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Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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M&A 賢者の意思決定/デイビッド・ハーディング等



★★★★★

M&A成功の鍵は地道な努力

M&A成功(M&Aの70%が失敗しているとのことです)の鍵について、グローバルな調査を踏まえて書かれた本です。

ターゲット企業は自社のコア事業にどう貢献するのか、何故このディールは自社価値を高めるのか、テーマや課題に沿った統合計画が立てられているか、想定外の事態が起こったときにどう対処すべきか、という4つの意思決定を如何に適切にできるか、が成功要因であるとして、各々について重要な事項を整理しています。

また、成功・失敗の事例分析や関与した経営者へのインタビュー、付録としてグローバル調査の結果を掲載していますので、実感をつかみやすい内容となっています。


更に本書で貫かれているメッセージとして興味深いのは以下の点です。

・M&Aはあくまでも企業価値を高めるための戦略を実現する手段の一つであること、従ってM&Aを目的としないこと、流行っているからという理由でM&Aはしないこと

・M&Aを成功させるための能力を培うことが成功条件となるので、小さなM&Aを繰り返し経験することが大事であり、大きなM&Aを稀にしかしないことはバクチのようなものであること

・M&Aの学習効果を高め、上手く活用するために、M&A経験者の知見を集めチームを作ること

・M&Aは統合後の事業運営の成功が最終目的なので、本社のチームだけでなく、事業部門の責任者が早期から積極的に関与することが必要であること

・M&Aはどれだけ精緻な計画・分析を事前にしていても問題は避けられないので、顧客・社員等からのフィードバックループを構築し、活用すること

最初のもの以外は、企業としてコンピテンスを確立・強化するための組織学習に関するものです。
組織学習は地味な努力が求められ、かつ時間がかかり、また効果が見えにくい手法なのですが、これがM&A成功の鍵とされていることに、新鮮さを感じます。

不思議の国のM&A/牧野洋



★★★★★

まっとうな株主価値向上への提言

巷で騒がれている外資脅威論・ハゲタカ脅威論とは対極的な論説となっています。ですが、M&Aの豊富な事例・変遷について海外と日本を比較し、これらの脅威論が如何に浅薄なものであるかを著しています。

また「企業は株主だけのものではない」ので、株主だけを満足させることは宜しくない、というよくある論調に対して、著者は「むしろこれまで株主を軽視しすぎてきた」「株主だけではないというのなら、先ず株主の満足を徹底的に考えてから言うべき」としています。

更に、日本の法制度が株主(持ち合いをしている企業を除く)を犠牲にして企業を温存するようなものになっていること、それが日本経済を停滞させている一因となっていることを丁寧に解説しています。

株主価値というと、とかく金持ち優遇と短絡的に直結されます。しかし、法制度が世界常識並になれば、最大株主は庶民(のなけなしのお金を運用する年金機関など)になり、会社で働いている間は給料で生計を立て、引退した後は年金で生計を立てることができる、というP.F.ドラッカーが「見えざる革命」で提言した状況が期待できることも訴えています。

また、M&Aはディール時点の株主価値だけを追及すると失敗します。このことは幾つもの冷静な書籍で論じられています。しかし、そのことをもって本書の反証にはならないでしょう。これらの書籍ではM&Aの成功要因は適切なマネジメントです。本書で取り上げられている日本企業の数々のいい加減なM&Aを見る限り、ディール後のまともなマネジメントを期待することはできません。


あと、社外ステークホルダーの軽視という意味では、株主だけではないのでは、と本書を読んで気になりました。

先ず顧客に対してですが、顧客満足を理念として謳っている企業はあまたありますが、顧客満足の結果を経営者・社員の処遇に反映している企業がどれほどあるのでしょうか。反映していなければ顧客軽視といわれても反論できません。

次に取引先に対してですが、昨今下請法ができたので少しは改善されるのでしょうけれど、不当に低い価格で取引を強制することが続けば、取引先軽視そのものでしょう。

更に従業員に対してですが、これも労働法規が改正されたので少しは改善されるのでしょうけれど、正社員以外の従業員に対して、また外国人労働者に対して、単に低コストだけを目的に使っているのであれば、従業員軽視でしょう。

このように見てみると日本企業は社外のステークホルダーを犠牲にして己の存続のみを図っているのでは、と疑いたくなります。

もしこれらのことが本当に当てはまるのであれば、「企業は株主だけのものではない」だけでなく「企業は自分以外の誰のものでもない」に成り下がってしまいます。そして、そのような企業が多いほど社会がおかしくなっていきます。これでは企業は金儲けだけで社会の役には立っていないといわれても仕方がありません。

