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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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荀子/内山俊彦



★★★★★

儒教・儒家の存在意義そのものを考えさせてくれる良書

本書はタイトル通り「荀子」についての解説書ですが、
文書書のものよりもその背景にある思想について深く鋭く切り込んでいます。
また「荀子」の前である、孔子・孟子から、秦漢時代の儒家まで、
いわゆる儒教についての歴史的思想的変遷についても切り込んでいます。

読後の感想としては、「儒教・儒家は必要だったのか?」です。
春秋戦国時代においては、復古主義を唱えるだけで、現実に全く対応できず、
秦漢以降の時代には、王朝に媚びへつらい、王朝の不当な正当化手段に堕してしまう、
また、それにより得た権力で、他の諸子百家・思想を不当に貶め、また歪めています。


韓非子」も読みましたが、儒家よりはよほど現実的かつ適切です。
荀子が「礼」という儒教のイデオロギーありきで
演繹的に理屈をこねて現実となんとか辻褄を合わせようとしたのに対し、
韓非子が、荀子の門下でありながら、
冷徹に現実を見極め「法治」を説いています。

まあ荀子よりも韓非子の方が後代ですので、
単純に比較して優劣を決めるのは酷ではありますが。

一方で、儒教のイデオロギーありきではありますが、
人の心の本質については、紀元前であるにもからわず、
現代心理学とそれほど変わらないぐらいの探求がされています。
この点は評価に値すると思われます。


また、聖徳太子の十七条憲法にも儒教のエッセンスは入っていますが、
あくまでも枝葉であり、日本元来の神道、初めての外来宗教である仏教のおまけ程度です。
この観点から聖徳太子およびその時代の日本の天皇含めた為政者たちは、
儒教の功罪を見抜いていたのではないか、と推察したくなります。


儒教・儒家に対する上記「儒教・儒家は必要だったのか?」への個人的な回答は、
現代においては不要、特に日本では全く不要、むしろ権力者に利用される弊害の方が大きい、
春秋戦国時代においては、韓非子で完成する統治制度のあり方への一要素として必要、
というものかと思います。

なぜ、今なお日本において儒教・儒家・孔子の人気があるのか、全く理解できません。

儒教・儒家に関する書籍を読むのは、本書で最後にしたいと思います。


最後に、本書の評価は「荀子」そのものよりも、著者の解説の素晴らしさに対してです。
中国古典は、それぞれの熱狂的な信奉者による解説がされがちですが、
著者は、批判的な視点をもちながら、
かつ歴史的視点(時代背景など)・哲学的視点(本質的原理など)も踏まえて解説しています。
単なる文章の解説よりも、よほど役に立ちました。



呉子/尾崎秀樹



★★★★★

思想は「孫子」、実践は「呉子」かな。

春秋戦国時代において実際に軍を率いて戦い、
76戦64勝12引分けという偉業を成し遂げた実績のある呉子の書です。

短い書物ではありますが、
実際に戦い実績を残したが故に、
内容は非常に濃くかつ実践的なものとなっています。

「孫子」が思想編・基礎編・教科書だとすれば、
「呉子」は実践編・応用編・問題集という位置付けでしょう。
何れかに優劣をつける類のものではないと思います。

戦略を学びたい方は、併せて読まれることをお勧めします。


権力とは何か―中国七大兵書を読む/安能務



★★★★★

権力=秩序

初めに「権力」は「秩序」であった。
そして究極的にも、やはり「権力」は「秩序」である。
権力は「法」に保障されて存在し、秩序は「制度」に支えられて存続した。
制度は権力の表徴で、権力者はその表徴の具現である。
単なる標識で「交通信号」のようなものだ。

上記は、本書最後での著者によるまとめです。

老子から始まり、
春秋戦国時代に生まれ現在でも通用する乱世での思想・哲学に基づいて、
権力とは何か、その存在意義は何か、その正当な根拠は何か、如何に使うべきか、などを
時代に沿いつつ、時代背景を踏まえながら解説し、
最後に韓非子にたどり着きます。

中国には古来より絶対的な一神がおらず、つまり絶対的な権力が存在せず、
すべてが「陰」と「陽」相互補完と相互天下で成り立っている混沌の世界であり、
それゆえ権力が相対的なものとなり、権力争いが途絶えなかったことから、
春秋戦国時代の550年間を費やして、権力について議論され収斂してきたそうです。
ですので、チャイナでは一神教である西洋とは権力の概念が異なるようです。


日本にそのまま当てはめることはできませんが、学ぶべきことは多くあると思います。
既得権益・利権などで腐り切った日本の政官財トライアングルについて、
紀元前後の思想・哲学がはっきりとその原因・弊害・解決方法を示しています。

権力は制度に依拠し
(全ての権力に自前のものはなく、全て制度からの借り物)、
それゆえ権力を手にしたものは驕ってはならず、
「礼」を尽くさなければならない。
その「礼」は君が臣に、将が兵に尽くすものである。
また権力の要諦は「信賞必罰」であり、
その正当性により「権力」が民によって正当性が承認されるものである。
そして、その根幹は「隗より始めよ」です。

権力を持つものがこれに少しでも反すれば、国は滅亡します。
日本の権力者・支配者層はこれを学んで実践すべきですし、
日本国民もこれを読んで権力の正当性を監視すべきですね。


