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伝統・科学・世界を知りマネジメントに活かす

日本の伝統・ヒトの自然科学・現在の国内外情勢・マネジメントなどに関する、ブックレビュー

日本の存亡は「孫子」にあり/太田文雄



★★★★

対チャイナ防衛を考える上での必読書

チャイナが日本に対して超限戦を仕掛けていることは明白です。
そしてその超限戦のベースになっているのが孫子の兵法と言われています。
従ってチャイナが如何にして日本を攻めようとしているか、
そして日本はそれに如何に対峙すべきか、
を考える際には少なくとも孫子の兵法を学ばなければならないと思われます。

本書は、実際に日本の国防に携わってきた方による、
孫子の兵法の解説、およびチャイナの戦略、そして日本の対抗戦略に関するものです。

特徴としては、孫子の兵法について
大東亜戦争などの実際の戦争を例示しながら、各項目を解説している点が挙げられます。
この解説を読むことで大東亜戦争が如何に戦略なき戦争であったかがよくわかります。

また孫子の兵法について著者なりの解釈がなされているところもあり、
孫子の兵法をより深く理解する上での参考になると思います。

本書のように、現代の実際の国防に当てはめて孫子の兵法を解説している本は珍しいですので、
それだけでも価値はあると思います。
他には、孫子の兵法ではありませんが、上田篤盛氏の以下の本ぐらいでしょうか。
中国戦略悪の教科書 (『兵法三十六計』で読み解く対日工作)

なお、本書でもそれなりに孫子の兵法そのものを学ぶことはできますが、
現在出版されている本の中で最も本質的に孫子の兵法を解説しているものは、
デレク・ユアン氏の以下のものだと思います。
真説 - 孫子

ただし、国防に携わってきた方にしては極めて残念な記述もあります。
九地篇第十一において、
「散地」(自国の領土)の解説で「我が領土を戦場とせざるを得ない日本の国防上の最重要事」とあります。
この記述は日本が島国であるという固定観念に縛られており、海洋国家だという認識に至っていないことを意味します。
本土決戦になってしまう状況に陥った段階で日本は既に敗北しています。
海洋国家だという認識のもとで国境防衛を考えるべきではないでしょうか。

また「争地」として、沖縄を挙げていますが、沖縄は日本固有の領土、すなわち「散地」です。
国防に携わってきた方が、本気で沖縄をこのようにみているとするならば、許すことはできません。
これも日本を海洋国家ではなく島国だという固定観念に縛られているから、
沖縄を地続きではない離島だと認識してしまっているのでしょう。

日本を広大な海洋国家と捉えるか(事実)、小さな島国と捉えるか(間違った固定観念)で、
国防のあり方が全く異なってきます。

更に孫子の兵法の言葉に引きずられているのか、
陸上のみが語られ、空・海上・海中への発想の拡大や戦略の応用には全く触れられていません。
孫子の兵法を現代に応用する上では致命的な欠落だと言わざるを得ません。

実際に国防に携わってきた方の本ですので、厳しいかもしれませんが評価を少し下げました。
  1. 2018/07/14(土) 17:38:03|
  2. 戦略論
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中国戦略戦略“悪”の教科書/上田篤盛



★★★★★

チャイナの超限戦を「兵法三十六計」でわかりやすく解説

著者も本書で述べていますが、悪の教科書などではなく、
国家間の国益がぶつかり合う国際政治の舞台において、
チャイナが如何に超限戦を駆使しているか、それも日本に対して駆使し続けているか、
を「兵法三十六計」を題材にして、わかりやすく解説しています。

「兵法三十六計」だけでなく「孫子の兵法」などチャイナの古典は、
日本ではとかくチャイナ古代思想として専ら紹介されることが多く、
本書のように、生きた戦略論・兵法書として紹介されることが先ずありません。
この観点からだけでも、本書は「兵法三十六計」の本来の活用法をありありと提示してくれています。

また、「兵法三十六計」の各計の由来とされる故事と、
現代のチャイナの超限戦が併記されていることで、
各計をより理解することができるとともに、現代のチャイナの戦略も理解できるという、
ダブルで役立つ本になっています。

更に、著者が元防衛省情報分析官という方であることから、
現在のチャイナが「孫子の兵法」や「兵法三十六計」だけで戦略を練っているわけではない、
一方で、「孫子の兵法」や「兵法三十六計」の実践レベルに詰めの甘さが見受けられるところがある、
など、示唆に富んだ情報も提供されています。

