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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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「世界地図」の切り取り方/藤井厳喜(2003)



★★★★

戦略思考のナビゲーションとしての地政学

著者による最新の地政学の本である
あなたも国際政治を予測できる! 最強兵器としての地政学
は読んでいましたが、
その源流を知りたいと思い、本書を手に取りました。

本書は地政学(空間軸)をメインにしながらも近現代史(時間軸)も交えながら、
主要国や主要な事件について、その地政学的視点に基づいた解説を行っています。
このような解説を読んでみると、日本中心の視点が切り替わり、その国の視点での事件の解釈の仕方が理解できるようになります。

なお、息子ブッシュの頃の本ですので、
アメリカの対チャイナ政策に対する著者の見通しの甘さがありますが、これは仕方がないでしょう。
著者は息子ブッシュの時点でアメリカの対チャイナ政策は民主党政権に代わっても変化しないだろうと予測していましたが、
オバマ&クリントンで完全にひっくり返りました。とくにクリントンはチャイナとズブズブの関係になってしまい、
チャイナを崩壊させるどころか強化させてしまいました。
アメリカ民主党がより左傾化していること、アメリカ民主党にもグローバル金融資本が入り込んでいることが理由なのでしょう。
トランプ大統領就任によりやっと軌道修正され、アメリカの最大の敵国がチャイナに指定されました。

ただ、本書でダメな点が1つだけあります。日本の原子力容認です。
本レビュー投稿時点では著者は保守系論者では数少ない反原発派です。
その理由は、
・原発コストが他の電力よりも高いこと、
・火力と同様原子力も燃料であるウランを輸入に頼らざるを得ないこと、
・二酸化炭素による地球温暖化というのが科学的根拠のない嘘であること、
が理由です。
これらについては本書執筆時点でも明らかになっているはずですが、それでも著者は原発容認派でした。
このあたりの稚拙さを踏まえて★1つ減らしました。

最強兵器としての地政学/藤井厳喜(2016)



★★★★★

新たな視点を与えてくれる良書

地政学については、なんとなくは知っていましたが、
書籍で真面目に学んだのは初めてです。

サイバー戦や宇宙戦の時代に入ってきてはいますが、
著者の述べられている通り、地政学的な視点は今でも非常に有益なものだといえるでしょう。

報道や情報を扱う際の視点としては外せないものだと思います。
特に報道が偏向している状況下ではなおさらです。
各国の言動の裏にある狙いを推察するためには必須でしょう。

本書を読んでいると、世の中で比較的まともだと思われる評論家の言説も、
薄っぺらいものだと思えるようになってきました。

例えば、日本についてみてみると、
地政学に基づいて行動した際には成功しており、
地政学を無視して行動した際には失敗していることがよくわかりました。

また、地政学的な戦略からすると、
志那による尖閣諸島、朝鮮による竹島への侵入に対しては、
日本は絶対に阻止しなければならないことがよくわかります。

日本は自国防衛のために
海洋国家であることを十分に再認識し、
海洋国家としての戦略を立て、確実に実行することが求められます。

著者の書籍を読むのは2冊目ですが、
何れも中核的な物事の見方があり、
言説・予測がそれに基づいて論理的に展開されているので、
非常に有益であり、かつ知的刺激を受けることができました。

クリエイティブ都市論/リチャード・フロリダ



★★★★★

クリエイティブな人材と環境の関係

前著『クリエイティブ資本論』『クリエイティブ・クラスの世紀』で明らかにした、経済発展におけるクリエイティブな人材の重要性、クリエイティブな人材を引き寄せ、引き止めることの重要性を踏まえて、クリエイティブな人材と環境との関係についての、世界中の都市の比較分析とアメリカでの詳細な分析に基づいた理論を深堀りしている本です。

本著では、各都市で如何なる産業が集積しているのか、そこでのクリエイティブ度合いはどの程度か、といった観点での調査・分析により、マイケル・ポーターの産業クラスター理論をベースとしつつ、著者の専門領域であるクリエイティブ人材の集積のされ方について比較をしています。
これによって前著まででは単に「クリエイティブ・クラス」とひとまとめにされていたものが、産業によって細分化され、その産業と求められるクリエイティブタイプによって整理されています。

更に、アメリカ国内に限ってですが、各都市での産業クラスタ・クリエイティブタイプと、そこに集まる人間の性格との相互関係についても、既存の様々な心理学的な調査結果や新たな調査を踏まえて解き明かしています。
人間の性格の違い(ここではビッグ5といわれる性格の主要5因子:経験への開放性、誠実性、外向性、協調性、情緒不安定性)によって、人が集まる都市が異なっていることや、特定の性格を持つ人間がその都市に引き寄せられ都市の性格が強固になり更にその性格を持つ人間が引き寄せられるというスパイラルが形成されていること、が分かったということです。
これはその都市にある産業に携わりたいという仕事面での欲求だけではなく、自分が幸福になるために自分の性格に適した環境を見つける傾向が人間にはある、という心理学者のマーティン・セリグマンやミハイ・チクセントミハイらの見識と共同研究から裏付けられています。

