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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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哲学として読む老子 全訳/山田史生



★★★★★

本書でようやく「老子道徳経」の本質が理解できたような気がします。

これまで「老子道徳経」の解説書関連書は何冊か読んでいました。
荘子と合わせて、世俗を離れて隠遁生活を送るような印象を持っていました。

ただ、良質な「孫子」や「韓非子」などの解説書を読み、
これらによる兵法のあり方、法治国家のあり方の源流に
「老子道徳経」が多大な影響を与えていることを知り、
上記印象は間違っているのではないか、と思うに至りました。

で「老子道徳経」の良質な解説書を探しているうちに、本書を知りました。
Amazonではレビューがまだなかったので(2021/2/11時点)、
一抹の不安はありつつも購入しました。

タイトルが「哲学として読む」とありますので、
何やら、こ難しいことで埋め尽くされているかと感じましたが、
読み始めると、一気読みしてしまいました。
ページをめくる手が止まりませんでした。


本書の特徴を挙げると以下のものになると思われます。

最終目標:
・「老子道徳経」における一貫した本質を探り出す
達成手段:
・「老子道徳経」の一言一句に至るまで論理的・批判的に解説する
・他の「老子道徳経」解説本と比較・批判しながら自説を展開する
・著者の思考方法・論理展開がわかるような書き方で、読者にも考えてもらおうとする
※ここでいう「批判的」は批判のための批判ではなく、本質を探り出すための思考方法です
結論:
・自然法則に従ったマネジメント理論
(個人レベル〜国家レベル)
・自然法則の成り立ちに創造主は不要
(創造主を持ち出す解説書が多いようです。西洋かぶれかな?)

本書を読むことで、ようやく「老子道徳経」の本質が理解できたような気がします。
と同時にこれまで読んできた「老子道徳経」の解説書・関連書で抱いてきた印象が間違っていることもわかりました。
さらに、「孫子」や「韓非子」などの源流に「老子道徳経」がある理由もわかりました。
非常にスッキリしました。


なお初歩的な自然科学(物理学など)の知識を学んでいたので、
著者の論理展開についていくことができました。
やはり思想・哲学というものを正しく理解するためには、
自然科学の知見を積極的に取り入れることが重要だと再認識しました。

タイトルの「哲学として読む」の「哲学」が如何なるものかはわかりませんが、
私には「自然科学の知見と論理的思考で老子の本質を捉える」の方がしっくりします。

久しぶりに、思いっきり頭を使いながら読む本に出会うことができました。
この観点でも本書に出会えたことは貴重な体験でした。


欲をいえば、歴史学的考察も欲しいです。
古代王朝崩壊〜春秋戦国時代〜秦始皇帝による統一国家誕生という、
時代の流れ・時代背景、そこでの歴史的トピックなどを踏まえた上での、
「老子道徳経」誕生の必然性・意義・影響などについてです。
歴史学的考察による解説によって、更に理解が深まると思いますので。

もちろん、これは著者の専門外だと思いますので、
この時代に精通した方による解説が欲しい、ということです。


「老子道徳経」について、
・非常に興味のある方
・一貫した本質を探求したい方
・本質についてご自身でも考えたい方
・既出の解説書を読んでもモヤモヤされている方
にはおすすめの本です。

値段は決して安くないですが、
上記の方々にとっては値段以上の価値はあると思います。


老子/金谷治





一通りの解説はあるが、老子の一貫した思想を捉えることは難しい

老子道徳経における、それぞれの文章についての解説がありますので、
それはそれで著者の解釈として参考にはなりますが、
老子道徳経のおける、一環した思想・哲学については本書では理解できません。

また、何かと孔子・論語と比較しているのですが、
少なくとも老子は孔子と対等に比較するような浅薄なものではありません。

更に、老子は春秋戦国時代の諸子百家に多大な影響を与えている思想・哲学の原点ですが、
多大な影響を与えている原点となるぐらいの凄さ・その原因などについての解説はありません。

あと、春秋戦国時代という中国大陸において最も激しい時代に生まれた思想・哲学ですので
少なくとも、時代背景や時代のうねりを踏まえた上、で解説してほしかったと思います。

