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Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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日本人の知らない「クレムリン・メソッド」世界を動かす11の原理/北野幸伯



★★★★★

国家大戦略の前提条件の提示であると同時に、個人の生き方指南書

本書で提示された11の原理は、
国家が生き残りを賭けて大戦略を構築・実行するための前提であり要素を提示したものであると同時に、
個々人が泣き寝入りせず、したたかに世の中を生きていくための指南を提示したものだと思います。

個別の原理だけを見れば、どこかで誰かが提言しているでしょうけれど、
世界を動かす11の原則として抽出・提示されたことは非常に価値が高いと思います。

本書を読むと、自分自身が非常に狭い閉じられた世界で生かされてきたことが、よくわかります。


特に衝撃を受けたのは、
第11の原則 「イデオロギー」は大衆を支配する「道具」に過ぎない、でした。
これは個人の政治的・経済的なアイデンティティにも繋がるものであり、
極めて重要な警告であることがわかりました。

私は保守をやめました。
保守のダークサイドが見えてしまったこともありましたが、
この原則を理解したことも大きな理由でした。
また、あらゆるイデオロギーから距離を置くことにしました。


本書は、迷った時、気になった時などに読み返すべき本だと言えます。
かなり多くの本を読んできましたが、このような本に巡り合えたのは久しぶりです。

孫子の盲点 ~信玄はなぜ敗れたか?/海上知明



★★★★

孫子兵法に基づく信玄分析

武田信玄が孫子兵法を活用していたことは「風林火山」の旗印などからも、
また、様々な小説やドラマにおいても孫子兵法が触れられていることからも、
知らない人の方が少ないでしょう。

しかし、人文科学系学者・学界において、
武田信玄が孫子兵法をどのように活用していたのか、
についてほとんど研究されていないというのは驚愕でした。

日本の歴史において最も孫子兵法を知り尽くし活用していた
武田信玄の孫子兵法の活用方法が研究されていないことが、
日本の戦略構築の弱さの一因であることは疑いようがないでしょう。

本書では多分、日本で初めて武田信玄が孫子兵法を如何に活用したのか、
戦史を紐解きつつ、孫子兵法のエッセンスや内容を当てはめながら解説した本だと思います。

読んでいくうちに、武田信玄が見事に孫子兵法を使いこなしていることがよくわかりました。
また、武田信玄が負けた時には孫子兵法から外れた戦法を使っていたこともわかりました。


そのうえで、織田信長と武田信玄との天下取りにおける比較が興味深いものでした。
ここで孫子兵法の弱点が露わになります。春秋戦国時代のチャイナの時代背景から来るものかもしれません。
それは、時間(スピード)という概念の欠如だと著者は論じています。

たしかに「兵は拙速を聞くも、いまだ巧の久しきをみざるなり」など、短期戦を重視はしていますが、
主目的は生き残ることです。
武田信玄は上洛においても孫子兵法を使い続けました。
そして上洛前に病没してしまいました。

これに対して織田信長は、「君主論」的人物、マキャベリストだと著者は論じています。
「君主論」の主目的は、ルネッサンス時代に群雄割拠するイタリア半島を統一することです。
そして、統一するためにはスピードを重視する革命家でなければなりません。
織田信長は絶えず「敦盛」(人間50年)をうたい、自らの寿命を意識し、自らに急ぐことを言い聞かせていました。

これが、天下取りにおける、武田信玄と織田信長の差につながっていくとのことです。
ただし、織田信長も孫子兵法を軽んじていたために、
明智光秀の謀反にあい本能寺の変で殺害されてしまったとのことです。

ただ、「君主論」を読みましたが、
スピード重視・革命家を彷彿とさせる記述は見受けられませんでした。
著者の解釈なのでしょうか?

