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Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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カオティクス/フィリップ・コトラー等



★★

期待はずれ

市場がカオスであることの提言、カオスの状況の解説そのものは頷けるものが多いです。これについては現在の市場を俯瞰する上で役には立ちます。

しかし、ではカオス下で如何なるマネジメントが効果的なのか、という点については全くお粗末な内容しか提示されていません。まともなマネジメント書籍であれば既に提示されているものばかりです。読む価値はありません。

現在の市場は複雑系科学の知見を借りなければ紐解けないことは最近言われていますので、複雑系をベースとした体系的なマネジメント書籍を探していましたし、ドラッカー等の先人の延長線上に本書を書いているという本文中の触れ込みがありましたので読んでは見たのですが、全くの期待はずれでした。


ドラッカーの『乱気流時代の経営』原著初版1980年や『イノベーションと企業家精神』原著初版1985年をじっくりと読んだほうがはるかに役に立ちます。

ドラッカーのこれらの書籍から20年以上経ったあとで書かれた本書ですが、ドラッカーほどの知見はなく、かえってドラッカーの凄さを再確認させてくれる程度のものでした。


経営の未来/ゲイリー・ハメル



★★★

新たなマネジメントの提言

20世紀前半に工業社会を前提として効率化を最優先したマネジメントのあり方が現在の世の中では限界を呈しているとして、新たなマネジメントのあり方を提言した本です。

生命進化の多様性、市場の効率性、民主主義の有益性、などを引き合いに出しつつ、またこれまでとは原則を異にする事例を紹介しつつ、イノベーションを誘発し続けられるようなマネジメントができるよう、マネジメントをイノベーションすべきだとしています。

また、これまで様々な議論がされてきたマネジメント手法の変革は、あくまでもこれまでのマネジメント手法の一部についての変革であり、今求められているのは原理原則からマネジメントを変革することであり、破壊的なマネジメントのイノベーションが必要である、としています。


著者が提言している方向については理解できますし、その方向に行くべきだとは思います。但し、著者が提示している内容そのものが、まだまだ断片的なものに留まっていますので(著者も認めていますが)、説得力に欠けると言わざるを得ません。

例えば、著者の提言に適う企業のマネジメント事例がいくつも紹介されていますが、同じ手法を採用している企業で失敗しているところがあるのかどうか、については全く解説されていません。これでは新たなマネジメントが成功要因になり得るのかどうかがわかりません。

また、著者の提言が、さも全く新しいものであるかのように紹介されていますが、個別事例の斬新さを除けば、提言している内容のほとんどは、ドラッカーが30年以上前に提言しているものと何ら変わりません。しかもドラッカーの提言の方が体系的です(『マネジメント』参照)。


なお、この著者は特段新しくもないものでも、クローズアップして斬新なタイトルを付けて提言することが得意なようですので、冷静に読む必要があると思います(『コア・コンピタンス経営』参照)。マーケティングが上手いんでしょうね。
とはいえ、既存のマネジメント体系の中で大事なものを再認識させてくれるという点においては有益ではあります。


ただ、著者の提言の方向性そのものは適切でしょうし、著者の提言に類するものは最近色々出てきていますので、知識のインプットそのものは有益だと思います。

この方向性と同じ提言をしているもので、マネジメントの外の世界からのものでは、以下の書籍が参考になります。

マーガレット・J・ウィートリー『リーダーシップとニューサイエンス』

リーダーシップとニューサイエンス/マーガレット・J・ウィートリー



★★★★★

極めて重要なメッセージ

自然科学(物理学・化学・生物学など)では新たなパラダイムとして確立されてきている非線形ダイナミクス(カオス・複雑系・自己組織化の理論など)を組織のマネジメントの中心に据えるべき時代が来ていることを提唱しています(ちなみに初版は1992年)。

これまでのマネジメントの主流である予測⇒計画⇒実行⇒達成という線形のアプローチは、17世紀のニュートン力学の産物であり、社会科学が科学っぽい様相を呈したいが故に時代遅れのパラダイムに固執していることも手伝って、相変わらず実践されていますが、自然科学の世界ではすでにパラダイムシフトが起きていますので、新たなパラダイムをマネジメントにも取り入れるべきだとしています。

そして、予測不可能な世界を予測しようとすること、因果がはっきりしない世界で因果関係をはっきりさせようとすること、など従来のマネジメント理論で提唱され、実践されてきていることは、環境を間違った認識で捉え、間違った方法で対処していることであり、この方法を幾ら追求しても環境に適合することはできない、としています。


