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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

サイエンス・インポッシブル/ミチオ・カク



★★★★★

SF世界を最先端物理学で検証

SF世界で登場する様々なテクノロジーについて、
最先端の物理学の知見で、それらが可能かどうかを検証している本です。

著者が凄いのは、物理学に精通していない読者でも理解できるように、
かつ一般読者向け書籍にありがちな科学的知見の単純化・表層化をせずに、
深層な物理学の知見をわかりやすく紐解きながら、SF世界と対比していることだと思います。

著者の直近の著作3冊(本書も含めて)を連続して読みましたが、
何れも単純化・表層化せずにわかりやすく解説しているため、
楽しくかつ興味津々で一気に読み通すことができました。

SF世界で登場するテクノロジーが実現可能か否か、最新科学の知見は如何なるものか、
に興味がある方にとっては、お勧めの本、著者だと思います。
  1. 2016/03/06(日) 11:29:35|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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フューチャー・オブ・マインド/ミチオ・カク



★★★★★

凡庸なSF作品より面白い

最先端の理論物理学者が、最先端の自然科学各分野の科学者の知見を集めて体系化したヒトの心についての本です。
前著『2100年の科学ライフ』では科学全般の未来予測を取り扱っていましたが、
本書では、ヒトの心にフォーカスして、科学・テクノロジーの進歩で心がどうなっていくか、を未来予測しています。

勿論のこと、前著同様、物理学上の制約、進化生物学上の制約等、自然の制約を踏まえた予測ですので、
信憑性は高いと思われます。

特に、意識についてしっかりと定義し、AIのどの部分がヒトの能力を超えられるのか、また超えられないのか、
について論じているところは非常に興味深く読ませていただきました。

また、本書は『2100年の科学ライフ』の出版から数年経過しており、
その間のAI等のテクノロジー進歩についてアップデートされていますので、
読み比べることで、ここ数年での科学、テクノロジー進歩の様子もうかがえます。

前著のレビューにも書きましたが、数年おきに最新科学をアップデートして出版していただきたいと思います。
  1. 2016/02/27(土) 14:52:59|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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2100年の科学ライフ/ミチオ・カク



★★★★★

科学的根拠を踏まえた未来予測

著者は現役の理論物理学者ですので、あくまでも科学的根拠を踏まえた未来予測をしています。
本書で取り上げられている未来予測は、すべて物理学上の制約(モノ)と進化生物学上の制約(ヒト)を踏まえています。
例えば、ムーアの法則がいずれ物理的制約により通用しなくなる、人間の本能により実用が拒絶される領域がある、等です。

また、様々な自然科学分野における最先端の科学者300人との対話により生まれたものですので、
科学的かつ幅広い分野に対する未来予測となっています。

メディアや未来学者が煽っているようないい加減なものではありません。
また、科学という名を借りただけの、また科学という言葉を貶めている社会科学の知見はほぼ無視されています。
現在の社会科学は再現性や反証可能性に乏しいので、科学というよりもイデオロギーといったほうが相応しいと思いますので。
例えば、サイエンス誌が発表したように、心理学論文で再現可能なものは4割に満たない状況です。
さらに、複雑系理論を取り入れていない経済学は、その時点でもう学問ではありません。
ですので科学といえる自然科学の叡智だけに基づいた未来予測へのアプローチは真摯な姿勢だと思います。

なお、あくまでも科学者として自然科学の叡智に基づいて未来予測していますので、
予測不可能な政治・経済・社会・文化の要素は入っていません。
これらの要素によって、著者が提言している未来予測が実現しない可能性はあると思います。
・不況により研究開発に予算がつかない
・保守的な文化により基礎研究の実用化が妨げられる
といったことはあると思います。
しかし、これら不確定要素を無理に決めつけていい加減な予測をするよりも、適切なアプローチだと思います。
本書自体が、他の科学者たちによって再現性を確認したり、反証したりできるようになっています。

