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Rising Sun

Author:Rising Sun
元経営コンサルタント
専門分野:ヒト

マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。
また、マネジメントは企業だけのものではなく、国家を含めあらゆる組織体や個人にとっても必須のものです。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

Amazon殿堂入りレビュアー
(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

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2時間でわかる政治経済のルール/倉山満



★★★★★

確かに2時間でわかったが。。。

重要な政治経済のルールを2時間でわかるように、
ポイントを絞って簡潔明瞭に提示しています。
確かに2時間でわかりましたし、帯にあるように「そりゃ初耳」の内容もありました。

ただ、これが日本の政治経済のルールだとすれば、日本はヤバイですね。
国家としても、国民としても。
いったい、誰が日本国として、自主独立を果たし、世界の中で主要な地位を占めるようにするのか。
いったい、誰が日本国民一人ひとりの自由・幸福・安寧を増進・保証してくれるのか。
期待しようがありません。

更に、このルールを変えようにも、
変える権限を持っているのは、このルールで動いている連中ですので、
この連中が変える気がなければ変わりません。

しかも、この立場にいる連中は、
日露戦争辛勝以降、劣化の一途を辿っていますので、
日本の舵取りをするには、はっきり言って無能です。

まずは、この連中の紐付きでない、
独立した民間のCOREが必要ですね。

智恵を結集し、
大戦略や戦術(ルール含む)を提言し、
それに心から賛同できるような人材を、
上記の連中の中から引き抜いて、
また市井から見出して、
絆をつくり、強め、広げることで、
新たな風を巻き起こす、
その担い手となるようなCOREが。

2018年 戦争へ向かう世界 日本経済のラストチャンス/三橋貴明



★★★★★

日本は自らの強みに磨きをかけているか?弱みを克服しているか?

グローバリズム対ナショナリズム
エスタブリッシュメント対ピープル
資本主義対共産主義
独裁主義対民主主義
主な対立軸を挙げるだけでも複雑であり元々困難な将来予測が益々難しくなっていきます。

また日本の周辺諸国だけを見ても、
核保有国のロシア、チャイナ、北コリア
反日国のチャイナ、ダブルコリア
とありますが、
チャイナとドイツの関係や、北コリアとイランの関係など、
周辺諸国だけを見ているだけでは何もわかりません。

更に戦争も従来の形態だけではなくインテリジェントウォーが、
WW2のソ連のコミンテルン時代から東西冷戦を経て現在に至るまで、
形を変えながら繰り広げられています。
チャイナやコリアによる捏造反日プロパガンダは表に出ている一例にすぎません。

このような状況下にありながら日本国内においては、
自国民を拉致されても何もできない政府
チャイナやコリアに媚びへつらっている与党議員
反日売国活動に勤しんでいる野党議員
既得権益と岩盤規制の死守を使命としている官僚
金儲けのためだけに日本と日本人を危険に晒す企業・経済団体
働く民間人を豊かにすることを二の次にしている労働組合 など、
世界が複雑化し、国難が迫っているのにこの体たらくです。
とても独立国とは言えません。

ではどうすべきか。
日本は自らの強みに磨きをかけ、弱みを克服することです。
予測不能な世界に対応していくためには、相手に合わせていくのでは乗り切ることはできません。
また、いくらグローバリズムが危険であっても、今の時代に鎖国をすることもできません。

日本の強みとは何か。
縄文時代から脈々と築き上げられてきた歴史・伝統・文化
125代続いている万世一系の男系男子の皇統
神ながらの道によって磨き上げられた和を尊び徳を重んじる精神
匠の技を持ってモノに魂を吹き込むモノ造り文明
日本古来のモノと外来のモノを融合し日本化する能力
アメリカ以外の外国に有史以来戦争で負けたことがない潜在的な抑止力 など
今、これらがどんどん失われているのではないでしょうか?
また、グローバル化の名の下に自ら捨ててしまっているのではないでしょうか?
更に、東京裁判史観や自虐史観の洗脳に囚われてしまっているのではないでしょうか?
温故知新。日本は素晴らしい強みを持っています。それに気づき取り戻し活かしきることだと思います。
そのために、日本人自らの手でこれらを盛り込んだ憲法を作ることが重要だと思います。