また、孫子兵法の「時間(スピード)という概念の欠如」も疑問です。
孫子兵法の解説書で最も参考にしている、
デレク・ユアン著「真説-孫子」を何度も読んでいますが、
孫子兵法でこのような解釈はできそうにありませんでした。

孫子兵法が原因ではなく、単に武田信玄の慎重な性格に起因するものだったのではないでしょうか。
よって、その分評価を下げました。

とはいえ本書は、武田信玄に孫子兵法を適用して分析した珍しいものでしたので、
非常に興味深く読むことができました。

君主論/ニッコロ・マキャヴェリ



★★★

当たり前のことが書いてある

君主国を立ち上げ、その君主国を維持するために、
何を為すべきか、何を為すべきではないか、について、
散文ではありながらも、論理構造的にまとめられたものだと思います。

とかく過激な言葉だけが取り上げられていますので、誤解されがちですが、
じっくり読めば、ほぼ当たり前のことが書いてあるだけです。
特に驚くような発見はありませんでした。

もしこれが当時(15世紀)のイタリア・ヨーロッパで新鮮さを持って読まれたとすれば、
よほど君主のレベルが低く、酷かったのでしょうね。

それに比べて、日本では7世紀に、聖徳太子が17条憲法をつくっています。
日本がヨーロッパに比べて、遥か昔よりどれだけ文明的だったかがよくわかります。
ただ、今はそれを失いつつありますので、何とかして取り戻さないといけませんね。

超限戦 21世紀の「新しい戦争」/喬良 王 湘穂 Liu Ki



★★★★★

孫子兵法に基づく戦術論21世紀バージョン

世界がグローバル化し、テクノロジーが発展し、
戦術の選択肢や先端化など、様々な戦術のあり方が発展・進化しています。

しかし、本書を読み終えたときに、
本書は『孫子兵法』の大戦略に基づく戦術書21世紀バージョンではないか、
と思いました。

本書の帯には、
「米国がいまだ研究し続ける中国戦術論の原点」
「ハイブリッド戦はこの1冊から始まった」
といった仰々しいタイトルが付いていますが、

『孫子兵法』をある程度学んだ者からすれば、
また、『孫子兵法』と他の西洋戦略論との比較をした者からすれば、
先ずは、真剣に『孫子兵法』をしっかりと理解した方がいい、とアドバイスしたいと思います。

『孫子兵法』をそれなりにしっかりと理解していれば、
本書は確かに驚愕すべき内容ではあるのですが、
「なるほど。21世紀の世界では孫子兵法の大戦略をこのように戦術レベルで使えばいいのか」
という感想になると思います。

上記の感想にならなければ、『孫子兵法』の理解・研究・学習が足りないと言わざるを得ません。
西洋では、まだまだ『孫子兵法』について、表層的な理解、キーワードレベルの理解にとどまっているようです。
『孫子兵法』をろくに理解せず、クラウゼウィッツの『戦争論』が最高の戦略書だと言って憚らない学者もいます。
これでは、世界覇権を虎視淡々と狙い、隙あれば食い込んでくるチャイナには対抗しきれません。

『孫子兵法』を正しく理解するためには、
デレク・ユアン氏著『真説ー孫子』が最も有益です。
ただし、全く『孫子兵法』を知らない方には、基礎知識が必要かと思いますので、
浅野裕一氏著『孫子』、金谷治氏著『老子』がおすすめです。
※老子をおすすめする理由は、中国における孫子との思想・哲学面での関連が深いからです。

日本の存亡は「孫子」にあり/太田文雄



★★★★

対チャイナ防衛を考える上での必読書

チャイナが日本に対して超限戦を仕掛けていることは明白です。
そしてその超限戦のベースになっているのが孫子の兵法と言われています。
従ってチャイナが如何にして日本を攻めようとしているか、
そして日本はそれに如何に対峙すべきか、
を考える際には少なくとも孫子の兵法を学ばなければならないと思われます。

本書は、実際に日本の国防に携わってきた方による、
孫子の兵法の解説、およびチャイナの戦略、そして日本の対抗戦略に関するものです。

特徴としては、孫子の兵法について
大東亜戦争などの実際の戦争を例示しながら、各項目を解説している点が挙げられます。
この解説を読むことで大東亜戦争が如何に戦略なき戦争であったかがよくわかります。

