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Rising Sun

Author:Rising Sun
リヴァタリアン


マネジメントは、ビジネス書の知識を得るだけでは上手くいかないでしょう。

日本の伝統から日本ならではの価値創造の源泉を知り、最新の自然科学からヒトの何たるかを知り、また科学的思考力を磨き、国内外情勢から立ち位置を知ることが重要だと思います。

勿論、基本はP.F.ドラッカー。

このブログでは、私が読んだ上記に関する書籍についてのレビューを紹介しています。

ご参考になれば幸いです。

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(2017・2018)
2018/07/18、突然Amazon.co.jpが事前通知なく全レビュー強制削除&レビュー投稿禁止措置を発動。

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the four GAFA/スコット・ギャロウェイ



★★★

GAFAって何?という方にはご一読をオススメします。

GAFAとは、金儲けで世界を席巻しようと企んでいる、
Google, Apple, Facebook, Amazonの略称であり、
近年その活動が良くも悪くも目立つようになってきたことから、
つけられたもののようです。

本書の内容は、
国際政治におけるグローバリスト(GAFA)vsナショナリスト(国民国家)
という大局的な構図で描かれているものではありません。
MBA教授によるビジネス書です。
ですので、両者の攻防についてはほとんど触れられていませんので、
こちらの方にご興味のある方は注意された方がよろしいかと思います。

また、
著者はニューヨーク・タイムズ(日本でいえば朝日新聞)を中立公正な新聞だと信じて疑わない
筋金入りのリベラルのようですので(本書内で著者自身が明記)、
本書を読まれる際には、その辺りを割り引かれた方がよろしいかと思います。
一読しただけですが、印象操作と思われる箇所が複数見つかりました。

さらに、
理由はよくわかりませんが、
著者はAppleのスティーブ・ジョブズが大嫌いなようで、
他の3社やその経営者との比較で明らかに、Appleとジョブズを不公平に扱っています。
Appleをブランドだけの会社だと断言し、
iPhoneやiPadなどに込められたAppleにしかなし得ない技術革新を無視しています。
この辺りが、時価総額1兆ドル一番乗りはAppleであり、
著者が予想したAmazonが見事に外れた理由だと思われます。

あと、
せっかくGAFAについて取り上げたにも関わらず、
GAFAの裏の顔についてはあまり触れられていません。
各国での法律違反、タックスヘイブン利用による税金逃れ、個人情報漏洩・販売など、
軽く触れてはいますが、補足情報程度の扱いです。

GAFAはグローバリストであると同時にリベラリストですので、
意図的にクローズアップしていないのかもしれません。

因みにGAFAの裏の顔によるアメリカ国民への悪影響を防ごうとしているのは、
リベラリストが嫌ってやまないトランプ大統領です。
裏の顔をクローズアップして解決策を述べ出すと、
大嫌いなトランプ大統領の政策を支持することになってしまうので、
意図的にクローズアップしていないのかもしれません。

ですので、
GAFAって何?という方には、こういうものがあるんですよ、
という意味でご一読をオススメしますが、
ネットなどでGAFAについて敏感に情報収集をされておられる方や、
グローバリズムvsナショナリズムといった大局的な構図での攻防を知りたい方には、
オススメできません。

評価をもっと下げてもよかったのですが、
GAFAについて正面から取り上げた最初の本ということ、
Amazonが、
カスタマーやサプライヤーを金儲けのために使い捨ての駒として利用している、
と具体例を挙げながら正しい指摘をして警鐘を鳴らしていますので、
この評価にしました。

宅配クライシス/日本経済新聞社





既得権益の破壊者から既得権益そのものになっただけ

サービスレベルを下げる一方で価格を上げることで、顧客満足よりも利益を追求する、
競争は激しいものの寡占状態にある業界で主要な地位にある会社ならではの、
ありきたりな既得権益維持行為を単に実施しただけのことだと思います。

そして自ら為すべき経営改革をせず、
EC事業者やその利用者を悪者扱いして責任回避しただけのことだと思います。

メディアでは擁護するニュースが聞かれますが、
自分たちは被害者でありEC事業者や利用者が加害者であるかのように、
所属する経済団体お抱えのメディアに、記事を書かせた、読ませたと思われても仕方ないでしょう。

また、価格引き上げがインフレターゲット達成の一助になる、きっかけになると、
リフレ派経済評論家が誉めそやしていますが、経営理論の基礎も知らない戯言としか思えません。

創業者が存命であれば、このような暴挙は絶対に許さなかったのではないでしょうか?

