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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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地球白書2009-10/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

技術はある、後は人間の決断のみ

この年の地球白書では、表紙に記されているとおり地球温暖化抑制に焦点を当てています。

先ず、驚いたのは地球の生態系の脆さです。
産業革命以前より1~2℃という範囲を超えるような気温上昇があると、
急速に不都合な変化を起こす可能性があることを主なリスクを挙げて訴えています。
(本書執筆時点で、産業革命以前より0.75℃ほど既に上昇)
地球温暖化に関する本は何冊か読んでいましたが、地球の生態系の脆さを強く再認識させてくれました。

そのうえで、地球温暖化抑制策を提言しています。

土地利用(農業・林業・畜産)については、
化石燃料と並ぶ二酸化炭素濃度増加の2大要因であり、輸送部門よりもはるかに大きいため、
温室効果ガスを削減するような土地利用に転換すべきとしています。
そして特に効果が期待できる様々な取り組みを提示しています。
これらの取り組みは既に実用可能であり(また更に開発が進められており)、また実施もされているものです。
転換の初期投資は必要ですが、現行の手法と同等以上の利益が得られるとのことです。
また、炭素の地下貯留など現在議論されている多くの解決策に比べ、はるかに安い費用で実現可能とのことです。
更に、取り組みの中には化石燃料の燃焼によって排出される全ての二酸化炭素を相殺できるものもあるようです。
これらの取り組みは、既に行われモデルの基盤が充実しているのですが、
規模が小さいため、関係者を巻き込み連携させていくことが必要だとしています。

地球温暖化抑制と聞くと、先ず再生可能エネルギーを思い浮かべるのですが、
土地利用の適切な取り組みでかなりのことができるというのは新たな発見でした。


エネルギーについては、
先ずはエネルギー効率を上げてエネルギー需要を減らし、
その絞り込んだエネルギー需要の大部分を再生可能エネルギーで満たすことが必要だとしています。
エネルギー効率を上げるためには、省エネ住宅・分散型発電・スマートグリッドで対応すべきであり、
更に、廃熱・廃棄物といった無駄なものの再利用や、LED電球の使用などの省エネも推進すべきであるとしています。
再生可能エネルギーは大きな課題が指摘されてはいるものの、
実用可能な技術・導入事例等を踏まえて、いずれも克服可能であるとしています。
(大規模発電は無理、ベースロード電力は無理、100%バックアップが必要、本格稼動は数十年後、など)
そして、これらを推進していくためには政府のイニシアティブで様々な政策を導入していくことが必要だとしています。
(租税・インセンティブ・規制・固定価格買取制度・化石燃料への補助金廃止・研究開発投資、など)

ちなみに世界の主要経済国20ヶ国において、
・2030年の電力供給のうち再生可能エネルギーが電力源に占める割合の予測
・2030年の熱供給のうち再生可能エネルギーが占める割合の予測
いずれにおいても日本は下から数えたほうが早い順位になっています。情けないですね。

ただ、本書を読む限りでは、原子力発電所が不要になるかはわかりません(本書では不要としていますが)。
例えば、ジェームズ・ラブロック『ガイアの復讐』では、再生可能エネルギーへの移行措置として原発を認めています。


一方で、これらの地球温暖化抑制策を待っている余裕はないとして(既に異常気象の被害がでています)、
地域特性に相応しい適応戦略を併せて実施することが必要であり、
特に影響を受けやすい低中所得国(都市部・農村部ともに)に求められるとしています。
また、適応戦略を検討・実施する際には、以下のことを考慮すべきとしています。
・社会経済と生態系やその関連に配慮した施策
・コミュニティ主導型での実施(地域によって現状や温暖化の影響は異なる)
・単に現状回復という適応だけではなく、持続可能な社会へと前進するような適応
・可能なものについては適応に併せて、温暖化抑制策の組み込み


そして、これらの施策を実施することで地球温暖化を抑制するためには、
全ての国が合意できるような仕組みが必要であるとして、様々な案を提示しています。
なかでも「責任」(温室効果ガス累積排出量)と「能力」(国民所得)の違いを踏まえた実践を強調しています。
これを国家単位だけでなく、個人にも当てはめることで公平性が確立されるとしています。
(貧困国にも富裕層はいますし、富裕国にも貧困層はいますので)
ただ、提案されている何れの案も、国際的な合意形成は容易ではない、という印象を持ちました。
地球温暖化抑制の技術は出揃っている(出揃いつつある)が、人間の意思決定が最大の壁、ということでしょうか。
まあ、どんな変革も「最後は人」といわれていますので、当然といえば当然のことなのですが。