本書を読む前に「韓非史」「孫子」「荀子」などの
優れた解説書を読んでいましたので、
本書が非常に浅い解説書のように思えてなりません。

なお、評価は著者の解説に対するものであり、老子道徳経へのものではありません。


荀子/内山俊彦



★★★★★

儒教・儒家の存在意義そのものを考えさせてくれる良書

本書はタイトル通り「荀子」についての解説書ですが、
文書書のものよりもその背景にある思想について深く鋭く切り込んでいます。
また「荀子」の前である、孔子・孟子から、秦漢時代の儒家まで、
いわゆる儒教についての歴史的思想的変遷についても切り込んでいます。

読後の感想としては、「儒教・儒家は必要だったのか?」です。
春秋戦国時代においては、復古主義を唱えるだけで、現実に全く対応できず、
秦漢以降の時代には、王朝に媚びへつらい、王朝の不当な正当化手段に堕してしまう、
また、それにより得た権力で、他の諸子百家・思想を不当に貶め、また歪めています。


韓非子」も読みましたが、儒家よりはよほど現実的かつ適切です。
荀子が「礼」という儒教のイデオロギーありきで
演繹的に理屈をこねて現実となんとか辻褄を合わせようとしたのに対し、
韓非子が、荀子の門下でありながら、
冷徹に現実を見極め「法治」を説いています。

まあ荀子よりも韓非子の方が後代ですので、
単純に比較して優劣を決めるのは酷ではありますが。

一方で、儒教のイデオロギーありきではありますが、
人の心の本質については、紀元前であるにもからわず、
現代心理学とそれほど変わらないぐらいの探求がされています。
この点は評価に値すると思われます。


また、聖徳太子の十七条憲法にも儒教のエッセンスは入っていますが、
あくまでも枝葉であり、日本元来の神道、初めての外来宗教である仏教のおまけ程度です。
この観点から聖徳太子およびその時代の日本の天皇含めた為政者たちは、
儒教の功罪を見抜いていたのではないか、と推察したくなります。


儒教・儒家に対する上記「儒教・儒家は必要だったのか?」への個人的な回答は、
現代においては不要、特に日本では全く不要、むしろ権力者に利用される弊害の方が大きい、
春秋戦国時代においては、韓非子で完成する統治制度のあり方への一要素として必要、
というものかと思います。

なぜ、今なお日本において儒教・儒家・孔子の人気があるのか、全く理解できません。

儒教・儒家に関する書籍を読むのは、本書で最後にしたいと思います。


最後に、本書の評価は「荀子」そのものよりも、著者の解説の素晴らしさに対してです。
中国古典は、それぞれの熱狂的な信奉者による解説がされがちですが、
著者は、批判的な視点をもちながら、
かつ歴史的視点(時代背景など)・哲学的視点(本質的原理など)も踏まえて解説しています。
単なる文章の解説よりも、よほど役に立ちました。



呉子/尾崎秀樹



★★★★★

思想は「孫子」、実践は「呉子」かな。

春秋戦国時代において実際に軍を率いて戦い、
76戦64勝12引分けという偉業を成し遂げた実績のある呉子の書です。

短い書物ではありますが、
実際に戦い実績を残したが故に、
内容は非常に濃くかつ実践的なものとなっています。

「孫子」が思想編・基礎編・教科書だとすれば、
「呉子」は実践編・応用編・問題集という位置付けでしょう。
何れかに優劣をつける類のものではないと思います。

戦略を学びたい方は、併せて読まれることをお勧めします。


春秋戦国志(上中下巻)/安能務



★★★★★

著者の「韓非子」をベースにした春秋戦国時代の物語(逆かも知れません)

上巻の最初半分までは正直全く面白くなかったです。
読むのをやめようかとも思いましたが、
せっかく買ったのだから一応続けて読んでみようと思いました。
そしたら、上巻の後半から中巻を経て下巻の最後まで一気読みするぐらい面白かったです。