老子道徳経
兵法七書(孫氏・呉子・尉繚子・司馬法・李衛公問対・六韜・三略)
管子・商君書・韓非子など
様々な古典を引用しながら解説されていますので、
中国古典、その位置付けを知る上でも有益です。


超限戦 21世紀の「新しい戦争」/喬良 王 湘穂 Liu Ki



★★★★★

孫子兵法に基づく戦術論21世紀バージョン

世界がグローバル化し、テクノロジーが発展し、
戦術の選択肢や先端化など、様々な戦術のあり方が発展・進化しています。

しかし、本書を読み終えたときに、
本書は『孫子兵法』の大戦略に基づく戦術書21世紀バージョンではないか、
と思いました。

本書の帯には、
「米国がいまだ研究し続ける中国戦術論の原点」
「ハイブリッド戦はこの1冊から始まった」
といった仰々しいタイトルが付いていますが、

『孫子兵法』をある程度学んだ者からすれば、
また、『孫子兵法』と他の西洋戦略論との比較をした者からすれば、
先ずは、真剣に『孫子兵法』をしっかりと理解した方がいい、とアドバイスしたいと思います。

『孫子兵法』をそれなりにしっかりと理解していれば、
本書は確かに驚愕すべき内容ではあるのですが、
「なるほど。21世紀の世界では孫子兵法の大戦略をこのように戦術レベルで使えばいいのか」
という感想になると思います。

上記の感想にならなければ、『孫子兵法』の理解・研究・学習が足りないと言わざるを得ません。
西洋では、まだまだ『孫子兵法』について、表層的な理解、キーワードレベルの理解にとどまっているようです。
『孫子兵法』をろくに理解せず、クラウゼウィッツの『戦争論』が最高の戦略書だと言って憚らない学者もいます。
これでは、世界覇権を虎視淡々と狙い、隙あれば食い込んでくるチャイナには対抗しきれません。

『孫子兵法』を正しく理解するためには、
デレク・ユアン氏著『真説ー孫子』が最も有益です。
ただし、全く『孫子兵法』を知らない方には、基礎知識が必要かと思いますので、
浅野裕一氏著『孫子』、金谷治氏著『老子』がおすすめです。
※老子をおすすめする理由は、中国における孫子との思想・哲学面での関連が深いからです。

中国戦略戦略“悪”の教科書/上田篤盛



★★★★★

チャイナの超限戦を「兵法三十六計」でわかりやすく解説

著者も本書で述べていますが、悪の教科書などではなく、
国家間の国益がぶつかり合う国際政治の舞台において、
チャイナが如何に超限戦を駆使しているか、それも日本に対して駆使し続けているか、
を「兵法三十六計」を題材にして、わかりやすく解説しています。

「兵法三十六計」だけでなく「孫子の兵法」などチャイナの古典は、
日本ではとかくチャイナ古代思想として専ら紹介されることが多く、
本書のように、生きた戦略論・兵法書として紹介されることが先ずありません。
この観点からだけでも、本書は「兵法三十六計」の本来の活用法をありありと提示してくれています。

また、「兵法三十六計」の各計の由来とされる故事と、
現代のチャイナの超限戦が併記されていることで、
各計をより理解することができるとともに、現代のチャイナの戦略も理解できるという、
ダブルで役立つ本になっています。

更に、著者が元防衛省情報分析官という方であることから、
現在のチャイナが「孫子の兵法」や「兵法三十六計」だけで戦略を練っているわけではない、
一方で、「孫子の兵法」や「兵法三十六計」の実践レベルに詰めの甘さが見受けられるところがある、
など、示唆に富んだ情報も提供されています。

世の中には根拠の乏しいチャイナ脅威論や、反対のチャイナ楽観論が溢れかえっていますが、
本書を読めば、決して侮ってはいけない国であることは間違いないと思います。

むしろ本書にあるようなチャイナの戦略に対して、何ら対策を講じていない日本に危機感を覚えます。
・北朝鮮による日本人拉致被害事件に代表されるように日本は自力で自国民すら守れません
・敗戦国の占領基本法である日本国憲法すら戦後70年以上経っても改訂できません
・国家安全保障戦略がありません。そもそも国家安全保障よりも利権や経済を優先しています
・国家安全保障のための法整備が脆弱です(スパイ防止法、セキュリティクリアランス法など)
・反日野党が放置されているのは論外ですが、与党内にも反日国家に媚びている議員はいます
・国民を自力で守り抜くための軍隊・諜報機関すら持っていません(自衛隊の編成は米軍支援目的)
・自衛隊は強いそうですが、あくまでも演習でのことであり、実戦経験はゼロなので戦力値は不明です
・国内・海外で行われている捏造反日プロパガンダに対して何ら対抗策が打ち出されていません

孫子の兵法に「彼を知り、己れを知れば、百戦して殆うからず」があります。
本書で、チャイナの戦略を理解するとともに、別途日本のお花畑度合いを理解した上で、
チャイナが日本に手を出せないくらいの物理的・精神的な抑止力を確立することが急務だと思います。
同じく孫子の兵法に「戦わずして人の兵を屈する」があります。これを上手く使いたいものです。

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