また孫子の兵法について著者なりの解釈がなされているところもあり、
孫子の兵法をより深く理解する上での参考になると思います。

本書のように、現代の実際の国防に当てはめて孫子の兵法を解説している本は珍しいですので、
それだけでも価値はあると思います。
他には、孫子の兵法ではありませんが、上田篤盛氏の以下の本ぐらいでしょうか。
中国戦略悪の教科書 (『兵法三十六計』で読み解く対日工作)

なお、本書でもそれなりに孫子の兵法そのものを学ぶことはできますが、
現在出版されている本の中で最も本質的に孫子の兵法を解説しているものは、
デレク・ユアン氏の以下のものだと思います。
真説 - 孫子

ただし、国防に携わってきた方にしては極めて残念な記述もあります。
九地篇第十一において、
「散地」(自国の領土)の解説で「我が領土を戦場とせざるを得ない日本の国防上の最重要事」とあります。
この記述は日本が島国であるという固定観念に縛られており、海洋国家だという認識に至っていないことを意味します。
本土決戦になってしまう状況に陥った段階で日本は既に敗北しています。
海洋国家だという認識のもとで国境防衛を考えるべきではないでしょうか。

また「争地」として、沖縄を挙げていますが、沖縄は日本固有の領土、すなわち「散地」です。
国防に携わってきた方が、本気で沖縄をこのようにみているとするならば、許すことはできません。
これも日本を海洋国家ではなく島国だという固定観念に縛られているから、
沖縄を地続きではない離島だと認識してしまっているのでしょう。

日本を広大な海洋国家と捉えるか(事実)、小さな島国と捉えるか(間違った固定観念)で、
国防のあり方が全く異なってきます。

更に孫子の兵法の言葉に引きずられているのか、
陸上のみが語られ、空・海上・海中への発想の拡大や戦略の応用には全く触れられていません。
孫子の兵法を現代に応用する上では致命的な欠落だと言わざるを得ません。

実際に国防に携わってきた方の本ですので、厳しいかもしれませんが評価を少し下げました。

中国戦略戦略“悪”の教科書/上田篤盛



★★★★★

チャイナの超限戦を「兵法三十六計」でわかりやすく解説

著者も本書で述べていますが、悪の教科書などではなく、
国家間の国益がぶつかり合う国際政治の舞台において、
チャイナが如何に超限戦を駆使しているか、それも日本に対して駆使し続けているか、
を「兵法三十六計」を題材にして、わかりやすく解説しています。

「兵法三十六計」だけでなく「孫子の兵法」などチャイナの古典は、
日本ではとかくチャイナ古代思想として専ら紹介されることが多く、
本書のように、生きた戦略論・兵法書として紹介されることが先ずありません。
この観点からだけでも、本書は「兵法三十六計」の本来の活用法をありありと提示してくれています。

また、「兵法三十六計」の各計の由来とされる故事と、
現代のチャイナの超限戦が併記されていることで、
各計をより理解することができるとともに、現代のチャイナの戦略も理解できるという、
ダブルで役立つ本になっています。

更に、著者が元防衛省情報分析官という方であることから、
現在のチャイナが「孫子の兵法」や「兵法三十六計」だけで戦略を練っているわけではない、
一方で、「孫子の兵法」や「兵法三十六計」の実践レベルに詰めの甘さが見受けられるところがある、
など、示唆に富んだ情報も提供されています。

世の中には根拠の乏しいチャイナ脅威論や、反対のチャイナ楽観論が溢れかえっていますが、
本書を読めば、決して侮ってはいけない国であることは間違いないと思います。

むしろ本書にあるようなチャイナの戦略に対して、何ら対策を講じていない日本に危機感を覚えます。
・北朝鮮による日本人拉致被害事件に代表されるように日本は自力で自国民すら守れません
・敗戦国の占領基本法である日本国憲法すら戦後70年以上経っても改訂できません
・国家安全保障戦略がありません。そもそも国家安全保障よりも利権や経済を優先しています
・国家安全保障のための法整備が脆弱です(スパイ防止法、セキュリティクリアランス法など)
・反日野党が放置されているのは論外ですが、与党内にも反日国家に媚びている議員はいます
・国民を自力で守り抜くための軍隊・諜報機関すら持っていません(自衛隊の編成は米軍支援目的)
・自衛隊は強いそうですが、あくまでも演習でのことであり、実戦経験はゼロなので戦力値は不明です
・国内・海外で行われている捏造反日プロパガンダに対して何ら対抗策が打ち出されていません