あと、「温暖化対策:論壇と取り組み事例」として、
22の事例を130ページ近くにわたって、地球温暖化抑制の事例を紹介しています。
また、付録として「気候変動関連の主要概念と用語解説」を設けて、
地球温暖化問題に初めて接する方に対してわかり易く基本情報を提示しています。

地球白書2008-09/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

持続可能な経済に向けて

この年の地球白書では、持続可能な経済に向けて解決すべき諸課題に焦点を当てています。

まず新古典派経済学のイデオロギーや、GDPを追い求めることでは持続可能な経済は不可能だとしています。
そのうえで、既に開発・活用されている代替指標を提示し、これらを活用することを求めています。

そして、持続可能な経済へ移行するために、
資源効率の向上、ライフスタイルの転換、環境負荷の少ない食事への移行、低炭素経済の構築、
排出量取引市場の発展、水資源のマネジメント、生物多様性の価値認識、コミュニティの活用、
モチベーションの向上、インセンティブの活用、投資の活用、貿易の適切なガヴァナンスの確立、
といった要素を挙げ、
それらに対して、国、自治体、大学、研究所、企業、NPO/NGP、コミュニティ、市民、消費者らが、
実際に取り組んでいる、また取り組もうとしている例を豊富に提示しつつ、成功要因と問題点も指摘しています。


興味深かったのは、「共有地の悲劇」という現象についての解説でした。
実はこれを提唱したギャレット・ハーディンは、科学的な研究をせず、推論だけに基づいて提唱していたそうです。
さらに、彼は後に自説の欠陥を認めたそうです。
また、本書では1章を割いて「共有地」有効活用の成功例・失敗例が幾つも登場しますので、
「共有地の悲劇」が無条件に生じるわけではないことがわかります。


なお、本書を通してみてみると1つの矛盾がでてきました。
低炭素社会を目指すためには地産地消費が必要である一方で、
貧困解消を目指すためには国際貿易が必要であるというものです。
本書では貿易ガヴァナンスの章で、これらのバランスが必要とだけ述べられています。
これについてはもう一歩踏み込んで解説して欲しかったと思います。
ただ、難しい問題であることはわかりますので、★を減らすことはしていません。

地球白書2007-08/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

人口爆発による都市の問題

この都市の地球白書は、人口爆発により発展途上国で都市が増えていることに焦点を当てています。

持続可能な都市をつくるために、
都市農業、公共交通、エネルギー自給、防災、公衆衛生、地域経済主義、貧困や環境的差別との闘い
という構成で書かれています。


気になったのは、都市毎の詳細な統計データはあまり集められておらず、実態がよくみえないということです。

特にスラムは統計データがあったとしても、除外されていることが多く、
公衆衛生や貧困、差別などの実態がみえず、対策が打たれにくいということのようです。

また、国際機関などからの開発援助は、どちらかといえば田舎の農業向けが多いようで、
都会のスラムで暮らす人々に対して支援の目がいかない傾向にあるとのことです。

今後、発展途上国で人口が増え続け、そのかなりの割合が機会を求めて都市にやってくることでしょう。
しかし、その中にはスラムで暮らさざるを得なくなっていく人達も増えていく恐れがあります。

一見、発展途上国で都市が増大していることは、発展の証に見えますが、
それだけに影の部分を正しく見極め、これに配慮した支援の仕組みを検討・実施していくことが必要なのでしょう。

地球白書2006-07/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

中国とインドが台頭する世界での環境問題の捉え方とは

この年の地球白書では、成長著しい中国とインドを視野に入れて世界の環境問題を考えることが重要であり、
そのためには中国とインドの内部や他の国々との関係を見ることが重要であると指摘しています。

先進諸国に両国が加わることで、エネルギーの選択、穀物市場への影響、生態系の許容度などの環境問題を、
あらためて考える必要に迫られてきているということです。


読んでいて興味深かったのは、中国でNGOが拡大しているということです(数も発言力も)。

中国は共産党一党による政治体制なのですが、
国として環境問題を解消するためにはボトムアップアプローチも不可欠であるため、
NGO活動が許されている、協力して活動する、ということになっているとのことです。

一党支配と自由経済が同居しているところに市民運動も加わることで、今後の中国からは目が離せないでしょう。


また、驚いたのはWTOと環境問題の関係です。

自国で定めた環境に配慮した規制が、WTOの規定に違反する場合があるということです。
実際に自国の規制を輸入品に適用したため、輸出国が提訴し勝訴した事例が幾つか提示されていました。
WTOは公正なグローバル経済を目指すための機関ですが、環境あっての経済だということを重視して欲しいものです。

