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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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クリエイティブ都市論/リチャード・フロリダ



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クリエイティブな人材と環境の関係

前著『クリエイティブ資本論』『クリエイティブ・クラスの世紀』で明らかにした、経済発展におけるクリエイティブな人材の重要性、クリエイティブな人材を引き寄せ、引き止めることの重要性を踏まえて、クリエイティブな人材と環境との関係についての、世界中の都市の比較分析とアメリカでの詳細な分析に基づいた理論を深堀りしている本です。

本著では、各都市で如何なる産業が集積しているのか、そこでのクリエイティブ度合いはどの程度か、といった観点での調査・分析により、マイケル・ポーターの産業クラスター理論をベースとしつつ、著者の専門領域であるクリエイティブ人材の集積のされ方について比較をしています。
これによって前著まででは単に「クリエイティブ・クラス」とひとまとめにされていたものが、産業によって細分化され、その産業と求められるクリエイティブタイプによって整理されています。

更に、アメリカ国内に限ってですが、各都市での産業クラスタ・クリエイティブタイプと、そこに集まる人間の性格との相互関係についても、既存の様々な心理学的な調査結果や新たな調査を踏まえて解き明かしています。
人間の性格の違い(ここではビッグ5といわれる性格の主要5因子:経験への開放性、誠実性、外向性、協調性、情緒不安定性)によって、人が集まる都市が異なっていることや、特定の性格を持つ人間がその都市に引き寄せられ都市の性格が強固になり更にその性格を持つ人間が引き寄せられるというスパイラルが形成されていること、が分かったということです。
これはその都市にある産業に携わりたいという仕事面での欲求だけではなく、自分が幸福になるために自分の性格に適した環境を見つける傾向が人間にはある、という心理学者のマーティン・セリグマンやミハイ・チクセントミハイらの見識と共同研究から裏付けられています。

また、これらのことから人と産業の集積化は益々進んでいくことになり(調査結果で実際にそうなっていることは本書で示されています)、トーマス・フリードマンが提唱する「フラット化する世界」には完全には以降しない、むしろ集積化が進んでいると反論しています。
ただ、著者も「集積化」「フラット化」の単純な二元論ではなく、クリエイティブなものは集積化に向かい、そうでないものはフラット化に向かうという2つの全く異なるベクトルが同時に働いているのではないか、としています。


日本国内についての調査は結構大雑把ですので、本書の調査結果をそのまま国内で活用するのは無理があります。
また、都市に集まる人の性格がそのまま都市の性格になるというのも少し単純すぎます。個人の性格に拘わらず集団としての性格ができてしまうという人類学の研究結果もありますので。
とはいえ、この理論自体が棄却されるものではなく、更に様々な科学分野の知見を統合しつつ、掘り下げていくことで、より磨き上げられた理論になっていくと思います。


あと、前著でもそうでしたが、この理論は企業内でもかなり応用できると思います。企業がクリエイティブになりたければ、クリエイティブな人たちが魅力に感じる施策を他社よりも高く早く推進することが必須である、ということです。

クリエイティブ資本論/リチャード・フロリダ



★★★★★

ドラッカーの予測通りになってきた

ドラッカーが随分前に「知識資本」「ナレッジワーカー」の時代になると予測していましたが、本書を読むとまさにその通りになってきていることが分かります。

本書では、クリエイティブ・クラス(ドラッカーのいうナレッジワーカーに相当)が台頭してきており、彼ら/彼女らが最大限に活躍できる環境を整備しているエリアが経済発展を遂げていることを、社会科学の様々な分野の知見を駆使して調査・分析することで説明しています。

また、その環境の必須条件として3つのT、すなわち技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerant)を挙げています。

社会科学の常として、複雑かつ変化する環境において、全ての要素、その重要性、関係性、因果関係を捉えきれないこと、またこれらの捉え方によって結論が変わることがありますので、本書だけを鵜呑みにすることはできませんが、今後の経済・文化・社会・個人を考えるうえで重要な視点を提供していることは間違いないでしょう。

