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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

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CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見/ジェニファー・ダウドナ



★★★★★

ゲノム編集技術がここまで発達していたとは知りませんでした。

遺伝学については、エピジェネティクスまでは把握していて、
出来るだけ最新の知見を追いかけているつもりでしたが、
ゲノム編集技術がここまで発達していたとは知りませんでした。
追いかけている知見の視野の狭さを実感しました。

この技術はある種の革命をもたらしそうですね。
限界はあるものの、現在遺伝性の病気で苦しんでおられる方々にとっては福音となるでしょう。
これまでの治療法と比べて、確実度が高く、治療自体も負荷が少なく、コストも安く済むのですから。

ただ本書で著者が訴えているように、革命的な技術には必ずダークサイドがついてまわります。
治療を超えて遺伝的な改造を施すことへの危険性が既に問題視されています。
既にチャイナの研究所がこれに手をつけているということに、
アメリカの諜報機関が警鐘を鳴らしている理由もよくわかります。

願わくば、せっかくの技術なのですから平和的・倫理的に限定して、
活用され、その枠内で更なる技術革新を起こして欲しいものです。

日本人の遺伝子/一石英一郎



★★

遺伝子雑学の本

日本人について遺伝子レベルで深く掘り下げた本だと期待して購入しましたが、
内容は遺伝子雑学といったものでした。

脳はいかに意識をつくるのか/ゲオルグ・ノルトフ



★★★★★

ついに「意識」「自己」が自然科学の領域に入ってきました

久しぶりに読み応えのある自然科学の本に出合うことができました。

本書は、神経科学者・哲学者・精神科医という、
脳と心についての3大領域を一人で兼ねている著者によるものです。

これまでの脳と心の研究については、これらの各領域がバラバラに活動していたため、
それぞれの領域での目的・手法に制約された命題・仮説・検証が繰り返されてきていました。
しかし、脳と心についての真の研究と解明のためには、
これらの領域を横断したうえで、それぞれの知見が統合されることが不可欠なのですが、
これまでそのような試みはなかなかなされず、また上手くいっていませんでした。

また、脳科学・神経科学に限ってみても、
「意識」「自己」については、なかなか上手く踏み込むことはできず、
これらの用語を冠する書籍でも、踏み込みが浅かったり、周辺領域に留まったり、問題をすり替えたりという状況でした。
更に、「意識」「自己」について、
脳の特定領域に還元できず、還元できなくなると複雑系理論の創発性でごまかしたりしていました。
そして、自然科学の性ではあるのですが、
客観性を担保するために「意識」「自己」が本来持つ主観性を軽視・無視してきました。


本書は、上記のように神経科学・哲学・精神科医のタイトルを有する著者が、
それぞれの領域の知見を活かしながら領域横断的に取り組み、これらの領域を統合させています。
また、脳科学・神経科学の上記のようなこれまでの研究とは異なり、
真正面から主観的な「意識」「自己」について、踏み込んでいます。


超要約すると、
「意識」「自己」は、
脳内にある(ので脳とは別に「心」という概念を設定する必要はない。「心脳問題」は的外れ)
脳内の特定の場所に還元できるのではなく、遺伝子-脳-世界との関係・バランスから生じる
脳の表層的な機能ではなく、脳の基盤的な機能である「安静時脳活動」と深くかかわっている
脳内に時間と空間をつかさどるシステムがあり、それがアイデンティティ(1つの連続した自己)を生み出す
(もっと深く何度も読み込めば、もっとまともな要約ができると思いますので、再読を繰り返して精査していく予定です)

素晴らしいことに、著者の本書によって、ついに「意識」「自己」が自然科学の領域に本格的に入ってきました。

一方で、本書内で「未解明」とされる命題が少なくありませんが、
これは著者が誠実な科学者であることの証だと思っています。
少なくとも持論に浮かれて仮説レベルのものを事実と断定してしまう科学者よりはよほど誠実です。

なお、本書では「意識」「自己」の解明のために、うつ病、統合失調症の症例を詳しく説明しています。
いずれの疾患も本書を読むことで、理解が深まりました。
ですので、「意識」「自己」の自然科学での知見に興味のない方でも、
これらの疾患に感心がある方は、読まれるとよいのではないかと思います。

世の中では、これらの疾患に対する誤解や偏見、差別が少なくありませんし、
誰がいつこれらの疾患にかかってもおかしくありませんので、
正しい知識は得ておいた方がよいのではないかと思います。

