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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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リバタリアニズム読本/森村進



★★★★★

個人の自由がどれだけ大切なものか、覚醒させてくれました

本書は興味深い構成になっています。
・社会の様々な課題についてのリヴァタリアニズムにおける解釈のあり方
・主要なリヴァタリアン30名による主著の紹介・抜粋と解説
・古典的なリヴァタリアン数名による主著の紹介・抜粋と解説
リヴァタリアン・リヴァタリアニズムについて、広く知ってもらおうという意図かと思います。

様々なリヴァタリアンの主張などを比較していることにより、
リヴァタリアニズムの中核と、様々なヴァリエーションがあることがよくわかります。

それぞれのリヴァタリアンによる著作を読んで得られるほど深い情報は当然ありませんが、
それでも得られるものは少なくないと思います。

様々なリヴァタリアンの主張などを比較していることにより、
リヴァタリアニズムの中核と、様々なヴァリエーションがあることがよくわかります。

リヴァタリアン・リヴァタリアニズムを知りたい方々には、良書だと思います。


本書を読んで感じたことは、
個人の自由がどれだけ大切なものか、それを権力から守ることが如何に重要であるか、
日本においては、個人の自由がどれだけ蔑ろにされているか、
です。

特に日本では、国土、国家権力、歴史・文化・伝統、社会、個人の位置付けや関係について、
明確に切り分けないようにしている印象があります。

当然、これらについては、相互に関連してはいますが、
敢えて整理しないようにしている感もあります。

それによって、個人の自由が埋没し、
個人の自由について真剣に語ることができなくなっているようにも思えます。

しかも国家権力が意図的にそのようにしているようにも思えます。

本書を読むと、日本は社会主義だな、と思わざるを得ません。

しかも、国民が自由を謳歌するための手段に過ぎない国家権力が、
政官業を中心とした癒着・既得権益で勢力を拡大させ続け、支配層となり、
国民の自由を奪っているとしか思えません。
リヴァタリズムによれば国民の奴隷化推進のための福祉政策・福祉国家化についても、
この連中は、奴隷化に止まらず、そこから天下り・補助金・キックバックなどで、
ここぞとばかりにに国民から自由を奪っています。
しかも、福祉政策などの維持のために、財政を理由として増税するなど、
何重にも国民の自由を奪っています。
それも、政官業が一体となって国民に嘘の情報を流し、無理やり国民に信じ込ませるという、
洗脳まがいの手段を駆使して、国民の自由を奪っています。

さらに、
日本の保守勢力は個人の自由よりも国家を重視する傾向があり、
かつ自分たちの都合の良い国家観や歴史・伝統・文化の解釈で、個人を縛ろうとします。
一方でリベラル勢力はほとんど反日勢力と化していますので、
日本人の自由(リベラル)を蝕んでいるとしか言いようがありません。
このように、
国民の自由を大切に守り、国民の自由を重視した政策を打ち出し・実行している政党は
日本に存在しません。

これでは、日本は隣の共産主義国家と似たり寄ったりと言わざるを得ません。

ですので、今の、そしてこれからの日本人にとっては、
リヴァタリアニズムの発想・考え方が非常に重要になるはずです。

個人的には国家権力は、
夜警国家(国内の治安維持:警察・消防など)、国外からの外敵排除:外交・国防など)
に加えて国民の最低限の生活保障だけに制限し、
それ以外は、国家権力から切り離したほうがいいと思います。

さらに、国家権力独占が故に自然に劣化・腐敗することが必然である
立法・司法・行政も適切な競争環境に置いて、
サービスレベルを向上させたほうがいいと思います。
例えば、
行政は上記に制限された国家権力以外は、
地方に任せる、地方自治体すら可能な限り民営化させる
司法は民営化して競争させることで、
国民が裁判時に選択肢を持つことができるようにさせる
立法は国民の自由を阻害している法律を減らすことを主目的とし、
そのような法律をどれだけ減らせたかで勝負する
もしくはそのような法律を無効にする法律の立法をどれだけ行ったかで勝負する
などがいいのではないか、と思います。

このようにすれば、
既存の大半の国家権力期間や傘下機関は不要になるので廃止できますし、
その分、政官業の既得権益が弱体化し、少なくなります(ゼロにはならないと思いますが)ので、
相対的に個人の自由は拡大させることができるでしょう。

そうなれば、日本を好きになる、日本で生きていきたい国民も増えるのではないでしょうか。
また、国家権力は嫌いでも、日本は好き、という国民もでてくるのではないでしょうか。
そして、個々の国民の自由に基づいて、好き好きに歴史・伝統・文化、社会を大切にできるのではないでしょうか。

