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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

心の起源/D・C・ギアリー



★★★★★

これぞ人間科学!

人間に関する様々な科学書をこれまで読んできましたが、やっと「人間科学」といえる本に出会うことができました。


本書は、人間に関する様々な科学(社会心理学、心理学、脳科学、神経科学、遺伝学、進化学)のこれまでの知見を統合し、1つの筋の通った体系を構築しています。

また、心理学においても、知能、認知、発達、感情等の、これまで各分野でバラバラに研究・発表されてきたものが本書で統合されています。

更に、本書で採用されている知見についても、理論に留まるものなのか検証されているものなのか、また相当検証されているのか検証が未だなりないのか、という事実整理もなされたうえで登場します。

そして、これらを裏付ける膨大な参考文献(一覧にして約70ページ)が掲載されています。

そのうえ、淡々と知見を提示しながら、わかりやすい進め方で書かれているので、(時間はかかりましたが)ストレスなく読むことができました。


分野によっては取り入れる量が少ないな、と読みながら思うことはありました(感情・情動のメカニズム、芸術を生み出す知能など)し、各分野の最先端で研究されている方からすれば、足りないところはあると思います。
それでもここまでの分野を統合して見せてくれる書籍はほどんどありませんので、マイナス評価するほどのものではありません(複数分野を統合したものとしては、ハワード・ガードナー「認知革命」、D.F.ビョークランド&A.D.ペレグリーニ「進化発達心理学」など)。

今後の人間科学の研究によって大きな発見はまだまだあるのでしょうし、それによって本書の体系も修正される可能性はあるでしょう。しかし、現時点では時間軸(進化的な視点)でも空間軸(人間そのもの)でも最も広範な領域を体系化した書籍であることは間違いありません。


あと、知能に関する文献が、日本語のものでは物凄く少ない状況下で、知能についてかなりページを割いて解説しているのも、私にとっては収穫でした。


人間を科学的に理解したいという方には、本書で体系を押さえた上で、各分野のより深い知見に触れることで、全体像を押さえつつ特殊領域を知るという、バランスの取れた学習が促進されると思います。
  1. 2009/04/21(火) 17:14:55|
  2. 神経心理学
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幸せはいつもちょっと先にある/ダニエル・ギルバート



★★★★

人間の脳が如何にいい加減かがわかる

人間の脳が如何にいい加減なものかを、心理学だけでなく脳科学や哲学の知見も交えながら解説しています。

人間の脳の使い方を過去(記憶)、現在(知覚)、未来(想像)という時間軸で整理したうえで、
人間の現在に対する知覚は知りたいことしかインプットしないこと、
そのうえで、
人間は無意識に現在の知覚を使って記憶を捏造すること、現在の知覚を前提としてしか未来を想像できないこと、
過去や未来に対する感情は現在の感情に引きずられ、実際の過去や未来の時点で生じる感情とは異なる感情を想起すること、
など過去や未来が如何に現在(しかもいい加減な知覚)に依存して考え感じるものであるかを説明しています。

時間軸で人の脳を捉えて解説していること、また認知と感情を併せて解説していることから、非常にまとまったものになっています。

更に文章が簡潔で、事例も豊富に取り入れていますので、理解しやすいものになっています。


ただ本書は「人間の脳はどうなのか」についての本ですので、これらのいい加減な現実を踏まえて「ではどうすればいいのか」についてはほとんど述べられていません。

また本書は「人間の共通性」を前提として書かれていますので(本書でも念押ししています)、「人間の多様性」を踏まえて、何がどれほど個人差があるのか、についても述べられていません。

更に参考文献が一切掲載されていませんので(原書もそうなのかどうかはわかりませんが)、何故このような展開になったのか、どんな知見をベースとしたのか、についても分かりません。


上記のような要望はあるのですが、それでも「人間の脳が結構いい加減」であることを理解するためには、またいい加減であることを前提に記憶・知覚・想像を上手く活用していくためには、有益な本だといえます。

  1. 2008/09/01(月) 12:39:32|
  2. 神経心理学
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脳と無意識/フランソワ・アンセルメ



★★★★

精神分析と神経科学との接点

シナプスの可塑性という科学的な知見をベースとして、
精神分析(主としてフロイト)と神経科学(主としてダマシオ)との間に接点を見出すことで、
両者のこれまでの知見を統合しようとする試みです。

本書で両者が完全に統合されているわけではありませんが、
このような試みがなされること自体が有益なことですし、
脳科学・神経科学の更なる進展により、より深く広く接点を見出す試みが増えていくと思います。

なお、少なくともフロイト・ダマシオのいずれかについての知識があったほうが、
より理解しやすくなると思います。
  1. 2008/03/03(月) 18:36:21|
  2. 神経心理学
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脳と心的世界/マーク・ソームズ等



★★★★★

精神分析と神経科学の統合に向けて

本書の価値は、これまで精神分析と神経科学の分野で別々に研究されてきた知見を統合しようとしていることにあります。
このような試みは、本来行われてきて当然のことでしたが、近年まで互いに反目しあってきたことから、ほとんどありませんでした。

本書で取り扱われている神経科学の内容については、
ダマシオ、ルドゥー、ラマチャンドラン等の書籍を既に読まれている方にとっては、目新しいものはありません。
更に、精神分析ではあまり扱っていないと思われる分野(脳とゲノムとの関係など)には深く入り込んではいません。
しかしながら、これらの第一線の神経科学の研究者の知見を精神分析の世界と統合していること自体が素晴らしいことだといえます。

また、参考文献も豊富に記載されており、両分野を更に学ぼうとされている方にとっては有益なものとなっています。
  1. 2008/03/03(月) 18:23:21|
  2. 神経心理学
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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