また、すでにこれらの疾患にかかっておられる方も、
読書ができる状態であれば、一読されることをお勧めします。
ただし、容易に読める本ではありませんので、
読書ができるような状態でない方は、無理して読まないでください。
知識を得るよりも症状を悪化させない方が遥かに重要ですので。

意識と脳/スタニスラス・ドゥアンヌ



★★★

無意識から意識に変わる瞬間の実験結果

『意識』という言葉は様々な意味にとれますが、
本書では無意識と比較した意識に絞り込み、
無意識から意識に変わる瞬間に脳のどこがどのように機能しているのか、
について豊富な実験に基づいて解き明かしています。
意識のこの部分については本書で挙げられた実験結果によって脳に還元できると思われます。

この観点に興味のある方にとっては貴重な内容なのだと思います。

しかし、『意識』を、私とは何か、また私という感覚はどこからくるのか、
という哲学者等が延々と議論してなお解決に至らない本筋と思われる課題については、
本書はほとんど対象としていません。
最終章で若干触れていますが、目新しいものではありませんし、実験はなされていません。

また、意識のコンピュータによる再現(=AI)というホットな話題については、
ほとんど根拠のない楽観的な意見のみです。

こちらの意味での『意識』に興味がある方にとっては有益な情報はほとんど得られません。
私はこちらの意味での『意識』に興味がありましたので、評価を下げています。
本書のテーマが事前にわかっていたら読んでいないと思います。

とはいえ、あくまでも実験を重ねて事実を見出すという科学者としてあるべき姿勢を貫いていること、
またこれで『意識』の残された謎が少し絞り込まれたこと、
更に本書で挙げられた実験結果の医学への貢献は少なくないと思われますので、
その分評価は上げています。

なお、「意識」「自己」についての2017年時点での自然科学における知見は以下の書籍から得ることができます。
脳はいかに意識をつくるのか
神経科学・哲学・精神医療を横断して「意識」「自己」に迫っている素晴らしい本です。

誰もが偽善者になる本当の理由/ロバート・クルツバン



★★★★★

脳のモジュール理論の徹底追求

進化心理学の知見をベースとして、
人間の脳が有する機能の不思議さについて、
脳のモジュール理論だけでどこまで説明可能かを追求した本です。

脳のモジュール理論は他の書籍を読んで知っていましたが、
ここまで徹底してこの理論だけで脳機能を解説している本は、私の読書経験の中で初めてです。

これまで哲学や心理学で難題とされ、膨大な労力を要してなお解決されていない事象について、
脳のモジュール理論は何ら問題なくサクサクと解決していきます。
しかも、進化心理学の根幹である自然淘汰を踏まえての展開ですので、
自然科学の知恵を取り込んでいない他の社会科学系の論理展開よりも説得力は高いと思われます。
そのアプローチが私の好奇心を刺激したのでしょう、一気に読みきってしまいました。

ただ、本書での脳のモジュール理論は、
脳の機能面についてのみ使用されており、脳の構造面についてはほとんど触れていません。
従って、脳が抱える矛盾について、
それらをすべて要素分解し、要素ごとに特化したモジュールがあるという説明も機能面に特化しており、
それを裏付けるための脳の構造面についての言及がほとんどないため、少し乱暴かな、と思いました。

特定の機能には必ず特定の構造(それがどのような形態であろうとも)があるはずですので、
機能と構造が今後マッチングされていくことを期待しています。


あと、持論を否定された学者が、その理論に対して、科学的な反証はできないけど、とにかく否定したい場合に、
如何にしてその理論に欠陥があるように見せかけるか、如何にして一般読者を巧妙に騙しているのか、
に言及している箇所があり、結構面白かったです。

意識は傍観者である/デイヴィッド・イーグルマン



★★★★★

意識できない膨大な潜在意識

脳は進化によって継ぎ足された数多くのモジュールから構成されており、
各々のモジュールが(単独で、協調して、競合して、)機能することで様々なアウトプットが生まれるようです。
それらのモジュールにおいては、顕在意識レベルと潜在意識レベルのものがあるのですが、
顕在意識レベルのモジュールよりも潜在意識レベルのモジュールの方が圧倒的に多いようです。
そして潜在意識レベルのモジュールは、顕在意識の介入を受けないことで(無用なノイズを排除することで)、
モジュールとして果たすべき機能を自律的かつ効率的に行うようにできているようです。
更に潜在意識によって行われていることは、思考や判断の領域にまで及んでいるようです。

