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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

マインドフルワーク/デイヴィッド・ゲレス



★★★

西洋でのマインドフルネス瞑想のリポート

西洋において、マインドフルネス瞑想が、
どのように取り入れられ、どのように受け入れられ、どのように利用されているか、
についてのジャーナリストによるリポートです。

仏教的要素を取り除いたが故に、医学、スポーツ、ビジネス等、様々な分野に広まったことや、
仏教的要素を取り除いたが故に、いい加減な手法が生まれ蔓延していること、
などが紹介されています。

仏教的要素を取り除いたマインドフルネス瞑想が、西洋でどのように扱われているのか、について、
雑学的な情報をとりあえず知っておきたいという方には、お勧めかもしれません。

なお、原書版副題である『How Meditation is Changing Business From Inside Out』についてですが、
様々な企業のリーダー、従業員がマインドフルネス瞑想を実践している事例が数多く紹介されています。
また、企業向けに様々なマインドフルネス瞑想手法が改良&導入されていることも知ることができます。
ただし、如何なる目的に対して、如何なる手法が効果があるのか、またないのか、といった詳細にまでは踏み込んでいません。
したがって、具体的かつ効果的な『How』を知りたい方には、あまりお勧めできません。

また、邦訳版副題である『瞑想の脳科学があなたの働き方を変える』についてですが、
マインドフルネス瞑想についての脳科学的な検証は多少は盛り込まれています。
ただし、西洋において受け入れられるためのプロセスの1つとして記述されているだけで、
本書で紹介されている様々な手法のすべてについて脳科学的な検証が記述されているわけではありません。
したがって、マインドフルネス瞑想の『脳科学的な裏付け』を知りたい方には、あまりお勧めできません。

最後に、本書を読んでの感想です。
仏教的要素を取り除いたマインドフルネス瞑想は、よほど注意して選ばないと危ないように思えます。
ポイントは、その手法がマインドフルネス瞑想を深く長く実践してきた方が改良したものか否か、ということだと思います。
本書で登場するものの中では、ジョン・カバット・ジン氏(医師)の『マインドフルネスストレス低減法(MBSR)』が最も信頼できると思います。
また、宗教アレルギーが強くない方は、できるだけ仏教のマインドフルネス瞑想を実践した方がいいのではないかと思います。
私自身は、ティク・ナット・ハンの著作ベースでマインドフルネス瞑想を行っていますが、
人それぞれ好みがあると思いますので、いろいろ触れてみて自分自身にあったものを選ぶのがよいと思います。

補足:
★3つは、マインドフルネス瞑想はやはり仏教ベースで実践するのがよいと確信させてくれたことに対するものです。
これで、仏教的要素を取り除いたマインドフルネス瞑想についての書籍に煩わされることがなくなりました。
  1. 2016/03/20(日) 11:00:37|
  2. マインドフルネス
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うつのためのマインドフルネス実践/ジョン・カバットジン他



★★★★★

原始仏教の叡智を取り入れた瞑想療法

2600年の長きにわたり世界のどこかで実践され続けてきた仏教のマインドフルネス瞑想法に基づいて
うつ病の再発防止のために、最新の科学的な知見を踏まえて分析・再構成された治療法の解説です。
本書で取り上げられている最新の科学的な知見については引用元が明示されていませんが、
脳・身体・感情・思考の相互関係については、アントニオ・R.ダマシオ氏の著作が本書を裏付けていると思われます。

前著『マインドフルネス認知療法』は、
ジョン・カバットジン氏の『マインドフルネスストレス低減法』がよさそうなので、
認知行動療法の枠にはめる方法でとりあえず取り入れてみたという程度のものでした。
また、治療法の体系化には程遠く、治療法開発の取り組みレポートのような内容でした。
最初に『うつのためのマインドフルネス実践』を読んで「素晴らしい!」と思ったので、
もっと知りたくなって『マインドフルネス認知療法』を読んだのですが、完全に期待外れでした。

本書は素晴らしいのに、前著は全く期待外れだったのはな何故なのかよくわからなかったので、
本書を再度読み直してみました。そしてその理由がわかりました。

『マインドフルネスストレス低減法』のジョン・カバットジン氏が、本書の共同執筆者であること、
それによって、本書が『マインドフルネス認知療法』のアップグレード版というよりは、
『マインドフルネスストレス低減法』のアップグレード版になっていること、です。