孫子の兵法に「彼を知り、己れを知れば、百戦して殆うからず」があります。
本書で、チャイナの戦略を理解するとともに、別途日本のお花畑度合いを理解した上で、
チャイナが日本に手を出せないくらいの物理的・精神的な抑止力を確立することが急務だと思います。
同じく孫子の兵法に「戦わずして人の兵を屈する」があります。これを上手く使いたいものです。

戦略論/B・H・リデルハート



★★★★★

西洋に受け継がれた孫子の兵法

古代ギリシャからWW2までの主要な戦争を吟味し、
孫子の兵法が西洋においても時代を超えて通用することを解き明かしています。
本書において、孫子の兵法が西洋に受け継がれたと思います。

一方で、クラウゼヴィッツの戦争論の誤ちと危うさを痛烈に批判しています。
何故ならクラウゼヴィッツの戦争論からは決して平和は生まれないからです。
総力戦・殲滅戦と言われたWW1、WW2の戦禍の悲惨さが明らかにしています。

まとめの章である第19〜22章は必読ですね。

これまでも、これからも孫子の兵法の時代だと思います。

なお、孫子の兵法については以下の解説書が秀逸です。
デレク・ユアン「真説ー孫子
なお、この本によると、
リデルハートもまだ完全には孫子の兵法の真髄には達していないとのことです。

戦争論/カール・フォン・クラウゼヴィッツ



★★

「戦争の目標は敵の完全な打倒」ねえ

第1,2,8章は精神面という戦いと名のつくものに重要かつ普遍的なテーマを扱っています。
クラウゼヴィッツが生きた時代の戦争だけから導出したにしては秀逸だと思います。
いろいろと悩ましい問題提起がなされていますが、ここは孫子の兵法で補うべきところでしょう。

一方で残りの章はクラウゼヴィッツの生きた時代特有のものですので、
現代においては、適用できるところは次第に少なくなっていくでしょう。

問題は、戦争の目標は敵の完全な打倒と定義しているところです。
クラウゼヴィッツだけの責任にはできませんが、
この定義が、総力戦・殲滅戦と言われたWW1とWW2を引き起こし、
日本においては広島と長崎への原爆投下につながったと言われても仕方ないと思います。

この本は、あくまでも戦争のことしか考えていません。
戦争の後に行うべき政治の仕事については全く無視しています。
ですので、この本に従って戦争を行い勝利した後、勝者敗者何れにも平和は訪れません。
そういう内容の本だという認識のもとで読まれた方がいいでしょう。
孫子の兵法の方が遥かに優れています。

これがもし国家戦略の名の下に行われるとしたら、
部分最適を優先することで全体最適を犠牲にする愚策の典型と言わざるを得ませんね。
ですから、後の戦略論ではこれを打ち消すように、別概念として大戦略を定義しているのでしょう。

クラウゼヴィッツの戦争論をわかりやすく例えるなら、
捻りのない直線的なハリウッドのアクション映画みたいなものだと言えるでしょう。
クラウゼヴィッツが未だに支持されているのは、理論的優位性というより文化的嗜好性故なのかもしれません。

追記(20180628)
念のため、リデル・ハート「戦略論」のまとめの章である、第19〜22章を読んでみました。
私のクラウゼヴィッツに対する所感が間違っていないことが確認できました。
今後、クラウゼヴィッツ信奉者の戦略論は読まないようにしたいと思います。

孫子/浅野裕一



★★★★★

孫子兵法の凄さを再確認!