世の中には根拠の乏しいチャイナ脅威論や、反対のチャイナ楽観論が溢れかえっていますが、
本書を読めば、決して侮ってはいけない国であることは間違いないと思います。

むしろ本書にあるようなチャイナの戦略に対して、何ら対策を講じていない日本に危機感を覚えます。
・北朝鮮による日本人拉致被害事件に代表されるように日本は自力で自国民すら守れません
・敗戦国の占領基本法である日本国憲法すら戦後70年以上経っても改訂できません
・国家安全保障戦略がありません。そもそも国家安全保障よりも利権や経済を優先しています
・国家安全保障のための法整備が脆弱です(スパイ防止法、セキュリティクリアランス法など)
・反日野党が放置されているのは論外ですが、与党内にも反日国家に媚びている議員はいます
・国民を自力で守り抜くための軍隊・諜報機関すら持っていません(自衛隊の編成は米軍支援目的)
・自衛隊は強いそうですが、あくまでも演習でのことであり、実戦経験はゼロなので戦力値は不明です
・国内・海外で行われている捏造反日プロパガンダに対して何ら対抗策が打ち出されていません

孫子の兵法に「彼を知り、己れを知れば、百戦して殆うからず」があります。
本書で、チャイナの戦略を理解するとともに、別途日本のお花畑度合いを理解した上で、
チャイナが日本に手を出せないくらいの物理的・精神的な抑止力を確立することが急務だと思います。
同じく孫子の兵法に「戦わずして人の兵を屈する」があります。これを上手く使いたいものです。
  1. 2018/07/01(日) 20:13:39|
  2. 戦略論
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戦略論/B・H・リデルハート



★★★★★

西洋に受け継がれた孫子の兵法

古代ギリシャからWW2までの主要な戦争を吟味し、
孫子の兵法が西洋においても時代を超えて通用することを解き明かしています。
本書において、孫子の兵法が西洋に受け継がれたと思います。

一方で、クラウゼヴィッツの戦争論の誤ちと危うさを痛烈に批判しています。
何故ならクラウゼヴィッツの戦争論からは決して平和は生まれないからです。
総力戦・殲滅戦と言われたWW1、WW2の戦禍の悲惨さが明らかにしています。

まとめの章である第19〜22章は必読ですね。

これまでも、これからも孫子の兵法の時代だと思います。

なお、孫子の兵法については以下の解説書が秀逸です。
デレク・ユアン「真説ー孫子
なお、この本によると、
リデルハートもまだ完全には孫子の兵法の真髄には達していないとのことです。
  1. 2018/06/28(木) 12:52:57|
  2. 戦略論
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戦争論/カール・フォン・クラウゼヴィッツ


★★

「戦争の目標は敵の完全な打倒」ねえ

第1,2,8章は精神面という戦いと名のつくものに重要かつ普遍的なテーマを扱っています。
クラウゼヴィッツが生きた時代の戦争だけから導出したにしては秀逸だと思います。
いろいろと悩ましい問題提起がなされていますが、ここは孫子の兵法で補うべきところでしょう。

一方で残りの章はクラウゼヴィッツの生きた時代特有のものですので、
現代においては、適用できるところは次第に少なくなっていくでしょう。

問題は、戦争の目標は敵の完全な打倒と定義しているところです。
クラウゼヴィッツだけの責任にはできませんが、
この定義が、総力戦・殲滅戦と言われたWW1とWW2を引き起こし、
日本においては広島と長崎への原爆投下につながったと言われても仕方ないと思います。

この本は、あくまでも戦争のことしか考えていません。
戦争の後に行うべき政治の仕事については全く無視しています。
ですので、この本に従って戦争を行い勝利した後、勝者敗者何れにも平和は訪れません。
そういう内容の本だという認識のもとで読まれた方がいいでしょう。
孫子の兵法の方が遥かに優れています。

これがもし国家戦略の名の下に行われるとしたら、
部分最適を優先することで全体最適を犠牲にする愚策の典型と言わざるを得ませんね。
ですから、後の戦略論ではこれを打ち消すように、別概念として大戦略を定義しているのでしょう。

クラウゼヴィッツの戦争論をわかりやすく例えるなら、
捻りのない直線的なハリウッドのアクション映画みたいなものだと言えるでしょう。
クラウゼヴィッツが未だに支持されているのは、理論的優位性というより文化的嗜好性故なのかもしれません。

追記(20180628)
念のため、リデル・ハート「戦略論」のまとめの章である、第19〜22章を読んでみました。
私のクラウゼヴィッツに対する所感が間違っていないことが確認できました。
今後、クラウゼヴィッツ信奉者の戦略論は読まないようにしたいと思います。
  1. 2018/06/27(水) 20:43:28|
  2. 戦略論
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孫子/浅野裕一



★★★★★

孫子兵法の凄さを再確認!