以上のように素晴らしい本ですが、科学は進んでいきますので、必然的に本書は陳腐化していきます。
ですので、できれば5年ごとぐらいに、本書の情報をアップデートして出版して頂きたいと思います。
  1. 2016/02/21(日) 12:30:47|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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国家はなぜ衰退するのか/ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビンソン



★★★★★

シンプルかつ強力な理論

国家の繁栄と衰退は、その国家が採用している政治・経済の制度にかかっていると論じている本です。

その政治・経済の制度は、包括的なものと収奪的なものの2つに分けることができるとしています。
包括的とは、権力や富が幅広く分散し、中央集権による法の秩序の元で公平性が担保されていること、
収奪的とは、権力や富が一部のエリートに集中し、独裁者の裁量若しくは法の秩序の欠落により公平性が歪められていること、と定義しています。

また、包括的な制度を採用し、その正のフィードバックにより更に包括的になることで、より繁栄し、
収奪的な制度を採用し、その負のフィードバックにより更に収奪的になることで、より衰退するとしています。

更に、包括的・収奪的のいずれが採用されるかは、
その国の制度、権力の構造、岐路での決断、歴史的偶然などによって決まってくるとし、
それがいかに小さなものでも後々に大きく影響を及ぼすとしています。

そして、包括的制度は、国民のモチベーションと産業のイノベーションによる創造的破壊を上手く取り入れることによって国家を繁栄させ、収奪的制度は、これらを排除・弾圧することによって国家を衰退させる、としています。

そのうえ、国家として採用される制度のデフォルトは収奪的なものであり、
よほど意識的な決断がない限り包括的な制度を採用・維持し続けることはできない、とされています。


以上が、本書の要約ですが、包括的・収奪的な政治・経済制度というシンプルな枠組みで、
国家の繁栄と衰退の理由をかなり説明できているという点に本書の価値があると思います。
社会科学の分野ですから、本書の枠組みの例外は当然あると思いますが(本書では提示されていませんが)、
本書で採用されている豊富な事例を踏まえると、かなり強力な理論なのだと思われます。

本書でも触れられていますが、開発経済が上手くいかない理由も本書を読めば納得できると思います。
収奪的な制度を採用している国に、いくら経済援助をしても一部のエリートに富が集中するだけですし、
民主主義のルールを形だけ採用させても、一部のエリートがそれを都合のいいように利用するだけです。
最悪の場合には善意による経済開発援助が収奪的な制度をより強固にしてしまう場合もあるようです。

デフォルトが収奪的制度であるが故に包括的制度に移行させるのは容易ではないことですけれど、
制度は人が変えられるものですから、衰退し貧困から脱却できない国(民)が一筋の光明を得られるのは良いことだと思います。


なお、本書が対象としている国家の繁栄と衰退については、
類書として著名な、ジャレド・ダイアモンド氏の『銃・病原菌・鉄』があります。

本書では、『銃・病原菌・鉄』では説明できない繁栄と衰退の実態があるとして、この理論を否定しています。
確かに『銃・病原菌・鉄』は地理的特性によって繁栄と衰退が決まるとしていますので、
本書で挙げられた同一地域での繁栄と貧困の格差の理由は説明できませんから、否定する理由もわかります。
但し、『銃・病原菌・鉄』が、地理的特性だけ繁栄と衰退のかなりの部分が説明可能であると証明した本だと位置づければ、本書と相互補完関係にあるのではないかと思われます。


ちなみに、本書は電子書籍で購入し、iPhone5にダウンロードして読みました。
画面は書籍よりも小さいですがストレスなく読むことができました。
また、片手で持って寝っ転がって読むことができたことが楽でした。
更に、このような良書を常に手元に置いておけるというのもいいと思いました。
この便利さを知ってしまいましたので、『銃・病原菌・鉄』も伝書書籍で購入してしまいました。
  1. 2013/08/24(土) 16:53:26|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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昨日までの世界/ジャレド・ダイアモンド