ドラッカーはマネジメントの重要な要素として、マーケティング・イノベーション・生産性を挙げています。
まずはEC事業者とその利用者のマーケティングを徹底すべきではないでしょうか?

包むマネジメント/近藤寛和



★★★★

読み手によって価値が変わる本

自社独自の差別化をなんとしてでも確立したい、
差別化への試行錯誤をどれだけでも続けたい、
そのためにはトップ自らが先ず変わらなければならない、
という覚悟を持った中小企業の経営者にとっては本書は価値の高いものになると思います。

利益や売上ばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか/紺野登+目的工学研究所



★★★★

悪くはないが、まだまだこれから


本書は、P.F.ドラッカーの『マネジメント』『非営利組織の経営』など数々の書籍や、
サステナビリティ経営、ソーシャル・ビジネスに馴染んでいる方々にとっては違和感のない内容だと思います。
ひっくりかえせば、斬新さの少ない書籍だとも言えます。
ただ、新しい事例が豊富にあり、古い事例もフレーム化して整理されていますので、理解を促してくれます。

また、本書内で「20世紀は手段の時代」として、本書の内容がそこから離れた斬新な発想であるとしていますが、
これまでもコーポレート・アイデンティティ(CI)、ミッション経営、ビジョナリー・カンパニーなど、
本書が掲げる「目的による経営」という理論は決して斬新なものではありません。
ただ、これまで謳われてきた理論は、売上・利益に蹴落とされて定着しない、広告代理店やコンサルティング会社に発注して歪んで導入された、などといった経緯があるため、再度、不確実時代の経営にとって重要なことは何か、を再認識させてくれます。本書内でも「目的による経営」を正しく扱うよう念を押しています。

ただ、残念なのは、「目的による経営」という理論が未だ揺籃期だからかもしれませんが、成功事例と失敗事例の比較がなされていないことです。
最低でも「目的による経営」で成功した組織・失敗した組織、従来の経営手法で成功した組織・失敗した組織、を比較する必要があると思います。


日本人の経営学者の書いたビジネス書はほとんど読まないのですが、たまたま機会を得て読むことができ、
また内容も決して悪いものではないため★4つとさせていただきました。
今後のさらなる研究による理論の深化・進化を求めたいと思います。

ただ個人的には、本書で掲げている「目的による経営」が多くの組織で実践、実現されることを期待しています。

第3の案/スティーブン・R・コヴィー



★★★★

斬新さはないが、秀逸な一冊

本書は、
イノベーションに関する書籍を数多く読まれている方にとって、
また、コミュニケーションに関する書籍を数多く読まれている方にとって、
あるいは、自己啓発に関する書籍を数多く読まれている方にとって、
それほど斬新なことが書かれているわけではありません。

しかし、本書は上記に挙げた分野についてのエッセンスを凝縮し、
一冊にまとめて読者に提供していることに、その秀逸さがあると思います。

7つの習慣と併せて読まれると、より理解が深まると思います。

ヒューマン・シグマ/ジョン・H・フレミング等



★★★★★

顧客・従業員・財務成果の総合的なマネジメント

本書は、企業の財務的な成果を生み出すことと、顧客・従業員のエンゲージメントを高めることの関係を明らかにするとともに、
顧客・従業員のエンゲージメントを高めていくためのマネジメントの方法について解説したものです。


内容としては、以前ギャラップ社が出した『これが答えだ!』で解説されているものがベースになっており、
従業員エンゲージメントではQ12、顧客エンゲージメントではCE11、従業員の強みではストレングスファインダーといったギャラップ社なじみの指標が登場してきますが、
その後の更なる調査結果や、心理学・脳科学等の新たな科学的知見の裏づけが、かなり豊富に足されています。

また『これが答えだ!』では時系列的に位置づけられていた、従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントですが、
本書では更なる調査から、これらの関係が時系列で位置づけられるものではなく(よって、従業員エンゲージメントを高めれば自動的に顧客エンゲージメントが高まるわけではない)、
両者の相互作用を総合的にマネジメントしていかなければならないことが示されています。

