FC2ブログ

≪プロフィール≫

Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon殿堂入りレビュアー
(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

Amazon.co.jpアソシエイト
iTunesアフィリエイト

レビューごとに、Amazon.co.jp指定の商品画像バナーリンクを貼っています。もし、「書籍タイト/著者名だけでは、どんな本かわからん!」という方で、商品画像リンクが表示されない場合は、広告ブロックを解除してください。Amazon.co.jpおよびTunes以外のバナー広告は一切掲載しておりません。

≪FC2カウンター≫

≪カレンダー≫

06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

≪カテゴリーサーチ≫

≪カテゴリーツリー≫

≪ブログ内検索≫

≪リンク≫

≪最近の記事≫

≪月別アーカイブ≫

組織文化 経営文化 企業文化/梅澤 正



★★★★

高邁な理念を持った企業文化論

企業経営に関する書籍にしては珍しく高邁な理念に基づいて書かれています。
文化と同様に使われる言葉として風土がありますが、本書では、文化はヒトの意思で創造していくもの、風土は様々な状況下で自然に出来上がっていくもの、であると明確に区分して定義しています。
そのうえで、文化はヒトが望む普遍的な価値(真善美)であるとし、これを最終目的地として設定したうえで創造していくものであるとしています。
更に、企業が社会的な公器であるならば、全ての企業がこれを目指し、その中で経済的な利益を創出・享受することが必要であるとしています。

ここ数年、企業の不祥事が報道されない日はないといっていいぐらい、頻繁に起きていますが、著者によれば、これらは今に始まったことではなく、バブル崩壊期にも同様のことが起きているし、また日本的経営が賛美された高度成長期(最近の懐古趣味的な日本的経営論の復活論者が拠り所にしているものですが)においても何ら変わらない、としています。
元々日本企業は一部を除いて文化を創造もせず定着もさせずにきたが故に、不況期にその悪い部分が表出しているだけ、だということでしょう。
また、近年様々な企業変革が推進されていますが、企業の本質に立ち戻らずに表層的な、また短期的なコストダウンを主目的とした経営ツールの導入に終始している企業が多く見受けられます。これも著者によれば、昔から同じことが繰り返されてきているだけであるとしています。バブル期のCI・SISなどを挙げれば、今と何も変わっていないことがわかると思います。
これらも文化を創造もせず定着もさせずにきたが故に、浅薄な議論から抜け出せなくなっているだけ、だということでしょう。

このように振り返ってみると、企業は本気で文化を創造し定着させる必要がある、という著者の主張は的を射ていると思いますし、当たり前のことだとも思います。

ただ、企業がこの重要性に気付いたとしてもなかなかできないのは、これが他の経営課題の解決よりもはるかに難しいことだからなのだと思います。重要であるが難しいことを、企業がどのようにすれば思索・創造していくことができるのか、それも環境変化が激しくリソースに余裕がないなかで短期的な処方を打ち続けなければならない状況下で推進していくことができるのか、について全く提示されていないのが残念です。このあたりは、経済的な内容に限定はされるでしょうけれど、確かな理念と真剣な浸透を重視している、GE・P&G・J&Jなどのビジョナリーカンパニーの事例研究で補うしかないでしょう。

とはいえ、ヒトの普遍的な価値(真善美)の追求が文化である、という指摘はそれこそ普遍的でしょうし、ヒトがコミットしモチベートしながら自らの能力を最大限に引き出し活用して成果を生み出すためには、ここに立ち戻る必要があるということも本質なのだと思います。
これについては、マーカス・バッキンガム「最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと」において、リーダーはヒトの普遍性に着目してリードする、というリーダーの定義に整合しますので、こちらも参考にされるとよいでしょう。


あと企業文化については様々な書籍が出ていますが、本書は類書にはない特徴が幾つかあります。

まず、様々な企業文化論について概要レベルではありますが俯瞰しています。文化論は自然科学のように完全なモデル化は期待できませんので、様々な文化論が紹介されているというのは、特定の文化論に固執されるよりは有益だと思います。

また、これらの文化論を比較整理しているのも助かります。これも自然科学とは異なり、一つのモデルに収斂することは期待できませんので、各々の文化論が何に重きを置いているのか、如何なる軸で展開しているのか、が比較されているのは有益だと思います(勿論、この比較整理そのものも著者のモデルを使っているので、厳密にいえば比較整理の方法自体も様々なモデルがあるはずですけれど)。

更に、文化論の歴史も簡単ではありますが紹介しています。どんな学術分野でも知見の発展の仕方はありますし、その時々の世の中の環境の影響を受けています。特定の文化論が如何なる文脈で登場したかを少しでも知ることで、その文化論の見方・参考の仕方が適切になっていきますので、これも助かります。

職業的使命感のマネジメント/ 岡本浩一等



★★★★★

使命感と不祥事の関係

消防署に対する大規模な(対象者1,000名超)調査を踏まえて、仕事における使命感と組織的不祥事の関係について解説しています。

仕事における使命感を、職務的自尊心(仕事に対する誇り、効力感など)と職能的自尊心(仕事に要する技能習得の重要性など)、天職感に区分し、それらと不祥事(個人レベル、組織レベル)との相関を、組織の規模、職位、職種に分けて調査しています。