本書はかなり前に読んでいて、素晴らしい本だと思い、暫く手元に置いていたのですが、
一旦手放してしまっていました。

今般、デレク・ユアン氏著の「真説 - 孫子」を読んで、
孫子兵法の凄さを改めて知るとともに、自身の孫子兵法に対する理解の浅さを痛感しました。

そこで、本書を再度購入し読み直すことにしました。

本書の特徴としては、
出版時点では日本唯一の1972年に発見された竹簡に基づくものであること、
浅野氏による孫子兵法を充分に理解した上でのわかりやすい解説が豊富であること、
だと言えるでしょう。
この特徴が、孫子兵法のの本質により読者を近づけてくれていると思います。

本書と「真説ー孫子」を併せて読まれることで、より理解が深まると思います。
  1. 2018/06/24(日) 11:30:23|
  2. 戦略論
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クラウゼヴィッツの「正しい読み方」/ベアトリス・ホイザー



★★★★

クラウゼヴィッツの戦争論が何故難解であるかがよくわかりました

クラウゼヴィッツの戦争論はいろんな意味で難解であるとよく言われます。
以前挑戦してみましたが、見事に撃沈してから見向きもしませんでしたが、
本書のタイトルに惹かれて読んでみました。

何故難解であるかが丁寧に紐解かれていましたので、
その難解さの理由がよくわかりました。

最も大きな問題は、
観念主義者としてのクラウゼヴィッツと、現実主義者としてのクラウゼヴィッツが、
戦争論という一冊の本の中に同居しており、
現実主義者のクラウゼヴィッツとして全篇を書き換える前に他界してしまったが故に、
理論が混在し、不整合が生じてしまったことです。

これが元になって、
戦争論という同じ本から真逆の記述を引用することができ、
それによって真逆の解釈を成立させてしまうことが可能となり、
クラウゼヴィッツの信奉者の間でさえ戦争に対する考え方で大きな対立を生み出してしまっています。

最悪なのは、
軍事指導者の中で単純・短絡的・野蛮な人間がクラウゼヴィッツを引用すると、
総力戦となってしまい、
実際に第一次世界対戦から第二次世界対戦までその通りになってしまいました。

そして、戦争論を最も深く理解して最大限に活用したのが、
毛沢東という非西洋人であり、国共内戦を戦争論を駆使して勝利したというのも皮肉なものです。

戦争論の利用者の責任ではあるでしょうが、
戦争論を未完のまま世に出したクラウゼヴィッツにも責任があると言われても仕方ないでしょう。

このように戦争論は読み手に都合よく利用されてしまう危険性の高い本だと言えます。

一方で、真摯かつ冷静に戦争論に向き合うことができれば、
「戦争をどの様に考えるべきか」を説くという目的に関して言えば、
クラウゼヴィッツはそれ以前やそれ以降のどの戦略家よりも優れていると著者は述べています。

それ以降についてはよくわかりませんが、それ以前については、簡単に反論できます。
孫子の兵法があります。
クラウゼヴィッツの戦争論と比べてみると、
より一層、体系的・包括的・普遍的・整合的・論理的・道義的・実践的です。
(ご参考:デレク・ユアン氏著「真説ー孫子)」


上記の孫子解説書でも、毛沢東が登場して、孫子の兵法で国共内戦を勝利したとあります。

毛沢東自身は、ヒトラー・スターリン・ルーズベルトと並ぶ20世紀の大悪党ですが、
戦略論を研究する上では重要な人物だと思いますので、
クラウゼヴィッツと孫子の両方からアプローチすると興味深い研究ができるのではないでしょうか。