一方で、国際関係上、
日本国民の自由を大切にするためには、日本という国が強くなければなりません。
国防の観点からはもちろんですが、経済的にも、精神的にも強くなることが必須です。
また、日本という国、日本人が世界にとって必要不可欠であることも必須です。
その原動力は、国民の自由をどれだけ大切にし、自由を拡大できるか、だと思います。
そして、個々の日本人が、自らの自由を自らの意思で駆使して、
自分にしかできないこと、日本人にしかできないこと、を創造し、推進して続けていくこと、だと思います。

国民の自由によって日本という国が強くなり、強くなった日本が更に国民の自由を拡大させる、
という良いスパイラルが求められるのではないか、と思います。


リバタリアニズム/渡辺靖



★★★★

アメリカのリヴァタリアニズムがかなり幅の広いものだとわかりました

アメリカのリヴァタリアニズム・リヴァタリアンについての現地ルポ的な記述になっています。
著者自身が様々なリヴァタリアンと接触し、生の声を聞いたものなどを、そのまま記述しています。

リヴァタリアニズムは自由市場・最小国家・社会的寛容を中核とはしているものの、
リヴァタリアン個々人によってこれらそのものにも重要度やプライオリティに違いがあり、
また安全保障・宗教・貧困など個々の政策レベルでは様々な考え方の違いなどもあり、
かなり幅広い思想・主義になっていることがよくわかりました。

また、共和党・民主党と比べると小さな勢力ではあるようですが、
シンクタンクがかなり存在し、また草の根での活動も活発であり、
さらにミレニアム世代が少なからず共感していることを踏まえれば、
決して政治経済的に無視できる存在ではないようです。

私自身もF.A.ハイエクやM.フリードマンの影響を受けて、リヴァタリアンを標榜していますが、
保守的な部分もあり(国家安全保障・国内治安維持は政府がしっかり関与すべき)、
リベラル的な部分もあって(個人の人権、特にマイノリティや社会的弱者は政府がしっかり守るべき)、
果たして自分自身がリヴァタリアンなのか、などど悩んでいましたが、
アメリカでも幅広い思想・主義であることがわかりましたので、
安心してリヴァタリアンを名乗ることができると思います。


なお、興味深い本ではありますが、幾つか気に入らないことがあります。
まずは、著者によるトランプ大統領についての誹謗中傷です。
リベラルメディアの表層的なプロパガンダをそのまま垂れ流しているようにしか思えません。
その一方で、トランプ大統領が成し遂げた成果・実績については、ほとんど触れられていません。

次に、ヨーロッパなどの、行き過ぎたグローバリズムへの反省から生まれたナショナリズムへの安易な批判です。
行き過ぎたグローバリズムが国民国家を破壊しているのは確かであり、
国民国家としてナショナリズムが台頭してくるのは当たり前の事象だと言えます。
著者は、このようなナショナリズムの台頭を極右化と断じるだけで、その経緯を全く精査していません。

著者は国際政治経済については、専門家ではないのだと思います。
上記のような論述をするのであれば、まず国際政治経済に精通し、現在の問題を正しく理解することが前提でしょう。
また、このようなことから、著者がグローバリスト・リベラリストだと思われても仕方ないでしょう。
本書のそこかしこから、そのような印象を抱かせるような記述もありましたので。

自由市場・最小国家・社会的寛容の立場から、
トランプ大統領の強力なリーダーシップや国民国家を守るためのナショナリズムについては、
理論ベースで反対の論陣を張っていると捉えることもできますが、
世界がバランス・オブ・パワーで均衡を図らなければならない現実世界において、
また、自由民主国民国家・グローバリズム・コミュニズム(チャイナ共産党をはじめ)の
三つ巴の覇権争いの真っ最中に、
現実を直視せずに単に反対論陣を張るのは、むしろ危険だといえるでしょう。


本書はアメリカのリヴァタリアニズム・リヴァタリアンについて興味深い内容が盛り沢山ですが、
興味のある方は上記の指摘を十分に踏まえていただいた上で、読まれることをお勧めします。

資本主義と自由/ミルトン・フリードマン



★★★★★

名著とはこういう本のことを言うのでしょうね

1962年初版の本書を2019年の今、読み直してみました。
60年近く昔の本になります。


全く古びていないどころか、
日本の「失われた30年」の本質的な病根を抜本的に治療する処方箋が、
極めてロジカルに書かれています。

また、私が日本で経済政策について唯一信頼している
数量政策学者の高橋洋一氏が解説を書かれています。

本書を読むと、日本経済の本質的な病根は政府を含めた行政の権力の集中と肥大化にある、と集約されそうです。

例えば、日銀による金融緩和をする、しない、で揉めていますが、
そもそも日銀なんかに権力を集中させ、金融政策の裁量権を握らせ独裁化させていること自体が問題だとわかります。
本書によれば、金融政策のルールを法制化し、それに従った運用だけを日銀にやらせれば済む話です。
例えば、失業率が高くなったら緩和、賃金が上昇するまで緩和、一般物価が上昇しすぎたら引き締め、などです。
そうすれば、日銀人事ごときで日本経済が右往左往させられることはなくなります。