著者の「韓非子」を読んでいましたので、
「韓非子」で登場するエピソードが、時系列で物語仕立てで書かれてありましたので、
「韓非子」の理解にも非常に役立ちました。

チャイナの歴史については、この時代が個人的には最も興味深いですし、
またチャイナの共産主義以外の思想は、この時代にほぼ出尽くしていますので、
二重の意味で楽しむことができます。
また西暦前のこの時代に、西洋のルネッサンス以降と同じように近代化しながらも、
その後退化して現在に至っていますので、この時代が色んな意味で最も参考になります。

また最後は当然、秦の始皇帝で終わるのですが、
かなり物語が圧縮されていますので、始皇帝に興味がある方は、
著者の「始皇帝」を読まれることをお勧めします。
こちらもKingdomとは違った意味で面白いです。

一度読んだだけでは、吸収しきれませんので、
「韓非子」「春秋戦国志」「始皇帝」を読み回しながら、
少しずつ理解を深めたいと思います。


韓非子(上下巻)/安能務



★★★★★

老子が理想を描き韓非子が具現化したマネジメント体系論

韓非子は、冷酷無情な法家の書だと勝手に思い込んで、
これまで手に取ることはありませんでした。

しかし、本書を読了すると、
その思い込みが如何に間違っていたかを思い知らされました。

韓非子は、老子が理想を描いたマネジメントのあり方を、
法治国家のあり方として具現化したものであることが、
はっきりと理解することができました。

老子の「道」を「法」で具現化したということです。

まだまだ読み込みが足りませんが、
韓非子が狙いとしていた国家統治はもちろんのこと、
企業・組織のマネジメントにも十分に活かすことができると思います。
むしろ凡百の政治理論・マネジメント理論に関する書籍を読むよりも、
韓非子を熟読した方が遥かに役に立つと言っていいでしょう。

更には、私のコンサル時代の師匠(勝手にそう思っているだけ)であった、
P.F.ドラッカーの主要なエッセンス(イノベーション除く)が、
紀元前に著された韓非子に全て書かれています。
韓非子をコンサル現役時代に読んでいれば、
もっと優れたサービスをクライアントに提供できたのではと、
反省しきりです。

なお、韓非子のイメージを悪く歪め、歴史改竄ともいえることをしたのは、後の儒家です。
韓非子は孔子が語った復古主義を徹底的に批判していたのが理由だと思います。
ただし、その批判は正当なものであり、後の儒家による歴史改竄は逆ギレでしかありません。
時代と環境が変われば当然、統治方法も変えねばならないのに、
単に復古を理想として唱えることは、むしろ弊害の方が多いでしょう。
また孔子が復古の理想とした堯舜殷周の王朝も、
権謀術数で自国を興し、他国を滅ぼしています。

韓非子からみれば、
孔子・儒家は時代に合わない妄想を抱き、
理想とされる国家・君主・宰相などの言動の中から自分たちの都合の良いところだけを抜き出し、
それをさも統治の王道であるかのように拡散し、無能な君主・宰相などをを惑わすことで、
むしろ国家統治を困難にし、民を苦しめている、邪道だということなのでしょう。

あと著者曰く、
巷に出回っている韓非子に関する書籍などは、
後の儒家によって改竄されたもの、それをそのまま受け止めて解説したもの、
がかなり多いとのことです。
比較をしていないのでなんとも言えませんが、その可能性は十分にあるかもしれません。

あと、著者がどのような経歴の方かは存じ上げませんが、
かなり生の政治について精通しているのでは無いか、と思いました。
そうでなければ、本書のような生々しい解説はできないからです。

たまたま、数多くの韓非子本の中から著者版を選んで読みましたが、
最初の韓非子書がこの本でよかったと思います。

今後、韓非子に関する書籍を読み、比較することで、
上記の意見が変わってくるかもしれませんが、
ひとまずは著者の韓非子、それに関連した著者の書籍で学んでいきたいと思います。
守・破・離の守から始めたいと思います。


権力とは何か―中国七大兵書を読む/安能務



★★★★★

権力=秩序

初めに「権力」は「秩序」であった。
そして究極的にも、やはり「権力」は「秩序」である。
権力は「法」に保障されて存在し、秩序は「制度」に支えられて存続した。
制度は権力の表徴で、権力者はその表徴の具現である。
単なる標識で「交通信号」のようなものだ。