追記(20180627)
クラウゼヴィッツの「戦争論」読みました。
戦争の目標は敵の完全な打倒と明確に定義しています。
また、あくまでも戦争のことしか考えていません。
戦争の後に行うべき政治の仕事については全く無視しています。
ですので、この本に従って戦争を行い勝利した後、勝者敗者何れにも平和は訪れません。
孫子の兵法の方が遥かに優れています。

クラウゼヴィッツの戦争論をわかりやすく例えるなら、
捻りのない直線的なハリウッドのアクション映画みたいなものだと言えるでしょう。
クラウゼヴィッツが未だに支持されているのは、理論的優位性というより文化的嗜好性故なのかもしれません。

本書の著者の言い分はわかりますが、クラウゼヴィッツを擁護し過ぎている感じがします。
従って、評価を少し下げます。

追記(20180628)
念のため、リデル・ハート「戦略論」のまとめの章である、第19〜22章を読んでみました。
私のクラウゼヴィッツに対する所感が間違っていないことが確認できました。
今後、クラウゼヴィッツ信奉者の戦略論は読まないようにしたいと思います。
  1. 2018/06/24(日) 06:05:24|
  2. 戦略論
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真説ー孫子/デレク・ユアン



★★★★★

色々な意味で目から鱗!

戦略論として日本でも有名な孫子の兵法ですが、
本書は日本で出版されている解説書とは異なり、
孫子の兵法の全体像や構造、背景となる歴史や思想など、
より深く理解するための知見が詰まっています。

また老子の道徳経が戦略論であることは初耳でした。
日本では世俗を捨てて生きる指南書のような紹介のされ方が主なものだと思いますが、
本書では、
老子の思想が孫子の兵法に影響を与え、
また孫子の兵法がのちに編纂される道徳経で昇華される哲学に影響を与えているとのことです。
これで老子・道徳経の見方が完全に変わりました。

さらに戦略論としては、
東洋の孫子、西洋のクラウゼウィッツとして比較されることが多いのですが、
孫子の兵法が大戦略論であるのに対して、クラウゼウィッツの戦争論が軍事戦略であること、
ひいては西洋の戦略研究があくまでも軍事戦略の枠内に留まっており、
かつ西洋思想・哲学では、老子・孫子の「道(tao)」「陰陽二元論」を理解することは不可能であり、
現在の西洋における孫子の兵法研究は間違っているか、行き詰まっているか、のようです。
これは重要な知見を与えてくれています。
一つは西洋人の書いた戦略論で孫子の兵法が出てきたときに注意すべきであること、
一つは西洋人によチャイナ楽観論が全くあてにならないこと、
を教えてくれているということです。

過去、毛沢東が行なった国共内戦や、今、チャイナが行なっている超限戦と言われるもの、
は孫子の兵法そのものだとのことです。

そして「戦わずして勝つ」などにみられる様々な戦法が、
実は相手の戦意を喪失させるという心理戦に収斂されることが解説されています。
いくら相手の兵力が多くても、いくら相手の火力が強くても、
相手の戦意がなければ、その兵力や火力も活かすことはできません。
この辺りも思想や哲学を極め尽くした、この時代の兵法書ならではのものだと思います。

以上のように、これまで読んできた孫子の兵法についての書籍とは、
全く次元の異なる驚きの知見を与えてくれる本でした。
色々な意味で目から鱗でした!

このような素晴らしい本に出会えたことに感謝です!
値段が高いので先ずは図書館で借りて読みましたが、
素晴らしい本でしたので、速攻でポチッしました。
  1. 2018/06/17(日) 13:23:30|
  2. 戦略論
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孫子とクラウゼヴィッツ/マイケル・I・ハンデル



★★★★★

戦争論の二大古典の比較による共通点・相違点の抽出

アメリカがベトナム戦争の敗戦を反省し、より賢く戦争に勝つために古典に学ぶという観点で研究された成果がこの本です。
古典が書かれた時期と近現代とは技術的な面では全く異なりますが、それ以外の面(人間・政治など)は全く変わらず、
この二大古典から学べることが多いとのことで研究がなされたとのことです。
内容としては、目次の項目に沿って孫子と戦争論の主要項目を比較し共通点と相違点、また重点の置き方を比較検討する、というものです。
より賢く戦争をすることを前提として研究された成果ですので、巷の評論家や学者の研究とは重みが違うと思われます。

