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Rising Sun

Author:Rising Sun
日本を愛するリヴァタリアン
倉山塾生・江崎塾生

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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シロクマのことだけは考えるな!/ 植木理恵



★★★

わかりやすいのだが、一般向けだからか内容が薄い

一般読者向けに、著者が人生を上手く送るために重要と考えた領域(元気になる、頭が良くなる、人との関係を上手くする)において必要と考えた心理学の知見(但し認知心理学、記憶心理学のみ)を実践を前提としてわかりやすく解説しています。

わかりやすく試しやすいものになっていますので、心理学を活用して生活をするという点についての入門書としてはいいと思います。


但し、ある程度心理学を学ばれた方であれば、何故様々な知見が沢山あるなかで本書に載せた知見だけを選んだのか、何故同じ状況下でも人には相反する心理が生じるのに一方だけを選んだのか、何故複雑な状況下で複数の知見が同時に使われるべきところに知見の一つだけを紹介しているのか、何故他者との複雑な相互作用がなされるはずの状況下で一方の当事者の視点だけで済ましているのか、などなどいろいろと疑問が出てくる内容でもあります。

従って、これらを活用することでましにはなるでしょうけれど、これだけで上手くいくわけでもありません。


更に、「心理学専攻の大学生程度の知識」が本書で得られると著者は述べていますが、逆に心理学専攻の大学生が得る知識はこの程度でしかないのか、とも思わされました。

カリキュラムがそうなっているのか、著者が学生をその程度に見ているのか、学生の能力がその程度なのか、たまたま著者の経験がそうだったのか、定かではないのですが。。。


人間この信じやすきもの/トーマス・ギロビッチ



★★★★

人は如何にいい加減かがわかる

人が如何にいい加減であり、事実でないものを信じやすいか、について心理学の立場から深く解説しています。

何のつながりもないところに因果関係を勝手につくってしまう、わずかな情報だけから全てを知った気になってしまう、思い込みで物事をみてしまう、欲しくないものより欲しいものをみてしまう、自分自身を過大評価してしまう、など、人間が如何に偏った存在かがわかります。

また、これらの特性が一般の人たちに限ったことでなく、専門家でも(心理学者でも)十分に起き得るし、実際に起きていることも事例を通して解説しています。

更に、これらの偏りがマスメディア等の偏った情報発信によって更に歪められていることも指摘し、情報収集のあり方について警告も発しています。

なお、原著初版が1991年ということもあり、その後の脳科学・神経科学の発展により、著者が保留していたことがら(上記の偏った存在が、認知的なものなのか<大脳皮質>、動機的なものなのか<辺縁系>など)について、結論がでているもの、でそうなものがあります。


経済は感情で動く/ マッテオ・モッテルリーニ



★★★★

行動経済学から神経経済学へ

本書は、近年かなり注目されてきている行動経済学(市場では人が合理的に考え、行動するはずだという経済学のモデルを、心理学等の知見で修正している学問)について、わかりやすく解説しています。

掲載されている様々な知見そのものは、これまで他の行動経済学の書籍等で発表されているものが多いのですが、クイズ、解説、用語説明を上手く組み合わせていますので、非常にわかりやすいものになっています。

行動経済学を更に知りたい方には、以下の書籍がお薦めです。
リチャード・セイラー「セイラー教授の行動経済学入門」
トーマス・ギロビッチ「人間この信じやすきもの」

また、最近の脳科学・神経科学の発展に伴って、この分野は心理学だけでなく脳科学・神経科学との共同研究も進んでいるようであり、それらの知見もかなり盛り込まれています。

行動経済学において提示されている理論を自然科学の知見も使って解説していますので、人が何故そのように考え、行動するのか、についてより納得できるものになっています。


日本の「安心」はなぜ、消えたのか/山岸俊男



★★★★

安心社会と信頼社会の違い

日本は安心を得るために集団を形成し、その秩序を守ることで秩序に守られてきた。集団の秩序に依存してきたが故に、自らの力で安心を築き守る術を磨いてこなかった。従って、世の中が開かれ、様々な人たちの交流が盛んになり、特定集団の秩序が意味を失っていくなかで、安心が崩壊した。昔に戻ることはできないので、これからは個人が人とのつきあいを試行錯誤しながら、その力をつけ、個人対個人で形成される信頼社会を築かなければならない。それは江戸期の武士の論理ではなく、商人の論理が参考となる。

本書の概要は上記のようなものです。

また、ゲーム理論、壊れ窓理論、等の様々な理論を駆使して展開していますので、社会心理学を学ぶうえでも役に立ちます。


ただ、文化心理学との折り合いが悪いのか、文化心理学の知見を一蹴しているのが気になります。

著者は日本の安心社会は文化ではなく、集団で生じる誤謬としていますが(自分は個人主義だが周りが集団主義なので集団主義っぽく振舞っている、という調査結果を踏まえています)、文化心理学や文化人類学からは当然反論が起こるのでしょう。何が事実なのかはわかりませんが、この辺りはもう少し掘り下げられるとスッキリします。

