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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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喜びはどれほど深い?/ポール・ブルーム



★★★

「喜び」についての最先端の心理学

本書は、人間が抱く様々な「喜び」について、
その裏には、この世の森羅万象には、人間が見た目ではわからない本質が宿っていること、
その本質を追求することが「喜び」の根源である、という説を、
最新の実験や理論を含め、様々な角度からの心理学的な知見を紹介することで、紹介しています。

心理学にしても脳科学にしても「喜び」についての研究は、「恐れ」「疾患」の研究と比べると少ないですので、
このような本が出版されること自体に価値はあると思います。

ただ、ふんだんに知見を盛り込んでいますので、核となる結論があまり見えてきません。
本書でも登場する、スティーブン・ピンカーやリチャード・ドーキンスのような切れ味がないように思えます。
「喜び」についての研究が黎明期であるからか、
切れ味の良い書籍が結論ありきだからか、
著者の文章構成力が今ひとつなのか、
私の読解力が足りないからか、
理由はわかりませんが、「これだ!」というものが見つけられませんでした。

「喜び」についての様々な知見を知りたいと思われる方々にとっては良い本だと思いますが、
骨太の結論を苦労せずに知りたいと思われる方々にはおすすめできません。

思考する言語/スティーブン・ピンカー



★★★

言語学の本

本書は、スティーブン・ピンカーの言語学領域での3部作(内1作は邦訳なし)の3作目であると共に、進化心理学領域での3部作の3作目という位置づけのものです。

私は、ピンカーの進化心理学分野での新たな知見を得たくて本書を読みましたが、残念ながら特段新たな知見は見いだせませんでした。

前2作「心の仕組み」「人間の本性を考える」では素晴らしい切れ味で進化心理学を解説していましたが、本書ではそれがありませんでした。

言語学・進化心理学の両方を著者自身が集大成しようとしたのだとは思いますが、それであるが故に内容がかなり散漫になっていると思います。

なお、言語学における本書の位置づけや価値についてはまったくわかりませんのでレビューは差し控えたいと思います。




心は遺伝子の論理で決まるのか/キース・E・スタノヴィッチ



★★★

人間科学全般における認知科学の位置づけへの試み

リチャード・ドーキンスやダニエル・デネット、スティーブン・ピンカー等の提唱する進化理論・遺伝学に基づく人間の本性を前提としたうえで、著者の専門領域である認知科学をどのように位置づけるのが適切か、を解説した本です。

人間を取り巻く2種類の利己的な複製子である遺伝子とミーム(様々な情報、文化や宗教を含む)の利益に囚われずに、人間個人として利益を得るためには、認知科学が領域とする合理的な思考を働かせることが大事である、と解いています。

また、その合理的な思考も既に決まったことを効率的に行うための合理的思考(IQテストに代表されるようなもの)だけでなく、何が重要か・そもそも何をすべきか、といった価値観を考えるための合理的な思考が大事であり、後者は巷ではあまりにも軽視されていることから、これらを積極的に養っていくことが大事だとしています。

人間科学全般における認知科学の位置づけとしては、大枠としては納得できる内容となっています。


但し、認知科学の重要性を強調したいあまり(著者も認識していますが)、進化心理学等の他の領域を軽視したり矮小化したりする表現が随所に現れており、このあたりは注意する必要があるでしょう。

また、利己的な遺伝子の目的を生殖だけに限定しすぎており(これ自体は重要な目的ですが)、生殖のための個体の生存・維持・競争や、子孫への愛情・育成等、それに向けた活動についてはあまり触れられておらず、どこまで遺伝子由来の活動に個体を委ねるのが適切なのか、どこからが委ねるべきでないのか、についてはほとんど触れられておらず、認知科学と進化心理学との具体的な境界に対する説明がありません。

更に、情動や感情等、人間が無意識かつ制御できないものについての解説がほとんどないため、これらの重要性が認識されないまま合理的思考の重要性を訴えていますので、感情と思考との葛藤についての解説や、葛藤から生じるストレスの大きさについても解説されていません。感情心理学やそれを裏付けるアントニオ・ダマシオやジョセフ・ルドゥー等が研究している脳科学をもっと取り込む必要があるでしょう。


とはいえ、どの学問領域でもそうなのですが、研究者自身が身を置く領域を超えて諸領域を統合したり、関連付けたりする学者はそれほど多くはないですので、本書は上述した部分はありつつも、有益な書籍だと思います。


なお、本書で登場する様々な人間科学の学問領域について、著者はそれなりにわかりやすく書いてはいますが、それでもそれらの領域について接点のない方には理解するのが容易ではないと思います。従って、上述した学者の書籍を読まれてから本書を読むことをお薦めします。