また、このことにより、本書の内容が認知行動療法の枠を超えていることも理由として挙げられます。
これまでの認知行動療法は、認知心理学や行動科学がもとになっているのですが、
脳科学の知見と比較すると、何れも表層的なものであり、かつ間違っていることも少なくなく、
医学として信頼できるものとは言い切れないものだとも言われています。

※認知心理学、行動科学の功罪については、検索すれば出てくると思います。
※また心理学全般については、サイエンス誌の発表により、再現性のある知見は4割未満だということがわかっています。

本書のようなアプローチは、医学的にはMBCT(Mindfulness Based Cognitive Therapy)と命名されていますが、
本書の内容は認知療法(Cognitive Therapy)を超えていますし、従来の認知療法との混同を避けるためにも、
別の名称にしたほうが良いのではないかと思います。
例えば、単純に「マインドフルネス瞑想療法」(MT:Mindfulness Therapy)や、
本書の題名である「うつのためのマインドフルネス実践法」(MWTD:Mindful Way Through Depression)がいいのではないでしょうか。

更に、マインドフルネス瞑想について、ティク・ナット・ハン氏の著作を何冊か読んでいましたので、それらと比較してみると、
本書では、うつ病患者に精神的な負荷をできるだけかけないような手法や配慮が細部にわたってなされていました。

ただ、本書のアプローチには以下の制約がありますので、本書を読もうとされている方は読む前に留意された方が良いと思います。
(『マインドフルネス認知療法』より引用)
・急性期ではなく回復後の再発防止を目的に作られている。
・大うつ病を2回患った人にとって、MBCTと他の治療法との間に有意な差はない。
・大うつ病を3回以上患った人にとって、MBCTは他の治療法と比べて再発率が半減する(半減もする、半減しかしない)。

なお、本書は仏教のマインドフルネス瞑想をベースにしていますが、仏教用語はほとんど使われていません。
宗教アレルギーがある一方で効果的な瞑想をしてみたいと思われる方には、本書は取り組み易いかもしれません。
また、よく読んでみると仏教のキーワードが浮かんでくきますので、ここから仏教に入っていくのも良いかもしれません。
特に、般若心経の「観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時、照見五蘊皆空、度一切苦厄」が浮かんできます。

あと、付属のCDもかなり工夫されており、実践には欠かせないアイテムだと思います。
ただ、このCDは聴きながらじっくり瞑想をするためというより、瞑想ガイダンスを伝えるために作られているようです。
CDに合わせてじっくりと瞑想されたい方には、ジョン・カバットジン氏『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド 』がお勧めです。

最後に、本書を読んで最も気に入ったフレーズを一つだけ要約して紹介させていただきます。
『人は自動的に作業モードになり、そのためうつのスパイラルに陥るが、意識的に存在モードになることでうつと共存することができる』
  1. 2016/03/09(水) 22:59:34|
  2. マインドフルネス
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4枚組のCDで実践するマインドフルネス瞑想ガイド/ジョン・カバットジン



★★★★★

素晴らしい瞑想実践CD

ちょっと値段が高いですが、マインドフルネス瞑想を行うには必須のアイテムです。
本書を手に取る前からボディスキャン瞑想はやっていたのですが、
自己流と比べると本書のボディスキャン瞑想は倍の時間が必要だということがわかりました(本書CDでは導入部含めて約50分)。

なお、本とCDでマインドフルネス瞑想実践時の最低限のガイドはありますが、
なぜマインドフルネス瞑想なのか、何に留意して実践する必要があるのか、根拠となる知見は何なのか、については、
ほとんど触れられていません。

ですので、適切にマインドフルネス瞑想を実践するのであれば、
著者の『マインドフルネスストレス低減法』か、『うつのためのマインドフルネス実践』を併用する必要があります。
  1. 2016/03/09(水) 22:58:53|
  2. マインドフルネス
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マインドフルネスストレス低減法/ジョン・カバットジン



★★★★

第1部と第2部は秀逸、だが第3部は練り切れていない

第1部:マインドフルネス瞑想法の実践、第2部:瞑想によるストレス対処法については、
MBSR(マインドフルネスストレス逓減法、Mindfulness Based Stress Reduction)として確立され、
かつ多くの方々のストレスを軽減してきた実績があることから、素晴らしい内容だと思いました。
本書と別途出版されている『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』のCDを利用すれば、
自己流に陥ることなく、著者が提供してきた方法を自力でできるようになると思われます。