日本の弱みとは何か。
無能エリート
彼らに欠けているもの
・愛国心
・清明正直(神ながらの道の真髄)
・マネジメント能力(俯瞰・ビジョン構築・イノベーション・変革など)
日本の政治・経済が停滞しているのはこれが原因だと思います。
特にバブル崩壊後の日本企業の体たらくはこれが原因だと思います。
(勿論マクロ経済政策が間違っていたことも原因ですが、企業にも原因があるのは明らかです)
更に無能エリートがエスタブリッシュメントになって既得権益と岩盤規制に固執していることが、
日本をおかしくしているのだと言えるでしょう。政治家、官僚、学術界、メディア、経済界などです。
また大東亜戦争でアメリカに負けた原因もここにあるのではないかと思われます。
これは、教育・人材発掘・人材登用の仕方次第で克服できます。人事が万事だと思います。
実際に幕末から明治維新を経て日露戦争勝利までは維新の志士達がいたお陰で、
日本が西洋列強に植民地化されることなく、むしろ西洋列強と対等になることができました。
その後志士達がいなくなり、無能エリートがリーダーになってから日本がおかしくなっていきました。

著者の認識や結論とは完全に一致しているわけではありませんが、
本書を読みつつも下記著者の数々の類書も併せて読んでのレビューとなりました。
藤井厳喜氏、倉山満氏、江崎道朗氏、高橋洋一氏など

アベノミクスによろしく/明石 順平



★★★

分析はどんどんやるべき。だが本当に必要なのは実質所得増大のための実効性ある政策の策定と断行

統計データはあくまでこれまでの経験値に基づく理論に基づいて計算されたものですので、
全てを正しく表せるものではなく、様々な角度から不備を指摘することができるものです。
世の中で最も信頼できないもの、それは統計データである、という格言もあるぐらいです。
ですので、本書のように世の中に流布されているものとは異なった視点から統計データを分析・指摘することには一定の意味はあると思います。

しかし、本当に重要なことは経済面からは国民の実質所得が増えることであり、
そのための実効性ある政策は何かを検討し、それを政策に落とし込み、確実に実行することだと思います。

この観点からいえば、アベノミクスというのは、マクロ経済政策の中での金融政策・財政政策に相当します。
なお、政府が政策として実行できるのはマクロ経済政策しかありません。すなわち金融政策・財政政策しか実行できません。
ミクロ経済政策も理論的には実行できるのですが、これまでに実行して成功した例はありませんので、実際には実行不能です。

既に知られているように、
金融政策は日銀が政府から国債を買い付け、その分の紙幣を発行することでお金の価値を相対的に下げてインフレを引き起こすことです。
財政政策は政府が投資効果の高いものや民間資金投入の呼び水効果の高いものに財政出動を行うことで需要を引き上げることです。
また、今の日本においては金融政策が十分に機能しなければ財政政策は機能しませんので、両方を併せて行うことが必要です。

そして、今の金融政策・財政政策が上手くいっているという実感が湧かないのは、
金融政策がまだまだ不十分であること、財政出動がまだまだ不十分であること、消費税増税をしたこと、にあると考えられます。
繰り返しになりますが、政府ができるのはマクロ金融政策・財政政策だけですので、上手くいかない原因を他に求めることはできません。

また、バブル経済の原因を読み間違えた日銀による金融引き締め政策に始まった、
バブル崩壊とそれに続く20年以上に渡るデフレ経済の痛手から完全に脱出するのにはまだまだ時間がかかります。
更に、未だデフレを脱却していないにもかかわらず日銀には金融引き締め派が、財務省には緊縮財政派が、
そして日銀や財務省に洗脳されてしまった政治家が与党にも野党にも少なくない中で、
さらなる金融緩和、財政出動、消費減税を行うのは容易ではありません。
今のマクロ金融政策・財政政策が間違っているのではなく、
更に加速させるべきなのにブレーキをかける勢力がいることがデフレ脱却を阻んでいるというのが正しい認識だと思われます。

そのうえで、マクロ金融政策・財政政策が本来のかたちで上手くいったとして、本来の目的である実質所得増大につながるのか。
平均値では実質所得増大になるでしょう。ただし日本人全員が実質所得増大になるわけではないと思います。
産業・企業の差、付加価値・生産性の差、個人の能力の差などにより当然変わってきます。
またこれからのロボット化、AI化により人間が行う仕事の中身がドラスティックに変わっていくと思われます。
これは自由市場経済下では当たり前のことでしょう。