進化発達心理学/D・F・ビョークランド等



★★★★★

2つの心理学領域の融合による、人の本性についての重厚な理論

自然科学においては当然視されている進化理論に基づいて、ヒトという種がどのように進化して現在に至っているかを説明する進化心理学(スティーブン・ピンカーなど)と、個々のヒトが生まれてから成人になるまでにどのように発達していくのかを説明する発達心理学が、見事に融合しています。


発達心理学については、私自身不勉強でしたので、あまり知識がなかったのですが、これほど進化心理学と上手い形で融合するものだとは思っていませんでしたので、先ずそのことに驚きました。

よく考えてみれば、発達心理学は、ヒトが成長していく過程の特定の時期において特定の領域が発達することを解き明かしていますので、進化理論と整合するのは、当たり前のことでした。


本書での発達心理学では、進化心理学が説明していない、ヒトが成長していく過程そのものが進化の淘汰圧を受けていること、またその成長過程によって子孫を残せるかどうかに影響し、それが進化に影響を及ぼすということを説明しています。

従って、ヒトの進化という観点において、またその結果としてのヒトの本性とは何か、という観点において、進化心理学と発達心理学は互いを補完し合っていることになります。


また、進化発達心理学の観点からは、ヒトの性格や能力について個性が生まれ多様化し、その生まれ持った個性が環境を選び、個性と環境が相互作用することで、より個性化していくことは当然のことになります。

従って、この観点からはマット・リドレーが提唱している「生まれは育ちを通じて」は肯定されますので、「生まれか」「育ちか」という両極の理論は却下されます(但し「生まれ」論者の中で環境の影響を否定している人はおらず、むしろ「育ち」論者の中に進化や遺伝子の影響を否定している人が多いようです)。


更に、進化発達心理学の観点からは、人の知能はある時期における環境への適応によって、幾つもの知能がそれぞれ淘汰圧により生き残り現在に至っているのも当然のことになります(領域固有の知能)。

従って、この観点からはヒトの知能は複数であり、ハワード・ガードナーが提唱している「多重知能」は(知能として特定されたものや、その数についての議論はともかく)肯定されます。

これによって、知能は一つしかないという理論(これであらゆる思考が可能であるとされている知能、領域一般の知能)そのものは否定されますが、領域一般の知能そのものは、領域固有の知能とは別建てで一つの進化の産物として存在することは肯定されています。


なお、惜しいのは、脳科学や神経科学の知見があまり盛り込まれていないことです(多少は出てきますが)。

アントニオ・ダマシオやジョセフ・ルドゥーといった、脳科学・神経科学の最新の知見を最大限に盛り込むと、進化発達心理学は更に充実したものになると思います。

進化心理学入門/ジョン・H・カートライト



★★★★

入門書として適切

進化心理学として基本的なテーマは載っていますので、入門書としては適切だと思います。

進化心理学は、進化理論をベースとして、
人の心(脳と身体と環境の相互関係)のありようは何らかの進化過程でえられたはずだと仮定して、
心理学の断片的な仮説や実験結果を進化というキーワードで統合しようとするものです。

従って、進化心理学をより知りたい方は、進化理論を学習しておいたほうがより理解しやすいと思います。

本書でも多少触れられていますが、本書の量では進化理論を懇切丁寧に解説することは無理でしょうから、
別の書籍を読まれることをお薦めします。
まずはリチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」がいいと思います。

また、本書はタイトル通り入門書ですので、より興味を持たれた方には、
スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」をお薦めします。

ミーム・マシーンとしての私/スーザン・ブラックモア



★★★★★

すごい仮説

社会科学の分野において、これだけ自然科学の知見を踏まえつつ、大胆な仮説を提唱したものは知りません。

ミーム学という領域を作ることで、
進化理論を社会科学に当てはめることで現象面に囚われがちな社会科学の知見を根本から見直すとともに、
遺伝子進化に全て還元してしまいがちな社会生物学・進化心理学にも限界があることを突きつけています。

更に、ミーム学の法則を用いて究極の問いである「自己とは何か」にまで展開していることで、既存の哲学にも挑戦しています。

ベースに進化理論・脳科学・複雑系理論があることが、この仮説のもっともらしさを増幅していると思います。
この仮説の正しさは更なる研究をしないと検証されないと思いますので、是非研究を続けて欲しいと思います。

ただ、従来の社会科学者からは反発を受けるでしょうし、自然科学者からも反発を受けるかもしれません。
真理を見つけようとすることからの反発ではなく、
自説というミームを葬り去られることへの恐れからの反発だと思いますが。

