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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

日本人の遺伝子/一石英一郎



★★

遺伝子雑学の本

日本人について遺伝子レベルで深く掘り下げた本だと期待して購入しましたが、
内容は遺伝子雑学といったものでした。

  1. 2018/03/27(火) 20:32:44|
  2. 進化学・遺伝学
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一万年の進化爆発/グレゴリー・コクラン等



★★★

人類は進化し続けている

人類の進化は4~5万年前で止まっているという定説があります。
本書はそれに対し、考古学に加えて遺伝学の知見に基づいて反論し、進化は続いていることを説いています。

一万年前以降の主な進化として、以下を挙げて解説しています。
・狩猟採集から農耕へと移行した民族・集団の遺伝的な変異
(低タンパク高炭水化物の食事でも生存可能なように進化。狩猟採集よりも食べ物が増えたため人口爆発につながる)
・酪農を生活の糧としている民族・集団の遺伝的な変異
(成人した後もミルクの摂取が可能となるように進化。農耕よりも栄養価が高く移動可能であるため拡散につながる)
・ヨーロッパが他の地域を植民地化した際の、先住民族・集団の滅亡もしくは従属
(アメリカ大陸では免疫を持たない先住民の滅亡に、アフリカ大陸では免疫を持たないヨーロッパ人の死亡につながる)
・他民族との混血を制限してきたアシュケナージ系ユダヤ人の遺伝的な変異
(商業や金融などの頭脳労働に特化してきたことで、科学・数学分野では他民族よりもレベルが高いことにつながる)

なお、進化は遺伝子変化と環境変化の相互作用によってしか説明できないことも、本書内で度々触れています。
ですので、本書は遺伝原理主義ではありません。

本書で提示されている様々な事柄に対しては、様々な分野から様々な異論がでることだと思います。
(この例だけでは定説を覆すほどではない、環境と遺伝のプライオリティが不明、他の要因でも説明可能、など)
また、自説に都合の良い学説のみを選んで証拠としている箇所を見つけました。他にもあるかもしれません。
(アシュケナージ系ユダヤ人の章で使っている、IQと知能の関係、IQと遺伝の関係、IQと成功の関係など)

ただ本書は科学的な知見を逸脱してはいませんので
今後、科学的な検証や新発見により、より洗練された知見になっていくでしょう。


なお、現代への文明と人類の変化について、環境面からアプローチしている本があります。
ジャレド・ダイヤモンド『銃・病原菌・鉄』です。
私見ですが、2つの本が相互補完しているように思えますので、興味のある方はご参照ください。
ちなみに、こちらの本の「病原菌」に関する記述は、本書と重なる部分があると思います。
  1. 2011/10/03(月) 14:05:31|
  2. 進化学・遺伝学
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人生に必要な遺伝50/マーク・ヘンダーソン



★★★★★

遺伝学・進化学についての質の高い教養書

遺伝学・進化学など、遺伝に関する様々な科学的知見や論点を幅広く集めています(50のトピック)。また、簡潔にわかりやすく整理されています(1トピック10ページ以内)。従って基礎知識を得るための教養書としては質の高いものに仕上がっていると思います。

この領域においては、海外では、科学者(リチャード・ドーキンスなど)やサイエンスライター(マット・リドレーなど)が、一般読者向けに、情報の質を落とさずに分かりやすく著した書籍を幾つも出版しています。本書もその中の一冊になるのだと思います。




  1. 2010/04/07(水) 18:01:10|
  2. 進化学・遺伝学
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遺伝子があなたをそうさせる/ディーン・ヘイマー等



★★★★★

遺伝と環境についての丁寧な解説

人間が遺伝と環境からどのような影響を受けているのかについて、スリル・不安・怒り・依存・能力など、人間の重要かつ気になる領域について、一つひとつ丁寧に解説しています。

各々の領域において、現在既にわかっていること、わかりつつあること、まだわからないこと、を適切に分類して解説しています。いい加減な類書にありがちな、主義主張ありきで偏った解説をしているわけではありません。