そのうえで、政府として2つだけやるべきことがあると思います。

1つ目は外国人労働者の受け入れ制限です。
特に低賃金を目的とした外国人労働者の受け入れは禁止すべきです。
これは日本国内での労働市場における賃金相場を下げるだけでなく、
外国人を奴隷として扱うに等しい人権問題に観点からも認められません。
受け入れるのであれば、同一労働同一賃金でなければなりません。
また人手不足による賃金上昇を抑制してしまうデメリットもあります。
ここには外国人留学生による低賃金でのアルバイトも含みます。
また、当該国の中には反日国や犯罪率が日本の数倍という国もありますので、
日本国内の治安維持という観点からも禁止すべきです。

2つ目は所得の再配分です。
目的は、所得格差があまりにも開きすぎると国内の治安が悪化する傾向があるからです。
たとえ実質所得の絶対額が上昇したとしても相対額が開いてしまえば人は文句を言いたくなるものです。
また、障がい等で働きたくても働くことができない方もいらっしゃるので、この機能は必要です。

施策はいろいろと考えられているのですが、個人的にはマイナス所得税と諸費税廃止がいいのではないかと思います。

マイナス所得税は、収入が一定額に満たない場合には一定額との差額をマイナス所得税として還付するというものです。
これは、リベラル派経済学者が嫌ってやまない新自由主義派経済学者のミルトン・フリードマンが提唱したものです。
この制度の良いとことは、年金や生活保護などの社会保障系の給付を全て吸収して一本化できるとことです。
また還付率に傾斜をつけることで働くことに意欲を持たせることもできます。
これで低所得者層をカバーします。

消費税廃止は、言わずもがなですが消費税自体が逆進性があるため、所得が低くなるほど痛手を受ける税制だからです。
これで再配分を狙います。

こういうと「財源は?」と必ず聞かれますが、
「経済成長による税収自然増」
「歳入庁新設による税・保険の100%徴収」
「電波オークション導入による電波使用料増」
「在日特権剥奪」
と答えておきます。

また、「財政再建は?」と必ず聞かれますが、
バランスシートベースや対GDPベースでは財政再建はほぼ完了しています。
単年度のPB黒字化など財務省の戯言でしかありません。

そのうえで、指標としては、
国民実質総所得増加率及び中央値(消費税を含む税引き後、社会保険控除後の金額)
ジニ係数(格差を見るもの)
国民負担率(所得に対する税と保険料の負担割合)、
などがよいのではないでしょうか。

なお、政府がよく利用している以下の指標は悪くはないが、実質所得の増大には直接繋がらないのでどうなのかなと思わされます。
GDP向上:国の経済力の強さを表す、国民の経済力の必要条件ではあるが十分条件ではない
株価向上:国や企業の強さを表す、年金資産運用益をもたらす、しかし株を買えない層には直接恩恵はもたらさない
失業率低下:様々なデメリットを解消する、国民の幸福の必要条件ではあるが十分条件ではない

あと、以下は経済政策ではないのですが、「生産性革命」を謳う前にやっておくべきことだと思います。
・同一労働同一賃金(正社員・契約社員等の雇用形態の区別なく。給与・賞与・退職金等の支払形態の区別なく)
・残業代の完全支給と不支給時の企業への罰則強化、残業時間の上限設定とインターバル制度導入
・有給休暇の完全取得と未取得時の企業への罰則強化、有給休暇の有効期限廃止、有給休暇の貸借対照表負債の部への計上
・労災認定基準の緩和と労災認定時の企業への罰則強化と労災被害者への救済措置の強化
・労働法全般の罰則強化、労基署の権限強化、ブラック企業への制裁強化(営業停止・入札停止・人材紹介停止等) など
これらは、本来であれば野党やメディアが連日追及していいものだと思います。モリカケよりも大事なことだと思います。

以上、実効性ある政策の一例にすぎませんが、こんなかたちで議論を戦わせて頂きたいものだと思います。
国民の実質所得を増大させるために右も左も、与党も野党もありません。実効性のあるものは全て動員すべきでしょう。

ちなみにアベノミクスは完全に左の政策です。そしてデフレ下では左の経済政策を行うのが正解です。
左翼の野党・メディアが何故アベノミクスを批判しているのか、全く理解に苦しみます。反日売国なら理解できます。


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生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する/三橋貴明