あと、米国は個人が人とのつきあいを試行錯誤しながら、その力をつけ、個人対個人で形成される信頼社会であるとしています。そしてこの米国の社会と日本の安心社会を比較しながら解説しています。これについてはステレオタイプだという反論が起こるのでしょう。これらが両極であるか否か、これらが二者択一のものであるか否か、については、他の国々も比較しながら検討していく必要があるのでしょう。


多文化世界/ヘールト・ホフステード



★★★★★

国別の文化の違い

IBMの全世界(50カ国以上)のオフィスを対象として国別の文化の違いを抽出した本です(原著初版1991年)。

上記の調査結果と、関連する様々な調査結果を踏まえて、以下の4つの次元で国別の文化の違いを表すことができるとしています。

・権力格差の大きさ(日本は中程度)
・個人主義⇔集団主義の程度(日本は中程度)
・男性らしさ⇔女性らしさの程度(日本は最も男性らしさが高い)
・不確実性の回避の強さ(日本は高程度)

また上記視点が西洋的であり、東洋的な視点が欠けているのではないか、として、別の調査によって以下の次元も抽出しています。
・徳の高さ(日本は高程度)

更にこれらの次元を組み合わせながら、国毎の特徴を整理しています。

そのうえでマズローやハーツバーグ等の欲求理論について、文化が異なる国では欲求因子の重要性は自ずと異なるとし、彼らとて自身の属する文化の影響を強く受けていることを指摘し、闇雲に活用すべきではないと警鐘を鳴らしています。


加えて、組織文化についても解説しています。

組織文化については、別の調査によって以下の6つの次元を抽出しています。

・過程志向⇔結果志向
・社員志向⇔仕事志向
・所属主義的(組織に存在理由)⇔専門的(職種に存在理由)
・開放的⇔閉鎖的
・コントロールが緩い⇔きつい
・現実主義的⇔規範的

またこれらの次元の内、組織モデルそのものに起因する要素が、ミンツバーグの提唱したマネジメント理論における要素と整合していることを見出し、大きくアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国の文化の特徴によって類別できることを指摘しています。

更に組織文化を変革する際の留意点を指摘しており、昨今の企業変革に活用できる知見も提供しています。本書には引用されていませんが、エドガー・シャインが提唱している組織文化変革の方法に近いものがあります。

但し、国別の文化の多様性が価値観の違いであるのに比べて、組織別の文化の違いが価値観が生み出す慣行の違いであり、組織間の違いは表層的なものである、と結論付けていることについては、組織間の違いを過小評価していると思われます。

以下のような企業のの生成過程が調査に盛り込まれていないので、次元として現れてこなかったのだとも思えます。

・価値観と慣行は一方通行ではなく、価値観が慣行を生むと同時に、慣行が価値観を生むことはありえるでしょう(慣行が価値観を生まなければ組織のハード面を変えても文化は全く変わらないことになる)。

・国別の文化多様性が上記次元で説明できたとしても、それはあくまでも一般的なものであり、その国に住んでいる人たちの個人差は十分にあり(例えば、IQの分散は、人種間の違いよりも人種内の個人差の方が大きいという研究結果がある)、企業が人を採用・評価する際には自分たちの文化に適合する者をより優遇することから、同じ国、同じ文化においても企業間で文化が異なることは十分にありえるでしょう。

・組織は市場競争下において独自化・差別化しようと必死になっていますので、競争相手と違うことを少しでも行おうとし、その結果として文化が異なってくることも十分あり得るでしょう。

・また最近のM&Aにおいて、同一国内・同一産業内においても、成否を決める重要な要素の一つに文化の不整合が挙げられていることから、確実に文化差はあるでしょう。

著者が述べているように、組織別の文化差は国別の文化差よりも小さく、また組織別の文化差は、年齢・学歴・性別の違いが大きい、ということは確かにあるのでしょうが、上記からは更に様々な違いが出てくるでしょう。


以上のように、組織間の文化の違いについては課題と思われるものがあるものの、国別の文化の違いについては、非常に有益な視点を与えてくれますので良書であることには間違いありません(ので、評価は下げませんでした)。

セイラー教授の行動経済学入門/リチャード・セイラー



★★★★

行動経済学分野の貴重な書籍

原著初版が1992年、邦訳初版が1998年と、この分野の発展を考えると古さは否めないと思いますが、
カメレール、カーネマン等のこの分野での著名な学者の訳書が出版されていない状況下では、
貴重な一冊だといえます。