また本シリーズの「属人思考の心理学」での調査結果と併せて、不祥事との関係を分析・解説しています。

結論としては、職務的自尊心が高いほど、また属人思考が低いほど、組織的不祥事は起きにくい、といったものであり、組織における人のあり方に精通している人であれば、直感的に頷けるものではありますが、これを社会心理学の知見を活かして調査により導き出したことが、価値だと思います。

本書を含めたこのシリーズは、もともと組織の不祥事についての研究でしたので、組織がより上手く成果を生み出し続ける要因は何か、についてはほとんど触れられていません。

従って、組織の不祥事を減らしつつ、成果を生み出し続けるためにはどうすべきか、またどうバランスを取ればよいのか、もし不祥事を引き起こす要因が同時に成果を生み出す要因であるということはあるのか、といった問いに答えるものではありません。

しかし、組織の負の部分をマネジメントすることが日に日に重要になっていますので、本書の知見だけでも取り込むことに意義はあると思います。

組織健全化のための社会心理学/岡本浩一・今野裕之



★★★★★

社会心理学による組織文化診断

組織の社会技術5巻シリーズの第1巻であり、シリーズの要約及び参考文献を著したものです。

シリーズとして、会議手続、属人思考、内部告発、職業的使命感について1巻ずつ社会心理学の観点から詳細な研究内容が出されていますので、詳しくは各々を読む必要がありますが、研究全体を俯瞰するには本書を読まれるほうが良いでしょう。

また本巻の半分のボリュームを割いて参考文献を掲載(著者らによる評価・レビュー付)していますので、この研究について更に情報を集めるうえでも良い情報を提供しています。

全体を通して、サンプル数が少ないのでは?他にも調査項目・切り口があるのでは?と思うことは多々ありますが、これはこの領域の技法の限界(アンケートかインタビューでしか情報は得られませんし、統計処理でしか整理できません)でもあるでしょうし、研究予算も無尽蔵にあるわけではないでしょうから、これらをもって減点するのは酷だと思いますので、減点はしていません。

このシリーズを起点として更に様々な情報・切り口で研究が進むことを期待しています。

属人思考の心理学/岡本浩一・鎌田晶子



★★★★★

企業・組織で生じる不祥事の原因は属人思考

著者は、社会心理学者の立場で企業・組織の不祥事を研究している方です。

巷では、様々な不祥事への対策として、規則の厳格化や個人への処罰がなされていますが、著者の研究結果からは、このような対策はほとんど効果がないことが見いだされました。
このような対策は、個人レベルでの不祥事には効果的ですが、組織的な不祥事には効果がないということです。

著者は、様々なアンケートとその統計処理により、ひとつの大きな原因を抽出しました。それが属人思考です。

属人思考とは、簡単にいえば、「何」が正しいのか、ということよりも、「誰」が正しいのか、ということが優先する組織風土です。提起された内容の良し悪しで物事が進むのではなく、提起した人の好き嫌いや立場の上下で物事が進む組織風土です。

また属人思考の組織風土になりうる原因をいろいろと提示していますが、それが人から好かれたい、嫌われたくないという人間が持つ基本的な承認欲求であったり、権力に従うという人間が持つ基本的な社会性であったりと、如何なる企業・組織にもあるようなものばかりです。
つまりどのような企業・組織でも属人思考の組織風土になる可能性があり、このことから、どのような企業・組織でも組織的な不祥事が引き起こされる可能性がある、ということです。

あとトップほどこの感覚に疎くなることも調査で明らかになっており、著者が企業研修で本書の内容を話したときのトップ層からの拒絶が裏づけにもなっているようです。

更に属人思考の組織風土と、組織への積極的なコミットメントや、チャレンジ・独自性・現場の自律性といった、近年の環境に適応するために求められている様々な要件とが相容れないことも調査から明らかにされています。

不祥事の原因だけでなく成長を阻む原因としても属人思考の組織風土が定義されるかたちになっています。



組織文化のイノベーション/海野素央





浅すぎる

組織文化の分析がとにかく浅すぎます。実際に企業経営において組織文化に真剣に悩んでいる方や取り組んでいる方からすると、あまりにも表層的です。
多分、企業の置かれた環境も、企業経営も経験したことがないのでしょう。また企業経営で活用されている様々な経営手法についても知らないのでしょう。
この程度の分析に基づいた如何なる組織文化の変革も上手くいかないでしょう。それどころか、より酷い結果にもなりかねません。

組織文化については、エドガー・シャインの「企業文化」「組織文化とリーダーシップ」「プロセス・コンサルテーション」をお薦めします。

組織文化とリーダーシップ/エドガー・H・シャイン



★★★★★

組織文化への深い洞察

20年以上前に書かれた本とは思えないぐらいに、人と文化についての深い洞察が得られます。
人が本性として持つ不安を真正面から捉え、それを回避するための社会的な装置として文化を位置づけていますが、
人の本性としての不安が如何に大きなものであるかは、
ジョセフ・ルドゥー、アントニオ・ダマシオら最近の脳科学・神経科学で実証されており、また行動経済学でも取り込まれています。