★★★

正しい認識


近代国家より前の世界について流布されている、誤ったノスタルジーやステレオタイプを払拭してくれる本です。
但し、著者の『銃・病原菌・鉄』ほどのインパクトはありませんでした。
また、本書内の具体例はともかく、著者の言いたいことは他の書籍で知見を得ていましたので、
個人的には斬新さを感じることができませんでした。
  1. 2013/08/07(水) 11:26:26|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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長い20世紀/ジョヴァンニ・アリギ



★★★★★

資本主義サイクル発展の歴史

本書は資本主義の世界が登場したルネサンス期以降、資本主義がどのように発展したのか、また一つのかたちの資本主義の生成?崩壊というサイクルがどのように起きるのか、そのサイクルの相違点は何か、について、マルクスやシュンペーターなどの先人の知見を検証しつつ組み込みながら、理論構築をしています。

資本主義には、生成?崩壊までの一つの大きなサイクル(100年?200年ぐらい)があり、それは新たな実体経済の拡大⇒その行き詰まり⇒金融経済の拡大⇒その行き詰まりという順序で必ず移行するものである、とされています。

これは、資本が利潤を求めて新たな実体経済に投資するものの、その実体経済が必ず競争激化と成熟化により適正な利潤を得られなくなることで、資本が実体経済から離れ金融商品に移行し、最終的にはそれも限界に達するということからきているようです。

ただし、これで資本主義が終えんするのではなく、そのサイクルに組み込まれ、かつその中心ではない実体経済の力学を持つ中心が金融経済の行き詰まりの段階で発生し、資本が新たな実体経済に向かうことで、次の資本主義のサイクルがはじまる、ようです。

また、資本主義のサイクルが一段進むごとに、資本のパワーと軍事のパワー、内向きのパワーと外向きのパワー、規制のパワーと緩和のパワー、などについて振り子が行ったり来たりしつつ、より規模が拡大し複雑になっていく、ということです。

これらのことを、ヴェネチア⇒ジェノヴァ⇒オランダ⇒イギリス⇒アメリカと資本主義の覇権国が移り変わっていく様を描きながら解説しています。


ただ、原著が1994年出版ですので、バブル崩壊後の日本、台頭するBRICs、9.11以降のアメリカ、については全く触れられていません(勿論リーマンショック以降のアメリカについても)。
邦訳初版が2009年ですので、このあたりの分析や未来予想があるのでは、と思われるかもしれませんが、何もないですのでお気を付けください。


とはいえ、過去数世紀におきた数度の資本主義サイクルをこのようにみせてくれることで、現在の経済の混乱についても、世に出回っている報道や評論とは異なる観点から見ることができます。

実体経済中心の日本の産業のバブル崩壊後からの低迷、実体経済を飲み込んでしまった金融経済とその破綻、アメリカの相対的なパワー低下、などについて様々なことが言われていますが、本書を読むことで、そのほとんどが近視眼的・表層的な反応であることがわかります。と同時に、言われている様々なことでは現在の問題は解消されないということもわかります。

現在の問題は、一つの資本主義サイクルの終えん段階でこれまでも発生してきたことであり、新たな資本主義サイクルが生まれなければ根本的な問題は解決しないということです。

本書を読んでも、現在の問題は何も解決しませんが、少なくとも本質的でない情報に一喜一憂することはなくなると思います。

また企業経営においては、新たな需要を見つけ出してイノベーションを起こすことしかなさそうです。

  1. 2009/10/06(火) 16:31:03|
  2. 時間軸(歴史・未来予測等)
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クリエイティブ都市論/リチャード・フロリダ



★★★★★

クリエイティブな人材と環境の関係

前著『クリエイティブ資本論』『クリエイティブ・クラスの世紀』で明らかにした、経済発展におけるクリエイティブな人材の重要性、クリエイティブな人材を引き寄せ、引き止めることの重要性を踏まえて、クリエイティブな人材と環境との関係についての、世界中の都市の比較分析とアメリカでの詳細な分析に基づいた理論を深堀りしている本です。