上記は、本書最後での著者によるまとめです。

老子から始まり、
春秋戦国時代に生まれ現在でも通用する乱世での思想・哲学に基づいて、
権力とは何か、その存在意義は何か、その正当な根拠は何か、如何に使うべきか、などを
時代に沿いつつ、時代背景を踏まえながら解説し、
最後に韓非子にたどり着きます。

中国には古来より絶対的な一神がおらず、つまり絶対的な権力が存在せず、
すべてが「陰」と「陽」相互補完と相互天下で成り立っている混沌の世界であり、
それゆえ権力が相対的なものとなり、権力争いが途絶えなかったことから、
春秋戦国時代の550年間を費やして、権力について議論され収斂してきたそうです。
ですので、チャイナでは一神教である西洋とは権力の概念が異なるようです。


日本にそのまま当てはめることはできませんが、学ぶべきことは多くあると思います。
既得権益・利権などで腐り切った日本の政官財トライアングルについて、
紀元前後の思想・哲学がはっきりとその原因・弊害・解決方法を示しています。

権力は制度に依拠し
(全ての権力に自前のものはなく、全て制度からの借り物)、
それゆえ権力を手にしたものは驕ってはならず、
「礼」を尽くさなければならない。
その「礼」は君が臣に、将が兵に尽くすものである。
また権力の要諦は「信賞必罰」であり、
その正当性により「権力」が民によって正当性が承認されるものである。
そして、その根幹は「隗より始めよ」です。

権力を持つものがこれに少しでも反すれば、国は滅亡します。
日本の権力者・支配者層はこれを学んで実践すべきですし、
日本国民もこれを読んで権力の正当性を監視すべきですね。


老子道徳経
兵法七書(孫氏・呉子・尉繚子・司馬法・李衛公問対・六韜・三略)
管子・商君書・韓非子など
様々な古典を引用しながら解説されていますので、
中国古典、その位置付けを知る上でも有益です。


始皇帝―中華帝国の開祖/安能務



★★★★★

始皇帝へのイメージがかなり変わりました

著者によれば、
始皇帝が韓非子に基づく法治国家を作ろうとし、
孔子の人治国家を却下したことから、
後の儒家達に逆恨みされ、
悪虐非道の独裁者という印象を延々と刷り込み続けてきたために、
始皇帝のイメージが極めて悪くなってしまった、とのことです。
さらに、同様に韓非子のイメージまで悪くなってしまった、とのことです。

本書では、
統一帝国を築き上げ、
500年以上続いた春秋戦国時代を終わらせ、
秦帝国を安定・維持することで民を安らかにするために、
始皇帝は必要不可欠かつな存在であったとされています。

ただし、
韓非子の掲げる法治主義の下に皇帝自身が組み込まれることに意を唱え、
法の上に皇帝自身を位置付けたことが、
秦帝国が長続きしなかった理由であったとされています。
法治国家は賛成でも、今で言う立憲君主制には反対だったと言う事です。

キングダムが話題になっており、アニメをみていましたので、
脚色を排した始皇帝の実像を知りたくなり本書を手に取りました。
著者の解釈ではあるものの(実際は誰にもわかりません)、
始皇帝の実像を知ることができたのは収穫でした。

本書に触発されて、著者の手による「韓非子」も読み始めています。
まだ読みかけで、かつ読み進めるのが容易ではない本ではありますが、
なるほど、と思わせる内容満載です。

なお、
韓非子と孫子を合わせると、
現在CCPが行っている超限戦になるのでは、と思いました。

米中戦争が既に始まっており、
またアメリカ大統領選挙に絡み米国内が混乱の極みに達していますので、
これらの情勢を理解するためにも、
韓非子・孫子は読み込んで理解しておく必要があるのではないか、と思います。

「三流は三国志を読み、二流は孫子を読み、一流は韓非子を読む」という格言があるそうです。
孫子は好んで読んでいますので、韓非子もこれからしっかり学んでいこうと思います。