本書はかなり前に読んでいて、素晴らしい本だと思い、暫く手元に置いていたのですが、
一旦手放してしまっていました。

今般、デレク・ユアン氏著の「真説 - 孫子」を読んで、
孫子兵法の凄さを改めて知るとともに、自身の孫子兵法に対する理解の浅さを痛感しました。

そこで、本書を再度購入し読み直すことにしました。

本書の特徴としては、
出版時点では日本唯一の1972年に発見された竹簡に基づくものであること、
浅野氏による孫子兵法を充分に理解した上でのわかりやすい解説が豊富であること、
だと言えるでしょう。
この特徴が、孫子兵法のの本質により読者を近づけてくれていると思います。

本書と「真説ー孫子」を併せて読まれることで、より理解が深まると思います。

クラウゼヴィッツの「正しい読み方」/ベアトリス・ホイザー



★★★★

クラウゼヴィッツの戦争論が何故難解であるかがよくわかりました

クラウゼヴィッツの戦争論はいろんな意味で難解であるとよく言われます。
以前挑戦してみましたが、見事に撃沈してから見向きもしませんでしたが、
本書のタイトルに惹かれて読んでみました。

何故難解であるかが丁寧に紐解かれていましたので、
その難解さの理由がよくわかりました。

最も大きな問題は、
観念主義者としてのクラウゼヴィッツと、現実主義者としてのクラウゼヴィッツが、
戦争論という一冊の本の中に同居しており、
現実主義者のクラウゼヴィッツとして全篇を書き換える前に他界してしまったが故に、
理論が混在し、不整合が生じてしまったことです。

これが元になって、
戦争論という同じ本から真逆の記述を引用することができ、
それによって真逆の解釈を成立させてしまうことが可能となり、
クラウゼヴィッツの信奉者の間でさえ戦争に対する考え方で大きな対立を生み出してしまっています。

最悪なのは、
軍事指導者の中で単純・短絡的・野蛮な人間がクラウゼヴィッツを引用すると、
総力戦となってしまい、
実際に第一次世界対戦から第二次世界対戦までその通りになってしまいました。

そして、戦争論を最も深く理解して最大限に活用したのが、
毛沢東という非西洋人であり、国共内戦を戦争論を駆使して勝利したというのも皮肉なものです。

戦争論の利用者の責任ではあるでしょうが、
戦争論を未完のまま世に出したクラウゼヴィッツにも責任があると言われても仕方ないでしょう。

このように戦争論は読み手に都合よく利用されてしまう危険性の高い本だと言えます。

一方で、真摯かつ冷静に戦争論に向き合うことができれば、
「戦争をどの様に考えるべきか」を説くという目的に関して言えば、
クラウゼヴィッツはそれ以前やそれ以降のどの戦略家よりも優れていると著者は述べています。

それ以降についてはよくわかりませんが、それ以前については、簡単に反論できます。
孫子の兵法があります。
クラウゼヴィッツの戦争論と比べてみると、
より一層、体系的・包括的・普遍的・整合的・論理的・道義的・実践的です。
(ご参考:デレク・ユアン氏著「真説ー孫子)」


上記の孫子解説書でも、毛沢東が登場して、孫子の兵法で国共内戦を勝利したとあります。

毛沢東自身は、ヒトラー・スターリン・ルーズベルトと並ぶ20世紀の大悪党ですが、
戦略論を研究する上では重要な人物だと思いますので、
クラウゼヴィッツと孫子の両方からアプローチすると興味深い研究ができるのではないでしょうか。

追記(20180627)
クラウゼヴィッツの「戦争論」読みました。
戦争の目標は敵の完全な打倒と明確に定義しています。
また、あくまでも戦争のことしか考えていません。
戦争の後に行うべき政治の仕事については全く無視しています。
ですので、この本に従って戦争を行い勝利した後、勝者敗者何れにも平和は訪れません。
孫子の兵法の方が遥かに優れています。

クラウゼヴィッツの戦争論をわかりやすく例えるなら、
捻りのない直線的なハリウッドのアクション映画みたいなものだと言えるでしょう。
クラウゼヴィッツが未だに支持されているのは、理論的優位性というより文化的嗜好性故なのかもしれません。

本書の著者の言い分はわかりますが、クラウゼヴィッツを擁護し過ぎている感じがします。
従って、評価を少し下げます。

追記(20180628)
念のため、リデル・ハート「戦略論」のまとめの章である、第19〜22章を読んでみました。
私のクラウゼヴィッツに対する所感が間違っていないことが確認できました。
今後、クラウゼヴィッツ信奉者の戦略論は読まないようにしたいと思います。

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