また文化が無意識の領域に位置づけることで、文化を明らかにすることの難しさを、
文化を不安から整理することで、文化を変えることの難しさを、十分に認識させてくれます。

実際に企業文化・組織文化の変革に携わろうとする方は、先ず本書を読んで文化の難しさに触れた後、
本書の実践版ともいえる著者の『企業文化-生き残りの指針』を読んで手法を学ばれることをお薦めします。

企業文化-生き残りの指針/エドガー・H・シャイン



★★★★★

『組織文化とリーダーシップ』の実践版

本書は著者が1985年に著した『組織文化とリーダーシップ』の実践版に位置づけられるといえます。
前著で訴えている要点はそのままに、エッセンスを凝縮し、かつ実践する際の質問票等を加えています。
本書を活用する際にはその背景まで含めてより深く理解する必要があり、前著を読むことをお薦めしますが、
企業文化・組織文化に関する文献をある程度読まれている方にとっては、本書だけでも実践できると思います。

近年、企業文化・組織文化についての指南書が数多く出版されています。
その中には、文化を見極めること、変えることについてかなり安易に捉えているものが少なくありません。
本書を読むことで、文化が如何に捉えにくいものか、変えることが如何にリスクの高いものか、を思い知らされます。

制度と文化/佐藤郁哉等



★★★★

組織文化についての諸理論の考察

組織文化に関する文献を探したり、検証したりする際に有益なフレームを与えてくれます。

文化においては、環境(マクロ)、組織(メゾ)、個人(ミクロ)の相互関係を見極めよ、
というよく考えれば当たり前のことを述べているのですが、
一方でこれまでの組織文化研究においては、この当たり前の関係が包括的に研究されてこなかったようです。
組織観、人間観に対して社会化過剰(文化に完全従属)、社会化過少(文化は無関係)といった極端な理論が多かったとのことで、
本書では、主要な理論についてこれらとの対比を行い、かつバランスの取れた理論的な枠組みを提示しています。

結果的には、シャインの「組織文化とリーダーシップ」が推奨されているように見受けられます。
但し、本書を読みフレームを理解することで、シャインの書籍だけを読むよりも、
シャインの理論がより一層腑に落ちるものになりました。

鷲の人、龍の人、桜の人/キャメル・ヤマモト



★★★★

比較文化論入門ビジネス編

著者曰く「許されないくらいの単純化」をした米中日のビジネスにおける比較文化論です。

当然、極度の単純化をしていますので、これらに当てはまらない米中日の人たちがいますが、
ポイントは当てはまる人たちがどれぐらいか、ということではなく、
国・民族・宗教・地理などの違いにより文化が独自の発展をしてきていること、
それらを先ず理解し、積極的に認めることからしか物事が始まらないことを理解すること、
が重要であるということだといえます。

また、著者の意図とは異なるのかもしれませんが、
同じ文化に属していても個々人レベルでは価値観や個性が異なることから、
同じ文化だから同じであるはず、同じであるべき、という発想も切り替える必要があるのではないか、と思いました。
米中のことはよく知りませんが、日本ではとかく同じであることを求められます。
それが安定を生むことは間違いないのですが、一方で個人の創造性やモチベーションを削いでもいます。
それが結果として日本企業の業績悪化、競争力低下の一因になっているともいえます。

文化と個人についていろいろと考えさせてくれる本です。

著者ウェブサイト:キャメルヤマモトの体感知

バリュー・マネジメント/リチャード・バレット



★★

目指したいことはわかるが・・・

価値観による経営を広めたいことはよく伝わってくるが、
著者自身の理想を広めたいが故に、その実現方法にかなり無理がある内容となっています。

まず、著者自身が持つ公益に対する価値観を強制的に植え付けようとしています。
確かに公益意識が欠落している企業が多く、何とかしたいという想いは共感できますが、
著者自身の公益に対する価値観以外のものを認めないかのごとく書かれており、
また人類史上の大きな変革がまるで何の犠牲もなく実現されたかのごとく書かれており、
まるで歴史上のよき意図を持った独裁・全体主義的なものに成り下がっています。

次に、心理学、社会学等を少しでも学習した人から見ると、実践手法が非現実的なものとなっています。
例えば、マズロー自身が、人間が最上位の自己実現欲求に至ることは稀であると述べているにも拘わらず、
欲求段階説の上位に4段階もの動機を組み込んだ上で、それを実現すべきとしています(参考:人間性の心理学)。
また、価値観の測定方法を提示していますが、これはシャインが、表層的である等の理由で使用しないよう警告しているものです(参考:組織文化とリーダーシップ)。
更に、ロジャーズが実証している文化を変革することの難しさを、半ば意図的に無視しているような記述となっています(参考:イノベーションの普及)。

目指したいことはわかるのですが、それだけにもっと深く実現方法を考察する必要があると思います。

  【BACK TO HOME】  


 BLOG TOP