ポストM&A/デビッド・フビーニ



★★★★★

M&Aに求められるリーダーの能力

本書はM&Aに成功した数多くの企業へのインタビュー調査に基づいて導き出した、M&Aに求められるリーダーの能力を解説したものです。
そして能力が求められる領域を「リーダーシップ」「ストーリー」「ステークホルダー」「ラーニング」「カルチャー」の5つに分類して整理しています。
また、実際に苦労してM&Aを成功させたリーダーならではの生々しい声と、マッキンゼーならではの構造化された理論を上手く組み合わせて整理しています。

M&Aの実務についての書籍は数多く見受けられますが、リーダーの能力について、これほど鮮やかに見せてくれる本はなかなかありません。

更に、調査で判明した重要事項が、テクニカル・ロジカルなことという以上に、人が持つ数々の心理的な特性への配慮であること、それを要点を絞りつつも余すところなく伝えていることも大きな価値だと思います。
またこれらをロジック一辺倒だと思われているマッキンゼーが書いているということも、ある意味驚きです。
通常のマネジメントと同様に、M&Aも人の営みであること、更には異なる人の集団を統合するというM&Aであるからこそ人の営みであることをより深く認識すべきであることを痛感させてくれます(といっても、たすきがけ等の日本的ないい加減なものとは対極にあるものです)。

あと、原注も貴重な情報が詰まっています。
例えば、調査結果によればM&Aの成功の10%が買収後の学習がルーチンとして整備されていること、9%が買収したほうの会社に成果に貢献する文化があること(買収される側ではなく)、6.5%がリスクと多様性に対する寛容性があること、で説明できるとのことです(これが上位3つ)。
つまり、買収される側ではなく、買収する側のリーダーシップ能力、マネジメント能力がM&Aの成否を決めることになります。それもテクニカル・ロジカルな能力ではなく、人に対する能力の高さが求められるということです。

本書から明らかになるのは、M&Aを検討している企業は、相手を精査する以前に、自社の能力を精査することが重要だということです。そして、自らの能力を高めることがM&A成功の要件であり、それができなければM&Aというオプションを諦めるという賢明さが求められるということです。

企業合併と「異文化」/海野素央等





大事なことを提言しているのだが。。。

企業合併において文化融合が成否を決める大きな要因であることを提言しているのは価値ありだと思います。実際に様々な調査において異文化への対応が重要であることが指摘されています。

また、実際に合併した企業へインタビューを行い、その声を掲載しているのも臨場感があってよいと思います。


但し、異文化融合に向けた処方箋については、心理学の理論を提示しているに留まっており、これだけで実際の異文化衝突を解消できるわけではありません(理論が間違っているというわけではありません。これだけでは足りないということです)。

更に、実際に異文化が衝突した後でないと使えない理論しか提示していませんので、異文化が衝突する前の準備としても使えません(衝突するとこんなことが起きますよ、ということは知ることができますが)。

そのうえ、現在のグローバリゼーションについて批判している章があるのですが、著者が本書で述べているステレオタイプに、著者自らがはまっており、このことが著者が提示した処方箋の効力について懸念を持たせます。


企業文化の変革や異文化衝突の解消については、
エドガー・シャインの「組織分化とリーダーシップ」「企業文化」「プロセス・コンサルテーション」を読まれたほうが、はるかに役に立ちます。

M&Aを成功に導く人事デューデリジェンス/マーサージャパン



★★

トピックは役に立つが。。。

各章の最初に掲載されている人事DDにおけるトピックは役に立ちます。人事DDが財務的な調査・分析だけでないことが上手く表現されています。

但し、本書の全体構成が論理的・構造的ではないこと、人事DDで実際に行うべき個別・具体的な事項が整理されていないこと、調査・分析における難しい局面やその解決手法にほとんど触れていないこと、から、タイトルにあるような実務書としての価値はかなり低いと言わざるを得ません。

この会社は現場での泥臭い局面を苦手とするので、実務の現場に入り込まないと得られないようなノウハウを書くことができないのか、
またコンサルファームが書く本にありがちな、あくまでも営業ツールとしての位置付けにして、クライアントから連絡させるように仕向けているのか、
理由は定かではありませんが、いずれにせよ本書だけで人事DDを行うことはできません。

人事DDってこういうこともあるのか、という参考情報を得ることに限定して活用されることをお勧めします。

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