また、財務省がよく国民を騙す手口として使う財政健全化ですが、
そもそも補助金を政官業の利権獲得・維持のために使っていること自体が問題だと思います。
政治家は選挙当選のため、官僚は権限と天下り先確保のため、企業は自由競争回避のため、です。
本書によれば、そもそも国や地方自治体は市場を歪めるような補助金の支給を一切やめれば済む話です。
どれだけこのような補助金があるかは知りませんが、全て止めれば財務省の言う財政健全化はできるでしょう。

あと、今なら長期国債がマイナス金利ですので、
高橋洋一氏が言われるように、100兆円ぐらい国債を発行して金利を受け取りながら財政出動するのもありでしょう。
借金して儲かるんですから、財務省が論理的に反論できる余地はないでしょう。
やれないのであれば、政府が無責任だということになるでしょう。

なお、教育や福祉でどうしても国や地方自治体が関与しなければならない場合は、バウチャー制度を利用すべきです。
利用者に直接バウチャーを支給し、利用者が自由に気に入った機関を利用すればいいだけのことです。
教育・福祉の受益者は教育・福祉機関ではないので、利用者が自由に選択でき、提供者に自由競争させるべきです。
教育機関や福祉機関に補助金を支給するので、これらが既得権益化し質も生産性も上がらなくなるのです。

他にも様々な処方箋がありますが、本書と現在の日本を比較して、ひとまず主なものを挙げてみました。


あと、フリードマンでよく誤解されがちなのは、市場任せにしすぎているということでしょうか。
これに対してフリードマンは、
政府は何もしなくて良いわけではなく、自由市場が上手く回るためのルールとモニタリングはすべきと言っています。
主なものとして、反トラスト法(≒日本の独占禁止法)などによる自由市場機能の秩序維持は政府の仕事としています。

また、自由資本主義経済の副産物である格差について冷淡だという誤解もあるようです。
これに対してフリードマンは、
一生懸命仕事をしている人と遊んでいる人が同じ報酬の方が不平等だと切り返しています。
また社会主義の方が格差が大きくなると当時のデータに基づいて解説しています。
さらに、特に似非ケインジアンは隠蔽しますが、
今で言うベーシック・インカムを負の所得税として本書で提唱しています。


本書の一言一句全てについて賛同するわけではありませんが、
戦略を描けない政府、選挙しか考えない政治家、保身しか考えない官僚、既得権益の維持しか考えない財界
が日本を腐らせ、今のような体たらくの原因を作っていると思われます(例外はいるでしょうが圧倒的少数でしょう)。
皆、日本の将来よりも近視眼的な自身の利益しか考えていません。

経済がこのような状態では、外交も安全保障も言わずもがなです。
このまま放っておくと、いずれアメリカからも見放されるでしょう。
お隣の半島南半分を笑っていられる状況ではありません。

少し前に、日本に警鐘を鳴らした某アパレルメーカーのCEOがいましたが、
そのCEOとて、日本の将来よりも近視眼的な自身の利益しか考えていないという点では、同じ穴のムジナです。

この体たらくを少しでも打ち破るために、本書は役に立つと思われます。

最強の経済学者ミルトン・フリードマン/ラニー・エーベンシュタイン



★★★

フリードマンの著作を一冊読んだほうがよい

フリードマンの伝記的な書籍です。フリードマンの生涯をさらっと押さえるのには良いと思いますが、これでフリードマンの思想が理解できるわけではありません。

フリードマンを理解したいのであれば、彼の著作を一冊でも読んだほうがよいでしょう。

新しい経済学/西山千明



★★★★★

日本発の経済学

老子、荘子、禅などの思想を取り入れて独自に生成した日本文化の中核をつまびらかにし、
それを上手く活用して自由市場経済を乗り切るための方法を説いています。

主たる内容は、自律した人材を資本として位置づけ、
それらの自己研鑽、他者とのチームワークによる切磋琢磨、企業間のコラボレーションを重視し、
それによって自発的な創発を生成すべきというものです。

これらの内容はビジネス書籍ではかなり書かれていることですが、
経済学者が経済学的に検証しているということと、それを日本の伝統文化と繋げていることに価値があります。

また、日本の文化を活かすといっても、封建主義や終身雇用は適切に否定していますので、
安易な日本特殊論に陥っていないことも価値ありです。

更に、自由市場経済においての企業の意義は、
自由市場経済メカニズムと同じことを、それよりも上手く行うことであると述べています。
ハイエクらの説く自由市場経済と企業が行う命令統制との間にかなりのギャップを感じていましたが、
本書でそれがある程度解消できたことも有益でした。