本著では、各都市で如何なる産業が集積しているのか、そこでのクリエイティブ度合いはどの程度か、といった観点での調査・分析により、マイケル・ポーターの産業クラスター理論をベースとしつつ、著者の専門領域であるクリエイティブ人材の集積のされ方について比較をしています。
これによって前著まででは単に「クリエイティブ・クラス」とひとまとめにされていたものが、産業によって細分化され、その産業と求められるクリエイティブタイプによって整理されています。

更に、アメリカ国内に限ってですが、各都市での産業クラスタ・クリエイティブタイプと、そこに集まる人間の性格との相互関係についても、既存の様々な心理学的な調査結果や新たな調査を踏まえて解き明かしています。
人間の性格の違い(ここではビッグ5といわれる性格の主要5因子:経験への開放性、誠実性、外向性、協調性、情緒不安定性)によって、人が集まる都市が異なっていることや、特定の性格を持つ人間がその都市に引き寄せられ都市の性格が強固になり更にその性格を持つ人間が引き寄せられるというスパイラルが形成されていること、が分かったということです。
これはその都市にある産業に携わりたいという仕事面での欲求だけではなく、自分が幸福になるために自分の性格に適した環境を見つける傾向が人間にはある、という心理学者のマーティン・セリグマンやミハイ・チクセントミハイらの見識と共同研究から裏付けられています。

また、これらのことから人と産業の集積化は益々進んでいくことになり(調査結果で実際にそうなっていることは本書で示されています)、トーマス・フリードマンが提唱する「フラット化する世界」には完全には以降しない、むしろ集積化が進んでいると反論しています。
ただ、著者も「集積化」「フラット化」の単純な二元論ではなく、クリエイティブなものは集積化に向かい、そうでないものはフラット化に向かうという2つの全く異なるベクトルが同時に働いているのではないか、としています。


日本国内についての調査は結構大雑把ですので、本書の調査結果をそのまま国内で活用するのは無理があります。
また、都市に集まる人の性格がそのまま都市の性格になるというのも少し単純すぎます。個人の性格に拘わらず集団としての性格ができてしまうという人類学の研究結果もありますので。
とはいえ、この理論自体が棄却されるものではなく、更に様々な科学分野の知見を統合しつつ、掘り下げていくことで、より磨き上げられた理論になっていくと思います。


あと、前著でもそうでしたが、この理論は企業内でもかなり応用できると思います。企業がクリエイティブになりたければ、クリエイティブな人たちが魅力に感じる施策を他社よりも高く早く推進することが必須である、ということです。
  1. 2009/06/24(水) 11:22:27|
  2. 空間軸(グローバル化等)
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帝国以後/エマニュエル・トッド



★★

アメリカ嫌いなのはわかるが。。。

強すぎるアメリカに対する通俗的な反米論調とは異なり、アメリカの弱さが故の暴走という独自の観点での論調は面白いと思います。

しかし、「世界の多様性(第三惑星&世界の幼少期)」で見せた広範かつ緻密なデータ分析を踏まえた丁寧な組み立ては本書ではあまり見られません。
他の著作を読んでいませんので、もしかしたら他の著作でのデータ分析を踏まえているのかもしれませんが、それでも本書での展開は「意見」を超えていないような印象を受けます(但し、「文明の接近」ではデータに基づく緻密な分析を踏まえた提言をしていますので、やはり本書には浮いた感があります)。

アメリカに対する気持ちには共感しますし、アメリカの実際の動きについても頷けるものは多いのですが、科学から離れてしまっているのは残念です。

著者解説(wiki):エマニュエル・トッド
  1. 2009/05/06(水) 10:56:23|
  2. 空間軸(グローバル化等)
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21世紀の歴史/ジャック・アタリ