★★★★★

経世済民(経済)で日本を復活させる

久しぶりに己の知的好奇心をくすぐってくれる経済解説書に出会うことができました。

世を経(おさ)め、民を済(すく)う、という経世済民=経済の本来の目的を果たすための
原因分析と本質的対策について書かれています。

タイトルにある「生産性向上」は、GDP1人当たりの生産性を向上させるという意味です。
この生産性を向上させることで、個々人の実質所得が増え、豊かになることが最も重要なこと、としています。
GDPが生産=支出=所得であることから、一人当たりの生産性を向上させれば所得も向上するという論理です。

バブル崩壊以降デフレ状態が今も続いていますが、
これは完全に経済についての政権・政策の誤りが原因ということです。

デフレ状態では民間・個人の投資が当然控えられますので、政府が積極投資をしなければならないのですが、
緊縮財政という誤ったイデオロギーと誤ったプロパガンダがこれにブレーキをかけてきました。
日本政府の国債は円建てであり、日銀が購入しているので破たんするはずがありませんが、
何故か国債発行が日本を借金大国にするというデマゴーグが日本を席巻しています。
円建てであるので、日銀は日本銀行券(お札)を国債購入分だけ刷ればいいだけのことです。
黒田バズーカの結果をみればわかりますが、日銀が日本銀行券を刷ってもハイパーインフレにはなりません。
実際に、リフレ派が推進している金融緩和でも、インフレは起きていません。

ですので、デフレ下においては、政府が積極的な財政出動を行えばよい、それしかないということです。

なお、リフレ派の提唱する金融緩和(たくさんお札を刷る)というのは、
著者曰くそれだけでは何の効果もないということです。
経済学では人間の人間らしさを考慮しません。
金融緩和でインフレが将来起きそうなので、今後お金の価値が下がるから、今のうちに消費にまわそう、
という経済学のいう合理性ではなく、
これまでデフレで財布が厳しいので、安全策をとって節約、貯金しよう、
というこれまでの経験則によって人は動きます。
黒田バズーカによる金融緩和によるインフレターゲットが達成されてないことを見れば明らかでしょう。

政府による積極的な財政出動が行われ、インフラ・技術などへの投資が進めば、GDPが増大し需要が増えるので、
そうなってくると、民間でも生産力・生産性を高めるために人材投資・技術投資などが行われるようになり、
その結果として果実が生まれ、個人に還元される(実質所得が増える)ようになり、それが消費を促し、
経済の好循環が形成されるということです。

ここで重要なのが、GDP一人当たりの生産性向上につながるような投資でなければならないということです。
これに関係ない政府の財政出動や民間の投資は経世済民につながらないとうことです。
民間は結果としての利益に敏感ですので、まともな経営者であれば大丈夫なのですが、
政府の財政出動は、様々な利権が絡んでいますので、財政出動の対象を厳しくチェックする必要があります。

例えば、
日本は世界最古の文明が今でも受け継がれ、
クールなサブカルチャーを生み出しつつ、
一方で世界最先端の科学技術を蓄積・追求していますので、
これらを世界最高レベルにし、未来に受け継ぎ、発展させ、世界に知らしめるような目途で
財政出動すればよいのではないかと思います。
また、これらに携わる方々への人材投資も健全な財政出動先だと思います。
更に、これらによって日本の世界に対する競争優位が一層高まりますので、
国力の強化にもつながると思います。
世界一の文明国家、科学技術国家になるための財政出動は筋がよいのではないかと思います。
(二番では駄目)

また、
日本の地政学的な位置づけは、グローバルな視点でみると、極めて危険な場所になります。
安全保障は経世済民にとって重要な柱だと思いますので、
現状の俯瞰、冷静な分析、明確な戦略、実効性ある戦術のうえで、
安全保障に対する政府の財政出動も健全なものだと思います。
現在の防衛予算はGDPの1%というよくわからない理屈で縛られていますが、
周辺の反日諸国の国防費に均衡させるぐらいの財政出動はあってしかるべきだと思います。

これらの政府の財政出動によって経済がうまく回り始めたら、
あとは民間がマーケティング&イノベーションで需要を創出することで、
買いたいものがある状態を作り出せばいいと思います。
自由主義経済に任せればよいのだと思います。

