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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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隠れていた宇宙(上下)/ブライアン・グリーン



★★★★

マルチなマルチバース理論

しばらく東洋の哲学・思想に入り浸っていましたので、バランスをとるために読んでみました。

著者のことは以前「エレガントな宇宙」を読んで感銘を受けたので知っていました。
こちらの本ではスーパーストリング理論を解説していましたので、
その後の展開も知りたくて、著者の最新刊(といっても原著初版は2011年と古いのですが)を読んでみました。

物理学の理論に基づく様々なマルチバース理論が紹介されています。
マルチバース理論というものがあることは知っていましたが、中身については本書で初めて知りました。
いずれのマルチバース理論も興味深く読ませていただきました。

ただ、何らかの物理学理論を正当化するためにマルチバースである必要がある、
といった感じのものが多く、宇宙そのものについて真正面から取り組んだものでは無いように思えました。

更に、全ての理論が仮説に過ぎません。
既存の物理法則と数学に基づいた仮説だとのことですが、
仮説に仮説を重ねているようで、SFとの境が不明瞭になっているようにも思えます。

また、スーパーストリング理論あらためM理論も前著からそれほど進展がないな、と思えました。

それでも、刺激的な理論のシャワーを浴びたようで、爽快でした。

人は原子、世界は物理法則で動く/マーク・ブキャナン



★★★★★

べき乗則で社会現象の解説を試みる

著者の『歴史の方程式(歴史は「べき乗則」で動くで再出版)』『複雑な世界、単純な法則』に続く「べき乗則」の本です。

本書では「べき乗則」を社会現象にあてはめ、(著者が選定した)社会現象は「べき乗則」で説明できるとし、様々な解説を試みています。

既存の社会科学の成果では社会現象をモデル化することはできないと結論づけ(いいすぎの感はありますが、確かに動的なモデル化はできていないようです)、物理学の知見である「べき乗則」を社会科学でも上手く活用すべきと提言しています。

実際に本書で提示された社会現象では「べき乗則」は上手く当てはまりますし、経済学ではブライアン・アーサーらが複雑系理論を取り入れることに孤軍奮闘していますので、社会科学の世界ではこれからもっと注目され、研究が進んでいくのだと思われます。

社会現象の複雑性はもともと人間の複雑性に起因するとされてきましたが(これからもそうだと思いますが)、人間の複雑性を持ちださずに説明できる部分があるのであれば、それはそれで秀逸な知見なのだと思います。


ただ残念なのは、社会現象が「べき乗則」で説明『できる』ことは説明していますが、『なぜ』「べき乗則」となるのかや、「べき乗則」を『いかに』政策に活かしていくのか、については説明がありません。
社会科学は社会現象を理解するだけでなく、よりよき政策を立案することも目的でしょうから、このあたりの解説が欲しかったところです。

それでも取り上げられた社会現象については見事に「べき乗則」でモデル化できているようですので、本書はそれだけでも価値あるものといえるでしょう。

マインドセット/ジョン・ネスビッツ



★★

アメリカ一極時代のメガトレンド思考法?

11のマインドセットそのものは、役に立つ内容であり、価値があると思います。ただ、その解説は決して濃いものとはいえず、本当にその11なのか、という点については疑問が残りました。また、これらについては本書が初出ではなく、ドラッカー等が既に述べています。ビジネスに活用するのであれば、本書よりもドラッカーの著書を読まれたほうが役に立つでしょう。


また、未来図として描かれている内容は、アメリカが世界の中心であり、好むと好まざるとにかかわらず、世界中がアメリカに牽引されることを前提に組み立てられているような気がします。少なくとも昨今の金融不況によるアメリカの失墜については予測されていませんでした。

アメリカ以外の事情については、あまり情報が集められていないような気がします。また、アメリカを基準としてたの国を分析しているようにも見受けられます。これまではアメリカ一極時代であったことから、アメリカを見て世界を語ることで予測できたのだと思いますが、これからはどうなのでしょうか、疑問が残ります。


あと、監訳者前書きが長すぎます。本書を日本に紹介したいという意欲は感じさせられましたが、立場的には、やりすぎだと思います。

ウィキノミクス/ドン・タプスコット等



★★★

WEB2.0のブライトサイドの解説

WEB2.0が引き起こした世の中の変化に対して、光の部分にフォーカスした内容です。従って、影の部分にはほとんど触れられていません。

またこれまでの世の中との比較でも、両者のメリット・デメリットの冷静な比較はされていませんし、二者択一を迫っていますのでハイブリッドのあり方についても触れられていません。

とはいえフォーカスされた中での解説そのものは事実なのだと思います。また最先端を走っている方にとっては既知のもの(既に本書が遅れているかもしれません)なのだと思います。ですので読んで損するものではないと思います。

あと技術革新と企業の戦略との関係について、一歩引いて冷静に判断したい場合には、以下の書籍がお薦めです。
ジェフリー・ムーア「企業価値の断絶

ウェブ進化論/梅田望夫



★★★

ウェブとどう付き合うか

ウェブはこれからもっと進化していくでしょう。
また、私たちが予想もしないようなかたちで進化していくでしょう。

ウェブを利用する消費者としてはより便利になっていくでしょう。
また、価値あるコンテンツを持っている事業者にとっても便利になっていくでしょう。

一方で、これまで人がやってきたことがウェブに置き換わっていくでしょう。
そうなればウェブではできないことを人が想像・創造していくことが必要でしょう。

一人ひとりがウェブの進化に適応していく努力が必要なのでしょう。

創発/スティーブン・ジョンソン



★★★

自己組織化の事例集

本書には、自己組織化の事例が沢山挙げられています。
但し、なぜ自己組織化が起こるのかは論証されていません。
したがって、「へぇ」と思うことはあっても、自己組織化は理解できません。