リチャード・ドーキンス、ダニエル・デネット、スティーブン・ピンカーを読んで興味を持たれた方には必読書です。
また、「ダーウィン文化論」を読んですっきりしなかった人にもお薦めです。

著者解説(wiki):スーザン・ブラックモア

ダーウィン文化論/ロバート・アンジェ等



★★★

百花騒乱

ミーム全面肯定からミーム全面否定まで様々な理論が並んでいます。
ミームに対する各学者の考え方を垣間見るにはいい本です。
ただ、ミームという概念を踏まえたうえでの理論は、スーザン・ブラックモアだけであり、
他の学者は自己の学問分野を前提としたうえでミームを見ていますので、
ミーム論の解釈論文集にはなっていません。

ですので、リチャード・ドーキンスが唱えた自己複製子としてのミームの発展系を理解するためには、
あまり役立ちません。

ですので自己複製子としてのミームの発展系を理解したい方は、
ブラックモアの「ミーム・マシーンとしての私」を読まれることをお薦めします。

人間の本性を考える/スティーブン・ピンカー



★★★★★

進化心理学っておもしろい

「ブランクスレート」「高貴な野蛮人」「機械のなかの幽霊」という
育ち論者、環境論者、行動主義者らの社会科学系からでてきた人についての
妄想を木端微塵にしてくれています。

しかし、これほどの科学者が、上記の妄想を論破するために本書を書くという
労力をかけなければならない状況とは一体なんなんだろうか。
昨日の新聞でも、「インテリジェント・デザイン」という、
人は何らかの知的な存在によって作られたという説を
学校の教科書に載せる・載せないで議論しているようです。

どんな宗教を信じる・信じないは個人の自由ですが、
それを科学の世界に持ってくる事の危険性を感じます。
宗教は偉大な文化だと思いますが、
科学はそれからは完全に守られた状況で事実を解明することに集中すべきだと思います。
当然、科学の力を利用する際には、善悪を含めて様々な観点から慎重を期すべきですが、
それは科学が新たな領域を見つけたあとに行うべきでしょう。

上中下3巻セットあわせて必読書です。

なお、進化理論について興味を持たれた方には以下の書籍がお薦めです。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」「延長された表現型」「盲目の時計職人
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」「ゲノムが語る23の物語」「徳の起源」「赤の女王
ニコラス・ハンフリー「喪失と獲得

著者解説(wiki):スティーブン・ピンカー

心の仕組み/スティーブン・ピンカー



★★★★★

認知科学と進化理論の統合

心理学の世界では、フロイトの精神分析、スキナーの行動科学を経て認知科学まできて行き詰っています。
認知科学は、1980年代に認知革命が起きましたが、
(ハワード・ガードナー「認知革命」を参照)
なぜ人はその認知機能を持つのか、どのような構造で認知するのか、
ということは認知科学でも解明できませんでした。

そこでピンカーが登場します。
ピンカーは進化心理学者として認知科学と進化理論を統合し、
人の心がなぜ今のようになったのか、の解明に挑戦しています。

相変わらずのユーモアを交えた文章でわかりやすくかつ深く解説しています。

また、この世界に入り込むと進化理論・遺伝学・脳科学をある程度知っておかないと理解しにくいところがあります。
以下の書籍をお薦めします。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」など(進化理論)
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」など(遺伝学)
アントニオ・ダマシオ「感じる脳」など(脳科学)
ジョセフ・ルドゥー「シナプスが人格をつくる」など(脳科学)
ダニエル・デネット「自由は進化する」など(科学哲学)

上中下巻セットです。
文庫化により上下巻になりました。

著者解説(wiki):スティーブン・ピンカー

言語を生みだす本能/スティーブン・ピンカー



★★★★★

本能としての言語獲得機能

言語の獲得が人間の本能として、脳内に組み込まれていることを、
ユーモアを交えながらわかりやすくかつ深く解説したものです。
ゲノムメカニズムが脳内配線を大まかに決め、幼少期、成長期を通じて、
言語の獲得・活用に関する脳内配線が決まるというものです。
従って、大人になってからの外国語の習得が難しいこと、
外国語の習得・活用は母国語と異なる脳内配線を使うこと、
が本書で詳しく解説されています。

言語といえば、ノーム・チョムスキーですが、
ピンカーはその弟子でありながら、チョムスキーを超えた理論を展開しています。

進化心理学者であるピンカーは、本書を皮切りに、
進化理論をベースとして人間の本性に迫っていきます。
心の仕組み」「人間の本性を考える」も併せて読まれることをお薦めします。

著者解説(wiki):スティーブン・ピンカー

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