本書の途中までは、『これが答えだ!』の単なる焼き直しかな、とも思いながら読み進めていましたが、
以上のことから、かなり充実したバージョンアップ版なんだと認識を改めさせられました。


本書の原著初版が2007年、元となった『これが答えだ!』の原著初版が2002年であることから、斬新な理論というには時間が経過していること、
本書が出版される前から、本書の内容を実践して成果を生み出しているリッツ・カールトンなどの企業が存在していること(『ゴールド・スタンダード』参照)、
などを踏まえると、
日本でももっと本書のようなアプローチが導入されていても良いように思われますが、一方では、ギャラップ社が日本から撤退してしまっています。
ギャラップ社の日本撤退の理由はよくわかりませんが、本書の内容が日本企業に受け入れられなかったことが原因であれば非常に残念なことです。
日本でもっと流行らせて欲しかったと思います。

企業の未来像/フランシス・ヘッセルバイン等



★★★

これからの企業の在り方について。秀逸な論文もあるが、玉石混交

ドラッカー財団が企画した未来シリーズ三部作の一つです(他は『未来組織のリーダー』『未来社会への変革』)。

P.F.ドラッカーの序章、ジェフリー・フェファー、オリト・ガディーシュ/スコット・オリヴェット、イアン・ソマーヴィル/ジョン・エドウィン・ロムズ、ロザベス・モス・カンター、ステファニー・ペース・マーシャル、ジョン・アレクサンダー/ミーナ・S・ウィルソン、チャールズ・ハンディの論文は秀逸であり、新たな気付きを幾つももらいましたが、それ以外は正直いって時間の無駄でした。中には論文としてどうなのか?と疑いたくなるようなものも含まれていました(かなり著名な方々も寄稿しているのですが、それでもです)。

各論文はそれほど長いものではありませんので、各論者の提言を余すところなく伝えているわけではありません。より深く学ぶための辞書的な役割として本書を位置づけるとよいのだと思います。

未来シリーズ三部作をすべて読んだのですが、書籍としての出来は『未来組織のリーダー』が最も秀逸だと思います。リーダーシップについての研究が他の領域よりも進んでいるからなのでしょうか。

プライマル・マネジメント/ポール・ハー



★★★★

メッセージは秀逸だが実践面の提案は未熟

本書は、人間が生み出す成果の源泉が感情である、というアントニオ・ダマシオやジョセフ・ルドゥー等の最先端の脳科学・神経科学の研究者による知見を踏まえて、これからのマネジメントがどうあるべきか、またどうすべきか、について提言しています。

人間についての自然科学の最新知見をベースとして企業のマネジメントの在り方について提唱していますので、その中核となるメッセージは秀逸です。このメッセージと既存のマネジメントを比較すると、これまでがどれだけ人間に対する知見を無視して行われてきたかがよくわかります。また、最新の知見を駆使することで、企業と人間の両方がより上手く成果を生み出すことができる可能性を見出すことができます。


ただし、経営学において、人間の感情を重視したマネジメントの在り方については、全くと言ってよいほど知見が積み重ねられていないので仕方のないのでしょうけれど、本書で提案されている実践方法については、未熟であるといわざるをえません。

既存のマネジメント手法をすべて無視して実践方法を構成していますので、本書の提案を活かそうとした場合には、丸ごとやりかたを変える必要がでてきますが、実際の企業経営においてそのようなことはできません。

また、人材マネジメントのソフトな部分(組織・プロセス・制度以外)のみに対して実践方法を説明していますので、ハードな部分と如何に整合させていくかについての説明は全くありません。

このあたりがもっと検討され、練り上げられていくと経営手法として活用できるようになるだけに、残念です。

事実に基づいた経営/ジェフリー・フェファー、ロバート・I・サットン





装いだけが科学的な危険な本

社会科学系の一般向け学術書によく見受けられる良くないパターンで構成された本です。


良くないパターンはこのようなものです。

一見すると類書とは異なった本であるように見せかけます。

・他の同業者の書籍について、事実を正しく伝えていない、思想信条をベースに事実を恣意的に選んでいる、質的な情報だけである(インタビューやセッションのみ)、落とし所ありきの統計処理による量的な情報である、などと並べ立てて批判する。そうすることで、この書籍はそうではないんだな、と読者に思わせる。