経済学の主要な領域でかつ、日常的に接する領域について、
従来の経済学での捉え方と行動経済学としての捉え方の比較をしながら、
人間の本性や心理を経済学に取り入れることが如何に重要であるかを教えてくれます。
但し、各領域ごとの解説ですので、行動経済学としての理論体系の全体像はあまり見えてきません。

あと、今回の改題新版では原書注や引用文献は一切省かれています。これは減点要因です。
広い層の読者の関心が理由とのことですが、本書を契機に知識を深めようとする読者にとっては迷惑です。
原書注、引用文献を確認しながら読みたい方は、旧書「市場と感情の経済学」を読まれたほうがいいと思います。

行動分析学入門/杉山尚子等



★★★

行動分析学をしっかりと学べる本

行動分析学、行動科学という学問を知りたい方には必読書です。
当学問で使用される用語・定義・使用例などがぎっしり詰まっています。
人の行動の最も表側についての体系を論理的に整理しています。
いい加減な心理学の本を読むのであれば、こちらをお薦めします。

但し、行動分析学・行動科学は人間の最も表側のみについての体系ですので、
その内側については何も教えてくれませんし、何も踏み込んでいません。

行動分析学・行動科学は重要な学問ですが、
それだけで人間を全て理解したつもりになると危険です。

また未だ発展途上ではありますが、
人間の内側については以下の学問が研究を重ねています。
・心理学
・脳科学
・神経科学
・細胞学
・遺伝学
・物理学
・進化論
・哲学

これらを統合しなければ人は理解できません。(それでも理解できないかもしれません)

行動分析学・行動科学を使われる方々は、
上記学問があることを厳に受け止めたうえで活用してください。

パフォーマンス・マネジメント/島宗理



★★★

刺激と反射の科学

行動科学の書籍としては、コンパクトに重要なエッセンスが盛り込まれているので、日常的に活用できると思います。

しかし、行動科学という学問自体は、すでに支持されていないようです。勿論、正の強化・負の強化・消去・罰といった介入方法など、使えるものは数多くあります。ただ、それが「何故か」ということについて、行動科学は全く明らかにしていません。やみくもに使うと「効かないのは相手が悪い」という発想が出てくる懸念があります。

すでに、80年代に認知革命がおきたときに行動主義が否定ないしは大幅な修正がかかり、その認知革命でさえ、最新技術(fMRI、PETなど)による脳科学、神経科学で塗り替えられ始めています。

本書を活用される際には、人についての「何故」が未だ解明されていないことを前提として使われる事をおすすめします。


人間性の最高価値/A・H・マズロー



★★★★

一流の心理学者の凄さと限界

今でこそ、人間を研究する際には、脳科学・神経科学・生物学・遺伝学等の自然科学系の知見を活用することは当然のことですが、
本書出版時(原著初版1971年)に、既にこれらを織り交ぜながら人間を研究していたこと自体が凄いといえます。
当然、この時代の人間に関する自然科学は今とは比較できないほど未発達でしたので、
本書に出てくる知見は未発達な内容ではあります。
しかし、それらを駆使して展開している内容が、アントニオ・ダマシオらの最新知見とそれほど本筋で異なっていないことが、また凄いことです。

但し、いかにマズローといえども、対象が個人ではなく社会になってくるとアラが見えてきます。
人が生きていくために必須である経済や市場については、本人が門外漢だからか全く触れられておらず、
従って、これら抜きで展開しているマズローの理想的な社会については、現実離れしているといわざるを得ません。
このあたりについてはハイエク等の人間社会を見据えた経済学者の理論の方が遥かに優れているといえるでしょう。
ただ、ここまで心理学者に求めるのも酷ですので、割り切ってしまえば、やはり良書です。

著者解説(wiki):アブラハム・マズロー

行動経済学/友野典男



★★★★

わかりやすい行動経済学入門

従来の経済学は、人間を完全合理的な存在として扱っています。
なぜなら、その方が経済学の分野で物理学のような美しい法則を作りたいからです。
そのために、得体の知れない人という要素を変数から除外しています。

経済は人のためにあり、経済学は人が経済面で幸せになるための学問だと思います。
しかし、従来の経済学は違います。

本書は、近年ようやく経済学で着目されてきた行動経済学についての入門書です。
実際にビジネスをやっている人にとっては当たり前のことが、ようやく学問として取り組まれるようになりました。
今後、より人の特性を組み込んだ経済モデルの研究が促進されることを切に願います。


なお、複雑な環境下で人が合理的に意思決定することは容易でないことは十分に確認されています。
ロバート・アクセルロッド「つきあい方の科学」「対立と協調の科学」をお薦めします。
また、「感情が重要であることは脳科学の分野でも解明されてきています。
アントニオ・ダマシオ「感じる脳」をお薦めします。

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