従って、人間が通常考えている「意識」というものは、脳の中核というよりも諸々の機能の一つとして考えるべきとのことです。


脳のモジュール理論については、他の書籍を読んで知っていましたが、
脳の研究が進んだことにより、モジュール理論でかなりのことが説明できるようになってきたようです。
また、他の書籍でも脳のモジュール理論について踏み込んだ説明がされていましたので、
この理論は脳科学の世界ではスタンダードになっている、もしくはなりつつあると推察されます。
(社会科学の分野では、この理論は異端のようですが、なぜ異端であるかについての科学的な反証はないようです)


そのうえで、本書の特筆すべき点は、
ある人が犯した罪について、その人にどこまで法的責任を負わせることできるのか、
という問いを発し、その答えについて触れていることだと思います。

ある人が罪を犯した場合、それが顕在意識によるものか、潜在意識によるものか、
また潜在意識によるものでも、顕在意識によって防ぐことができるものなのか、できないものなのか、
更には潜在意識によるものであった場合、再発を防ぐことができるものなのか、できないものなのか、
といったことが脳の科学的な解明が進むにつれて、より適切な判定ができるようになっていきます。
そしてこれらを踏まえて、刑罰を課すか否か、如何なる更生方法が適切か、社会から隔離すべきか否か、などが
科学的に判断できるようになっていくし、そのような方向に司法が進む必要があるとしています。

犯罪被害者の感情やケアといった問題には触れていませんので、十分な解決策とはいえませんが、
犯罪加害者への対処についての科学的アプローチについては興味深いものがあります。
これまで、科学は「なんであるか」を解明するものであり「どうあるべきか」は主題ではありませんでしたが、
領域は限定されつつも、「どうあるべきか」についても科学的なアプローチが可能になってきたようです。


蛇足ですが、著者曰く顕在意識が潜在意識を完全にとらえることは不可能だとのことですので、
仏教をはじめとした様々な内観瞑想が科学的にどれほど効果があるのか、注意しておく必要を感じました。


ここで使用している「科学」「科学的」という用語は、再現可能かつ反証可能なもののみを意図しています。

なお、「意識」「自己」についての2017年時点での自然科学における知見は以下の書籍から得ることができます。
脳はいかに意識をつくるのか
神経科学・哲学・精神医療を横断して「意識」「自己」に迫っている素晴らしい本です。

脳を変える心/シャロン・ベグリー



★★★★

脳の可塑性についての秀逸な文献集

脳には可塑性がある(作り変えることができる)という一点に絞り、一部遺伝子レベルでの成果も含めて、脳の可塑性を認めた研究知見を豊富に盛り込んだ本です。脳の可塑性についての秀逸な文献集といえるでしょう。その意味では高い評価を付けることができます。

但し、脳の可塑性の限界について(例えば臨界期)、また遺伝の強固さ(例えば一卵性双生児の研究)についての知見は全く出てきません。それゆえ脳の全体像は本書では明らかにはなっていません。スティーブン・ピンカーやリチャード・ドーキンスらのウルトラダーウィニストの反論を聞いてみたくなりました。

また、タイトルである、脳を変える『心』ですが、『心』の定義があまり明確ではないことから、あまり深い議論にはなっていません。自らの意思と集中力、適切な方法により脳の特定の配線を変えられることは述べられていますが。。。

更に、副題に、ダライ・ラマと脳科学者たちによる心と脳についての『対話』とありますが、対話という割にはダライ・ラマ氏の発言が期待したほど多くはありませんでした。チベット仏教の智慧と、それに対する脳科学の知見のやりとりをもっと知りたいと思いました。

でも、脳の可塑性についての盛りだくさんの研究成果を知ることができただけでも、本書は価値アリと思います。

脳の呪縛を解く方法/苫米地英人



★★★

本能を自覚し、克服する

本書では、脳科学の知見と言われている、『たった1%でも「誰かから見られているかもしれない」という状況を作り出せば、脳は無意識的に自己規制をするよう働きかける』を引用し、自由を妨げる原因が自己の脳内に本能として存在することを指摘しています。このことを理解し、克服していくことが、呪縛から離れ自由になるために必要であると訴えています。

次に、本能以外にも、著者が知り得たソーシャルメディアや国家・シャドウガバメントの実態を披露しながら、今の世の中が一般市民にとって決して良いものではないとして、これらの制約から自己を切り離し、早く抜け出せと提唱しています。これは仏教の根本思想の一つである『彼岸に渡れ』というところから来ているのだと推察します。
また、今の世の中を作り、動かしている人々が「誰かから見られているかもしれない」という「誰か」になる場合、これらに無意識的に自己規制というかたちで迎合してしまう危険性について警鐘を鳴らしていると読むこともできます。