平和の地政学/ニコラス・スパイクマン



★★★★★

本物の地政学というものを学ばせていただきました。

地政学に関する本は何冊か読みましたが、
本書ほど地政学について理解を深めることのできる本は初めてです。

単に地図上の地形の関係だけでなく、
国土の規模・国土の状態・国境の性質・天然資源の存在など、国土に関連する様々な状況
労働力・製造力・経済力・技術革新など、国土で行われている様々な営みの状況
民族構成・社会の統一性など、様々な社会の有り様
など、
あらゆる視点を取り込んだ総合的な国家間、地域間比較が重要であることを示しています。

また地政学は重要ではあるものの、バランス・オブ・パワーの1つの視点に過ぎないとして、
パワーの源泉、バランス・オブ・パワーの観点から地政学を捉えています。

更に、世界を1つとして俯瞰・様々な重心へのフォーカスなど、
地政学を最大限に利用するための視点を与えてくれます。

なにより素晴らしいことが2つあります。
1つめは、
著者が理想を持ったリアリストであり、
平和を実現するための手段としてバランス・オブ・パワーが必要であると提言していることです。
2つめは、
著者が本書で提言していることが普遍的なものであり、時代を超えて通用するものであることです。
著者が本書で提言していることについて、現在でもその理論が通用します。

まるで米中戦争が起きるのは(時期はともかく)必然であるかのように、
著者の地政学について、日本政府が国家安全保障において何ら学んでいないことを叱責しているように、
読めます。

現在でも通用する本物の地政学というものを学ばせていただきました。
地政学書としては勿論のこと、国家戦略・国家安全保障戦略書としても優れた書籍だと言えます。
古典というのは、こういう本を差すのでしょうね。
これでもう半端な「地政学」というタイトルの付いた本を買うことも読むこともないでしょう。

あとは、著者がベースとしつつも本書内で反駁・ダメ出ししているマッキンダーを読むかどうか、
迷っているぐらいでしょうか。

日本の地政学 日本が戦勝国になる方法/北野幸伯



★★★★

日本が中共に勝つ方法を地政学を踏まえた歴史から発見

地政学という確立した実践的な学問と、著者の非常にわかりやすい解説で、
日本が中共に勝つ方法がすんなり頭の中に入ってきました。

21世紀の日本が20世紀のイギリス
21世紀のチャイナが20世紀のドイツ
という例えで地政学上如何に闘えば中共に勝つことができるのか、
を見事に解説しています。

もちろん
日本が単独で中共に挑むわけではなく、
アメリカをはじめとした反中共国家と連携すべきですし、
一方で、
他国に任せるのではなく、
日本も自主的に立場を明確にし、積極的に参戦する覚悟を決めなければなりません。


前著のレビューで著者を幾つかの観点で批判しましたが、
本書は著者の得意中の得意分野ですので、
非常に参考になりますし、正にその通りだと思いました。
また著者の既出書との情報重複がほとんどありませんでしたので、
本書の中身は非常に新鮮なものでした。

一点だけ、地球温暖化CO2説だけは支持しており、
相変わらず自然科学の領域については弱いな、と思いました。
しかしこれについても、
日本の生命線の1つであるエネルギー自給率100%実現に向けて
化石燃料を中東諸国から危険な海路で輸入しなくても済ませる目的で
新エネルギー開発(核融合炉・海底資源探索など)に力を注ぎ込むために
覚悟を決めて自らに制約を課すための手段だと思えば良い手かもしれません。
また、自然科学的にはどうであっても、
国際協調を促進させることで、対中共包囲網の拡大を確実にするためだと思えば、
これも良い手かもしれません。

どの分野でも万能な方はおられませんので、
今後は著者の得意分野については大いに参考にさせていただき、
そうで無い分野についての言及は自分の中で明確にして自分自身で考えたいと思います。

あと、本書で使われ、また紹介された地政学の大家である、
マッキンダー、スパイクマン・マハンの著作についても読んでみようと思います。
※マハンの著作については既読ですので再読になると思います。

なお、本書の内容は、
著者の「パワーゲーム」有料会員の方にとっては、
ほぼ「パワーゲーム」の中で語られていることです。
書籍で改めてじっくり読んでみたい方は手に取られるとよいでしょう。

いずれにせよ私にとって本書は、
著者の「クレムリンメソッド」に匹敵する書籍だと思います。


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