たまたま手にとってみたのですが、非常に得るものがありました。

著者解説(wiki):西山千明

自由はどこまで可能か/森村進



★★★★★

リバタリアニズムの優れた入門書

本書は、
各種の経済思想・政治思想におけるリバタリアニズムの位置づけ、
リバタリアニズムという名称を使用していて実はそうでないものの提示、
リバタリアニズムの中にも様々な根拠や位置づけがあること、
著者の位置づけを明確にしたうえでの各リバタリアニズムの特徴の解説、
現在のリバタリアニズムに欠けている時間を越えた個人の自由(将来世代)や、
人間という種を超えた動物個体が権利として持つ自由、
などについて簡潔に解説しています。

また法哲学者として、経済主体のリバタリアニズムとは異なった有益な視点も与えてくれます。

更に参考文献も充実しています。

入門書としては相当優れた書籍だと思います。

著者解説(wiki):森村進

「小さな政府」を問いなおす/岩田規久男



★★★★★

素晴らしい本です。

最近の新書はレベルの低いものが多いので敬遠していましたが、
本書は見事に裏切ってくれました。

国民全体が何らかの恩恵を受け取ることができ、
かつ実証されている唯一の思想である「自由主義」に基づいて、
昨今の政治経済を見事に論じています。

しかも、新書にありがちな表層的・断片的な内容ではなく、
しっかりした内容を簡潔にわかりやすく述べています。

これからの政治経済を考えるために、
また政治経済に関する言説の妥当性を検証するために、
本書は必読だと思います。

ハイエク-自由のラディカリズムと現代/エイモン・バトラー



★★★★★

ハイエクの自由主義哲学のコンパクトな要約

本書は、ハイエクの奥深く幅広い自由主義哲学をコンパクトに要約していると思います。
また、特定の領域に限定せず、社会科学全般に対するハイエクの考え方を紹介しています。
更に、ハイエクが自然科学と社会科学の双方に精通しているが故の深い洞察も見えてきます。

特に、現在の社会科学のあり方についての事実を踏まえた警鐘については得るものが多くあります。
社会科学において、本来科学とはいえないものを「科学主義」として批判し、内容を列記していますので、
社会科学における理論や実験結果について、信頼できるものか否かの優れた判断材料を提供してくれます。

なお、ハイエクの哲学が老子と共通点が多いことがわかったのは、想定外の収穫でした。

ハイエクの経済学/G・R・スティール



★★★★★

重要なハイエク考察

本書は、ミルトン・フリードマン曰く、
「ハイエクの研究の最も包括的にして徹底的な考察」とのことです。

ハイエクの幅広く奥深い研究内容について、
マルクスをはじめとする社会主義経済学者、ケインズをはじめとする均衡主義経済学者などとの比較をしながら、
ハイエクの考察が、如何に現実を直視しているか、如何に人の特性を中心としているか、
について解説しています。

実際にビジネスの世界で活動している者として、また人と経済・社会との関係のあり方に興味のある者として、
ハイエクの考察は他の経済学者とは異なり、実用性の高いものだということが再認識できました。

ハイエクは日本(の経済学界?)ではあまり人気がないためか、
他の経済学者と比べると入手可能な書籍が少ないため、本書のような書籍でハイエクの思想・哲学を理解するしかないのですが、
そのような状況であるが故に、本書は価値ある1冊だと思います。

本書を読んで、ハイエク自身の著書に更に触れてみたいと思いました。

ハイエクのポリティカル・エコノミー/スティーヴ・フリートウッド



★★★★

ハイエクの思考フレームに対する分析

本書は、ハイエクの唱える自由主義哲学そのものについての分析ではなく、
その背景にある思考フレームについて、
著者が捉えている存在論・認識論のフレームに基づいた分析です。

従って、ハイエクの自由主義哲学の内容そのものを吟味したり、
代替案を提示したりしているものではありません。

著者のアプローチが学術的にどのような位置づけと役割を果たしているのかはよくわかりませんし、
本書で展開されている分析が著者のアプローチありきのものですので、分析が適切なものかもよくわかりません。

しかし、この分析を通して浮かび上がってくるものは、
結果としてハイエクの洞察の深さを改めて光らせるものです。
社会全般について個々の学問領域にいたずらに分解せずに社会そのものを捉えてようとしていることや、
あくまでも人を中心とした社会のありようを洞察しようとしていることや、
当時の認知心理学を積極的に採用することで、今日の神経科学にまでうまくつながるような基礎を与えていることがわかります。

ハイエク哲学の深さを再認識させてくれるものとなっています。

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