少しそれますが、本書を読んで感じたことがあります。
それは、本書の視点が企業におけるイノベーションにも適用できるのではないか、ということです。
昨今、イノベーティブな人材、クリエイティブな人材を積極的に求めている企業は多いのですが、そのような人材が最大限に活躍できる環境を整備している、若しくは真剣に整備しようとしている企業がいったいどれだけあるのでしょうか。
いくらこのような人材を集められたとしても、企業内環境が従来のワーキング・クラスをベースとした中央集権的・管理統制的なものでは、クリエイティブであればあるほど逃げていくのだと思います。
更にそのような人たちが企業に対して抱くネガティブな印象が広まっていくと、このような人材を採用することができなくなり、結果としてその企業が衰退していく、ということが起きるのではないか、既に起きているのではないか、また企業側はそのような人たちに対する印象を悪くして採用をあきらめてしまうということも起きているのではないか、そのような二重の悪循環が起きているのではないか、と推察されます。

人と環境をセットで考えていくことの重要性を痛感させてくれる本です。

なお、本書の内容は基本的にはアメリカ国内のものですが、日本では先に出版された「クリエイティブ・クラスの世紀」では、グローバルに視野を広げて展開しています。こちらでは、グローバルレベルでクリエイティブ・クラスの獲得競争が起きており、彼ら/彼女らを惹きつけることができた国・都市が反映しているということを解説しています。併せて読まれることをお薦めします。

クリエイティブ・クラスの世紀/リチャード・フロリダ



★★★★★

新たなパラダイムシフト

クリエイティブな人たちが国の競争力を決める。
従来アメリカに集中していたクリエイティブな人たちが、最近世界に分散してきている。
これからのグローバル経済の中で勝ち残るには、クリエイティブな人たちを育て、惹きつける施策を早急に打ち出す必要がある。

本書の要旨は以上のようなものです。

これまでも知識労働者、イノベーション、人材獲得競争等々様々な切り口でこの手の本がでていますが、
本書はそれらをクリエイティブ・クラスというキーワードで整理しつつ、
可能な範囲での統計資料を駆使して実証し、かつある程度の処方箋を提示しています。

これからの世の中がどうなっていくのか、またその中でどう生きていくかについて、
しっかりした本を一冊じっくり読みたいという方にはお薦めのものです。

未訳の書籍が数冊あるようですが、翻訳出版が望まれます。

成功ルールが変わる/ヨーナス・リッデルストラレ等



★★★★★

市場の現実を直視

本書は、市場主義・資本主義が今どうなっているか、
について事実をふんだんに盛り込んでいます。

べき論や特定の思想に基づいて是非を唱える本が多い中、
本書は現実を直視させてくれる希少なものです。

また、様々な学術領域から得られた視点・知見を踏まえているため、
偏らずに現実を見ることをサポートしてくれます。

更に、参考文献が学術書並みに掲載されているので、
更なる学習を進めるうえでも効果的です。

タイトルに比べて、非常に内容の濃い本です。

市場を創る/ジョン・マクミラン



★★★★★

実態に基づく経済学

保守、リベラルといった主義主張をベースとした経済学の書籍が多い中、
本書は様々な主義主張を横目で見つつ、実際の市場がどうなっているか、という事実に基づいた経済学を展開しています。

また、太古の市場から、最新のネット市場、排出権市場まで幅広く市場を探っている点も価値ありです。

ミクロに視点が及ぶとやや首を捻りたくなる記述も散見されますが、
マクロ経済を見事に現している本ですので、評価を下げるほどではないでしょう。

経済学を初めて学ばれる方や、理屈っぽい経済学に辟易している方にはお薦めです。

著者解説(wiki):ジョン・マクミラン

富の未来 下/アルビン・トフラー等



★★★★★

第三の波をどれだけ上手く乗りこなすかが鍵

上巻で丁寧に説明された時間・空間・知識という基本的条件の深層に基づいて、
波の違いと波対波の争いが最新情報並びに近未来予想を駆使して鮮やかに書かれています。

第三の波である知識社会が
如何にして貧困低減を含めて人の幸せに貢献することができるのか、
その波を加速させるためには何に気をつけなければならないのか、について
各地域(アメリカ、日本、中国、インド、アフリカ、ヨーロッパなど)毎に深く洞察しています。