なお、著者も非線形ダイナミクスをマネジメントにどう取り入れるか、についてはコンサルタントとしてクライアントと一緒に試行錯誤しつつ理解を深めている過程であることを認めています。従って、本書の内容は完成されたマネジメント手法にはなっていませんが、これからのマネジメントの在り方を根本的に考え直すには有益な情報が詰まっています。


また、読者に理解を促すために、自然科学で取り組まれている非線形ダイナミクスについて、幾つかの分野を紹介していますが、ある程度予備知識がないとわからないと思います。これについては、本ブログで紹介している「カオス・複雑系理論」カテゴリーの書籍が参考になると思います(本書の参考文献として挙げられている書籍とある程度重なっていますので)。


参考までに、社会科学分野での非線形ダイナミクスの取り組みは、一部の学者達が推進していますが(例えば、経済学ならブライアン・アーサー、心理学ならカール・ワイクなど)、まだまだ主流ではないようです。

大逆転の経営/エイドリアン・スライウォツキー



★★★★

リスクをチャンスに変える戦略

リスク(不確実性)に満ちた環境を逆手にとって、上手く舵を取るための戦略について述べています。

リスクといえば、最近はコンプライアンスに関するものが注目されています。当然、コンプライアンスリスクについては適切な対応をすべきなのですが、企業経営はそれだけでは駄目だと、改めて認識するには良い本です。

内容としては、著者らしく万能な戦略を提唱しているわけではありません。
企業を取り巻く(コンプライアンス以外の)リスクの中で重要な以下のものを選別し、各々のリスクについての戦略のあり方を事例も含めて解説しています。

オッズを変える:企業・事業の命運をかけた重要なプロジェクトで如何に成功確率を高めることができるか

顧客を理解する:気まぐれに優先順位を変える顧客に、顧客が求める価値を如何に提供し続けるか

構造変化に対応する:技術革新やビジネスモデルの急速な変化に対して、如何に適合していくか

強敵と棲み分ける:強敵に負けないために、如何に異なるモデルで仕掛けることができるか

ブランドを守る:ブランドの価値を維持・向上するために、如何にビジネスモデルを確立することができるか

業界で取り組む:業界そのものが地盤沈下した状況下で、コア・ノンコアを見極めながら、如何に競争と協業を図っていくか

成熟から離脱する:市場が成熟した状況下で、顧客価値を高める・広げるために、如何に新たな価値を見出していくか

何れも、これまでのビジネス書で取り上げられているものではありますが、これらをリスクという観点で捉えて整理したことが価値だと思います。

またほとんどの企業が、これらの複数のリスクに直面していると思われますので、複合的なリスク戦略を採用する必要を認識させてくれることも価値だと思います。

但し、本書で取り上げられている日本企業の事例を見ると、やや表層的な内容になっているように思われます。また海外企業の事例でも少し美化して解説しているように見受けられるものもあります。

このあたりが本書の内容について、説得力を少し失わせている印象を受けますので、ある程度批判的に本書を読むことが肝要かと思います。

複雑系組織論/ロバート・アクセルロッド



★★★

複雑系による組織論へのアプローチ

複雑系のロバート・アクセルロッドによる、
経営管理への複雑系からの挑戦の書籍です。

工業モデルによる機械的組織についての限界は、
P・F・ドラッカー、トム・ピーターズらにより、
かなり前から指摘されており、
またあらたなマネジメント手法の提供がされていることから、
本書に対する新鮮感はあまりありませんでした。

注目すべきは、複雑系という発展しつつある学問体系により、
新古典的経済モデルから異端視されたマネジメント手法が、
統合されつつあるということです。

著者は経営のプロではないですので、
経営の内側をえぐるという深いレベルまでは達していません。
今後企業経営においては、複雑系の知見が非常に重要になってきますので、
更なる研究開発と応用手法が洗練される事を期待します。

なお、本書は入門書という位置付けのようですが、
複雑系による切込みが深いとはいえませんので、
ともするとこれまでの経営書の変形版と取られかねません。
(私も初読したときは複雑系の醍醐味を見出せませんでした)

よって、本書は入門書というよりも、複雑系のダイナミズムを理解した上で、
経営実務への応用基礎編という位置付けが相応しいのではないか、と思います。

実際に、
ミッチェル・ワールドロップ「複雑系
スチュアート・カウフマン「自己組織化と進化の論理
ブライアン・アーサー「収益逓増と経路依存
を読んだ後で本書を読むことで、本書の意味がわかりました。
これらの書籍を読んでおかないと、複雑系のすごさはわかりにくいと思います。
自然淘汰と自己組織化が二大潮流になるのであれば、これらの書籍は必読でしょう。

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