また、これらのことから人と産業の集積化は益々進んでいくことになり(調査結果で実際にそうなっていることは本書で示されています)、トーマス・フリードマンが提唱する「フラット化する世界」には完全には以降しない、むしろ集積化が進んでいると反論しています。
ただ、著者も「集積化」「フラット化」の単純な二元論ではなく、クリエイティブなものは集積化に向かい、そうでないものはフラット化に向かうという2つの全く異なるベクトルが同時に働いているのではないか、としています。


日本国内についての調査は結構大雑把ですので、本書の調査結果をそのまま国内で活用するのは無理があります。
また、都市に集まる人の性格がそのまま都市の性格になるというのも少し単純すぎます。個人の性格に拘わらず集団としての性格ができてしまうという人類学の研究結果もありますので。
とはいえ、この理論自体が棄却されるものではなく、更に様々な科学分野の知見を統合しつつ、掘り下げていくことで、より磨き上げられた理論になっていくと思います。


あと、前著でもそうでしたが、この理論は企業内でもかなり応用できると思います。企業がクリエイティブになりたければ、クリエイティブな人たちが魅力に感じる施策を他社よりも高く早く推進することが必須である、ということです。

帝国以後/エマニュエル・トッド



★★

アメリカ嫌いなのはわかるが。。。

強すぎるアメリカに対する通俗的な反米論調とは異なり、アメリカの弱さが故の暴走という独自の観点での論調は面白いと思います。

しかし、「世界の多様性(第三惑星&世界の幼少期)」で見せた広範かつ緻密なデータ分析を踏まえた丁寧な組み立ては本書ではあまり見られません。
他の著作を読んでいませんので、もしかしたら他の著作でのデータ分析を踏まえているのかもしれませんが、それでも本書での展開は「意見」を超えていないような印象を受けます(但し、「文明の接近」ではデータに基づく緻密な分析を踏まえた提言をしていますので、やはり本書には浮いた感があります)。

アメリカに対する気持ちには共感しますし、アメリカの実際の動きについても頷けるものは多いのですが、科学から離れてしまっているのは残念です。

著者解説(wiki):エマニュエル・トッド

21世紀の歴史/ジャック・アタリ



★★★★

人間の欲望を最大限増幅させた未来シナリオ

これまでの歴史を人間の欲望と、それを表面化した軍事・宗教・市場という観点から整理したうえで、についてこれらを最大限増幅させると21世紀がどうなりそうか、ということを表した本です。

これからの数十年で、人間の欲望の増幅により「超帝国」と「超紛争」が起きるとしています。これについては結構過激な内容で占められており、「???」な部分もあるのですが、人間の欲望のみを増幅させるとさもありなん、という感じです。

そして、これらによる世の中の終焉に対する危機感を基にして(危機感が増幅すればですが)、「超民主主義」が生まれるとしています。これは著者の活動領域でもありますので、結構気合が入っていますが、こちらも人間の持つ真・善・美という本能を増幅させることで出てくるということです。

そのうえで、市場経済と社会的公正の両輪がうまく働くことで21世紀の混迷を乗り越えることができる、としています。

あくまでも未来シナリオの一つではありますが、人間の本性を上手く捉えたものだと思います。また、本書では最近の経済危機の原因でもあるアメリカのサブプライム問題を予測しており(原著初版は2006年)、これが本書の信憑性を高めていると思います。


なお、翻訳が上手くありません(専門用語が難解というのではなく、基本的な日本語レベルの問題です)ので、原著が読める方は原著をお薦めします。

著者解説(wiki):ジャック・アタリ

クリエイティブ資本論/リチャード・フロリダ



★★★★★

ドラッカーの予測通りになってきた

ドラッカーが随分前に「知識資本」「ナレッジワーカー」の時代になると予測していましたが、本書を読むとまさにその通りになってきていることが分かります。

本書では、クリエイティブ・クラス(ドラッカーのいうナレッジワーカーに相当)が台頭してきており、彼ら/彼女らが最大限に活躍できる環境を整備しているエリアが経済発展を遂げていることを、社会科学の様々な分野の知見を駆使して調査・分析することで説明しています。

また、その環境の必須条件として3つのT、すなわち技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerant)を挙げています。