・そのうえで膨大な知見を賛成・反対併せて引用する。そうすることで、この書籍は科学的・客観的・中立的な情報に基づいて解説しているんだな、と読者に思わせる。

ただしその中身を注意深く読んでいくと、以下のようなテクニックが使われています。

・著者らの思想信条に沿わない説のネガティブな部分のみを紹介して貶めつつ、一方で著者らの思想信条に沿った説のポジティブな部分のみを紹介して持ち上げることで、思想信条に沿った説を優位に立たせる。

・著者らの思想信条に沿わないが科学的に検証されている説についてはネガティブな表現を使って紹介し、思想信条に沿った科学的に検証されている説については過剰なポジティブさと過剰な解説量を使って紹介することで、思想信条に沿わない知見の印象を極小化する。

・著者らの思想信条に沿わないが科学的に検証されている説が厳然と存在する場合には、本筋とあまり関係のないトピックを相当量挿入して、結論を濁す。または、その説そのものを引用しないことで無視する。


例えば、

第3章:仕事とプライベートは根本的に違うのか?違うべきか?において、ワークライフバランスという問題を解消するには、会社が従業員の家族までも巻き込むべき(面倒をみるということで会社に貢献させるべき)としていますが、以下のように説明が非常に脆弱です。

・ワークとライフを厳格に分離している会社とワークとライフを統合している会社の長期的な業績比較がされていません。分離している会社のデメリットをネガティブな表現で解説し、統合している会社のメリットをポジティブな表現で解説しているだけです。

・個人の嗜好性が全く考慮されていません。分離しているほうが望ましいと思う人もいれば、統合しているほうが望ましいと思う人もいるはずです。自説を押し付けているだけです。

・ワークとライフの分離と統合のいずれが企業・社員の双方にとって有益か、という問いで始まっているものの、最後は道徳レベルでの社会における個人の在り方と会社における個人の在り方が違うのはおかしい、といったかたちでねじ曲がってしまっている。道徳レベルは大事だが、論点は他にもたくさんあるのだが。

企業はリベラル系の全体主義でなければならないという思想信条が見え隠れしています。何を思想信条とするかは自由ですし、企業における課題によっては結果としてこのような思想信条が適切なものもあると思います(選択肢を最初から除外するのはもったいないですから)。ただし、巧妙な解説手法でこのような思想信条に誘導するのは「事実に基づいた」ものではありません。


第4章:業績の良い会社には優秀な人材がいる?において、才能は後天的にどれだけでも伸ばすことができる、とされていますが、少なくとも現時点での才能についての科学的な知見は以下のものです(将来的に更新されることはあるでしょうが)

・知能の個人差の半分程度(要素により差あり)は遺伝子が決めている(残りは独自環境)。
・知能については上限が遺伝子で決められており、環境によって上限を限度として発現する。
・個性の内、気質と呼ばれる部分についてはほぼ遺伝子が決めている。

本書で述べられているように、才能をフルに開花させるには環境・努力が必要なのは言うまでもありませんが、上述した科学的な知見は一切引用されていません(ただし、この部分を追及されても言い逃れできるようなコメントは上記パターンを上手く使ってしっかりと本文に掲載してはいますが)。

また、同章では、人の才能よりも企業のシステム(組織・業務・制度など)が重要だとしていますが、これは優秀な人材がいるのか?というテーマからは外れていますし、優れたシステムを作り出すためには優秀な人材が必要であることについては全く言及されていません。


第5章:金銭的インセンティブは会社の業績を上げるか?にいたっては金銭的インセンティブか非金銭的インセンティブかというレベルの低い二者択一の論調に終始しています。

そして、金銭的インセンティブのデメリットと、非金銭的インセンティブのメリットを比較するという全く作為的な展開をしたうえで、非金銭的インセンティブが良いんだと強引に結論づけています。

更に金銭的インセンティブの例として、それらの弊害(確かにあります)が軽減・改善される前の酷いレベルのもののみを引用しており、改善を重ねた効果的な仕組みについては何ら紹介されていません。

また、大手人事コンサルティングファームの提供している人事制度について、金銭的インセンティブに終始していると攻撃しています。確かにその風潮自体はあります(日本でも)が、本書の解説はそれとは主旨だけ異なるものの、レベルとしては同程度のものだといえます。