本書は以下の書籍を読んだ後の方が役に立つと思います。
ミッチェル・ワールドロップ「複雑系
スチュアート・カウフマン「自己組織化と進化の論理

なお、「複雑系」は絶版になっています。
複雑系を理解するための最高の入門書ですので再出版を切に願います。

資本主義に徳はあるか/アンドレ・コント=スポンヴィル



★★★★

世の中を冷静に見つめる際の重要な枠組み

世の中を、科学・技術面、政治面、道徳面、倫理面に区別して見極めることが重要であると述べています。
これらの4つにはそれぞれ固有の秩序があること、かつ各々が各々を必要としていることを、
幾つもの事例を踏まえた理論武装で説いています。

更に、各々の側面に対して異なる側面の秩序を無理矢理に当てはめることを「滑稽」であるとし、
それが権力を持ってなされることを「圧制」であるとして、冷静な対処を求めています。

資本主義やグローバリゼーションについて、昨今様々な感情的・思想的な批判が見受けられますが、
本書に準じれば、それらのほとんどが「滑稽」であるといっても過言ではありません。

これからの世の中を冷静に見つめるための重要な枠組みを与えてくれる本です。

複雑ネットワークの科学/増田直紀



★★★★★

ネットワーク理論の優れた解説書

本書は様々なネットワーク理論を判り易く解説しています。

代表的なネットワーク理論の一つひとつについての概要、効用と限界を
丁寧に解説すると共に、数式を使っての解析をしています。
数学が苦手な人にとってありがたいことに、読まなくてもいい範囲を提示してくれています。
また、特定のネットワーク理論を過剰に擁護することなく、冷静に比較していることも好感が持てます。

更に、ネットワーク理論は未だ完成しておらず、
今後の研究開発により解決すべき課題が多いということを正直に認めているところも誠実だと思います。

あとは、なんといっても参考文献が豊富に掲載されていることが本書の価値を高めています。

ネットワーク理論を初めて学ぼうとされる方は、
著者の「複雑ネットワークとは何か」の後に本書を読まれることをお薦めします。
ワッツとバラバシは本書を読まれて概要を掴んだ後の方が、理解が一層深まるような気がします。

複雑さを生きる/安冨歩



★★★★★

複雑系社会科学

日本人による複雑系理論に基づく社会科学領域の考え方を提起しています。

脳内現象に始まって、コミュニケーションのあり方、社会のあり方、戦争、市場に至るまで、
とかく断片化されがちで、イデオロギーありがちな社会科学の世界に対して、
複雑系理論によって中立的かつ一貫した説明をしています。

これからの生き方を考えるうえで、また世の中の見方を養ううえで、
この理論は非常に力があるといえます。

最も重要なメッセージは、
一人ひとりが自分だけでなく他者も含めて学習を促すことで世の中がより豊かになる、ということです。

最近話題になっているものについても、冷静に論じています。
コミュニケーションが人を豊かにする反面、ハラスメントは不可避であり、
不可避を前提として対処することが重要である。

市場拡大=共同体破壊という論調は、短絡的な二極化であり、
ここからは何も豊かなものは生まれない。
東大経済学教授が短絡化の原因だそうです。

出現する未来/ピーター・センゲ等



★★★★★

文句なしの名著!

ラーニング・オーガニゼーションを世界的に浸透させた著者の新作ということで新たな視点を得るために買いました。

本書は単なる学習の本でも自己啓発の本でもありません。
数世紀続いた要素還元主義、分析思考、技術革新によって築かれた人類文明が行き詰まりを見せ、
それにより様々な断絶・不安・不満が世界規模で起きており、
それを抜本的に解決しなければ人類の未来はない、と説いています。

更に、人類が数世紀の間、このような思考回路に慣らされてきたことで、
それ以外の発想・思考・感受方法を失っており、
このまま従来の方法でいくら考え、行動しても未来はない、と説いています。

そこで、古来の東洋思想である儒教・仏教・道教の知恵を再評価していますが、ただ単にそれらを復活させるのではなく、
古来の東洋思想と現代の西洋思想の両者をうまくブレンドして、
新たな科学を確立し、それに基づいた思考方法を創造する必要があると訴えています。

自然科学においても要素還元主義への猛省が起きており、
複雑系理論などがより発展・進化することで新たな科学への挑戦が始まっています。
複雑系経済学者のブライアン・アーサー(収益逓増と経路依存)も、
これに賛同し、著者らと同じ考え・行動で活動しているとのことです。

本書でもその明確な解決策は出ておらず、提唱されているU理論もこれから発展していくものですので、
本書を読んだだけではまだまだ判らないことだらけですが、
本書を読んでみないと何も判りませんし、一歩も先へ進めないことは確かだと思います。

本書は難しく、また実践することは更に難しいのですが、
この混迷の時代を切り開いていくのはあくまでも個人の意思ですので、
ぜひとも多くの方々が読まれることを願います。

また、本書と同時期に「フラット化する世界」「富の未来」といった、
これからの世界予想をしている名著が出版されていますが、
本書と同時に読まれると新たな視野が開けてきます。

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