社会科学の常として、複雑かつ変化する環境において、全ての要素、その重要性、関係性、因果関係を捉えきれないこと、またこれらの捉え方によって結論が変わることがありますので、本書だけを鵜呑みにすることはできませんが、今後の経済・文化・社会・個人を考えるうえで重要な視点を提供していることは間違いないでしょう。

少しそれますが、本書を読んで感じたことがあります。
それは、本書の視点が企業におけるイノベーションにも適用できるのではないか、ということです。
昨今、イノベーティブな人材、クリエイティブな人材を積極的に求めている企業は多いのですが、そのような人材が最大限に活躍できる環境を整備している、若しくは真剣に整備しようとしている企業がいったいどれだけあるのでしょうか。
いくらこのような人材を集められたとしても、企業内環境が従来のワーキング・クラスをベースとした中央集権的・管理統制的なものでは、クリエイティブであればあるほど逃げていくのだと思います。
更にそのような人たちが企業に対して抱くネガティブな印象が広まっていくと、このような人材を採用することができなくなり、結果としてその企業が衰退していく、ということが起きるのではないか、既に起きているのではないか、また企業側はそのような人たちに対する印象を悪くして採用をあきらめてしまうということも起きているのではないか、そのような二重の悪循環が起きているのではないか、と推察されます。

人と環境をセットで考えていくことの重要性を痛感させてくれる本です。

なお、本書の内容は基本的にはアメリカ国内のものですが、日本では先に出版された「クリエイティブ・クラスの世紀」では、グローバルに視野を広げて展開しています。こちらでは、グローバルレベルでクリエイティブ・クラスの獲得競争が起きており、彼ら/彼女らを惹きつけることができた国・都市が反映しているということを解説しています。併せて読まれることをお薦めします。

クリエイティブ・クラスの世紀/リチャード・フロリダ



★★★★★

新たなパラダイムシフト

クリエイティブな人たちが国の競争力を決める。
従来アメリカに集中していたクリエイティブな人たちが、最近世界に分散してきている。
これからのグローバル経済の中で勝ち残るには、クリエイティブな人たちを育て、惹きつける施策を早急に打ち出す必要がある。

本書の要旨は以上のようなものです。

これまでも知識労働者、イノベーション、人材獲得競争等々様々な切り口でこの手の本がでていますが、
本書はそれらをクリエイティブ・クラスというキーワードで整理しつつ、
可能な範囲での統計資料を駆使して実証し、かつある程度の処方箋を提示しています。

これからの世の中がどうなっていくのか、またその中でどう生きていくかについて、
しっかりした本を一冊じっくり読みたいという方にはお薦めのものです。

未訳の書籍が数冊あるようですが、翻訳出版が望まれます。

成功ルールが変わる/ヨーナス・リッデルストラレ等



★★★★★

市場の現実を直視

本書は、市場主義・資本主義が今どうなっているか、
について事実をふんだんに盛り込んでいます。

べき論や特定の思想に基づいて是非を唱える本が多い中、
本書は現実を直視させてくれる希少なものです。

また、様々な学術領域から得られた視点・知見を踏まえているため、
偏らずに現実を見ることをサポートしてくれます。

更に、参考文献が学術書並みに掲載されているので、
更なる学習を進めるうえでも効果的です。

タイトルに比べて、非常に内容の濃い本です。

市場を創る/ジョン・マクミラン



★★★★★

実態に基づく経済学

保守、リベラルといった主義主張をベースとした経済学の書籍が多い中、
本書は様々な主義主張を横目で見つつ、実際の市場がどうなっているか、という事実に基づいた経済学を展開しています。

また、太古の市場から、最新のネット市場、排出権市場まで幅広く市場を探っている点も価値ありです。

ミクロに視点が及ぶとやや首を捻りたくなる記述も散見されますが、
マクロ経済を見事に現している本ですので、評価を下げるほどではないでしょう。

経済学を初めて学ばれる方や、理屈っぽい経済学に辟易している方にはお薦めです。

著者解説(wiki):ジョン・マクミラン

文化帝国主義/ジョン・トムリンソン



★★★★

文化帝国主義批判への深い洞察

文化帝国主義または帝国主義についての短絡的な批判やイデオロギーありきの批判が多い中、
本書は問題とすべきものは何か、について丁寧にかつ深く洞察しています。
本書の内容を知ることで、底の浅い言説に振り回されずに済むのではないかと思います。

ただ、本書が本質的な問題を特定することに専念していること、
また、原書初版が1991年であり未だグローバリゼーションに移行し始めた時期であること、
から、これからのグローバリゼーションとどう向き合うかについては書かれていません。
これについては続編である「グローバリゼーションー文化帝国主義を超えて」を読まれることをお薦めします。

なお、訳者あとがきは、せっかくの著者の洞察を矮小化しているためお薦めできません。

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