また、上巻で提示された常識・一貫性・権威・啓示・時の試練が、
どれだけ新たな知識社会を阻む既得権益であるか、
それが人の幸せという点においてどれほど愚かなことであるのか、も
非常にわかり易く書かれています。

日本でも、とかく新たな知識社会に対する批判が目立ちますが、
様々な批判についての是非を適切な目で確かめることが出来ます。

日本の文化・伝統は、
古来より他の文明が持つ知識を貪欲かつ見事に取り込んできたというものですから、
日本古来の良さと新たな知識を上手く両立させていくことができるとも思いました。


「未来の経済と社会が姿を現してきているので、個人も企業も組織も政府も全て、
過去のどの世代も経験しなかったほど急激な未来への旅に直面している。
何ともすさまじい時代に、われわれは生きているのである。
21世紀の新しい時代にようこそ。」
本書最後の文章です。

富の未来 上/アルビン・トフラー等



★★★★★

やはり凄い!

世の中の変化について著した書籍は沢山ありますが、
本書ほど本質を突いたものは稀有だと思います。

富の変化を知識・時間・空間軸で深くとらえています。

まず、知識については様々なメディアやITで情報が氾濫しているとしたうえで、
人はそれらをなぜ信じるのか、という真実の基準を知ることが大事だと述べています。
人は「常識」「一貫性」「権威」「啓示」「時の試練」「自然科学」の
どれか(複数)を競合した基準として使っているとしたうえで、
「自然科学」以外の基準は自分で進化する力を有しないので、十分に注意する必要があるといっています。
日本に当てはめると、学生の科学技術離れが叫ばれていますが、
そのうち興味の問題だとはいっていられなくなるのでしょう。

次に、時間については、時間軸における様々な非同期化による摩擦が大きな問題だといっています。
企業、社会団体、家族、労働組合、官僚機構、公教育制度、世界的統治機関、政治構造、法律
の順にスピードが遅くなっており、それを同じ速度にすべきだといっています。
日本に当てはめてみると、まあ同じ構図なのでしょうね。

更に、空間については、世界で富を得られる空間は流動的であり、
知識と時間と空間を密接に関連させて相互作用を上手く起こさないと、
富が逃げていくといっています。
古い産業、古い文化、古い社会構造にとらわれていると富が逃げるということです。
日本に当てはめてみると悲惨な状況だと思います。既得権益がまだまだ強すぎます。

技術や経済の動きについては「フラット化する世界」の方が具体的でしたので、
ビジネスを考える際の重要なヒントを与えてくれましたが、
本書はより深く洞察することで世の中の見方、自分の考え方について、
再度整理するための視点を与えてくれました。

これからの世の中を生きるための必読書でしょう。

フラット化する世界 下/トーマス・フリードマン



★★★★★

社会のフラット化

技術と経済の話だけで終わらないのが本書の良いところです。
下巻では3〜5部にかけて、フラット化と社会・文化の関係を扱っています。
ビジネスに関心のある人は上巻だけを、社会に関心のある人は下巻だけを読まれるかもしれませんが、
ビジネスと社会は相互関係にありますし、また上巻を読まないと下巻の意図が掴みきれないと思いますので、
上下巻併せて読まれることをお薦めします。