また、遺伝子だけでなく、それが脳のどこに対して、何が、どのような影響を及ぼしているのか、についても解説しています。

更に、環境がどのような影響を及ぼすのか(重要かどうか、どのような環境が重要なのか)についても解説しています。

あと、単にこれまでの様々な研究結果を提示するだけでなく、これらを批判的にとらえ(例えば、ある研究結果に対して必要な視点が抜けているなど)ていますので、安心して読むことができます。

出版時期が少し古い(2002年)ですので、出版後に研究で得られた知見で本書の内容で書き換えられる部分はあると思いますが、それでも人間が遺伝と環境からどのような影響を受けているか、またそれらに関する情報を適切に検討するためにどのような観点が必要か、については十分に参考となります。


  1. 2008/09/03(水) 12:33:02|
  2. 進化学・遺伝学
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人は海辺で進化した/エイレン・モーガン



★★★★

無理のないヒトの進化論

従来、ヒトの進化については「サバンナ説(樹から降りて進化した)」「ネオテニー説(幼児期のまま成熟した)」というのが正しい理論とされていました。

著者はこれらに対して、何れも正しいが全てを説明できるわけではない、として「アクア説(水辺での生活に適応して進化した)」という理論を提唱しています。

水辺で、また水中での生活を続けることにより、二足歩行や言語の前適応がなされ、また体毛の減少がなされた、など従来の理論でも説明しにくい様々な進化に対して、かなりすっきりした無理のない理論を展開しています。

また、従来の理論では霊長類との比較による説明が多かったのですが、「アクア説」では、陸から海・湖・川に戻った哺乳類(イルカ、クジラ、ビーバーなど)との比較をし、ヒトとの類似性を解説しています。いずれも「なるほどね」と思わせるだけの内容です。

更に、著者は「アクア説」だけが正しいと論じているわけではなく、従来の理論を補完するものであり、全てを足し合わせることで上手く説明できるのではないか、と主張しています。

ヒトの進化については、直接的な証拠はないため、様々な自然科学の領域からの傍証を積み重ね、慎重に紐解いていかなければなりませんし、各々の自然科学の発展や新発見で理論がひっくり返ることもありますので、本書をもって決定版だとはいえません。本書の原著初版が1982年と古いことからも決定版ではないでしょう。

ただ、本書はヒトの進化について新鮮な視点を与えてくれますので、上記の科学的な論拠と併せて価値の高いものだといえます。また新たな刺激を与えてくれるという意味でも本書は価値あるものだと思います。

著者は本書のあとに「人類の起源論争」という本も書いていますので、そちらも読んでみようと思います。

この理論について(wiki):水生類人猿説
  1. 2008/04/19(土) 12:36:18|
  2. 進化学・遺伝学
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迷惑な進化/シャロン・モレアム等



★★★★★

最新の遺伝研究をわかりやすく解説

今の時代に迷惑な遺伝性の病気は、過去の進化の過程において、淘汰をくぐり抜けるために必要なものだった、という話です。
環境が変わると進化の条件が変わるということを、幾つもの最新の研究成果を踏まえて、わかりやすく解説しています。

興味深かったのは、
遺伝学・進化理論では論外とされているラマルクの「獲得形質遺伝」について、
体細胞がウィルス等の影響により遺伝子が変更を受けることがあり、
場合によってはそれが生殖細胞の遺伝子に影響を及ぼすことがあり、
その結果として獲得形質が遺伝することもあり得るとしています。

これは勿論ラマルクが提唱していた「獲得形質遺伝」の考え方(体を鍛えて筋肉質になった親から筋肉質の子供が生まれる、など)とは全く異なりますが、環境の影響が生殖細胞の遺伝子に影響を及ぼすという道筋については、類似のものです。

まだまだ研究成果の積み重ねが必要ですが、もしそうであれば、革命的な発見となります。
  1. 2008/03/09(日) 12:00:52|
  2. 進化学・遺伝学
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遺伝子神話の崩壊/ディヴィッド・S・ムーア