なお、脳科学者であり仏教者である著者の本ということで、これらの知恵を駆使した脳の呪縛を解くための深い智慧が述べられていると期待していましたが、この点においては物足りなさを感じました。

あと、引用・参照文献が全く記されていません。よって、本書で展開されている内容について、どこまで裏付けがあるのかがわからないのが残念なところと言えます。

人生の科学/デイヴィッド・ブルックス



★★★★★

現時点での最先端の人間科学

現時点での最先端の人間科学について、幅広く、かつ奥深く紹介している本です。

基本となるのは脳科学・心理学ですが、政治学・社会学・経済学などと人間科学との接点にも言及しています。
(なんと、経営学の巨頭であるP.F.ドラッカーやジェームズ・C・コリンズまで登場します)
また、紹介されている人間科学の知見については、出来る限り自然科学で得られたものを紹介しています。
(脳科学・神経科学・遺伝学などの自然科学で未解明なものは、心理学などの社会科学の知見を当てています)
更に、人間科学の知見を、ヒトの一生の様々な段階で必要となる場面に応じて紹介しています。

人間科学に興味をお持ちの方々にとっては欠かせない本だと思います。
また、科学的な知見に裏付けられた自己啓発書としても有益ではないかと思います。


本書の構成は、一般人が最先端の人間科学を理解しやすいようにとの著者の配慮から、
2人の男女が生まれる前~死を迎えるまでのストーリー仕立てになっています。
この表現方法が適切かどうかは、読まれる方々の脳の働きによると思います。
個人的には、最初の頃は「冗長だな」と思っていましたが、
読み進めるにつれ「結構面白い」と思うようになっていきました。

ストーリー仕立てでなく、論理構造的な表現方法のほうが好きな方には以下の書籍をオススメします。
・サンドラ・アーモット+サム・ワン『最新脳科学で読み解く脳のしくみ
・ジョン・メディナ『ブレイン・ルール


また、「人生の科学」という邦題も本書の内容に沿ったものだと思います。
原題の「The Social Animal」よりも良いのではないかと思います。


あと、600ページ弱という大著なので、読むのに苦労しますが、無駄な文章はないと思います。


なお、人間科学に興味を持たれた方々が最初に読む本として本書を選んでよいかどうかは判りません。
個人的には、この類の著作(本書にも紹介されています)をそれなりに読んできたことが、
本書の内容を理解するのに役立っていることは確かです。

参考までに、本書を理解するのに役立つ本を紹介しておきます。
これは本書を読んで更に知りたくなったときに役立つ本でもあります。

・アントニオ・R・ダマシオ(無意識が果たす役割の重要性を提唱)
生存する脳(デカルトの誤りに改題再出版)
無意識の脳 自己意識の脳
感じる脳
・マイケル・S・ガザニガ(脳・心・身体の一体性を提唱)
脳のなかの倫理
人間らしさとは何か?
(以上、本書で紹介されている科学者)

・ジョン・ダンカン(脳科学者・認知神経科学者。ヒトの知能について知りたい方にオススメ)
知性誕生
・スティーブン・ピンカー(進化心理学者。ヒトの進化について知りたい方にオススメ)
心の仕組み
人間の本性を考える

なお、「意識」「自己」についての2017年時点での自然科学における知見は以下の書籍から得ることができます。
脳はいかに意識をつくるのか
神経科学・哲学・精神医療を横断して「意識」「自己」に迫っている素晴らしい本です。

しがみつかない生き方/香山リカ



★★★

精神医学からの世間への鋭い切り込みを期待したが。。。

テレビなどで著者を知っていましたが、著書を読むのは初めてです。

精神科医としてのキャリアや精神医学の知見を集大成しての、世間への鋭い切込みを期待しましたが、
本書では、どちらかというと著者の世間への見方を散文的に述べたものであり、
精神医学を骨太な柱として論理的、体系的に切り込むというものにはなっていません。

文中には頷けるところも幾つかありましたが、
やはり論理的・体系的ではありませんので、著者のメッセージが心に響いてきませんでした。

ただ、成功を謳う所謂自己啓発書に対して疑問を持たれた方にとっては、本書は読む価値があるでしょう。

なお、本書のタイトルや論旨について、より論理的・体系的に深くりかいするためには、三大幸福論がオススメです。
アラン『幸福論
ラッセル『幸福論
ヒルティ『幸福論

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