ここでは、文化・社会をフラット化の進展を阻むものでもあり、
逆にフラット化の恩恵を受けるものでもあるとしています。

夢(未来)と思い出(過去)のどちらに思いを馳せるかで、
フラット化の恩恵を受けられるかどうかが決まるようです。
フラット化と夢をつなげれば恩恵を受けることができますし、
フラット化と思い出をつなげれば恩恵は受けられないだけでなく、
恩恵を受けたいと思っている人が、得るべき恩恵を受けられなくなります。
フラット化の恩恵を受けながら、様々な社会が独自の文化を世界に広げていくことで、
豊かな多様性が次々と生まれることが人の幸せにつながるのだと思います。

あと、最終章でイマジネーションの重要性を説いています。
人を高みに引き上げるためのイマジネーションと、人を奈落に突き落とすイマジネーションがあるとのことです。
前者はフラット化を使って人を幸せにすること、後者はフラット化を使って人を殺すことです。

下巻の内容は、上巻の内容を踏まえてよく読まないと、その本質が見えにくいと思います。
しかし、結構大事なことが書いてあります。

参考までに、以下の書籍を併読することをお薦めします。
社会・文化:アルジュン・アパデュライ「さまよえる近代
→経済以外にフラット化に影響を及ぼす要素をどう見極めるか

イマジネーション:ピーター・センゲ「出現する未来
→何を目的として如何にイマジネーションすべきか

フラット化する世界 上/トーマス・フリードマン



★★★★★

技術と経済によるフラット化

上巻では、技術と経済のフラット化を丁寧にまとめています。

断片的に、また衝撃的に個々の技術革新やそれに基づく経済の変化を著していた書籍は多くありましたが、
本書では、それらの動きを様々な角度から洗い出し、明確に描写すると共に、
相互作用する一つの大きな流れとしてわかり易く提示しています。

このような動きを通じて、膨大な物的資本が求められた工業社会よりも、
この流れの方が公平に世界中に浸透していくとしています。

新たな技術とそれに基づく新たな経済メカニズムのメリットを見据えて、
新たな価値創出に挑戦していく人、企業、国は栄えていきますし、
それらを無視・拒絶して従来の工業社会にすがる人、企業、国は衰えていくということです。

日本にいると気付きにくいのですが、
アメリカでは個人が大企業並みにビジネスを行うことの出来るソフトウェアが無料で使えるそうです。

このような流れをみると、価値を生み出すための考え方・方法などがこれまでと全く違ってくるのでしょう。
これから活躍できる人材モデルなども書かれています。
要約すれば機械やITでできることは全て代替され、
代替出来ない作業はこれから発展していく国・地域が担い、
先進国では、個人の知恵と個人間の創発だけが価値を生むということです。

なお、邦訳版出版にあたり、第二部が上巻・下巻にまたがってしまっています。お気をつけ下さい。

第二部まで読み進めると、個人としてこれらの変化をどう活用していったらよいかがわかります。
これらの変化を無視・拒絶するのではなく、上手く使っていくことが幸せにつながると思います。

ヨーロピアン・ドリーム/ジェレミー・リフキン



★★★★

EUに抱くまさにドリーム

アメリカン・ドリームは終焉し、
変わってEUを中心とするヨーロピアン・ドリームが到来する、
到来して欲しい、到来しなければならない、と説いています。

EUの考え方や方向性については非常に期待を持つことのできる内容でしたが、
一方でEUの素晴らしさとUSの酷さを比較している部分が大半を占めており、
著者の思想ありきで書いているな、という印象は拭うことはできませんでした。

また、東洋の儒教・道教・仏教の引用をしてEUの可能性を高めようとしていますが、
日本人としては、ちょっと東洋思想を美化しすぎかなと思いました。

更に最終章については、EUの成功可能性についてかなり議論が弱くなっており、
現実による論証よりも、むしろ願いとなっています。

本書を読んでの感想を最後にひとつ。
アメリカン・ドリームを否定する本であるにもかかわらず、
アメリカ人の中にもこのような発想をする人がいること、
日本語に翻訳される程度に売れてしまうこと、
良くも悪くもアメリカは自由の国であり本人の実力次第であること、
を強く思わされました。

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