孫子も戦争論も読んだことがありますが、
二大古典を比較したことはなく、比較研究された書籍も読んだことがありませんでしたので、結構興味深く読むことができました。

まだ一読しただけですが、何度も読み返すことでより理解が深まっていくのだと思います。
常に手元に置いておきたい本ですね。

本書をよんで感じたことを以下に挙げておきます。
・失敗したらしっかりと反省して様々なものから学び、教訓を得るというアメリカの底力を感じました。
 いまだに大東亜戦争敗戦の原因すらしっかりと究明していない日本とは、こういったところで国の力の違いを感じます。
・チャイナ共産党は設立以降現在進行形で孫子の兵法を最大限活用して超限戦を世界中で繰り広げているのではないかと思わされました。
 特に日本において反日売国左翼の政党・メディア・学界・法曹界・教育界・NPOなどの裏にはチャイナ共産党がいるような気がします。
 それだけでなく、親中媚中与党議員にも浸透しているような気がします。
 孫子の定義によればチャイナ共産党とはずっと戦争状態にあるといっても過言ではないと思われます。
 日本もその意識でチャイナ共産党と対峙する必要があるのではないでしょうか。

追記(20180619)
孫子の兵法について以下の本を読みました。
デレク・ユアン氏著:真説 - 孫子
この本を読んで、自身の孫子の兵法についての理解が如何に浅いものであるか、痛感しました。
孫子の兵法を学ばれる方は、先ずこの本を読まれることをオススメします。

追記(20180630)
上記の「真説ー孫子」や本書の関連書を読んで、
孫子の兵法とクラウゼヴィッツの戦争論の相違点がわかってきました。
戦闘そのものにおいては、上記レビューの通りではありますが、
そもそも両書は書かれている内容の次元が異なります。

孫子の兵法が現在で言うところの国家安全保障戦略全体を著しているのに対して、
クラウゼヴィッツの戦争論は戦争遂行が決まった後の戦争実行戦略に限定して著している、ということです。
この違いが最も大きく出てくるのが、戦争終結後です。
孫子の兵法では平和の構築に繋がりますが、クラウゼヴィッツの戦争論は決して平和の構築には繋がりません。
この大きな差を理解した上で両書を比較しないと、木を見て森を見ず、になってしまいます。
参考文献:
カール・フォン・クラウゼヴィッツ著「戦争論
ベアトリス・ホイザー著「クラウゼヴィッツの「正しい読み方」
B・H・リデルハート著「戦略論 間接的アプローチ
  1. 2018/03/11(日) 22:28:24|
  2. 戦略論
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戦略の形成/ウィリアムソン・マーレー等



★★★

『軍事』戦略の形成

内容としてはあくまでも戦争に勝つための軍事戦略形成プロセスについての論文集です。

従って、国益とは何か、国民の幸せとは何か、それを如何に進めるか、
といった国としての戦略形成や、
戦争を如何に回避すべきか、早く終わらせるべきか、戦後処理を如何にすべきか、
といった関連領域についての戦略形成については、ほとんど述べられていません。

更に、地理・歴史・文化等の関連する領域についての視野を広げていますが、
これも戦争で勝つための制約要因として位置づけられており、主役はあくまでも軍事です。

ですので、本書の内容を国家戦略をはじめとした戦略一般に応用することはできません。


また、収められている論文が玉石混交なものとなっています。
本書の狙い(多様な要因のもとでの戦略形成プロセス)を上手く伝えているものがある一方で、
様々な事象を脈絡無く単に時系列で載せているだけのものもあり、なかには論文としての体をなしていないものもあります。
(原著そのものがそうなのか、和訳がおかしくしているのかは分かりませんが)
本書の狙いが新たな試みであり、本書が試行錯誤の中で生まれたという面はあるものの、
本書の狙いとそれに基づいた分析を読者に適切に伝えるぐらいの配慮はして欲しかったと思います。


以上のことから、軍事戦略研究の関係者にとっては重要な情報源の一つとなり得るのだと思いますが、
そうでない方にとっては第一優先順位の書籍ではないと思います。
ポール・ケネディ『大国の興亡』や、ウィリアム・バーンスタイン『豊かさの誕生』の方が、
上手くまとまっていますので、そちらを先に読まれたほうがいいでしょう。
  1. 2008/03/14(金) 18:53:11|
  2. 戦略論
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プロフィール

I am that I am.

Author:I am that I am.
誇りある日本の復活を望む一日本人

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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