摯に受け止めている団体・ヒトを挙げています。
投資家・金融機関、規制当局・監視団体、メディア・研究機関、取引先・競合、消費者・市民

自然の限界とステークホルダーの増加が相まって(グリーンウェーブ)、
国、産業、規模に関係なく企業はこれを乗りこなさなければならない(エコ・ライダー)としていま億す。

かつては環境マネジメントは「やらなければならない」ことでしたが、
これからは第二の天性として軸足を移さなければならないとしています。


これらの外部環境を分析・提示した上で、エコ・ライダーになるための戦略を提示しています。

ベースとしてマイケル・ポーターのフレーム(コストリーダー戦略&差別化戦略)を活用しています。
(本書の帯に、マイケル・ポーター絶賛の書と書かれていましたが、これが理由かもしれませんね)

コストリーダー戦略として以下の4つの原則を挙げ、解説しています。
・環境効率を高める
・環境コストを減らす
・バリューチェーン全体の環境効率を高める・
・環境リスクをコントロールする

差別化戦略として以下の4つの原則を挙げ、解説しています。
・環境ニーズに応える製品・サービスを設計する
・賢いグリーン・マーケティングを行う
・イノベーションを推進し新たなニーズを掘り起こす
・評判・信用・ブランドイメージなど無形価値を高める

そのうえで、環境戦略を推進するためには以下の4つのノウハウが必要だとしています(個々の原則毎に)。
・環境意識の浸透(視野を広くとる、トップから始める、ノーという選択肢はない、等)
・情報の収集管理(ライフサイクル・アセスメント、環境指標、環境マネジメント・システム、等)
・リデザイン(環境適合設計、資源循環、サプライチェーンの評価、等)
・文化の育成(大胆な目標、意思決定プロセス、人事評価、トレーニング、等)

更に、環境戦略が失敗する13の理由を挙げています。
・視野狭窄に陥る
・市場を見誤る
・価格を上乗せする
・顧客を見誤る
・中間管理職が板挟みになる
・目先の問題に拘泥する
・環境担当部署任せにする
・過大な前宣伝をする
・想定外の事態が起きる
・完璧主義に陥る
・現状維持に流される
・ステークホルダーを無視する
・コミュニケーション不足に陥る


著者の一人が、米国環境庁の次期トップに内定している方(当時)であることから、
環境問題についてはかなりしっかりと書かれているように思われます。

本書で提示された環境戦略は見事ですが、じっくり読むとこれまでの戦略推進フレームとほぼ同じです。
ですので、環境問題がなかったとした場合に適切に戦略推進できない企業は、環境戦略は推進できないでしょう。

あと、マイケル・ポーターの戦略フレームを使いたかったからか、
著者がユニークすぎるとして分析対象から外している企業があるとのことです。
ユニークだから外すというのは、本書で提示しているフレームが万能ではないことを示していると思わされます。
このあたりが少し残念なところです。
外されたユニークな企業は、ピーター・D・ピーダーセン『第5の競争軸』で、環境先進企業として紹介された「天性・革命型(第一世代)」に該当すると思われますので、興味のある方はそちらをご参照ください。

第5の競争軸/ピーター・D・ピーダーセン



★★★★★

新たな競争軸は『環境革新』+『持続可能性追求』

著者は、環境先進国であるデンマークで生まれ育ったことからか、
環境保護・持続可能性追求については身体中にしみこんでいるようです。本書全体からそれらが伺えます。

本書は、P.F.ドラッカー『既に起こった未来』から発想を得て、
現在既に起こりつつある状況を踏まえた上で新たな競争軸の必然性を提起しています。

既に起こった未来として、
地球人口の増加×豊かな暮らしへの欲求=史上最大級の消費拡大が、今世紀半ばまでは続くとしています。

一方でこれらのことが起きれば当然地球環境に甚大な影響を及ぼすことになりますので、
CSR(企業の社会的責任)やサステナビリティがより一層企業に求められてくるとしています。

また、1987年に『持続可能な発展』という概念が確立されたことから、
この年を境に、文明的な転換が加速しているとしています。

これらのことから、
社会制約(温室効果ガス排出削減の圧力、各種法律・規制の制定、市民による抗議活動・ボイコットなど)や、
環境制約(廃棄物の影響、生態系の変化、資源制約の強化、化学物質リスクなど)が、
より企業経営に突き付けられることから、これらをクリアしないと『創業許可』が得られないということです。
そして、これらの制約を逆手に取って、戦略に位置づけることで『成長許可』が得られるということです。


制約を逆手に取って『成長許可』を得るためには、
これまでの競争軸である、自己変革力・マーケットシェア・価格・品質に加えて、
第5の競争軸として『環境革新』+『持続可能性追求』を獲得すべきであるとしています。
これは、自社の持続的発展と、社会・自然の持続可能な発展とを同軸でとらえる経営をすることです。

そして、産業界を代表するような巨大多国籍企業の先進的な取り組みを紹介しています。
(ウォルマートやGE(米)、トヨタやホンダ(日)など)

これらを推進するためには、
これまではトレード・オフとして考えられてきた企業経営(利潤追求)と社会・自然の持続可能性を、
これからはトレード・オンとして考えていくようにマインドチェンジすることが重要であるとしています。

また、このような取り組みを『持続的価値経営』とネーミングし、
7つの原則と3つのステージを活用するように促しています。

更に、参考情報として『持続的価値経営』に挑戦している企業100社を以下の分類で紹介しています。
・天性・革命型(第一世代):環境革新や持続可能性追求が企業設立の趣旨そのものになっている企業
・改心・プッシュ型(第二世代):市場からの圧力がない時代から、方針・戦略を大転換した企業
・改心・プル型(第三世代):市場からの強い圧力に対応することで『成長許可』を得ようとする企業
ちなみに、日本企業は、第一世代で6社、第二・三世代で各々9社が紹介されています。


また、このような動きから、新しい競争原理の前提条件が台頭してきていると指摘しています。
それは、環境成長経済、生命を育む資本主義、ホモ・ソシエンス(共鳴・協働・共創できるヒト)とのことです。


既に起こった未来という事実を冷静に見極め、企業の未来の姿を論理的に構成していますので、
非常に読みやすく、理解しやすい本に仕上がっています。


企業に携わるすべての方々の必読書といえるのではないかと思います。
またNGO・NPOで活動されておられる方々にとっても、企業と接点を持つ場合には有益な本だといえます。

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