少なくとも人材マネジメント領域においては、知見の使い方も含めて学生の論文レベルの低さだといわざるを得ません。


このような方法で本書は展開されていきます。したがって、本書で引用された全ての知見を使って全く逆の展開・結論をつくることもできます。「事実に基づいた」解釈に基づいた書籍です。

「事実に基づいた経営」が正しい道を拓く、との本書のメッセージは、本書の展開そのものによって著者ら自らが打ち消したといえるでしょう。

最近、巧妙に仕組まれた一見科学的な書籍が増えているように思えます(ビジネス書だけではありませんが)ので、お気をつけください。私がこれまで読んだ本の中では以下のようなものがあります。国内外問わず、またどの分野でもこのような本はあるようです。

なぜビジネス書は間違うのか/フィル・ローゼンツワイグ(経営学)
虚妄の成果主義/高橋伸夫(経営学)
経済幻想/エマニュエル・トッド(経済学)
進化と経済学/ジェフリー・M・ホジソン(経済学)
増補ケインズとハイエク(経済学)
IQってホントは何なんだ?/村上 宣寛(心理学)
遺伝子神話の崩壊/ディヴィッド・S・ムーア(生物学)


とはいえ、現実の経済・社会においては、確かな事実を見つけるのは容易ではありません。人の観点の数だけ事実があるといってもよいでしょうし、事実と言われているもののかなりのものが単なる現象です。なにせ学術の世界でも再現性のある経済モデル・社会モデルが打ち出されていませんので。

ですので「事実に基づいた経営」が如何に理論的に重要なことであっても、それを実現するのは容易なことではなく、かつそれを追求することが正しいとも言い切れないと思います。

それよりも、ある現象に対して多様な観点・解釈を重視・駆使することで物事を見極めたり、正反対の知見があることを前提として自社にとっては何が重要なのかを議論したり、既に検証済みの科学的知見を探し出したり、複数の学術領域を横断して知見を探し出したり、するほうが現実的かつ効果的だと思います。

結論としては、「経営は事実に基づいているか」という問い自体が適切でない、ということです。
このあたりについては、ドラッカーが深い洞察に基づいて解説をしていますので、そちらを確認されるといいでしょう。科学的な装いをした危険な経営学への警鐘もしています。

ブレイクスルー・カンパニー/キース・R・マクファーランド



★★★★★

秘訣は人を活かすこと

ドラッカーをリスペクトしている著者が、ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー2」と同様の調査・分析手法を活用して導き出した、ベンチャー企業がブレイクスルーするための条件を体系化した本です(ちなみに、ジム・コリンズも現代のドラッカー、またはドラッカーの意思を受け継ぐ者として位置づけられているようです)。

ドラッカーをリスペクトしているが故に、人にかなりフォーカスされたものとなっており、またジム・コリンズが採用した手法を適用しているが故に、具体的な事例をふんだんに盛り込んだうえでのしっかりとした提言となっています。

戦略・育成・実践の全てにおいて人をどれだけ上手く巻き込み、能力をどれだけ引き出し、成果につなげていくか、がポイントであり、そのために重要となる施策を提示しています。

ドラッカーの主要な著作を読破している方からすれば、当たり前のことが並んでいるだけだという印象を与えると思いますが、それでも、相当な調査・分析を踏まえてドラッカーの思想が肯定されているということに価値があると思います。今の時代においてなおドラッカーの思想が重要であるということを再認識させてくれる本書は価値があると思います。

また、本書での提言は、ピーター・センゲの提唱したラーニング・オーガニゼーションや、エドガー・シャインが提唱したプロセス・コンサルテーションが非常に重要な要件であることも裏付けるかたちになっています。戦略・組織・業務プロセスという箱モノを作ることよりも、人がそれらを上手く構築できるようになること、そのために人を上手く活かすことのほうが経営において重要であることが再確認できます。

さらに、企業の発展段階を踏まえると、ベンチャーの飛躍は本書、大きくなってからの変革は「ビジョナリー・カンパニー2」、ビジョナリーを維持発展するためには「ビジョナリー・カンパニー」というかたちで上手くこれらを活用することができると思います。

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