環境と経済の関係・優先順位などについて、グローバルな合意形成が急がれるのではないでしょうか。
また、数多くの国際機関の間でも整合性のある取り組みをして欲しいものだと思います。

地球白書2005-06/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★


世界をセキュリティーという観点からみる

この年の地球白書は、地球で起きている様々な不具合をグローバル・セキュリティーという観点を通して見ています。

世界のいろんな地域で起きている数々の紛争に対して、外交や軍事力で対処され
ることが普通のようですが、それらの紛争の原因をよく見てみる必要があると述べられています。

紛争の原因としては、人口爆発、貧困、格差、資源不足、自然破壊、伝染病など様々なものがあり、
国家、民族、宗教、地位、所得などの違う集団がこれらの原因にぶつかると紛争が起きやすいとのことです。
 
紛争を外交や軍事力で抑えつけようとするやり方は対症療法的なものであり、
一時的には効果が得られるかもしれませんが、紛争の原因は解消されず、一方で膨大なコストを浪費します。



本書では、紛争が起きた後に対処するのではなく、起きる前に原因を突き止め予防するとが重要だとしています。
(少し考えてみれば当たり前のことなのですが、世界ではどうも上手くできていないようです)

そして、紛争の予防策として「環境」が鍵になるとしています。
紛争の可能性のある当事者間で、両者が共有している環境を、如何に保全・回復させ、その利益を分かち合うか、
という視点で対話をすることが重要であり、また成功事例も出はじめているということです。

また、当事者間だけでは対話による解決が容易でない場合には、国際機関が支援することも重要であり、
国際機関はその機能を強化するべきだとしています。

更に、この対話にはそこで生活している市民の参加やNGOからの支援も必要だとしています。
国際機関は動きがどうしても鈍くなってしまいますので、これらの必要性を強調しているのでしょう。


何かとグローバル化している現在では、何処かで誰かが紛争を起こせば、思いがけない所に波及しかねません。
グローバルレベルでのセキュリティ維持・向上は世界全体で推進することが必要なのでしょう。

地球白書2004-05/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

消費至上主義からウェルビーイングへの転換

この年の地球白書は、ワールドウォッチ研究所の創立30周年にあたるということで、
私達はどのように消費しているのか、それは何故なのか、人間や地球に如何なる影響を与えるのか、を検証し、
消費を抑えた社会が不可欠であることを主張しています。


現在は消費至上主義が猛威を奮っており、かつグローバル化してきていますが、
消費によって人々の幸福感は増大せず、むしろ不安を増大させ、かつ自然を破壊し続けているとのことです。

本来、消費は人々が幸福感を味わうための「手段」に過ぎないのですが、
様々な政策や広告などに煽られて消費が「目的」となってしまっています。

そしてたくさん消費するために働くことに忙殺され、時間を豊かに使うことができなくなってしまっています。


そこで、本書では様々な種類のグリーン購入(持続可能なエネルギー・水・食料など)を紹介・推奨しています。
また、グリーン購入を普及させるための様々な手法を提案しています。

これらを通じて、人々が消費至上主義というイデオロギーから脱却し、自然と共生しながら豊かな生活を育み、
消費をその「手段」として位置づけることができれば、持続可能な世界が徐々に生まれてくるでしょう。

地球白書2003-04/クリストファー・フレイヴィン



★★★★★

ヨハネスブルク・サミットでの経験を踏まえた提言

この年の地球白書は、ヨハネスブルク・サミットの開催地である南アフリカ共和国での実体験を踏まえて書かれています。
日本語版あとがきでも、これまでの地球白書とは趣がことなっているとのことです。

持続可能な世界を目指して、サミットで各国が国益(政治リーダーの支持団体も?)を懸けて争っているので、
遅いペースでしか物事が進んでいかないことを懸念しているようです。

ですので、第1章では「石器革命から環境革命へ、人類の進化を果たす」として、
人類がこれまで試行錯誤しながらも文明を進化させてきた実績があるので、
環境革命もできるはずだし、すべきであると述べています。

また、第8章では「大きなチャレンジ?宗教界と環境団体との協働」として、
人々の意識・行動に大きな影響力を持つ宗教界が、持続可能な世界に関心を寄せ、各々の教義と融合させ、
環境団体と協働しながら、個々人の意識・行動を変えていくことが、課題解決への大きな道になると述べています。

本書を読むと、技術的・資金的な側面での解決が大事ではあるものの、
その手前である持続可能な世界へ向けて進むべき、という意識の面に立ち戻って考える必要があることがわかります。

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