著者自ら仏教を理解し、仏教のマインドフルネス瞑想を実践したうえで培われてきた方法でありながら、
仏教瞑想の基本について、ほとんど仏教用語を使用せずに解説してありますので、
仏教色のあるマインドフルネス瞑想本が苦手な方には良書だと思います。

また、本書をベースとして作られたMBCT(マインドフルネス認知療法)と比べた場合、
仏教瞑想の基本をそのまま踏襲していると思われるので、こちら(MBSR)のほうが効果的だと思います。
比較したMBCTの本は以下のものです。
マインドフルネス認知療法
MBCTは、認知行動療法の枠組みに何とかマインドフルネス瞑想を取り入れようとしている傾向が見受けられますので、
本来のマインドフルネス瞑想と比べると表層的な感じがします。

以上のように、第1部と第2部は秀逸なのですが、
第3部:健康と癒しの新しいパラダイムは、
現在進行形ということだからでしょうけれど、事例や研究内容をとにかく詰め込んで紹介することに終始しています。
マインドフルネス瞑想と何とか繋げようという著者の努力の跡は見受けられるのですが、
第1部や第2部ほどには体系化されておらず、知識の提供に留まってしまっているのが残念なところです。
原書初版当時の状況(新たなパラダイム)では先進事例の提供だけでも価値ありだったとは思いますが、
15周年記念版として新たに出版されたということですので、ここが上手く整理されて、MBSRに組み込まれていれば最高だったと思います。
(原著改訂版では改定されているのかもしれませんが。。。)
ちなみに、ここの部分は『うつのためのマインドフルネス実践』において最新知見に基づいて再構成されています。
最新知見を踏まえたMBSRについて興味のある方は、こちらも読まれることをお勧めします。

第3部が残念でしたので★を1つ減らしましたが、第1部と第2部については★5つです。
  1. 2016/03/09(水) 21:09:58|
  2. マインドフルネス
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マインドフルネス認知療法/Z.V.シーガル等





MBCTの効果は。。。わからない

第14章のMBCTの効果検証において、以下の記載があります。
・もともとMBCTは急性期ではなく回復後の再発防止を目的に作られている。
・大うつ病を2回患った人にとって、MBCTと他の治療法との間に有意な差はない。
・大うつ病を3回以上患った人にとって、MBCTは他の治療法と比べて再発率が半減する。
・但し、半減の理由が純粋にMBCTの内容なのか、MBCTを取り巻く環境なのか、わからない。
・また効果のあった人となかった人ではうつのタイプが違うからかもしれない。
つまり、MBCTの効果は、本書(原書)執筆時点ではよくわからない、ということになります。

また、本書ではうつ病の発症、再発に対する科学的なアプローチがほとんどありません。
うつ病の治療であれば、脳科学・遺伝学・生物学等の自然科学の知見がふんだんに登場すべきだと思いますが、全くでてきません。
また、マインドフルネス瞑想は原始仏教経典が発祥ですので、仏教瞑想の知見も登場すべきだと思いますが、こちらも全くでてきません。
(ちなみに、補講で仏教瞑想に触れているのは、原著者ではなく、菅村玄二という関西大学の准教授さんです)
ジョン・カバットジン氏の『マインドフルネスストレス低減法』がよさそうなので取り入れてみた、というだけです。

更に、本書が患者に向き合うインストラクター向けの本だということが問題だと思います。
上記で指摘した自然科学や仏教の知見もなく、十分なマインドフル瞑想経験もなく、これを手引きにして実践されるのは恐ろしいことです。
また、MBCTは既存の認知療法とはアプローチがかなり異なるので、既存の認知療法に慣れている人たちが、本書から得た生半可な知識で実践することはかなり危険だと思います。

うつのためのマインドフルネス実践』が良かったので、MBCTの背景・科学的根拠を知りたくて本書を読んだのですが、全く期待外れでした。
『うつのためのマインドフルネス実践』は、本書の延長とは思えないほど優れた内容です。
こちらの本は、ジョン・カバットジン氏が執筆に加わったことで、
『マインドフルネスストレス低減法』をベースにしつつ、最新の科学的知見を加えて再構成されたように読み取れます。
  1. 2016/03/07(月) 16:40:44|
  2. マインドフルネス
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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