更に、日本が経済成長を持続させることの重要性を説いています。
勿論、個々人の実質所得を増大させ、豊かになることを基本とした経済成長です。
成熟したので経済成長は望めない、人口減少するから経済成長は望めない、経済成長しなくてもいいじゃないか、
といった解説をよく聞きます。
ただし、日本が世界で一定の地位を享受しているのは経済大国が大きな理由です。
もし、経済成長を維持できず、シュリンクしてしまうようなことがあれば、
日本の世界での地位は確実に低下し、他国からはどうでもよい存在になりかねません。
もしそうなれば、これまでのような生活が居とめなくなるのは勿論のこと、
確実に志那からの攻勢を受け、占領されかねません。
経済力も安全保障の重要な構成要素であることを再認識する必要があるでしょう。

あと、著者は少子高齢化についての世の中のイメージに大して、鋭い反論をしています。
少子高齢化は暗いイメージが伴いがちですが、著者はこれを好機ととらえています。

高齢化人口が増えることで医療や介護といった大きなマーケットが需要を下支えし、
少子化で労働力人口が減ることで、GDP一人当たりの生産性向上に対して対応せざるを得ない状況が生み出されている、
ということです。
そして、GDP一人当たりの生産性の向上が個人の実質所得を増やし、豊かになることから、
外国人労働者による人手不足の解消は愚策以外の何物でもない、
生産性向上=実質所得増大の妨げにしかならない、と切って捨てています。
高度経済成長期は完全雇用状態でも人手が足りなく、
かつ当時は外国人労働者に頼ることもできなかったからこそ、
生産性向上技術が発達したことで科学技術大国になることができたとのことです。
少子高齢化で生産性向上のせっかくのチャンスを外国人労働者受け入れで潰すというのは愚策そのものでしょう。

AIやロボティクスの科学技術が発展しはじめていますので、
これらを積極的に取り込むだけでなく、これらの科学技術を日本の強みとなるようにすることが重要だと思います。

最後に、シンギュラリティについて軽く触れていますが、これについては著者も妙案はなさそうです。
いつかはシンギュラリティを迎えるのでしょうから、今から様々な議論をしておくことが必要でしょう。

冒頭で触れたように、久しぶりに己の知的好奇心をくすぐってくれる経済解説書に出会うことができましたので、
ついついレビューが長くなってしまいました。

経済についての本は結構読んできましたが、
個人的には、本書は良書の筆頭格に位置づけられると思います。

世の中で流布しているフェイク情報を見極め、
日本がデフレから脱却し、かつ個々人が豊かになる方法は本当は何か、
について理解したい方にはお勧めの本だと思います。

経済で読み解く大東亜戦争/上念 司



★★★★

歴史とデータに基づくリフレ政策の検証

著者のこのシリーズは、出版の新しい順に3冊読みました。
経済で読み解く織田信長(室町~安土桃山)
経済で読み解く明治維新(江戸~明治)
経済で読み解く大東亜戦争(本書、明治~昭和)

3冊読み終えて、著者の言いたかったことを要約すると、
・著者が推奨しているリフレ経済政策の正当性を歴史とデータに基づいて検証できた
・リフレ経済政策が国民の経済面での豊かさをもたらす
・経済政策は手段であって、目的化・イデオロギー化してはならない
ということかと思われます。

そのうえで本書が論じていることを要約すると、
・リフレ経済政策を採用しないと国民が経済面で豊かになれない
・国民が経済面で困難に陥っているときには極端な政策やイデオロギーに走ってしまう
・それを商業マスコミが利用し、あおり、儲けることで極端なプロパガンダを醸成してしまう
・その結果として戦争や紛争が起こり、国民を不幸にする
・上記を踏まえると、現在リフレ経済政策を批判している陣営は国民を経済面で豊かにすることはできない
ということかと思われます。

リフレ経済政策の有効性について歴史とデータで検証してきたシリーズですが、
人文・社会科学の世界では、自論に有効な証拠だけを集めて論理展開することが容易だと一般的に言われています。
(ですので、Science誌がすっぱ抜いたように、心理学の論文のうち7割弱も再現可能性がない、ということが起きます)
ですので、リフレ派でない方々が、歴史とデータに基づいて論理展開したものと比較検証することが求められます。
これはリフレ派批判ではなく、リフレ派の有効性を盤石にするための必須要件だと思います。

あと驚いたのは、
著者曰くケインズはリフレ派だったということです。
amazonレビューでも、リフレ派批判のためにケインズを引用しているものが散見されますし、
ケインズ擁護の経済学者の解説書を読む限り、ケインズはリベラルのイデオロギーの中核にしか思えません。
それが、リフレ派だと著者は言っているのです。
ケインズが目指したものは一体なんだったのかについては、
ケインズ自身の著作を読むしかなさそうですので、時間と気力のあるときに挑戦したいと思います。