★★★★

人間の欲望を最大限増幅させた未来シナリオ

これまでの歴史を人間の欲望と、それを表面化した軍事・宗教・市場という観点から整理したうえで、についてこれらを最大限増幅させると21世紀がどうなりそうか、ということを表した本です。

これからの数十年で、人間の欲望の増幅により「超帝国」と「超紛争」が起きるとしています。これについては結構過激な内容で占められており、「???」な部分もあるのですが、人間の欲望のみを増幅させるとさもありなん、という感じです。

そして、これらによる世の中の終焉に対する危機感を基にして(危機感が増幅すればですが)、「超民主主義」が生まれるとしています。これは著者の活動領域でもありますので、結構気合が入っていますが、こちらも人間の持つ真・善・美という本能を増幅させることで出てくるということです。

そのうえで、市場経済と社会的公正の両輪がうまく働くことで21世紀の混迷を乗り越えることができる、としています。

あくまでも未来シナリオの一つではありますが、人間の本性を上手く捉えたものだと思います。また、本書では最近の経済危機の原因でもあるアメリカのサブプライム問題を予測しており(原著初版は2006年)、これが本書の信憑性を高めていると思います。


なお、翻訳が上手くありません(専門用語が難解というのではなく、基本的な日本語レベルの問題です)ので、原著が読める方は原著をお薦めします。

著者解説(wiki):ジャック・アタリ
  1. 2009/04/23(木) 12:43:27|
  2. 空間軸(グローバル化等)
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クリエイティブ資本論/リチャード・フロリダ



★★★★★

ドラッカーの予測通りになってきた

ドラッカーが随分前に「知識資本」「ナレッジワーカー」の時代になると予測していましたが、本書を読むとまさにその通りになってきていることが分かります。

本書では、クリエイティブ・クラス(ドラッカーのいうナレッジワーカーに相当)が台頭してきており、彼ら/彼女らが最大限に活躍できる環境を整備しているエリアが経済発展を遂げていることを、社会科学の様々な分野の知見を駆使して調査・分析することで説明しています。

また、その環境の必須条件として3つのT、すなわち技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerant)を挙げています。

社会科学の常として、複雑かつ変化する環境において、全ての要素、その重要性、関係性、因果関係を捉えきれないこと、またこれらの捉え方によって結論が変わることがありますので、本書だけを鵜呑みにすることはできませんが、今後の経済・文化・社会・個人を考えるうえで重要な視点を提供していることは間違いないでしょう。

少しそれますが、本書を読んで感じたことがあります。
それは、本書の視点が企業におけるイノベーションにも適用できるのではないか、ということです。
昨今、イノベーティブな人材、クリエイティブな人材を積極的に求めている企業は多いのですが、そのような人材が最大限に活躍できる環境を整備している、若しくは真剣に整備しようとしている企業がいったいどれだけあるのでしょうか。
いくらこのような人材を集められたとしても、企業内環境が従来のワーキング・クラスをベースとした中央集権的・管理統制的なものでは、クリエイティブであればあるほど逃げていくのだと思います。
更にそのような人たちが企業に対して抱くネガティブな印象が広まっていくと、このような人材を採用することができなくなり、結果としてその企業が衰退していく、ということが起きるのではないか、既に起きているのではないか、また企業側はそのような人たちに対する印象を悪くして採用をあきらめてしまうということも起きているのではないか、そのような二重の悪循環が起きているのではないか、と推察されます。

人と環境をセットで考えていくことの重要性を痛感させてくれる本です。

なお、本書の内容は基本的にはアメリカ国内のものですが、日本では先に出版された「クリエイティブ・クラスの世紀」では、グローバルに視野を広げて展開しています。こちらでは、グローバルレベルでクリエイティブ・クラスの獲得競争が起きており、彼ら/彼女らを惹きつけることができた国・都市が反映しているということを解説しています。併せて読まれることをお薦めします。
  1. 2008/03/19(水) 08:30:35|
  2. 空間軸(グローバル化等)
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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