中立を装った環境主義者

遺伝子決定論でもなく、環境決定論でもなく、発生システムで解き明かす、といいつつ、主張は完全に育ち論です。

今の時代、ネオダーウィニストでも単一遺伝子が全てを決めるなどという暴論は展開していません。
ネオダーウィニストが言っているのは、
遺伝子間の時間的空間的な複雑な相互作用、
遺伝子→アミノ酸→たんぱく質形成の複雑さ、
細胞内の複雑な化学作用、および細胞間の複雑な化学作用、
という生態システムが何億年もの環境との共生において進化してきたこと、
環境も遺伝子もあるが、遺伝子がなければ生命は存在しないこと、
であり、遺伝子が関与する複雑な生命現象が重要だということです。

本書は、現在までネオダーウィニストが自然科学における厳格な理論・実験・検証で培ってきた知見を無視し、
環境と相互作用するところだけを都合のいいように並べ立て、
旧世紀の育ち決定論を復活させようとしているかのような論調を展開しています。

しかも、ネオダーウィニスト(ドーキンス、グールド、メイナード=スミス、デネット、ピンカーら)と真っ向勝負していません。引用もありません。

更に、個々の遺伝子、遺伝子間の相互作用に還元できる病気も発見されてきているなかで、
本書の主張は医学のこれからの進歩に水を差しかねないものです。
病気で苦しんでいる人たちが遺伝子治療で今後救われる可能性があるなかで、
自説のためにその芽を潰す気なのでしょうか。

進化論、遺伝学についてはまだまだ判っていないことが多く、
これからの研究次第で、自然科学の摂理として様々な検証をくぐり抜けなければならないのですが、
本書のような論調をすることで、科学が進むとは思えません。
逆に、心理学の信憑性をより一層問われる結果にもなりかねません。

遺伝について学ぶのであれば、他に良書が沢山ありますので、そちらを読んだほうがいいでしょう。

  1. 2008/03/09(日) 11:53:13|
  2. 進化学・遺伝学
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喪失と獲得/ニコラス・ハンフリー



★★★★★

進化論と脳科学を踏まえた人類の歴史

何かを得て、それを活用し、便利になって、使わなくなったものが失われる。
そうやって人は長い時間をかけて進化してきたのだな、と納得させられる本です。

得るもの、失うものは、当然その時代における外部環境
(地理的環境、他の生命との関係など)との相互関係で決まりますので、
私たちはたまたまそのような過程を経て、今ここにいるんだな、
と改めて感じさせられました。

そしてこれからも、長い時間をかけて進化していくんだな、
しかも科学・技術を含めた環境との相互作用によって獲得と喪失を繰り返すんだな、
と思いました。

人という種に関心のある方にはお薦めです。

進化論について興味をもたれた方は次の書物もお薦めです。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」「延長された表現型」
スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」
ダニエル・デネット「ダーウィンの危険な思想」
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」

また脳について興味を持たれた方は次の書物もお薦めです。
アントニオ・ダマシオ「感じる脳」
ジョセフ・ルドゥー「シナプスが人格をつくる」
V.S.ラマチャンドラン「脳のなかの幽霊」
  1. 2008/03/09(日) 11:45:41|
  2. 進化学・遺伝学
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崩れるゲノムの常識/日経サイエンス編集部



★★★★

ゲノム研究の最先端を覗くことができる

ゲノムというとDNAに注目が集まるのですが、
本書を読むと、DNAだけでなく、
RNAの重要な働きや、
細胞内にあるミトコンドリアを始めとした様々な物質が、
システマチックに働いていることがわかります。

もうゲノムシステムという言葉の方が適切なのではないか、と思います。

これらの研究がどのような結末を迎えるのかはわかりませんが、
最終的には研究で細胞を作り出すことができるかどうか、
もしくはコンピュータシミュレーションで細胞の働きを再現できるかどうか、
にかかっていると思います。

これらの研究が進み、医療に役立つようになることを切に願います。

  1. 2008/03/09(日) 11:26:07|
  2. 進化学・遺伝学
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DNA/ジェームス・D・ワトソン



★★★

入り口としてはいいと思いますが。。。

DNAの2重らせんを発見したワトソン&クリックのワトソンの本です。
読み物としては結構楽しめますし、入り口としてはいいと思います。
しかし、この領域の最新の知見と比較すると、ちょっと色あせて見えます。
余力で書いているような気がします。

  1. 2008/03/09(日) 11:24:44|
  2. 進化学・遺伝学
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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