(追記:20170325)
著者の経済用語 悪魔の辞典で、ケインズについての理解が深まりました。
しばらくはケインズ自身の著作を読まなくて済みそうです。
(追記終わり)

なお、このシリーズでは触れられていませんが、
金融の緩和、財政の出動と併せて需要の創造が欠かせないと思います。
そのためには、シュンペーターの「創造的破壊」、ドラッカーの「マーケティング&イノベーション」が不可欠になってきます。
そして、歴史に照らせば、
行政が需要の創造をリードしても必ず失敗しますので、
民間が需要の創造をリードし、行政はあくまでもサポートに徹するようにしなければならないと思います。

最後に、
いろいろとコメントしましたが、
どの本も結構楽しく読む事ができました。
著者に感謝するとともに、3冊すべてを読む事をお勧めします。

経済で読み解く明治維新/上念 司



★★★★

江戸時代通史を扱った書籍が少ない中での面白い経済解説

著者の「経済で読み解く」シリーズを、たまたま出版時期の遅い順に読んでいます。
経済で読み解く織田信長は、
戦国時代の小説等をかなり読んでいることから、
もう少し深入りしてほしいな、というのが率直な感想だったのですが、
本書は、江戸時代全般を通して扱っており、
一方で、このような通史を扱っている書籍にほとんどお目にかかっていないので、
結構楽しく読ませて頂きました。
著者が経済で重視しているリフレーション政策がどれほど江戸時代の経済にインパクトを与えていたか、
がよくわかります。

タイトルは「明治維新」なのですが、
内容は明治維新を成功させる条件としての江戸時代の独自の資本主義の発展の解説になっており、
明治維新そのものについての詳しい解説はあまりありません(著者自身が認めています)。

なお、本書で触れられているのですが、
江戸時代が厳格な階級制で民衆を抑圧・搾取していたという巷の通説が間違いであることがよくわかりました。
確かにそのような事象が皆無だとは思いませんし、著者も皆無だとは言っていませんが、
明治維新後の経済発展は全くベースがなければ難しいでしょうから、著者の解説は間違ってはいないでしょう。

明治維新を幕府に対する民衆の革命にしたてあげようとする方々による歴史の改ざんがあるようです。
つまり江戸時代に対する自虐史観を持たせようとしている方々がおられるようです。
現代史だけでなく江戸時代に対してもそのようなことが行われているということを知ることができただけでも、
本書の価値、本書を読む意義は高いのではないかと思いました。

経済で読み解く織田信長/上念 司



★★★★

リフレーション経済学に基づくの室町時代の経済考察

織田信長の登場前の時代背景と経済、織田信長による改革と経済、
についてリフレーション経済学の視点で考察しています。

織田信長の登場前に、
寺社勢力がどれほど既得権益勢力になっていたか、
その獲得・拡大・維持のためにどれほど仏法にもとることをしていたのか、
また織田信長の登場後に、
それらの既得権益勢力をどのように判断し、
なぜ比叡山や本願寺をはじめとした勢力を滅ぼそうとしたのか、
についての経済的な理由についてはよくわかりました。

なお、普通の小説のような織田信長の取り扱いはされておらず、
最後の最後に登場するだけですので、
織田信長の大活躍を読みたい方は他の小説を読んだ方がよいと思います。
個人的には、
織田信長登場前の既得権益勢力とその経済活動について、
主に貨幣量の変化という観点からだけですが、
知ることができたことはよかったと思います。

追記(20170319)
このシリーズの明治維新版を読みました。
織田信長が改革若しくは維持した経済システムが、
徳川幕府と幕藩体制でどのように江戸時代の経済に現れるのか、
上手く繋がっているように思えます。
明治維新版もオススメです。

おまけ(20170320)
著者については、
何かと話題になっているニュース女子や、
ニュース女子を配給しているDHCシアターが制作している虎ノ門ニュースで知りました。
本書を読んでから、著者やリフレーション派について少し調べてみました。
極めて簡潔かつ合理的な政策だと思いました。
アベノミクスや黒田バズーカもリフレ政策だということがわかりました。
またこれらのリフレ政策を妨げているのが消費税増税だということもよくわかりました。

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